「あーあーあー、あえいうえおあお、あいうえお」
「痛みの方はどう? 」
「ありがとうございます、サリカさん。喋るくらいならもう痛くありませんわね」
「そう、良かったわ」
抜糸も終えて、一番酷かった背中の傷ももうそれほど痛まなくなっていた。両腕の骨折についても経過は順調で、もう数日でギプスが外されることになっている。一番治りが遅い右足のヒビが気になるところだが、両腕のギプスが外れたら松葉杖を使って院内を歩き回っても良いとの許可も頂いた。
「傷痕…やっぱり残っちゃったね。ごめんなさい」
「サリカさんの所為ではありませんわ。それに先日鏡で確認しましたが、言うほど目立ちませんでしたわよ」
傷痕は確かに大きかったが、注意してみなければわからないレベルだった。サリカさんが言うにはお風呂などに入って肌が上気した時は若干はっきりと浮かび上がってしまうだろうとのことだったが、それにしたって自分自身から見えない場所なのだから、全く気にならなかった。
(それとも、気にした方が良いのでしょうか)
女の子なら、自分の肌に傷がつくのを嫌がるのが普通だろう。それが気にならないというのが、もし俺が男性の意識を持っていることが原因だとしたら、それは少し嫌な気持ちだった。かといって、あまり気にする素振りを見せてしまうと今度は逆にサリカさん達に負い目を感じさせてしまうだろう。
「全部、あの違法魔導師が悪いのですわ!」
急にやり場のない怒りがこみ上げて来て、思わず叫んでしまった。さすがに力を入れても傷が痛むことは無かったが、若干皮膚が突っ張るような違和感があった。
「ミント。気持ちは判るけど、あまり大声を上げてはダメよ。ここは病院なんだから」
「あ、そうですわね。ごめんなさい」
母さまにも窘められてしまった。だがあの違法魔導師についての苦情はまだまだあった。例えば、今回のこの予定外の出費だ。手術に、検査に、投薬に、29日以上の入院。しかも俺はまだミッドチルダの居住手続きを終えていないため保険が適用されず、全額自己負担になる。これをブラマンシュの共有財産から支払うのだ。
(魔導師登録さえ済んでいれば、準住民の扱いでしたのに)
聞いたところ全く払えない金額ではないものの、余計な出費を背負い込んでしまった上、みんなに迷惑をかけたという事実は変わらない。母さまはお金のことは気にするな、と言ってくれるものの、これを気にせずにいることは出来なかった。
(やっぱり卒業後に少しだけ嘱託魔導師として働いて、お金を返した後で原作介入するのが理想的ですわね)
そのためには初等科1年の最後に行われる飛び級試験で、一気に中等科に編入される必要がある。中等科に編入出来さえすれば、その後の試験は学力よりも魔力メインになる様子だから多少は楽である。問題なのは初等科1年から一気に中等科1年に編入出来るだけの知識と実力を身につけることだ。
母さまが買ってきてくれた試験問題集はとても判りやすい解説が別冊で付属しており、単純な問題集としてだけでなく、参考書としても役に立った。ただ暇な時間は殆ど全てこれの勉強に充てていたため、今ではこの問題集に限って言えば、どの問題を出されてもパーフェクトに答えられる自信があるレベルに達してしまっていた。
(数学の公式などまで地球と同じとは思いませんでしたが)
異世界とはいえ、一部を除けば前世の記憶で殆どの問題が理解出来てしまうのも勉強が進んだ理由だった。問題があるとすれば歴史やミッド語など前世知識が当てにできない科目だったが、幸いにも勉強そのものが楽しく、また幼児特有の、勉強すればするだけ身につくという能力にも助けられたこともあって、その辺りの知識も思っていた以上にスムーズに吸収出来た。
「お母さま、お願いがあるのですが」
「どうしたの、ミント」
「また別の参考書があったらやってみたいのです。出来ればもう少しレベルが高いものでお願いしたいのですが」
「どのくらいのレベルのものをやってみたいの? 」
「そうですわね、初等科5年生向けの参考書と、中等科の編入試験問題集があったらお願いしたいですわ」
