越年祭には遅れて到着したサリカさんや体調が戻ったリニスも参加して、滞りなく行われた。全員で湖の中に入り、家内安全だの、無病息災だのを祈願して、集落に戻った後、広場にある篝火で身体を温めながら料理を食べて年を越すのだ。
禊を終えたままの恰好でその場に残る人もいるが、大半は一度自宅に戻って温泉に浸かった後、着替えて祭りに参加する。俺達も先程温泉に浸かってきたばかりだった。
「生き返ったわ~湖、冷たかったね」
「冷たいを通り越して痛く感じましたよ…でも上がってみると気持ちのいいものですね」
ちなみにリニスはサリカさんの助言に従って魔力消費の少ない山猫の姿で安静にしていたところ、すぐに体調が戻ったのだそうだ。
「みなさん火があるとはいえ確り拭いておかないと。髪がまだ少し濡れていますわよ。はい、タオルですわ」
「ありがとう、ミント」
サリカさんとリニス、母さまに乾いたタオルを渡すと、篝火を見つめているフェイトとアルフにも声を掛けた。
「フェイトさん、アルフさん、タオル。使います? 」
「うん、ありがとうミント」
「ねーミント、あれももやしちゃうの? 」
アルフの指差すところを見ると、古い家具を分解したものが篝火にくべられていた。
「長い間使用して、もう使えなくなってしまった古い家具は感謝の意も込めて越年祭で燃やすことになっているのですわ」
「ふーん」
「やあ、ミント。フェイトも。ここにいたんだね」
アルフが篝火に視線を戻すと、ユーノの声が聞こえた。
「ゆっ、ユーノさん。お疲れさまでした。Towelですわ」
「あぁ、ありがとう、ミント」
急に動悸が激しくなって、タオルの発音がおかしくなってしまったが、意図はちゃんと通じたようだ。
(全く…恋する乙女じゃあるまいし)
ユーノは案の定、キスのことは覚えていなかった。フェイトも母さまも現場を目撃している筈なのだが、このことに関しては沈黙を守っている。何だか俺だけが意識していることをまざまざと見せつけられているようで、急にやり場のない怒りが湧いてきた。その場を浮遊していたトリックマスターの頭を手刀で叩く。
≪Ouch!≫【痛っ】
「痛みなど感じないでしょうに」
≪I have selected a word, which suit the situation.≫【状況に合った台詞を選んでみました】
八つ当たりをしてしまったバツの悪さを、トリックマスターは冗談めかして言うことで払拭してくれたようだった。俺は心の中でだけトリックマスターにお礼を言うと、フェイトやユーノ達と一緒に用意された料理を取りに向かった。
越年祭の食事は数時間にわたって立食パーティーのような形式で行われる。誰かが音楽を演奏し始めて、それに合わせて歌を歌う人や踊る人たちが現れ始めた。料理が残り少なくなり、大人たちがお酒を飲むようになると、間もなく年が明ける。年が明けたら、祭りは自由解散だ。朝まで飲み続ける人もいるし、早々に帰宅して寝てしまう人もいる。
アルフはベンチの上で完全に寝てしまっているし、隣に座ったフェイトも船を漕いでいた。
「わたくし達は、年が明けたら家に戻りますわね」
「判ったわ。あ、出来たらトリックマスターは置いて行ってくれると嬉しいかな。朝までにはちゃんと戻ってもらうから。大丈夫? 」
「ええ、構いませんわよ」
少しお酒が入ったサリカさんやリニス、母さまにそう伝えるのと殆ど同時に年明けを告げる鐘が鳴り、至る所で「おめでとう」と挨拶が交わされる。
「みなさま、新年おめでとうございます。それではお先に休ませて頂きますわね。さ、フェイトさん、アルフさん、参りましょう」
「う、ん。おめでとう、ミント…」
「おめでとうございます。さぁ、こんなところで寝てしまうと風邪を引きますわよ。家に戻ってお布団に入って下さいませ」
大きな欠伸をしながらフェイトが立ち上がる。じゃぁ僕も、とユーノも立ち上がった。トリックマスターはふよふよと母さま達の方へ飛んで行く。
≪Well, I will stay with them bit more. Have a good night, master.≫【それでは私はもう少しだけこちらに残ります。お休みなさいませ、マスター】
