フェイト「どうしたの? ミント」
ミント「このお話しでは、バリアジャケットはデバイスに展開させるものであるっていう設定があるのですが」
フェイト「そうだね。私もバルディッシュに展開して貰っているよ」
ミント「前回、わたくし達6人が全員バリアジャケットを展開していましたの! 」
フェイト「あ…エステル達も!? 」
リニス「大丈夫ですよ、2人共落ち着いて下さい」
フェイト「あ、リニス」
ミント「大丈夫って、どういうことですの? 」
リニス「本編では描写されていませんでしたが、実は私が貴女達のお友達である3人に、簡易デバイスを作ってあげていたのですよ」
フェイト「そうだったんだ。ミスじゃなくて良かったね、ミント」
ミント「…読者の方から偶々ツッコミが入らなかっただけで、描写がないこと自体が十分ミスに相当しますわよ」
リニス「今回、本編でリカバリーして貰えると助かります」
ミント「厄介ですが…承りましたわ」
フェイト「では本編をどうぞ」
新年度になり、飛び級試験に合格した俺達は晴れて初等科5年生に編入されることになった。例の桜は今年も満開だ。掲示板に張り出されたクラス割のF組に、俺達全員の名前があった。
「良かったですわね。今度は全員同じクラスですわよ」
「っていうか、飛び級した人がみんな一つクラスに纏められている気がするよ」
ユーノに言われて改めてクラス割を見直すと、確かに1年生の時に見知った名前がちらほら混ざっていた。1年生の時は1クラス20人程度だったのだが、5年生のクラスはそれよりも若干人数が増えている。進級組も混ざっているのかと思っていたが、ユーノはそれを否定した。
「たぶん、4年から進級してくる人はこのクラスにはいないよ。全員1年、2年、3年からの飛び級組じゃないかな」
「えっ、そうなの? 」
フェイトもそれを聞いて辺りを見回していた。
「推測だけど、進級組と飛び級組でクラス内に派閥が出来ちまうのを回避するためだと思うぜ」
「クラス毎で温度差があるようになるのも、どうかと思うけれど」
「対抗心だったら良いんだろうさ。来月には魔法競技大会があるからな。別にクラス対抗っていう訳じゃぁないが、同じクラスでチーム組んだ生徒が勝ち進んだら応援したくなるってもんだろ? 」
「で、その翌月の修学旅行で更に親睦を深めるっていうことよね」
「更にその翌月にはインターミドルの地区予選が始まるわよ。尤も私たちは年齢制限で出場できないけれど」
何ともイベント目白押しの3か月間だ。1年生の時は参加出来ず、見学するだけだった魔法競技大会も今年からは参加出来ることになっている。チームは任意で組んで良いらしいので、当然のように俺達はいつもの6人で大会に参加することを飛び級する前から決めていた。
「取り敢えず今は教室に参りましょう。そろそろ予鈴がなる時間ですし、初日から遅刻では格好もつきませんわ」
そう言ってふとユーノの方を見ると何やら感じ入ってしまった様子で涙を流していた。
「ユ…ユーノさん…? 」
「あ、放っておいていいぜ。こいつミント姫と一緒のクラスになれて感激しているだけだから」
「な…! そう言うマリユースだって、コレット姫と一緒で嬉しいくせに! 」
「おまっ! そんな大声で言うなよ恥ずかしい! 」
言い合いを始めた2人を余所に、エステルとフェイトがそれぞれコレットと俺の背を押してその場を離れた。
「…あれは他人。だよね? 」
「…承知しましたわ」
教室に入り、指定された席に着くと予鈴が鳴った。ユーノとマリユースが慌てて教室に入ってくる。
「ひどいよ、置いていくなんて」
「自業自得ですわね」
息を切らせながら苦情を言うユーノに笑顔のままそう答えると、ユーノはパタリと机に突っ伏した。ただ表情は緩んでいるので放置しておいても大丈夫だろう。
「そう言えばF組の担任はミナモ先生だったよな」