「あらあら、随分と上のレベルなのね。飛び級でもするつもりなの? 」
「一応、視野には入れていますけれど」
「ねぇ、ミント。飛び級するのが悪いとは言わないわ。勉強が出来るのもいい。でもね、お母さん達が貴女に学校に行って貰いたいって思ったのは、勉強よりもむしろ沢山のお友達を作って、楽しく過ごして欲しいからなのよ」
別に咎める様子ではなく、優しい口調でそう言われた。それにはこちらも笑顔で返す。
「大丈夫ですわ、お母さま。勿論、楽しむのが最優先ですわよ」
「そう? それならいいけれど」
別に嘘を吐いたわけではない。折角の学校生活は楽しまなければ損というものだ。楽しみながらもちゃんと課程は修了させてからPT事件に介入するのが理想である。最悪の場合、俺自身は飛び級出来なくても、何らかの理由をつけて介入することは可能だろう。だが一度介入を始めたら最低でも2か月は学校に戻れなくなる可能性が高い。
(折角ブラマンシュみんなの好意で学校に行くことになったのに、サボるわけにもいきませんですしね)
それに出来るだけ出費を抑える目的もある。出来ることなら奨学金制度、それも貸与ではなく給付奨学金を狙いたい。そのためには成績上位10人以内に入る必要があるのだが、万が一選に漏れてしまい貸与奨学金扱いになってしまっても、飛び級をすることによって全体的な返済金額を引き下げることも出来る。
ただでさえ、今回の入院には相応のお金がかかっている。介入の都合もあるが、最終的にかかった費用を全てブラマンシュに返還しようと考えている身としては、金額は小さい方が助かるのだ。
(それにしても、なんだかお金のことばかり考えているのはあまりいい気分ではありませんわね)
思わずため息を吐いてしまった。
「ため息を吐いた数だけ幸せが逃げて行くって言うのよ、ミント」
「あら、失礼しました。早く自由に歩き回りたいと思っただけですのよ」
「ずっと病室に籠りっきりだものね。少しお母さんと一緒に散歩してみる? 」
母さまはそういうと、いつもトイレに行く時に使う簡易車椅子を用意してくれた。折角なので日当たりの良い病院の庭でのんびりするのもいいだろう。母さまとサリカさんが車椅子に乗る手伝いをしてくれる。
「ありがとうございます。ではお母さま、お願いします。サリカさん、行ってきますわね」
「はいはーい。気を付けてね」
ミッドチルダはちょうど初夏を迎えたところだった。本当なら今回は魔導師登録の序にサリカさんへの挨拶や学校の下見を済ませ、1週間後には一旦ブラマンシュに戻るつもりだったのだが、想定外の入院で帰郷は取り止めになってしまった。
「夏の間はブラマンシュでのんびりしようかと思っていたのですが」
「まぁ折角お母さんもこっちに来てるんだし、珍しい家族旅行だと思って楽しみましょう」
ミッドチルダの気候は温暖で、真夏でも然程暑くはないらしい。母さまに車椅子を押して貰い庭に出ると、そよぐ風がとても気持ち良かった。
「東屋のところまで行ってみましょうか」
庭の中央には少し大きめの池があり、その畔の東屋は人々の憩いの場にもなっている。入院してから2週間ほどが経つが、ここにはたまに連れて来て貰っていた。庭の芝生と東屋の周りにある花壇、それに敷地を囲う垣根代わりに植えられた背の高い針葉樹が目に優しい。
初めてクラナガンに来た時は明らかに造られた自然に違和感があったものだが、この2週間で随分と慣れていた。空に浮かぶロシュ限界を超えたような星も、針葉樹の向こう側に見える地上本部の尖塔も、今では日常の風景だった。
普段は患者さんや付添いの人が談笑していることが多い東屋だったが、今日は偶々時間が合わなかったのか誰もいなかった。無事な左足を使って車椅子から東屋の椅子に移動する。母さまも車椅子を傍に置くと、俺の隣に座った。
「珍しいですわね、こんなに天気がいいのに誰も東屋にいないなんて」
「そうね。でも、ほら。あっちには何人かいるわよ」
母さまが示す方を見ると、池の畔で日向ぼっこをしている人達がいた。むしろ天気が良いから東屋のように屋根があるところではなく、お日様の下に出たかったのかもしれない。