「了解ですわ。お母さま達も、あまり無理して夜更かしなさいませんよう。ではお休みなさいませ」
俺は魔法で左手を強化してアルフを抱えると、空いた右手でフェイトの手を引いて家に戻った。2人共着替えて布団に入ると直ぐに寝息を立て始める。俺自身も自室の布団に入るとあっという間に意識を手放した。
年が明けて新暦63年になっても、俺とフェイトの朝は棒術の練習で始まる。
「これ、だけは、お休みの、間も、やって、おかないと!」
「ええ、身体が、鈍って、しまいますわ、ねっ!」
今朝目が醒めた時には既にトリックマスターは枕元にいたので、母さま達も今は寝ているのだろう。何の話をしたのかは聞いてはいないが、あのタイミングで話すことといえば例のキス事件のこと以外には考えられないので、あえてそこには触れないでいようと思った。
一通りの型を終えてそれぞれデバイスを待機モードに戻すと、アルフがコロンと地面に寝そべった。
「うー、まだねむいよ」
「昨夜が遅かったですしね。今日は特にすることもないから、お昼寝していていも構いませんわよ」
「そうするー」
「でもその前に汗を流そう? このままだと風邪引いちゃうよ」
フェイトがそう言ってアルフを抱き起す。そのまま3人でお風呂場に向かい、早朝から源泉掛け流し露天風呂を満喫した。
「冬の早朝に温泉って気持ちいいよね」
「雪が積もっているとまた格別な景色になるのですが、今シーズンはまだ雪は降っていないようですわね」
冬は気温こそ低くなるブラマンシュではあるが、集落の周辺に高い山が少ないことや、湖が温度調節の役目を担っていたりすることから、年末年始の頃に雪が降ることはあまりない。毎年1月後半から2月前半にかけて数回大雪が降るのだが、その頃は気温もずっと低くなり、湖が全面凍結することもある。
「あの湖が凍っちゃうんだ」
「ええ。そうすると氷の上でテントを張って、ワカサギを釣ったりするのですわ」
「氷の上で? お魚が釣れるの? 」
「氷に小さな丸い穴を開けて、そこから釣り糸を垂らしますのよ」
「面白そうだね」
「ワカサギは特に捌かなくても、そのまま油で揚げてお塩を振って食べるととても美味しいのですわ」
「骨とか内臓も取らないの? 」
「ええ。そのまま丸ごと」
「……」
フェイトは若干引いたようだったが、ワカサギと言えば矢張り天ぷらだろう。肝吸虫などの寄生虫がいない訳ではないが、生食しなければどうということはない。そんな話をしながらゆっくり温まり、温泉を出た。アルフはもう半分以上寝てしまっている。
「ちょっと先に部屋に戻ってアルフを寝かせて来るね」
「判りましたわ」
軽く身体を拭いてバスローブを羽織ったフェイトは自分の髪を手際よく結い上げ、タオルを巻くとアルフを抱えて脱衣所を出た。あの髪の結い方は、以前俺がアルトセイムでフェイトに教えたやり方だ。相変わらず髪を洗う時は目を開けられないようだが、それでも最近は苦手意識は減っている様子だった。
フェイトを見送った後、俺は洗面台の前に座って髪を梳かし、魔力ドライヤーで髪を乾かす。その後服を着ようと身体に巻いたバスタオルを取ったところで脱衣所の入り口の扉が開いた。
「あらフェイトさん、早かったで…す、わ…ね? 」
振り向いた目線の先にいたのはフェイトではなくユーノだった。お互いの動きが止まる。3日前は意識しないでいることが出来たであろう状況なのに、今はどうにも意識してしまって顔が火照る。
「あ…ミ、ミント、ゴメン。ちょっと朝風呂に入ろうと思って…」
まずユーノが再起動して真っ赤な顔で言い訳を始めたことで、俺も漸く言葉が出せるようになった。だが何を言っていいのか判らず頭が真っ白になって、思わず口をついて出た言葉が…
「ユーノさんの…えっち」
破壊力は抜群だった。それはもう、ユーノに対しても、俺自身に対しても。次の瞬間、ユーノは自らの鼻を押さえると、「ゴメン!」と叫んで脱衣所を飛び出していった。
俺はその後の記憶があまりない。後から聞いた話では、フェイトが戻ってきた時洗面台に何度も何度も頭をぶつけながら「男、男、男、男…」と、延々呟いていたのだそうだ。