「良い先生ですわよ。優しいですし」
1年の時にB組を受け持ってくれた先生が、今年は5年を受け持ってくれることになったのだ。B組出身の俺達としては馴染みがあるし、生徒にも好かれる先生だったので問題はない。
「イノリ先生も楽しい先生だったよ。最初の頃は遅刻が多くて困ったけれど」
ユーノが苦笑しながら言う。去年1年A組の担任だったイノリ先生が遅刻常習犯だったという話は以前にも聞いていた。寝坊しての遅刻など日常茶飯事で、都度使い魔のオウムだけが先に飛んできては別段ありがたくもない『ありがたいお話』をしてくれるのだとか。2学期の中盤頃から随分と遅刻が減ったのだそうだが、実はミナモ先生が毎朝迎えに行っていたらしい。
「そういえばイノリ先生は今年どこのクラスを受け持っているの? 」
「確か3年生のクラスだったと思うよ」
そんな話をしていると本鈴が鳴り、ミナモ先生が教室に入ってきた。みんなが慌ただしく自席に戻る。
「本鈴が鳴った時には席についていないとダメですよ。今日は大目に見ますけれど」
にっこり微笑むミナモ先生に、全員で「はーい」と返事をした。先生から簡単に注意事項や連絡事項の説明を受けた後、俺達は講堂で始業式に参加した。
始業式が終わって教室に戻り、各々の自己紹介なども終えると、ミナモ先生が1枚のプリントを配った。
「今配ったプリントは、来月に実施される全校魔法競技大会の概要です。みなさんもご存じの通り、この大会はDSAAのインターミドルと違って年齢制限がありませんので、5年生であるみなさんは全員参加資格があります」
先生がそう言った途端、教室内に歓声が上がる。
「静かにー! この中には出場経験者もいることと思いますが、飛び級で1年生や2年生から上がってきた場合、不安に思うこともあるかもしれません。勿論参加は強制ではないので、不安に思う場合は応援の方に回ってもいいですからね」
ミナモ先生はそう言うが、折角魔法学院に入って魔法を使う機会に恵まれて、応援するだけなどあり得ないと思う。飛び級した生徒だって実技試験をパスしたからこそここにいるのであって、不安に思うことなどないだろう。実際、周りはみんなやる気満々といった雰囲気だった。
取り敢えず大会の概要はプリントを読むように伝えられ、初日は解散となった。帰り支度をする前にざっとプリントに目を通すと、大会の大まかなルールが記載されていた。フェイトが横から手元を覗き込んでくる。
「6人で1チーム、陸戦試合陣形なのは例年通りだね。これなら練習通りに出来そう」
「安全のためClass3以上のデバイス所持を必須とする、だって。この子ってClass3以上かな? 」
コレットとエステルも俺の手元を覗き込みながら、待機状態のデバイスを撫でる。
「一応ちゃんとClass3の条件を満たしていると聞いていますわよ」
去年、リニスがアルフ用にと腕輪型のデバイスを作成したのだが、その時にテストとして使用したコアと、元々アルトセイムの庭園で倉庫に眠らせていたコアを使ってコレット、エステル、マリユース用の簡易ストレージ・デバイスも一緒に作成してくれたのだ。
リニスは余剰部品で作成したと言っていたが、強度や処理速度も通常のストレージ・デバイスと遜色ない、Class3レベルになっているらしい。フェイトや俺の友人であるという理由での大盤振舞いだったため、他のクラスメートのことも考慮して出所は秘密にしているのだが、飛び級試験を受ける際に学院からの貸し出しデバイスではなく自前のものを使う生徒が多いので、特に気にされたりはしていない様子だ。
「リニスさんには改めてお礼をしないとね」
「まぁそれは良いとして…どうしてみなさん1枚のプリントを覗き込んでいますの? 」
「自分のプリントは仕舞っちゃったし、何となくかな? 」
苦笑しながら、引き続き俺の手元を覗き込もうとするみんなによく見えるよう、机の上にプリントを置いた。
