TS転生して最強の装者になって死ぬだけの話   作:青川トーン

7 / 7
めっちゃ希望が多かったのでちょっとしたエピローグを


ありえる、かもしれないエピローグ

 私の記憶に刻まれるのは命の輝き、何度吹き飛ばされても立ち上がる歌の戦士。

 

 当時、あの会場にいた者達の記憶には彼女の姿が消えずに残っているだろう。

 

 

 雷電刹那、ツヴァイウィングの妹分としてデビューして初の晴れ舞台でノイズと戦い、観客を誰一人として死なせなかった歌姫。

 対特異災害用特殊武装「シンフォギア」の発表がされた後も他の装者同様にその素性は政府によって秘匿され、生死すら発表されず、謎のままとなっている。

 

 多くのゴシップ記者にはじまり、あらゆる者達がその足取りを追ったが、決してその行方も、過去をも掴む事が出来なかった。

 しかし、事件から2年。

 

 当時のシンフォギア開発者がライブ会場での事件の首謀者であり、既に死亡した事と、それを事前に察知し阻止したのが「彼女」である事が発表される。

 

 相変わらずその行方こそ明かされなかったが、当時の関係者達は改めて彼女に感謝の意を表した。

 

 

 

 

 そして私達は今、「名も無き彼女」の墓前に花を添えている。

 

「なぁ、刹那。アタシは今度もちゃんと世界を守れたよ、それに大勢守れた、まだアンタが救った数には勝ててないかもしれないけどな」

 

 数ヶ月前、私はある事件に巻き込まれた上で装者となった。

 

 「アガートラーム」の修復で余剰となって研究の為に運搬されていた「ガングニール」を狙ったテロ事件、そこで逃げ遅れてパニックになっていた人達を避難させていた私は偶然にも、いや、もしかしたら必然だったのかもしれない。

 ノイズに囲まれた私の目の前に降って来たガングニールを手にし、装者となった。

 

 それからは目まぐるしく世界が変わっていく、親友を巻き込むまいと遠ざけて喧嘩をし、装者となった事を知られ、一緒に戦うと言って聞かず、その上で「神獣鏡」に適合して。

 

 日々、世界に現れるノイズと戦う日々が続くと思っていた矢先に錬金術師という新たな敵が現れ、世界の危機に立ち向かい。

 

 気がつけば、こんな所まで来ていた。

 

 でもいつだって、戦う私の心の片隅には彼女の姿があった。

 

「刹那さん、こうして貴女の墓参りにくるのは初めてですね、私は立花響。あの日、貴女に救われた人の一人です」

 

 

 彼女はあの日、自分の命と引き換えに大勢を救った、いやあの日より前から多くの人を救っていた。

 

「あなたの書いた手紙も読みました「大きな困難にぶつかっても簡単に自分を犠牲にするのではなく、自分の力で足りないならば多くの人と手をとりあって戦う事を選べ」という言葉のおかげで私も大切な事を知れました」

 

 自分を犠牲にして多くを救った人の遺した覚書には何度も「手を取り合え、それこそが答えだ」と書かれていました、それは自分が出来なかった事を、彼女自身の弱さとそれを埋め合わせる様な覚悟が感じられました。

 

 

 今となっては言葉を聞く事も、彼女が歌う予定だった多くの歌も知る事はできない。

 

 ただ覚悟と共に生きた彼女の事を私も忘れない様にしていきたい。

 

 

 

 

-------------------------------------------------------------------------------

 

 

 こうして戦い続けていると命の危機に陥る事が多々ある、けれどその度に、アイツが「まだだ」と言う。

 

『信じて、貴女の力、ガングニールを』

 

 神の力に対抗する為には強力な哲学兵装「神殺し」の力を持つものが必要だという、そしてそれが「ガングニール」に宿るという事も。

 

「アタシが生き残ったのは、この為だったのかもしれないな……」

 

『違う、貴女が生き残ったのは、貴女が生きるのを諦めなかったから』

 

「そうか?アンタが生かしてくれたからじゃないのか?」

 

 アイツが笑う。

 

『私は好きにしただけ、生きたいと思う気持ちは貴女だけのモノ、だから「まだだ」よ』

 

「……そうだな」

 

 光と共に意識が浮上する、アイツはアタシを笑顔で見送る。

 