「わたくしたちも行ってみますか? 」
「やめておいた方がいいわよ。この時期って、日差しがすごく気持ちいいけれど紫外線も強いから」
転寝でもしようものなら、肌にはあまりよろしくないらしい。むしろ転寝するなら東屋の方がいいのだそうだ。
暫く風が運んでくる緑の匂いを堪能する。ついつい欠伸が出た。
ふと気が付くと、俺は母さまに膝枕された状態でブランケットをかけられていた。
「おはよう、ミント」
「いつの間にか寝てしまったのですわね。おはようございます、お母さま」
「まぁ、そんなに長い時間は経ってないけどね」
「そうでしたか。ところでこのブランケットはどうされたのですか? 」
「ミントが寝ちゃって、お母さんは膝枕してるから動けないでしょう? そしたらね、その子がナースセンターから借りて来てくれたのよ」
「その子? 」
「僕だ」
「ひゃぁぅ!」
急に反対側から声をかけられて、また変な声を上げてしまった。少し寝ぼけていたのだろうか、全く人がいることに気付かなかった。
「すまない、驚かせるつもりはなかったんだが」
「い、いえ、こちらこそ急に変な声を出してしまって。失礼しました」
慌ててぺこりと頭を下げる。着ているのは管理局の制服だろうか。ルークさんが着ているものよりも、ベアトリスさんが着ているものに近いデザインのような気がする。そのまま目線を上げて、相手の顔を見た瞬間、思考が停止した。
「ブラマンシュ一族のことは話では聞いたことがあるけれど、実際に会うのは初めてだな。僕はクロノ・ハラオウンだ。よろしく頼む」
名乗られたことで、漸く頭が回り始める。
「ミ、ミント・ブラマンシュですわ」
差し出された右手に慌てて握手をしようとして、両手に嵌められたギプスに気付く。クロノも同時にそれに気付いたようで、バツが悪そうに頭を掻いた。その手首には軽く包帯が巻かれている。
「重ね重ねすまないな。その両腕の武勇伝も聞いてはいたんだが」
「いえ、っていうか武勇伝って何ですの? 」
「違法魔導師と闘ったんだろう? さっきイザベルさんから聞いたよ。君があのショッピングモールテロ事件のミントだったんだな」
母さまはにこにこと俺のことを見ていた。いつの間にか自己紹介までしていたらしい。別段咎めるようなことでもないのでそちらはスルーし、軽くため息を吐くとクロノに答える。
「闘ったというよりは、一方的に叩きのめされたというのが正しいですわね。それよりわたくしのことをご存じだったのですか? 」
「あぁ。現場を担当した三等陸尉の報告書は読んだよ。君のおかげで助かったという人が沢山いたと聞いている」
「初耳ですわ」
「あの時3階にいた民間人は、逃げる時に君がかけたプロテクションのおかげで命拾いしたと証言しているらしいし、陸士隊の隊員は、君が違法魔導師の注意を引いてくれたおかげで1階への突入を早めて死者を出さずに済んだと言っている」
「あまり褒めないでね。今回ばっかりは、本当にどうなることかと思ったのよ」
母さまは少し渋い顔をしてそう言った。
「今回は巻き込まれた形だから仕方ないとも言えるが、確かに君のような小さな子が違法魔導師に挑むというのは無謀だな。これからは注意した方がいい」
言っていることは正論なのだろうが、正直クロノの見た目はかなり幼い。そのクロノに小さな子呼ばわりされ、少しだけムッとした。
「クロノさんだって、まだ子供ではありませんか」
勿論、知識としてはクロノの方が5歳以上年上なのは知っていたが、ついそう言ってしまった。
「僕はこれでも11歳だ。それに今日、執務官試験にも合格した。子供呼ばわりはしないでくれ」
「あら、そうなんですの? それはおめでとうございます。難関だと聞いていますわよ」
執務官試験がとても難しいということは前世知識でも知ってはいたが、一応以前にマーカスさん達からも管理局の話はいろいろと聞いていた。
「ああ、僕も2回目の受験でやっと…って、今そんなことはどうでもいいか」
そういう風に、他人の言葉に一喜一憂するあたりが、まだ子供だと思った。それにどう考えても11歳は子供だろう。敢えて本人の前では口にはしないが、その代わりにクスリと小さく笑う。