「基本的なレギュレーションは例年通りで変更は特にないみたいだね」
「やるからには当然、優勝を目指すんだよな」
今度はユーノとマリユースまでやってきた。さすがに全員で一つの机を囲むのは窮屈だったので、食堂に移動して話を続けることにした。
「チーム編成メンバーがクラスや学年に限定されないってことは、本当に自由に組んで良いんだね」
「さすがに先生や学院と関係のない人はダメだけどな」
当然使い魔の投入も禁止されているが、ゴーレムやアルケミック・チェーンなどの無機物をその場で召喚し、魔力を使って動かすことは認められているようだ。
「あ、一応滞空時間制限があるみたいだよ」
「空戦適性がない人も多いから。さすがに制限しないと圧倒的になっちゃうわよ」
「陸戦の人でも使える対空攻撃だってあると思うのですが」
「こればっかりは仕方ないよ、ミント。出場者には建前上、今年初めて魔法を習い始めたっていう子もいるんだし」
「いや、それオレ達も当てはまるんじゃね? 」
「あくまでも建前上ですわ。魔法が好きで魔法学院に入るような人達ですから、自習しないなんてあり得ませんわよ」
雑談をしながら大会レギュレーションの再確認をしていく。教室でユーノが言っていた通り、概ね変更点などはない様子だった。それぞれのライフポイントはDSAA公式試合で使用されるものと同じタグで管理され、ライフが100を切った人は行動不能になる。そして0になると戦闘不能でリタイアだ。
試合はどちらかのチームメンバーが全員行動不能になるか、試合開始後30分が経過した時点で終了となる。タイムアップの場合はチームメンバー全員のライフポイント合計値を比較して、より多い方が勝利することになるのだ。
ちなみに飛行魔法を行使して30秒が経過すると、その後10秒毎にライフが1ポイントずつ減っていくというペナルティが課せられる。このペナルティは飛行魔法を解除して30秒が経過するとリセットされるが、連続して飛行することが出来ないため、飛行魔法は緊急回避的な意味でしか使えないだろう。
「クラッシュ・エミュレートがあるから、ライフが100を切ると本当に動けなくなるんだ。誰かが助けに行かないと回復も出来なくなるから注意が必要だよ」
「ユーノ、クラッシュ・エミュレートって何?」
「タグで管理されるダメージとは別に発生する身体ダメージを再現するシステムさ。脳震盪を起こしたり、骨折したりっていう事態は大会中に発生することはないけれど、それと同等の『重度の負傷をした』と判定された時に痛みや動作制限として疑似的に再現されるんだ」
「非殺傷設定の魔法戦闘なのに、なんでそんなシステムが必要なのかしらね」
エステルが溜息交じりに言うが、実は魔法における非殺傷設定というのはかなり曖昧なのだ。例えば俺がフライヤーでユーノを攻撃したとする。当然非殺傷設定が有効になっているため、攻撃そのものは魔力ダメージとしてユーノの魔力を削るが、肉体的に怪我をしたりすることはない。
だが非殺傷設定の魔法であっても、無機物に対しては物理ダメージを与えるのだ。前述の例で言えば、俺のフライヤーが発射した直射砲をユーノが回避して、そのまま後ろの壁に当たったとする。そうすると壁にはちゃんと穴が開くだろうし、場合によっては崩れてしまうだろう。
ではもしユーノが、その崩れた壁の下敷きになったとしたらどうだろう。これは魔法ダメージではなく、純粋な物理ダメージである。下手をすれば骨折などのダメージを受けることになるし、場合によっては命の危険すらある。
だからこそバリアジャケットは魔法、物理の両ダメージを防ぐように出来ているし、バリアジャケットが構築できるようなデバイスが無ければ魔法の練習など出来ないのだ。