「まだ、アタシは生きるのを諦めないよ」

 

 アダムとかいう奴の「神の力」をアタシと、響のガングニールが共鳴して打ち砕いている。

 

「何だ!その力はッッ!」

 

「奏さん!」

「おう、一瞬落ちてたけど問題ねぇ!」

 

 今の一撃は全力でアタシ達を消し飛ばそうとした一撃だったらしいが、アタシ達の「絆」の前では無力だったようだ。

 

「手を繋げ、絶唱(うた)うぞ!」

 

 アイツが遺した「手を繋ぐ事」そして「共に歌う事」が繋がって生まれた新しい力。

 

 完全な共鳴を起こせるのは一瞬だけ、つまりは「刹那」のチャンス。

 

「トランジェント・エクスドライブ!!」

 

 見ているか、アンタの遺した歌はまだここにあるぞ。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

TSした俺と交友関係NTRアンハッピーセットを食らって女性不信拗らせた親友(作者:北京院)(オリジナル現代/恋愛)

幼馴染の親友に彼女ができたので最近はあまり遊んでいなかった。▼久々に顔を見た親友は死にそうな顔をしていたものだから、詳しく聞くと彼女と先輩と後輩を寝取られたんだという。▼もう女なんてこりごりだぜ、と強がるけれど死にそうな顔をしているので少々優しくしてやることにした。久々に泊まり込みでゲームをするのは楽しかったし少しは元気が出たようで安心した。▼――で、翌朝起…


総合評価:2867/評価:8.57/連載:15話/更新日時:2026年07月15日(水) 20:03 小説情報

わたし、壊れてるらしいです(作者:まいまいつむり)(オリジナルファンタジー/日常)

戦争で2年間、前線で剣を振っていた少女が、敵だった国の学校に通うことになりました。▼本人は元気です。よく笑います。友達もできました。▼ただ、大きな音がすると体が勝手に動くし、夜は静かすぎて眠れないし、好きな食べ物を聞かれても答えられません。▼あと、入学許可証の裏に「心的外傷の兆候あり」って書いてありました。▼よくわかりませんが、たぶん大したことないと思います…


総合評価:8153/評価:8.52/連載:24話/更新日時:2026年07月16日(木) 12:00 小説情報

魔法少女はニチアサ展開に付き合いたくないって話。(作者:暁真)(オリジナル現代/冒険・バトル)

▼一宮弍乃(いちみやにの)は歴戦の魔法少女である。▼日常をこよなく愛し、面倒事を忌み嫌う彼女は定期便の如く現れる異世界からの侵略者にキレながら今日も今日とて魔導士(マギスター)ユノとして戦い続けている。▼そんなある日、偶然見つけた自分とはまるで系統が違う魔法少女を見て彼女は思った。▼「あの子ニチアサ主人公じゃん、関わりたくねぇ」▼世界がニチアサ時空である事を…


総合評価:18635/評価:8.87/連載:58話/更新日時:2026年07月16日(木) 08:05 小説情報

【書籍化】俺の切り札は光らない(作者:雨 唐衣)(オリジナル現代/冒険・バトル)

 カードゲームが好きだ。▼ 集めて集めてうんざりしたカードの山の中で手に取った一枚に焦がれることもあった。▼ 何度も、何十も、何百回もスリーブが擦り切るまで回した果てに出来たプレイングに自分を褒めたくなったことこともあった。▼ 練り込まれたデッキには色んなものが入っている。▼ 揃えたカード資産の金額、ひらめきと考え抜いたゲームメイク、試行錯誤に費やした時間、…


総合評価:61260/評価:8.91/連載:108話/更新日時:2026年07月08日(水) 19:05 小説情報

陸八魔アルに転生しました(作者:黒ヶ谷・ユーリ・メリディエス)(原作:ブルーアーカイブ)

そして失敗して反転して嚮導者になりました▼2026年05月03日(日) 18:00 本筋完結しました▼2026年05月08日(木) 18:00 嚮導者の後日談完結しました▼2026年05月16日(土) 18:00 絆ストーリー完結しました▼2026年06月07日(日) 18:00 あまねく奇跡を目指して完結しました▼匿名設定解除に合わせてPixivにも投稿し…


総合評価:15294/評価:8.93/完結:45話/更新日時:2026年06月14日(日) 18:00 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>