IS スカイブルー・ティアーズ   作:ブレイブ(オルコッ党所属)

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 あけましておめでとうございます!!
 今年は去年より早めに投稿するよう頑張りたいと思います。

 頑張りたいと思います!!


第140話【決戦準備・前編】

 

 

『速報です。国際IS委員会内でブルー・ブラッド・ブルーのスパイが逮捕されたという情報が入りました。対応した国際警察によるとそのスパイの中に代表委員の名があり、その他にも多数が逮捕されたという情報が……』

 

 なんてニュースが流れたのが昨日の話。

 もっとも懸念していたオペレーション・バトルフォートレスの不安材料が一夜にして根絶された。

 

 21ヶ国のうち15ヶ国の国際IS委員がしょっぴかれたとか。

 フランチェスカBBAと如何にもズブズブなイギリスは勿論のこと。なんと日本の国際委員会もグルだったらしい。

 見損なったぜ日本。別に尊敬も失望もしてなかったけどさ。

 

「というわけで申請は無事に下りたわ」

「ありがとうございます会長。これでみんなが危険な目に遭う確率が減ります」

「お礼なら学園長にも言ってね。とはいえ更識としても長年溜まりに溜まった膿を排除できたのが良かったわぁ。手を出そうにもデリケートなとこだったから」

「あの狸も役に立つということだな」

「まさかここまで鮮やかな手際とは思いませんでしたわ」

 

 幾ら更識でも規模がデカすぎると手を出した時のリスクは大きいらしい。

 影響力を持っていても表向き非合法組織である対暗部用暗部更識機関。首を回そうにも回らない状況の方が多そうだ。

 

 現在俺の部屋で俺、セシリア、会長、織斑先生の4人で会議中。

 事を起こしてから毎日部屋で定例会議をするのが日課となっている。

 

「これでブルー・ブラッド・ブルーは大分孤立してきたかな」

「ええ。とはいえ元々相手はテロリストですし。IS含めた戦力は未だ強大ですわ」

「対外的な方法ではこれが限界ね。あとは実力が物を言う。織斑先生、オペレーションBF発動時の戦力増強データは」

「これだ。私も改めて見返したが。とんでもないぞ」

 

 渡されたタブレットをスライドしていくと、本当に過剰戦力だ。独立国家でも建てるつもりかと言われれば反論が出来ないほどに。

 これは国際IS委員会の過半数許可が必要なのも納得だ。これが発動すれば、世界のパワーバランスがさらにひっくり返る。

 

 俺の出任せヒーロー演説で世論が傾いてくれると良いんだが。

 

「学園内の洗浄は完了。洗脳された生徒たちは軒並み解除出来たわ」

「篠ノ之博士と御厨所長が作ってくれたBTフィルターが早速役に立ちましたね」

 

 ブルー・ブラッド・ナノマシンを投与されて洗脳された人間は特殊な脳波を出すらしく。

 それを判別するための検知プログラムがBTフィルターだ。

 戦闘時にはこれを組み込むことで、洗脳されてる人とそうでない人を分けて随時奪還していく手筈となっている。

 自分から進んでテロリストになった奴も居るからな、これでボコれる奴は遠慮なくボコれる。

 

 完成と同時にIS学園内の一斉洗浄を開始。ISを奪おうとした鷹月さん以外に紛れていた洗脳生徒を見つけた時は冷や汗をかいたものだ。

 なにせ見た目からはほんとわからない。厄介なものだ。

 

「これでも完璧とは言えんがな」

「完全完璧なんてこの世の何処にもありませんよ。だからこそ私たちにも勝ちがあるということです」

「戦闘区域のリーダーはお前だ。いざとなれば、私も前線に出る」

「織斑先生が? まさか暮桜を?」

「詳しくは話せんがな。まあ程々にあてにしてくれ」

 

 それは無理な相談だ。心強いなんてものじゃない。

 だが先生の口ぶりから見てブランクはあるだろう。本人も絶対視しないようにと言ってる。

 織斑先生が出るから勝てる、なんて楽観視は危険だ。

 

 まだ本番は始まっていない。

 こっから更に煮詰めていかねば

 

 

 

 ーーー◇ーーー

 

 

 

「前線に出る打鉄は可能な限り稲金パッケージに換装だ! 希望者には鉄風と撃鉄パッケージを!」

「レーデルハイト工業の方! こちらのダブルチェックをお願いします!」

「ラファールはデュノア社のスタッフを主導に! アレに関しては一日の長がある!」

「クリア・ティアーズは篠ノ之博士が出してくれたマニュアルを参考に! どうせビットは使えないし殆ど残ってないから第3世代システムはあとに回していい!」

「5番機から13番機調整完了! パイロットは搭乗後チェックを!!」

 

 疾風が演説を始める前から学園の整備班、整備課から引き抜かれた生徒たち。

 そしてレーデルハイト工業と今回の件でフランスから応援に来てくれたデュノア社を加えた整備チーム一同が日夜ISの細かいメンテナンスを行っている。

 