話を元に戻すと、クラッシュ・エミュレートとは結局そうした物理ダメージを受けると想定される場面で、「バリアジャケットが無かった場合を想定した」ダメージを疑似的に再現するものなのだ。
(…ですが正直なところ、あんな痛みは二度と味わいたくないものですわね)
両腕を杖で殴られた時のことを思い出してしまった。あの痛みを疑似的に再現するなど、随分と悪趣味なシステムを構築したものだと思う。
「ミント、大丈夫? 何だか気分悪そうだけど」
「大丈夫ですわ、フェイトさん。少し嫌なことを思い出していただけです」
改めて考えてみれば普通に物理ダメージを負ってもおかしくない場面で、それを疑似ダメージに完全変換出来るのだから、魔法というのはつくづく便利なものである。
=====
リニスやアルフにも協力して貰い、俺達は何度もチーム戦の練習をして大会初日を迎えた。
魔法競技大会はあくまでもクラナガン・セントラル魔法学院内で行われるものであり、予選は無い。事前にエントリーしているチームでブロック分けされた一次トーナメントを戦い、それぞれのブロック勝者で二次トーナメントが組まれる。こうして数日に亘って試合が行われるのだ。
ちなみに1年生と2年生は参加せず応援のみなので、実際に大会に出場するのは3年生から5年生までの生徒約400人である。今年は6人1組のチームが64出来上がり、一次トーナメントはそれぞれ8チーム8ブロックで行われることになった。
「わたくし達のブロックはGですわね」
「第3試合で最初の相手は5年生か。B組とC組の混合チームだ。進級組だからオレ達よりも年上だな」
「年上相手で注意すべきなのはやっぱりフィジカルパワーと魔力量よね」
俺達くらいの年齢だと、基本的には歳を重ねる毎に筋力も魔力量も増えていく。飛び級で5年に進級することが決まった時、本来なら3年生で実施する筈だった公式魔力量測定も併せて実施したのだが、あいにくと俺達の魔力量は6人共、入学前に魔導師登録をした時の魔力量から変化はなかったのだ。
「でも相手が必ずしも僕達よりも魔力量が多いとは限らないよ。むしろ僕達の魔力量を超えるようなチームの方が少ないんじゃないかな」
「そうだね。特にミントなんかはS-だし」
「魔力量でブラマンシュ一族の右にでるような人は早々いないと思うよ。そう言うフェイトだってAAAだよね? 僕達の年齢からしたら破格だよ」
ちなみにユーノとコレットの魔力量がA、マリユースがA-で、エステルはA+だった。
「確かに魔力量がCやBという方もいらっしゃる中で、このチームはトップクラスと言っても差し支えありませんわね」
「だからと言って油断は禁物だよ、ミント。進級組なら間違いなく場数は踏んでいる筈だし、物理的な打撃力は確実に相手の方が上だから」
「身体強化が鍵ですわね」
「なに、オレ達だってリニスさん達に扱かれて来たんだ。油断じゃなくて自信なら持って良いだろ? 」
「あ、そう言えばリニスもアルフも、今日は見学に来るって。みんなの勇姿を楽しみにしてるって言っていたよ」
魔法競技大会は生徒の家族達も見学に来ることが多く、さながら体育祭のような雰囲気だ。サリカさんとリニス、アルフはフェイトが言ったように見学に来ているのだが、可愛そうなプレシアさんは今回もまた寄港のタイミングが合わずに参加出来なかった。
グループH、第3試合のアナウンスが流れた。俺達のチームの初陣である。
「じゃぁ、行こうか」
「うん。頑張ろうね」
声を掛け合い、試合会場に向かうと、観客の中にサリカさん達を見つけた。「頑張ってねー」と声をかけてくるサリカさん、リニス、アルフに手を振って応える。それまでは少しだけ緊張していたのだが、手を振った瞬間、緊張が解れたような気がした。
会場でデバイスをセットアップすると、先生がライフポイント管理用タグを付与する。ライフポイントはポジションによって決められており、フロントアタッカーが3000、ウイングガードが2800、センターガードが2500、フルバックが2200となっている。インターミドルの個人戦と比較すると5分の1程度のポイント設定だ。
