After The BLEACH   作:ぬー(旧名:菊の花の様に)

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ep5:Those Days

 親父からさっさとケリをつけてこい、と言われて、自室に来た。

 

 特にこれといったものは、まぁ好きなアーティストのポスター貼ってある位で、特徴はこれといってない。

 昔親父が使っていた部屋をそのまま使っているせいか、ところどころボロっちいのが傷だ。

 

 そこで僕はベッドの上に寝転がり、自分のスマホを眺める。

 

「苺花からの返信は…………」

 

 『電話しても大丈夫?』というメッセージからの返信は……返ってきてる。

 えっと……『全然大丈夫だよ』ね。

 全然の使い方違うんだけど……とか言えば絶対に話逸れるだろうし、苺花の機嫌を悪くしちゃう可能性があるから言わないようにしとこ。

 

 俺は苺花に電話をかける。

 

 コール音の1階目が終わるか終わらないか位で、

 

『は、はいもしもし』

「あ、もしもし?苺花?」

『あ、うん……一勇?』

 

 なんだかいつも話す時は面と向かって話しているせいか、なんだか照れくさい。

 僕はぎこちなく返事を返す。

 

 ちょっとの沈黙。

 

 埒が明かない、と思い、話しかける。

 

「あの!」

『はい?!』

「今日は、ごめんなさい!」

『…………うん』

「ベリから聞いた。

 苺花は悪くないって。

 だから、ごめんなさい」

『うん』

「だからお詫びにさ、お菓子持っていくよ。

 んでもって一緒に勉強でもしよ」

『えっ?!マジで?!

 一勇のお菓子好きなんだよねー』

 

 いつもの話し口調に変わった苺花に、ちょっと笑いそうになっていると、

 

『あの、私こそ、ごめん!』

「苺花…………」

『今回の件は私が勝手にキレちゃったのも原因だし…………それに、一勇にいきなり襲ってかかっちまった……』

「…………それに関しては、ちょっと時間頂戴」

『……うん、待ってる』

 

 僕は苺花の優しさに感謝しながらも、話を変える。

 

「あ、それでさ、親父がなんか昔どんなことがあったとか教えてくれるって、言ってくれたんだ」

『一護さんが?!

 なにそれ私も聞いてみたい』

「なんかさ、どうやら母さんも死神……みたいな感じらしかった」

『織姫さんが?!』

「あと…………チャドさん」

『えっ……あの人素ですげー強いじゃん……やばくね?』

 

 そんな風に話は広がっていき、いつの間にか最近のテレビの話になったり、苺花の面白い話とかになっていった。

 なんか、こんな感じが一番心地よくて、僕は好きだった。

 

 明日は学校は休みで、朝早くから父さんは出かけるぞと言っていた。

 なんか話の流れで苺花も行きたいということになり、父さんに聞いたところ、まぁ大丈夫だろ、なんてお気楽に返事していた。

 

 とりあえず、苺花の件についてはなんとか収まった。

 ただ、僕の中で一つ、10年も消すことの出来ないしこりを残して……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「かずいー、起きろー」

 

 親父からの声。

 僕はヒヤッとして飛び起き、辺りを見回す。

 親父は起きないとダイビングエルボーを食らわせてくる位には意味がわからない。

 親父曰く、うちの伝統なんて言ってたけど、寝起きにダイビングエルボーは多分伝統とかになる類のものではないのは分かっているつもりだ。

 

「おはよー」

「おはよう!

 今日もバッチリ髪型決まってるね!」

「…………芸術的な寝癖だな、相変わらず」

 

 控えめに言っても僕の寝癖はすごい。

 どのくらいすごいかと言うと、僕のなにかに比例して芸術力的な何かが高まっていくのだ。

 ひどい時は寝癖で鮭をくわえた熊を表現していた時とかもあった…………らしい(その日は流石に親父と母さんが大爆笑していたので速攻直した)。

 

 それで今日は多分超サイ〇人位だろうと思い、後で直そうと席につく。

 

「今日のご飯っはぁ!

 愛の目玉焼きと愛の卵かけご飯と愛のゆで卵!」

「卵多くね?」

「んもう!そこは『ハニー、愛が多すぎて卵が孵化しちゃうぜ』ってブフォっ!」

 

 母さんはいつになくテンションが高く、親父のモノマネに自分で笑っている。

 親父は苦笑いしながら冷蔵庫になんか他のものがあるかを聞き、母さんは別に作ってある、と台所から全く別の朝ごはんを出していた。

 

 騒がしい朝。

 仲のいい夫婦。

 ここにあの殺伐とした世界である死神がいるなんて、誰が思うだろうか。

 俺は母さんがボケ用に作ったゆで卵にマヨネーズをかけながら、そんなことを考えていた。

 

 

 

 

 

「おはようございます!」

「あぁ、おはよ、苺花ちゃん」

「おはよう、苺花ちゃん」

 

 親父と母さんに挨拶をする苺花。

 ここは苺花の家……阿散井家の前だ。

 そこには阿散井家総出で出迎えてくれている。

 

「アァんてめぇ一護さんよぉ、うちのかわいい苺花に手ぇ出したら承知しねぇからな」

「うるせーよパイナップル頭。その頭毟ってやろうか」

「んだと万年ハロウィンヘッド!」

「んだと筋肉バカがよ?!」

 

「コラコラやめんか」

「そうだよ、喧嘩は良くないでしょ」

 