新年早々そんな出来事があった以外はブラマンシュは全く平和で、あっという間に俺達がクラナガンに戻る日がやってきた。母さまやマーカスさん、ベアトリスさん達に見送られて、次元航行船のゲートに向かう。
「ユーノさんは7番ゲートでしたわね。わたくし達は1番ゲートですから、ここでお別れですわ」
「うん。次に会えるのは4月、入学式の時かな。入試は遠隔地試験を受けるからクラナガンには行かないけれど、お互い頑張ろう。じゃぁミントもフェイトも元気でね」
俺は笑顔でユーノに手を振ることが出来る程度には復活していた。意識していない訳ではないのだが、それを表に出さないでいられる程度には落ち着いている。尤も今後ユーノと一緒にお風呂に入ったりなど、過度のスキンシップをとることは出来ないだろう。ふと「男女7歳にして席を同じゅうせず」という言葉を思い出した。
(もう、今のわたくしは男性とは言えませんわね)
最初のうちは、ミント・ブラマンシュという人格を演じている感覚が強かった。それがだんだんと自然なこととして感じられるようになった。少し前までは、ユーノには悪いが男性と付き合うなんて考えたこともなかったのに、今では恋愛感情の有無はともかく、はっきりと彼を異性として意識している。自分は男性ではないのだということを改めて思い知らされたような気がした。
男性ではないということと、女性であるということは、同じことのようだが実は微妙に差異がある。今の俺は随分と女性のメンタリティに近づいて来てはいるものの、完全に女の子かと言われればまだ違う、中途半端な状態である気がした。
その所為か、未だに女の子然とした行動を取るのは抵抗があった。先日の「えっち」発言については思い出しただけでも意識が飛びそうになる。
「ミント!? ダメだよ!お願いだから、戻ってきて!」
フェイトの声でハッと我に返る。どうやら頭を壁に打ち付けていたようだ。
「すみません、フェイトさん。少しトリップしてしまっていましたわ…」
「本当に大丈夫? 次元航行船に乗ったら少し寝た方がいいよ」
「お気遣いありがとうございます。そうさせてもらいますわね」
この記憶は永久に封印しよう。そう強く思った。
=====
1月はまたエルセアに行ったり、アースラの寄港があったりと色々なイベントがあったのだが、幸い2月の入試を前に勉強の妨げになるようなことはなかった。これは俺やフェイトが以前から対策をしていたこともあるのだが、何よりもリニスの組んでくれた学習スケジュールが見事だったという一言に尽きる。
「2人共、良く頑張りました。もうミッド語と算数については問題ありませんね。あとは面接で尋ねられる魔法観についても常識的な範囲で答えれば問題ない筈です」
「ありがとうございます、リニスさん」
「すごく助かったよ。ありがとう、リニス」
「それにしても期日までに確りモノにするあたり、さすがはあたしのご主人様」
フェイトをご主人様と呼んだのはアルフだ。彼女はここ1か月でまた一段と成長した。身長は既に俺のことはあっさり追い抜き、今やフェイトすら追い抜こうとしている。口調も以前と比べるとがらりと変わってしまった。
ちなみに一人称を「あたし」にしたり、口調が姉御風になっていたりする理由として、本人は「フェイトより背が高くなったら自分がお姉ちゃんになってフェイトを守るんだ」的なことを言っていたが、実はどうやら最近ハマっているテレビドラマの影響らしいことを、こっそりリニスが教えてくれた。
「ミントちゃんもフェイトちゃんも優秀だねぇ。給付奨学金は間違いなしだね」
「まぁ、それを目標に頑張った訳ですから」
「友達たくさん出来るといいね」
「きっと出来ますわ。楽しみですわね」
「そうだ、お友達っていえばユーノ君は遠隔地試験だって? 」
サリカさんが微笑みながら聞いてきた。スクライアの一族はまたどこか別の遺跡で発掘や調査を行っているようで、入試を受けるためだけにクラナガンに来るのは困難なのだそうだ。幸い現在スクライアが滞在している世界は管理世界の一部で、各魔法学院が実施している遠隔地試験の対応都市があるのだとか。
「残念だったね~むしろウチに泊まってくれても良かったのに」
サリカさんには苦笑しながら曖昧に答えた。矢張り入試の前日や当日に、年末年始のようなドタバタが起きるのは避けたかったし、ユーノ本人も試験には集中したいと思うに違いない。まぁ、サリカさんもそれを理解した上で冗談を言っているだけなのだろうが。