 量産仕様ISだけで約50機もの戦力。

 これだけのISが一同に集約されていることなど世界広しと言えどIS学園ぐらいだろう。

 それでも一挙に纏められてるというのは中々壮観だ。

 

「シャルロット代表候補生。アップデートされたガーデン・カーテンが組み上がったから確認して」

「ありがとうございます」

 

 今回の事件で襲撃を受けたデュノア社だが。レーデルハイト工業にならう形でIS学園に全面協力するということで政府公認のもと大量の物資と人員を送ってくれた。

 IS学園が使ってるラファール・リヴァイヴは元々デュノア社経由で送られてくるもので。オーバーホールもデュノア社が担当していた。

 

 フランス政府はデュノア社という形でIS学園の支援要請に応じた形となった。

 思惑としてはここで国と社のイメージアップを狙っているのだろうが。細かいことは関係ない。

 1大企業の一つが今回の戦闘に参画してくれたという世間イメージが重要なのだ

 

 大まかな支援としてはロゼンダ技術主任を含むエンジニアチームに加えて……

 

「へーい! チョコレートの配給だぁ!! おらぁ糖分足りてるか!? カカオ足りてるか!? ポリフェノール足りてるかぁ!? 皆のもの! チョコレートを讃えよ! 神の果実カカオ豆から創造されるチョコレートを讃えよぉ!!!」

「ねえシャルロット。あのチョコレート馬鹿を止めてきてくれないかしら。デュノア社のイメージに悪いわ」

「ごめんなさい無理です。止めようとしたら倍のチョコレートぶち込まれます」

 

 1人のISドライバー。

 最後までチョコたっぷり。チョコレートジャンキーことショコラデ・ショコラータと愛機であるラファール・リヴァイヴ・ショコラカスタムが応援に駆けつけてくれた。

 

 今も彼女は整備と訓練の合間、いや最中であっても周りにチョコレートを撒き散らし。皆の糖分不足に一役買っていた。

 チョコレートは極上の味だとか。なんでベルギー出身じゃないのかこの女。

 

「あの災害指定生物は放置するとして。ガーデン・カーテンの調整は対実弾調整重視で本当に良いの? 敵の多くは光学兵装でしょ」

「うん。アニエス叔母さんは必ず僕を狙ってくると思うから」

「どうかしら。今頃フランスで血眼になってアルベールを探してたりしてね」

「笑えないね」

 

 ロゼンダ以上にアルベール・デュノアを憎んでいるアニエス。いつ狙われるか分からない社長以下重役は何処ぞのシェルターに隠れる形となっている。

 彼女の憎悪は計り知れない。ロゼンダの予想もあながち間違いではないのかもしれない。

 

「まあそれはそれでこっちの負担が減るから良いかな。父さんには囮になってもらお」

「あなたほんとジャンヌに似て強かになったわね」

「お母さんってそんなに逞しかったのですか?」

「アルベールかショコラデに聞きなさい。私は話したくないわ」

「アハハ」

 

 ロゼンダが言うに。シャルロットの母親であるジャンヌと彼女は相性が悪い。というより彼女らの旧友であるショコラデ女史が言うにジャンヌはロゼンダを気に入っており、逆にロゼンダが一方的にジャンヌに苦手意識を持っていたらしい。

 なんでもシャルロットをもっと強かにかつ天然にした感じがシャルママなんだとか。

 ロゼンダがジャンヌをなじっても柳に風、暖簾に腕押しでいつもニコニコしていたとか。

 

 自分の知らない母の姿がどんなだったのか思い浮かべていると彼女の想い人が駆け寄ってきた。チョコレートを握りしめて

 

「シャルー、順調か?」

「一夏! ……言うまでもないけどその手に握ってるチョコレートは?」

「いやなんか『私はチョコレートの伝道師。又の名をバレンタインの現人神』って名乗る女の人から貰ってさ。シャルにも届けてくれって」

「ごめん。その人デュノア社のテストパイロットのショコラデさん」

「え、そうなのか? 変わった人だな」

「返す言葉もないよ」

 

 本当にデュノア社がチョコ狂いの会社だと思われたらどうしようと。シャルロットは風評被害を回避するために汚名を拭う決意をしながらもチョコレートを受け取った。

 

 味だけは最高なチョコレートを齧ろうとする一夏がラファールをいじるロゼンダに気付いた。

 他の整備士と比べて身なりが小綺麗なのが目についたのだろう。

 

「シャル、この人は?」

「ああ。この人はデュノア社の整備主任である…………ロゼンダさん」

「ロゼンダ? もしかして、ロゼンダ・デュノア?」

「う、うん」

「この人が」

 

 一夏の眼つきが彼らしからぬと評するほど鋭く厳しい物に変わった。

 それはいつもの彼とは違う熱く、そして冷たい炎のようだとシャルロットは感じた。

 こうなることは分かっていた。だけど自分を支えてくれた一夏に嘘をつきたくなかった。

 