 よく母は強し、なんて聞くけど、家と苺花の家は特にそうだろうなぁ、なんて2人の母の後ろに何故か幻影として見える鬼を見ながら思っていた。

 

「ねぇねぇ、今日ってなにすんの?」

 

 小さな声で聞いてくる苺花。

 

「わからん、多分ほとんど話ばっかりだと思うけど」

「…………ふーん」

 

 僕はその質問に素直に答えながらも、嫌々口喧嘩をやめるオヤジ達を見ている。

 

「それで一護。

 今日は何をするんだ?」

「ん?あぁ、まだ織姫にしか言ってなかったな」

「うーん、私もあんまり詳しくは聞いていないかなぁ」

 

 母さんも首をかしげているあたり、親父の早とちりだったのだろう、親父はあら?という顔をして、しばらく考えてから、

 

「まぁいい、とりあえず話はこれを使ってからだな」

 

 親父が懐から取り出しのは、五角形にドクロのマークが刻まれている、木札。

 親父はそのまま僕の近くに来て、その木札を俺に押し当てると、

 

 

ブワァ!!!!

 

 いきなり俺は死覇装姿になって自分の体から抜けた。

 

「お、おい親父?!」

「ほれ、これ預かっててくれ」

 

 親父は俺が抜けた体をぽーいと恋次さんの方にぶん投げる。

 恋次さんはそれを軽々とキャッチして、阿散井家に放り投げ……

 

「ってだめだめだめ!

 丁寧に扱って?!」

「んん?男なら黙って見てやれよ」

「そういう問題じゃないの!」

 

 と言っているあいだに、苺花、ルキアさん、親父が死覇装姿になる。

 母さんは何やら腕に取り付けていた。

 

「じゃ、体頼むわ」

「おー、任せとけ。

 その代わり「私がいるのだ、心配するな恋次」……わぁったよ」

 

 そのま親父は死覇装姿のまま、付いてこい、と言って歩き始める。

 

「母さん、さっきなにつけてたの?」

「あぁ、これね、一時的に霊体と同じになれるの」

「…………母さんって死神じゃないの?」

「うーん、人間ではあるんだけど……どっちかって言うと…………茶渡くんと同じ?」

「チャドさん、そういえば来てないですね」

「うん?苺花はチャドが関係していることを知っておったか?」

「あー、ルキアさん、苺花には昨日ちょっと話しちゃって……」

 

 僕以外女の人という状態で、話は進んでいく。

 その間、前を歩いてる親父は一言も話さずに、黙々と歩いていく。

 道行く人達は、僕らのことを一切気にしない。

 この死覇装の状態だと、普通の人からは見えなくなる。

 霊感がある人でも、それなりに高い霊感を持っていないとめったに僕達を見ることができない。

 

「茶渡くんは待ち合わせしてる…………んでしょ?」

「そうだな、今あっても仲間はずれにされちまうからな」

 

 母さんの質問に、父さんは何か考え事でもしているのか、少しまったりとした返事をする。

 僕と苺花は顔を見合わせて、なんか分かるか?とお互いにアイコンタクトしたが、結局何を親父が考えているのかは分からずじまいだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ついた」

「ここは…………」

 

 僕達が着いたのは、うちの目の前。

 今日は週に一度の定休日のため、家には誰も来ていない。

 そこでルキアさんはポン、と手を叩き、

 

「ここはお主に力を与えたところか」

「そう、俺が死神になった場所」

 

 死神になった?

 その言葉に僕は疑問を抱いたが、親父の話を遮らないように黙る。

 

「俺は、普通の高校生だった」

「えっ、あれで普通の高校生?」

「いや、始まりくらい普通に始めさせてくれよ」

 

 親父がかっこつけて話そうとしているのに速攻水を指す母さん。

 まぁ、小さい頃からあんな目立っ髪色してたらしいし、普通とは言いづらいよなぁ、と思いながらも、ツッコミはしないでおく。

 

「とりあえず、俺は霊が見えて、話せて、触れることが出来る、普通の高校生だった。

 

 それがある日、こいつと、虚に出会った」

「私は丁度ここに任務で来ていてな、調査というだけだったので油断していた所を、こやつとあった。

 それで、こいつが無謀にも虚に向かっていったのを庇って、死にそうになっていた」

 

 え?あのルキアさんが?

 ってか、親父が虚に死神じゃないのに向かっていった?

 色々な疑問が喉から出そうになったが、それを飲み込む。

 今でこそ強いが、親父が高校生の頃って、だいぶ前だろうから、そういう時もあったんだろう。

 

「あん時は家族が襲われたからムキになったんだよ」

「ま、それで会えなく死ぬわけにも行かず、私はこやつに力の半分を授け、死神にさせることにした」

「そ、そこで俺はこいつから力を受け取って、めでたく死神様になったってこと」

 

 色々聞きたいことはあった。

 が、2人の話している姿は、なんだか楽しそうで、水を指すのが申し訳なくなってくるくらいだった。

 

「ま、そん時あたしも普通の人だったんだけどねー」

 

 はぁ、と溜息をつきながらいう母さんに、親父は苦笑いをして、

 

「まぁまぁ、とりあえず諸々の話は……」

 

 僕と苺花の方に、抜いた斬魄刀の鋒を向け、

 

「こいつで話そうか」

 

 霊圧を飛ばしてきた。

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