「ところでクロノさんは、今日はどうして病院にいらしたのですか? 」
「今日の実技試験でちょっと怪我をしてね。と言っても軽く捻っただけなんだが」
そう言って包帯が巻かれた手首を軽く回している。どうやら実技試験終了後、バリアジャケットを解除した時にうっかり転んでしまったらしい。本来なら本局の医務室に行けばよかったのだが、たまたま今日は地上本部に急ぎの用事があり、そちらを優先させたのだそうだ。
「地上本部からなら、この病院に来る方が手っ取り早いしね。大した怪我でもないんだが、とりあえず湿布だけ処方して貰ったんだ」
イメージしていたクロノよりも随分と饒舌だった。もしかしたら執務官試験に合格できたことで浮かれているのかもしれない。
「で、そろそろ帰ろうと思ってロビーを歩いていたら、庭にいる君たちに気付いたんだ。2人揃ってバカみたいに大きな魔力を持っているものだから気になってね」
「あら、クロノさんも管理局員のスカウトを? 」
「いや、別にそういうわけじゃないんだ。というか、『も』って何だ。君はまだ5歳なんだろう? もうスカウトが来たのか? 」
「例の三等陸尉ですわよ。管理局に入るつもりはないって言ったら残念そうにしていましたわ」
俺がそういうと、クロノも呆れたような表情をした。
「そういえば、執務官って三等陸尉よりも階級は上なんですの? 」
「執務官というのは役職であって階級じゃないんだ。階級で言うなら僕は二等空尉だから1階級上ということになるな」
「話では聞いていましたが、本当に実力主義ですのね。その歳にして階級がそんなに高いなんて」
「魔力量に左右されるところが大きいんだ。それに僕は士官学校を出ているからな。最低階級が三尉になる」
こういうところも軍隊のように思えてしまい少し嫌な気分になったが、あえて表情には出さないように会話を続けた。話をしている雰囲気からも、クロノが時空管理局に対して全幅の信頼を寄せていることがよく判る。俺自身、別に時空管理局の存在そのものが間違っているとは思っていないし、クロノと口論をしたい訳でもないのだ。
「ところで、ブラマンシュ一族はあまり外の世界に出ることはないんだろう? 君は何故ミッドチルダに? 」
「外の世界に出る人が皆無という訳ではありませんわ。わたくしは来年からクラナガンの魔法学院に通いますのよ」
「魔法学院か。なるほど、そういえば願書の締め切りは毎年秋口だったな」
「その前に魔導師資格を取得しようと思っていたのですが、ミッドチルダに到着した当日にこの有様ですわ」
「それは確かに災難だったな。心からお見舞い申し上げるよ。だが回復したら登録するんだろう? デバイスは持っているのか? 」
「まだ持ってはいませんわ。管理局で貸し出してくれると聞いています」
するとクロノは少し考えるような素振りを見せた後で、こう言った。
「君は自分の魔力ランクがどのくらいあるか、把握しているか? 」
「母さまがAAAで、それと同等かそれ以上とは聞いていますが、まだ正確に測ったことはありません」
「僕の魔力ランクも今ちょうどAAAだ。君は確かに魔力量については僕よりも多いと思う。それで予め言っておくが、管理局で貸し出すデバイスは一般局員向けのものだ。対応できる上限は精々AAくらいまでだろうな」
「は? えっと、それってどういう…? 」
「AAA以上の魔力を持った魔導師なんて、管理局全体でも5%に満たない。そんな少数派用の高度なデバイスを貸し出し用に常備するくらいなら、その分の資金を他の事に回すって言うことさ」
一瞬、クロノが何の話をしているのか判らなかったが、どうやらあまりに魔力が大きいと、管理局で貸し出してくれるデバイスでは処理しきれずに機能停止、最悪の場合壊れてしまうこともあるらしい。
「魔力量がAAA以上の魔導師は、ほぼ全員自前のデバイスを持っているよ。魔導師登録にはデバイスを使った検査もあるし、君も事前にデバイスを入手しておいた方がいいな。多分、その魔力量だと貸し出しは拒否される可能性が高い」