中にはウイングガードの代わりにウイングバックというポジションを導入するチームもあるが、これは中後衛に当たる。どちらかというと防御重視のチームに多いポジションで、ライフポイントはセンターガードと同じ2500だ。
初戦の相手は俺達と同じオーソドックスな2-2-1陣形だった。
「よろしくお願いします」
お互いに挨拶をすると、それぞれのポジションにつく。
<ここから先の作戦的な会話は全部念話でするよ。相手の陣形は僕達と同じだから同じポジション同士での1on1が発生しやすくなる。魔力はともかく打撃力は相手の方が上だから注意して>
<事前にオートガードも設定していますわ。身体強化も掛けましたし、ユーノさんとエステルさんのブーストもあります。準備万全ですわよ>
フェイトも頷いてバルディッシュを軽く回すと、ベルカ棒術の構えを取った。俺も錫杖形態のトリックマスターによろしく、と声をかける。
<≪Let us do our best, master.≫>【頑張りましょう】
試合開始のブザーが鳴るのと同時に、フロントアタッカー同士が交戦に入った。可視化されたタグがそれぞれのライフポイントとダメージを表示する。意外とこちらが押している感じだった。
<ミント、コレット、相手のウイングガードが回り込んでくる。足止めを>
<オッケ~>
<了解しましたわ>
フライヤーを3基生成して相手ガードウイングの男子を牽制する。コレットも誘導弾を上手く使って敵の足止めをしていた。相手のセンターガードはまだ動いていないが、ユーノと同じように防御に特化しているのかもしれない。
相手のガードウイングが射撃魔法を撃ってきた。アクティブ・プロテクションでそれらを弾きながら、展開したフライヤーからこちらも直射弾を撃ち込む。相手の反応速度はそこそこだったが、さすがに至近距離からの連続射撃を躱しきれなかったようでタグのライフポイントが大きく削れた。
チャンスかと思ったのだが、次の瞬間、相手は錫杖形態だったデバイスをナックルのような形に変えてこちらに突っ込んできた。
<近接もこなすのか! ミント、気をつけて>
<大丈夫ですわっ>
こちとらクリスティーナさん直伝の棒術がある。相手は5年生の男子で体格には圧倒的な差があったが、トリックマスターを上手く回して攻撃を往なし、再び距離を取った。その時、左肩に鈍い痛みが走る。相手の射撃魔法をオートガードが受け止めていた。
<助かりますわ>
<≪Pleasure. Mind the attack.≫>【どういたしまして。敵の攻撃に注意して下さい】
防御しているため個々の被ダメージは大きくないが、先程からの累積で800近いライフを持って行かれている。さっきフライヤーで与えたダメージは1000程度なので、まだこちらが優勢だろう。
(ですが、僅差ですわね。悠長には構えられませんわ)
試合開始から然程時間は経っていないが、フロントアタッカー同士の戦いはそれこそライフポイントの削り合いになっていた。機動力の高いフェイトは辛うじて持ちこたえているものの、マリユースの方はそろそろ回復しておいた方が良いレベルのダメージを受けていた。勿論それは相手も同じなのだが、先に数の均衡を崩すのは不味い。
<ここはわたくしが決めておくべきですわね。チェーン・バインド! >
正面のガードウイングをバインドで拘束する。
「申し訳ありませんが、終わりにさせて頂きますわ」
敢えて声に出してそう宣言すると、フライヤーの射撃を叩き込んだ。相手のライフポイントが一気に減少する。
<≪Caution! Their Center Guard is preparing Buster magic.≫>【警告。敵センターガードが砲撃魔法を準備中】