「トリックマスター宛に、メール通信が届いていましたわよ。お互い頑張ろうって」
「あ、バルディッシュにも来ていたよ」
「…甘いわね、ユーノ君。ここはトリックマスターのみに入れておくところでしょうに」
「サリカさん? 一応申し上げておきますが、わたくし達まだ初等科入学前ですからね? 」
「ミッドチルダでは普通じゃない? 私が通ったのは魔法学院じゃないけれど、初等科1年の時からラブレターは貰っていたわよ」
「あら、それは是非詳しくお伺いしたいですわね」
「うん、すごく興味あるよ」
「2人共もう遅いのですから、明日にしたら如何です? 私は今からじっくり聞きますけど」
「リニス、ずるい。聞くならみんなで一緒に聞こうよ」
「あたしはパスでいいや。惚れた腫れたは良く判んないし」
試験勉強が一通り終わったという解放感からか、みんなで冗談を言い合う。入試は今週の土曜日で、今日は木曜日。明日は特に勉強はせず、1日リフレッシュして体調を整えるようにリニスに言われている。人事を尽くして天命を待つというところか。
「そう言えば明日から急に気温が下がって、週末にかけて雪の可能性もあるんだってさ。さっき天気予報で言ってたよ」
アルフが不吉なことを言う。
「試験当日に雪は、出来れば遠慮したいですわね」
「でも天気のことはどうしようもないよね…」
「まぁ、試験が終わった後に雪遊びが出来る、くらいに思っておけばいいんじゃない? 」
「『喜んで、庭駆け回る、何とやら』ですわね」
即興で有名な歌を川柳風に仕立て直してみた。
「ミントぉ。知ってるよ。そこには『犬』が入るんだよね? あたしは狼だってば」
「ミントもアルフもじゃれてないで、もうお風呂に入って寝る時間ですよ。フェイトも準備をして下さいね」
リニスがパンパンと手を叩きながら言う。はーい、と声を揃えて返事をした後、俺達はお風呂場に向かった。
翌朝はアルフが言っていた通り、急に寒くなった。
「まずは型で身体を温めようか」
「そうですわね」
「バリアジャケットは使わないのかい? 」
「身体だけでなく精神も鍛えるのですわ。心頭滅却、火もまた涼しですわよ」
「火が涼しいなんてことはないと思うけど」
「例えだよ、アルフ。心から雑念を払うことで寒さや暑さに耐えられるようになるんだ」
ふーん、と口では言っているものの、アルフは良く判っていない様子だった。ブラマンシュでもあまり寒さを感じないようなことを言っていたし、今も薄手の服のままでいるところを見ると、もしかしたらアルフは寒さに強いのかもしれない。
(いえ、違いますわね。元々フェイトさんの魔力を貰って衣類を構成しているのだから、あれ自体がバリアジャケットのようなものなのですわ)
苦笑しながらトリックマスターを錫杖形態にし、同じようにポールウェポン化したバルディッシュにコツンと合わせる。
「じゃぁ、今日もよろしくお願いします」
「ええ。始めましょうか」
「はいよ」
その日は夕方から雪になった。翌日の入試当日は交通機関も麻痺する可能性があったが、幸いクラナガン・セントラル魔法学院はサリカさんの自宅から徒歩10分~15分程度。予定より少し早めに家を出れば問題ないだろう。
「あ、受験生は結構今日のうちに移動するみたいだよ」
アルフと一緒に居間でテレビを見ていたフェイトが言う。魔法学院の入学試験は大体この土曜日に集中しているため、雪が降ることによってダメージを受けるのはクラナガン・セントラル魔法学院の受験生だけではない。また殆どの学院で遠隔地試験を導入していることから試験日の変更も困難なのだ。恐らく今日はこの辺りのホテルは予約で一杯になっていることだろう。
「聖王教会の騎士がSt.ヒルデ魔法学院の周辺を雪かきすることが決まったんだって」
「何だか微笑ましいニュースだねぇ」
「でもある意味災害派遣のようなものですわよ」
「炎の変換資質があれば一気に融かすことも出来るのでしょうけれど」
夕食の後片付けを終えた俺もリニスと一緒にテレビの前に座った。
「サリカさんは大丈夫かな? 」