これは魔導師登録よりも先に、エルセアにいるというサリカさんのご両親に相談した方が良いだろう。
「クロノさん、聞いても良いですか」
「何だ? 」
「デバイスを買おうと思ったら、おいくらくらいするものなのでしょうね? 」
「あぁ、そういう問題もあるのか。AAA以上の魔力に対応出来るようなものはかなり高くつくだろうな。自作するにしても相応の部品代は覚悟したほうがいいし、何よりデバイスマイスターとしての勉強をしておかないと」
両腕が無事ならorzのポーズをとっていただろう。
「管理局に入局すれば、局員の装備は必要経費だから相応のデバイスも支給されることになるが、さすがに一朝一夕には行かないな。年齢が年齢だし、それに君は管理局に入るつもりはないんだろう? 」
「嘱託くらいならいいのではと以前から思っていましたが、今随分と天秤が傾きましたわ」
今夜にでもサリカさんに相談してみよう。さすがに未だ面識のないデバイスマイスターにツケ払いをお願いするのは気が引けるし、出来れば借金はこれ以上増やしたくないのだが、デバイスがなければ魔導師登録が出来ないとなれば話は変わってくる。
「嘱託魔導師か。まぁいずれにしてもそれは最低でももう2、3年してからだな。それにしても、ブラマンシュなんてみんな高い魔力を持っているのだから、全員それなりのデバイスを持っているものだと思っていたが」
「もともと魔力が高いだけで、ろくに魔法なんて使いませんのよ。他の世界とは全く違うのですわ」
実際ブラマンシュでデバイスを保有していたのは族長を含めても数人程度だった。それも一族の生活に役立てる仕事をする上で、必要に迫られて所持していたものだ。俺のために貸してもらうわけにもいかない。
「ねぇ、ミント。本当にお金のことは気にしなくてもいいのよ。ブラマンシュにはちゃんと貯えがあるんだから」
それまで黙って聞いていた母さまがそう言ってきた。ここまでずっと拒んできたが、心が揺れる。
「お気持ちは嬉しいのですが、やっぱりそれはブラマンシュの共有財産なのですわ。どうしても他に方法がない時はお借りするかも知れませんが、出来るだけ使わずに済む方法を探してみます」
母さまは多少諦めたように微笑みながら頷いた。
「さて、随分と長居してしまったな。僕はもうそろそろ行かないと。いろいろ話せて楽しかったよ。ありがとう」
にこやかな表情でクロノが立ち上がる。俺も愛想笑いを浮かべながら、随分と爆弾を投下してくれた史上最年少執務官を見送った。心の中で、もう少し空気を読んで欲しいと思っていたことは言うまでもない。
=====
『あぁ、そういうことなら1つSランク向けの高性能デバイスの試作品があるんだが、モニターになってくれるなら料金は要らんぞ』
クロノと話をした日の夜、サリカさんに事情を説明してご両親に連絡して貰ったところ、あっさりとそんな返事が来た。
「本当ですか? 助かりますわ」
『ただ、待機モードの造詣がかなり趣味に走っておる。見た目さえ気にしないならな。後、定期的にデータを提供してもらうことになるぞ』
「それは全く問題ありませんわ。是非、よろしくお願い致します」
『こちらも、ニアSランクのモニターを探すのに苦労しておったし、願ってもない。お互い様ということで、こちらこそよろしく頼むぞ』
全く案ずるより生むが易しとはこのことだろう。母さまとサリカさんによかったね、と声をかけられて本当に嬉しく思った。
エルセアに行くのは退院早々ということにした。未だ見ぬ相棒を想い、俺はデバイスにつける名称を考えていた。
「このミント・ブラマンシュの愛機になるわけですから、名前はやっぱり」
トリックマスター。
これしかないだろう。
最近、プライベートが随分と忙しくなってきました。。
投稿は不定期と言いつつ、何とか毎週土曜日の20時にUP出来てきていましたが、そろそろ本当に不定期になるかもしれません。。
出来る限り土曜日の20時UPを目指しますが、遅れた時も生温かく見守って下さい。。
ちなみに今回は19:55に書きあがりました。。