はっとしてセンターガードの方を見た瞬間、白い光が辺りを覆った。
<高機動飛翔! >
<≪”Maneuverable Soar”≫>【『マニューバラブル・ソアー』】
間一髪のところで相手の砲撃を回避した。ウイングガードの男子は残りライフポイント30。リタイア目前の行動不能状態なので、とりあえず目標を切り替える。
<ミント、滞空時間制限に注意して。マリユースとスイッチ、行ける? >
<任せて下さいませ。マリユースさん、スイッチですわ>
マリユースのすぐ後ろに着地すると、立ち位置を入れ替えてトリックマスターを構えた。
<すまないな。すぐ戻るからそれまで持ちこたえてくれ>
<あら、別に倒してしまっても構わないのでしょう? >
<ミント、それ死亡フラグ! >
クスリと笑いながら敵フロントアタッカーの攻撃をベルカ式棒術で往なす。
「女の子だからって、甘く見ていると痛い目を見ますわよ! 」
そう強がって言ってはみたものの、フロントアタッカーの攻撃はさすがに重く、じわりじわりとライフポイントが削られていく。乱戦状態なのでフライヤーによる射撃も困難だ。
<ミント、大丈夫? >
<大丈夫、とは言い難いですわね>
フェイトからの念話に少しだけ弱音を吐くと、エンゲージ離脱を試みる。距離さえ取れればバインドなり射撃なりで攻撃が可能だからだ。ただ相手もそれは考慮している様子で、執拗に食い下がってきた。飛行魔法は一度見せてしまっているので、恐らく飛び立った瞬間、センターガードからの集中砲火を浴びるだろう。
<ミント、厳しかったら空中に逃げて。センターガードの攻撃は僕が何とかするから>
ユーノから念話が届いた。フェイトはきっちりもう一人のフロントアタッカーを押さえてくれている。コレットの相手はどうやら射撃が得意なようで、お互い射撃戦に入っていた。エステルの回復魔法でマリユースは間もなく戦線復帰可能だろう。
<判りましたわ。よろしくお願いしますわね>
トリックマスターがマニューバラブル・ソアーを起動し、俺が空中に逃れると同時に敵センターガードから射撃魔法が飛んできた。だがそれらは悉く緑色の障壁によって阻まれる。
<ユーノさん、ありがとうございます>
漸く体勢を立て直した俺は先程まで対峙していたフロントアタッカーをバインドで拘束した。
<≪Caution. The Center Guard will shoot Buster magic again.≫>【警告。センターガードがもう一度砲撃を撃つ様子です】
<大丈夫ですわ。トリックマスター、パルセーション・バスター! >
<≪Sure. “Pulsation Buster”.≫>【了解。『パルセーション・バスター』】
今度は相手の砲撃を予測していたので、こちらも対応準備は出来ている。俺が撃った空色の砲撃は空間歪曲で相手の砲撃を捻じ曲げ、そのままセンターガードを飲み込んだ。
結局相手のフロントアタッカーは、バインドで拘束された人も含めてフェイトが1人で倒すことに成功。苦戦していたコレットのところには回復したマリユースがサポートに入って無事勝利を収めた。その時点で相手のフルバックが降伏を宣言。俺達の初陣はいくらかダメージは貰ったものの、ほぼ完封と言っていい勝利だった。
改めて、一人称での戦闘描写って難しいな、と思いました。。
もっと沢山いろんな人の作品を読んで、戦闘描写の技量を上げていかないと。。このままでは第3部で行き詰ってしまいそうです。。
もうすぐお気に入り登録数500になろうとしているのに(ありがとうございます!)、このままではダメですね。。引き続き精進しますので、見捨てないで頂けると嬉しいです。。
>倒してしまっても
シリアスな場面ならすごくかっこいいセリフなのに、二次創作で使うと死亡フラグになってしまうのはお約束ですね。。