After The BLEACH 作:ぬー(旧名:菊の花の様に)
「ここは、空座町は特異な場所として死神全てに認知されたことを機に作られた、話し合いの場だ。
まだ大規模な事件は起こっていないが、その様な事件が起きた時用に、私たち死神が空座町に置く拠点、という意味で作った」
「ま、死神たちの住処、って感じでいいだろ?」
「うむ、そういう貴様は入ったことがないのであろう?」
「あー、作る時にこれを鍵にするからって呼ばれて以来、使ってはねぇな」
親父とルキアさんの話を聞いて、これを作ったやつはどんな奴なんだろう、なんて妄想をしてしまう。
昔、霊子の使用による空間の作用については、多少は知識があったのだが、これはどう考えても頭がおかしい。
おそらく、十二番隊が絡んでいるのだろうな、と考えている。
すると、とある気配を感じる。
「チャドさん?」
「お、よく分かったな、あいつには先に来てもらったんだよ」
親父からの言葉で、俺は気配の方向に意識を向ける。
そこに居たのは、筋骨隆々の、浅黒い肌を持った長身の男。
少し老けてはいるが、その出で立ちは正に強者。
人間の最強が、まさか死神に関係しているとはねぇ……。
前々から特殊な霊圧を持っていると思っていたけど、まさか虚まで相手に出来るとかなのかな……。
茶渡泰虎。
元ボクシングヘビー級世界チャンピオン。
この名前を知らぬ人はいないだろうと言えるくらいには、チャドさんはすごい人だ。
「まずは、私達はなんなのか、って言うことについて」
チャドさんが俺たちと合流した所で、母さんが僕達の前に立って、話し始める。
母さんの説明は何故かところどころわかりやすいのが不思議なくらい意味がわからない。
だからまたあの説明が始まるのか……と考えていると、チャドさんが織姫さんを止めて、
「ちょっと待ってくれ」
すると、小さな気配を感じた。
チャドさんや母さんと比べると、若干小さいくらいの霊圧。
しかも周りに親父とルキアさんがいるため、なお場所を探るのが難しかったが、
「っととと、待った?」
「あぁ、リルカ呼んでくれたのか」
「昨日のうちに織姫が何をしたいのか聞いていたから、な」
上空から僕達の目の前に降り立ったのは、ピンク色の派手な髪の毛をツインテールにまとめた女性。
黒を基調とした、ゴシックロリータ的な着こなしをした女性が現れた。
少し目つきが悪いが、あの目の細め方は多分目が悪いタイプの人なんだろう。
「一応昨日チャドに頼まれたから、来てやったけど…………」
その女の人は、僕らのことを見渡して、僕の方を見た瞬間に、視線を止める。
そしてしばらくじーっと見たあとに、
「これがあんたの息子?」
「そういえば、昔会ったっきりだったな」
「そうね、生まれて間もない頃に一回見たくらいかしら」
僕は親父と女の人の話の意味がわからずに、疑問を浮かべていると、
「あーっと、そうね、今日はそこの2人に色々と教えたいのよね?」
「うーん、リルカちゃん、私が説明す「あんたが説明とかありえないでしょ?」…………うっ」
母さんは図星をつかれた成果、少し苦い表情をした。
その間に、女の人は、どこからが取り出した箱。
ピンク色の、ドールハウス。
歪んでいるような霊圧を感じるそれに手を突っ込むと、まるでドラえもんの四次元ポケットのように、ものを出していく。
その一つ一つは、取り出した状態から大きくなり、ピンクが基調のホワイトボード、それにペンとバット。
バットを取り出した理由はわからないけど、あの箱から色々なものを取り出しているあたり、母さんやチャドさんと同じような死神っぽくない能力を持っている可能性が高いのか?
そんな推察をしながらも、バットを投げ捨てた女の人は、大きく息を吸い込んで話す。
「はい、それじゃあこの毒ヶ峰リルカ様の、ありがたーい授業を始めてやるわよ!」
コホン、と一息ついてから話す女の人……毒ヶ峰リルカさん。
俺は母さんの知らないことを知れるこの機会に、少し胸が高鳴っていた。
「まず、私、織姫、チャドの3人は、人間であるのに死神の様に虚に対抗出来る人間なのよ!」
そこに描かれていくのは、虚のデフォルメキャラクターに、死神のデフォルメキャラクター。
おそらく死神の方は親父なんだろう……髪オレンジだし。
その上に書いてあるのは、ピンクのツインテールの、明らかにリルカさんだと分かるようなキャラクター。
そのキャラクターだけやけに強調されていた。
「そして、その人物達に関係するのは、なんらかの理由で虚と関係のあった人間。
一般的には、親が虚に襲われている人間なんかは、こうなりやすい」
そして、書かれるのは、完現術者。
見たことの無い単語だな、と思っていると、
「この力は、物に宿っている魂を増幅させて力。
名前をを、完現術……フルブリングといい、その力を使うものをフルブリンガー、という」
例えば、とリルカさんはペンでチャドさんを指し、
「あそこの大男は、両腕の皮膚を媒介にするし」
母さんを指して、
「織姫はアクセサリーを媒介にしてる」
チャドさんは、両腕を変質させ、母さんはニコリと微笑んだ。
「基本的にはあたしと雪緒ってやつと一緒に、完現術者を保護してるから安全だろうけど、見つけても戦いを挑んだりはしないでね」
「えっ、僕ですか?」
「あたしはあんたのことを知らないから、仕方が無いでしょ」
「あー、了解です」
隣のやつ(苺花)の方が危険なんだけどな、と心の中で呟きながら、リルカさんの言葉に頷く。
「これでいいの?」
リルカさんは、親父の方を向いて尋ねる。
「あぁ、今ので十分だ。
ありがとな」
リルカさんはふん、と親父と反対の方向を向く。
「それで」
親父は、僕と苺花の方を見る。
「まぁ、なんだ、後あのメガネが滅却師……なのは知ってるよな」
「まぁ、会ったことあるからね」
親父が言うメガネ、と言うのは、石田雨竜さんというお医者さんだ。
親父と同じく医者なのだが、その傍ら滅却師という、霊を駆除する力を持った人間でもある。
親父とは専門が違うから、俺も苺花も偶に石田さんに診てもらう。
「それで、後はもう少しいるんだけど……」
親父は、微笑みながら、
「これで、全員だ。
ここにいないやつは沢山いるけど、これが俺の馴染みのやつらだ」
「敵になったやつ、一緒に戦ったやつ、裏切ったやつ。
いろんな奴がいる」
「だけど、それら全てが、俺の全てだ」
親父の言葉は、重かった。
そう、親父のその言葉には、俺の知らない過去が存在している。
母さんがその後小走りで親父の元に向かう。
母さんは親父と手を繋ぎ、にこりと微笑むと、
「それと、浦原さんに言われて、ようやく決心が着いた」
親父の言葉と共に、親父の霊圧をひしひしと感じていく。
10年ぶりか……。
親父の重い霊圧に晒され、微笑む。
懐かしいな、死神の時は……。
それくらいに僕は、死神をしていない。
その事実に、僕は思わず自分の手を見た。
剣だこひとつ無い、綺麗な手だった。
「俺は、お前と向き合うよ、一勇」
その言葉に、僕は顔を上げる。
親父は斬魄刀を抜き、俺に向け、左手を顔まで持っていき、
虚の仮面を自分の顔につけた。
跳ね上がる霊圧、僕の見た事のない仮面。
思わず戦闘態勢を取ろうとした瞬間。
親父、母さん、ルキアさんは、その場から姿を消した。
1回に出てくる人数多いとと疲れるよね