あなたがいるから、わたしがいるから 作:鎌寺正一@D-Alderz/神咲ハルカ
こんな小説に需要なんてほとんどないでしょうけど・・・。
それと、独自解釈独自設定が目立ちます。
それが嫌な方は今すぐブラウザバックを。
気分を害されても私は一切の責任を持ちません。
それでもという方はどうぞ、下へスクロールしてください。
なお、気分を害されたからと言って批判は受け付けませんのであしからず。
もう一度言いますが責任を持ちません。
自己責任でお願い申し上げます。
「・・・ヒヨリ・・・」
僕は夜の公園でブランコに乗っていた。
大都市に来て3日。
初日は僕の憧れの子、ヒヨリの荷物持ちとしてあちこち回っていた。
電車に詰め込まれたり、ヒヨリとの会話中に車の煙で噎せたり。
ケータイ電話をヒヨリが見に行くって言ってくれた時はものすごく喜んだ。
でも、そんな幸せは直ぐに壊されちゃったんだ・・・。
僕と彼女を、1台のトラックが轢いたんだ。
咄嗟に彼女を庇おうとしたけど、さすがに間に合わなかった。
共々もんどり打って痛みを感じた次の瞬間・・・
ベッドで寝ていたんだ。
今のは、夢なのか・・・
随分嫌な夢だ。
そう思いながらその夢を忘れて、
「ゴメンっ、ヒヨリ!」
「遅い。何やってたのよ・・・」
呆れためで僕を見るヒヨリ。
萎縮しながら謝ると許してくれたのか、
「・・・ま、今日はせいぜい宜しくね、荷物持ちさん」
と、振り返ることなく都市を進んでいった。
少し歩くと公園と黒猫が見えた。
「・・・猫・・・」
ヒヨリはその猫を抱えると、公園のベンチへ腰をかけた。
僕もその隣に座る。
「・・・暑いね・・・」
「まぁ、夏だしね・・・暑いものよ・・・」
僕ら2人は汗をかきながら会話する。
今思えばなんで店に入らなかったんだろ、僕達。
「でも、僕は夏が好きだよ」
「私は・・・嫌いかな・・・」
その時のヒヨリの表情は僕には読めなかった。
けど、今ならわかる。
きっと絶望してたんだ。
「・・・あっ・・・」
黒猫がヒヨリの膝から飛び出し、公園を出ていく。
ヒヨリはその後を追って駆けだしていく。
それを見た僕は猛烈に嫌な感じがして慌てて走り出した。
嫌な予感ってほんとに当たるんだね。
猫と彼女が向かう先には赤信号。
猫に至っては飛び出ている。
「ダメだっ!ヒヨリっ!?」
僕が手を伸ばして叫ぶ。
でも、僕の声が届く前に・・・
「・・・ーーーー・・・(ノイズ音)」
彼女は・・・
「ヒヨリ・・・っ・・・!?」
赤信号に・・・
「・・・かふっ・・・」
飛び込んでしまった。
「ヒヨリぃぃぃっ!!」
目の前が鮮血で染まり、宙を舞う彼女の体が彼女の香りと鮮血の匂いを振り撒く。
その匂いは混ざり合い、なんとも言えない不快な匂いに変貌し、僕は思わずむせ返った。
「ぐっ・・・ヒヨリ・・・ヒヨリっ!」
轢いたトラックはどこかへ行き、道路に倒れてる彼女を僕は抱えた。
「・・・ヒビヤ・・・よかった・・・」
弱々しく微笑む彼女は、すぐに目を瞑って醒めない眠りに着いてしまった。
「嘘だ・・・これは・・・夢なんだ・・・じゃなきゃ・・・彼女が死んでいいわけが・・・」
「残念だが、これは現実だよ、雨宮響也。嘘じゃぁ、ないよ」
「っ!?」
抱えて涙を流していると、突然目の前から声が聞こえた。
咄嗟に顔を向けるとそこには揺らめくような僕もおなじ体の人物が、嫌に顔を歪めながらこっちを見ていた。
「・・・お前は・・・」
「彼女の命を奪いに来た死神って所かな。まぁいいや、なんでも。こっちはやることはやったし、彼女の願いも叶えた。俺にはやることは無いな」
意味のわからないことを言うそいつに問いただそうと睨みつけた。
「待っ、待てっ!!うぐっ・・・頭がぁッ・・・!?」
途端、頭が割れるような痛みに襲われた。
目の前が歪み、そいつの顔も見れなくなった。
セミの音と炎天下の青空が混じり合い・・・
「はっ・・・はぁっ・・・はぁっ・・・はぁっ・・・!!」
気がつけばまたベッドで寝ていたんだ。
ベッドと寝巻きは汗でぐっしょり。
息も荒い。
でも、
思い出せないんだ。
そんなこんな考えているうちに。
気がつけば
「でもまぁ・・・夏は・・・嫌いかな・・・」
あの公園にいた。
僕はすぐに行動に移った。
彼女の腕をつかみ、公園を強引に飛び出る。
「なっ、何すんのよ!」
後ろで彼女が怒って話しかけて来るけど、それすらお構い無し、彼女を生かす方法だけを考えていた。
そして、公園を出て歩道を歩いていたその時。
突風が吹いた。
少し強かったから立ち止まって顔を腕で覆ったんだ。
そしたら・・・
「ヒヨリ?」
突然彼女が走り出して、目の前にとび出ていく。
そのすぐあと・・・
轟音と共に鮮血が舞った紅い華が咲いた。
先程までの轟音はなりを潜め、風鈴の音と遠くから聞こえる蝉の声が、公園脇の並木の隙間を埋めてから回っていく。
「ヒヨリぃぃぃっ!!」
沢山の鉄骨に串刺しにされた彼女は、貫かれた体から紅い華を綺麗に咲かせた。咲かせてしまった。
僕は、目の前の光景が信じられなくて。
「・・・そうか・・・これは・・・夢なんだ・・・」
伸ばした手をだらし無く落とし、ふと顔を上げるとそこには紅い僕が。
『夢じゃないぞ?』
紅い僕は嗤いながらそう言った。
そいつの笑い顔になんにも考えられなくなったのか遠のく意識。
その閉じてく視界に捉えた君の横顔はどこか・・・笑っているような気がしたんだ。
8月15日。
決まって、夢を見る。
彼女が死ぬ夢を。
でもこんなに繰り返すのなら。
本当の答えは一つだけなんだよ。
そうと分かれば。
僕は。
目の前に彼女がいる。
信号は赤。
視界右端にトラック。
手を伸ばせば届く。
「ヒヨリっ!」
「っ!?」
届いた手を掴んで引き戻す。
すれ違いざま、僕は体を反転させる。
彼女を引き戻した時、僕の体は道路に飛び込んだ。
後ろに飛ばされた彼女は、今にも泣きそうな顔で僕を見ていた。
そして・・・
紅が咲く。
狂い咲く。
「ざまぁ・・・みろよ・・・」
「ヒビヤぁぁぁっ!!」
8月15日。
「・・・また、ダメだったよ・・・」
少女はベッドで猫を抱き抱え泣いていた。
8月18日。
「・・・必ず、助けるんだ・・・」
少年は、月に向かって叫んでいた。
「・・・やってやるさ・・・っ!」
悪夢が終わるその時まで。