「夜勤とはいえ、病院の建物内にいる訳ですから問題ないと思いますわよ」
夕方出かける時は降り始めだったので、病院へは問題なく出勤出来ただろう。むしろ明朝帰宅する時の方が大変だ。ただ最悪の場合、病院で仮眠を取るとも言っていたので、サリカさんについては心配ない筈。
≪Master, I have received a device communication call from Yuuno Scrya, code SRY1600**9ZA, individual name "Raising Heart".≫【マスター、ユーノ・スクライアからデバイス通信です。コードSRY1600**9ZA、発信個体名『レイジングハート』】
「繋いで下さいませ。もしもし、ユーノさん? 」
『やあ、ミント。何かそっちは大変みたいだね』
「今フェイトさんとニュースを見ていたところですわ」
「こんばんは、ユーノ」
『フェイトも久し振り。元気そうだね』
クラナガンが大雪になりそうという話は次元世界中でニュースになっているようだった。聞いてみたところ、ユーノ自身もニュースで状況を知り、こちらに連絡してきたのだとか。
「わたくし達は大丈夫ですわ。学院も徒歩圏ですし」
『そっか。良かったよ。でも足元が滑りやすいだろうから明日は気を付けてね。あと2人共、試験頑張って』
「ええ、お互いに」
ユーノだって会場が違うだけで、明日は俺達と同様に試験なのだ。ちょっとした雑談程度で通信を終えたが、もしかしたら彼も思った以上にナーバスになっているのかもしれない。
そう思っていると、今度はバルディッシュ宛に通信が届いた。相手はプレシアさんだったが、話の内容はたった今ユーノと交わしたものと全く同じだったので、俺はフェイトやリニス、アルフと顔を見合わせて笑った。
=====
結論から言えば雪はかなり積もったものの、俺とフェイトはいつも通り朝の棒術練習を終えてから試験会場に向かっても十分に間に合うことができた。矢張り距離が近いというのはとてつもないアドバンテージだ。試験問題も特に手間取るような箇所はなかった。
「で、手ごたえの方はどうでした? 」
「恐らく問題ないと思いますわ。筆記も面接も順調でしたわよ」
「私も大丈夫。問題は全部判ったし」
「さすがフェイト。じゃぁさ、試験も終わったしパーッと庭に出て遊ぼうよ」
「やっぱりアルフさんですわね。改めて例の川柳をプレゼント致しますわ」
「言ったね、ミント。あたしの雪玉をくらわせてあげるよ」
「ふふっ。楽しそうだね。じゃぁみんなでやろうか。リニスもどう? 」
「久し振りにはめを外すのも良いかもしれませんね。やりましょう。でもサリカが夜勤明けで寝ていますから、あまり騒ぎすぎないように」
「「「はーい」」」
こうしてフェイト&アルフのチーム対、リニス&俺のチームで雪合戦をすることになったのだが。
「あーっ、ミント!それ何だい!」
「プロテクションですわ」
「雪合戦は魔法禁止ー!」
「バリアジャケットを構築している時点で魔法ありですわよ。バリアジャケットだってフィールド系の防御魔法ではありませんか」
「ううっ、それならこっちだって~プロテクションはバリア系の魔法だから、生成プログラムに割り込みをかけて…これでどうだいっ!」
俺が構築したプロテクションにひびが入り、砕ける。アルフがバリアブレイクをモノにした瞬間だった。
「やりますわね。ならこちらも!プロテクション8枚掛けですわ。トリックマスター!」
≪”Protection”≫【プロテクション】
「ミント…やりすぎだよ」
試験を終えた解放感からか随分テンションが上がっていたようで、フェイトやリニスに苦笑されながら、本当に子供のようにはしゃぎ回った。結局辺りが暗くなって、サリカさんが起きてくるまでずっと全員で雪遊びをしていて、サリカさんには随分と呆れられてしまったのだが。
ちなみに入学試験の結果は、ケアレスミスをした俺とフェイトが同点で次席。主席入学は満点を取得したユーノだった。
毎度の言い訳になりますが、本当は今回越年祭は飛び越して入試から入学式までを書こうと思っていたんです。。
でも気付いたら何故か越年祭の描写をしていました。。
まぁ、何にしてもようやく入学出来そうです。。