 しばし睨みつけ、溢れようとする感情を吹き出さぬよう絞り出すように口を開いた

 

「初めまして、ロゼンダさん。シャルロットの友人の織斑一夏です」

「……初めまして織斑一夏さん。デュノア社の技術主任、ロゼンダ・デュノアと申します」

 

 隠そうとしない怒りと憤りに気付いたロゼンダは作業の手を止めて一夏に向き直った。

 その様相は一夏の怒りを感じてもなおクールで汗一つかかないビジネスウーマンのそれで。なおのこと一夏の癪に障った。

 

 突如親が蒸発してしまった織斑家にとって家族の話題はタブーであり。一夏は家族に関連する事柄には人一倍琴線に触れるものがあった。

 シャルルがシャルロットだということがバレた時。一夏はシャルロットからその壮絶な生い立ちを聞かされ。怒りをあらわにしたことがあったのだ。

 

「………」

「シャルル・デュノアの件について申し訳ございませんでした。貴方には不快な思いをさせてしまいましたね。改めて謝罪を……」

「そんなことはどうでもいいですし不快になんてなっていません。なんでシャル、シャルロットにあんな酷いことをしたんですか。出会い頭に泥棒猫と罵って平手を打つなんて、義理とはいえ親のすることじゃない!!」

 

 噴き上がった湯の如く。とっくに沸点を超えていた怒りが怒声となって響いた。周りは何事かと意識を向けたが。

 直後にチョコ妖怪の横槍で強制的に意識を逸らされた。

 

「一夏っ、声大きいよ」

「わ、悪い。でもどうしても我慢が出来なくて」

「私がシャルロットに平手打ちしたのは許せなかったからよ」

「ロゼンダさん?」

 

 感情の起伏が激しい一夏とは対照的にロゼンダはとにかく平然を貫いた。

 否定も取り繕いもなく。ただ淡々と一夏の質問に答えていく。

 

「やっとの思いでシャルロットの母親から許婚を取り戻したのに今度はその忘れ形見が突然眼の前に現れた。それも憎らしいほど母親そっくりな顔をしてる癖に目の色はあの人と同じ紫色。あの人があの女を忘れてないんだって思った。だからカッとなったのよ」

「取り戻した? 奪ったの間違いだろ」

「事実よ。聞かれた以上正直に答えるし答えたわ。それで、あなたはそれを聞いてどうするの? ネットにバラまいて社会的に私を殺すのかしら?」

「そんな卑怯なことするもんか。俺が求めるのはシャルロットに謝ってもらうことだ」

「貴方に促されて言う通り謝ったら貴方の腹の虫は収まるのかしら? シャルロットは納得するのかしら? 私はシャルロットに許しを求めてないのに」

「酷いことをしたら謝るのは当然のことだ。大人なのにそんなことも分からないのかよ」

 

 怯むことなく一夏はロゼンダ女史を睨みつける。

 対するロゼンダも腕を組んで睨み返す。

 

 両者一歩も引かない現状。絶えずチョコレートを布教する(カオスな)空間で行われる睨み合いに割って入ったのは他ならぬ当事者だった。

 

「一夏、もういいよ」

「よくないだろシャル! だってこの人は」

「それよりあのチョコレートジャンキー止めるの手伝って? ほら行こ!」

「え、おいシャル!?」

「ロゼンダさん。リヴァイヴをお願いします。あと、また一つ話してくれてありがとう」

「………」

「ほら行くよ一夏!」

「おいシャル本当にいいのかよ!?」

「いいの! 僕は納得してるから」

「ええー?」

 

 何が何だか理解できない一夏の背中を無理くり押してショコラデに向かうシャルロット。

 一夏は訳も分からず押されるまま足を動かす。

 

「ほんと厄介なの産んでくれたもんだわ」

 

 ガシガシと頭をかいて再びリヴァイヴのメンテに入った。

 

 しばらくして一夏の悲鳴を遮るようにチョコレートがぶちこまれた。

 

 

 

 ーーー◇ーーー

 

 

 

 IS学園物資搬入口に黒に赤いラインが刻まれた軍服に身を包み、皆揃いの眼帯をつけた部隊が到着した。

 

 その中でも一番小柄な銀髪の隊長を前に黒兎隊は規則正しく敬礼を返す。

 

「ドイツ特殊陸軍IS部隊シュヴァルツェ・ハーゼ所属、クラリッサ・ハルフォーフ大尉。以下20名、IS学園に参戦致します! 遅れて申し訳御座いません隊長」

「構わない。皆よく来てくれた。貴官らの助力に感謝する」

「なんの。隊長の為ならたとえ火の中水の中スカートの中です!!」

「「キャー!!」」

「う、うむ。スカートは分からんがよろしく頼む」

 

 揃って顔を赤らめながらスカートを抑える隊員を前にラウラは汗を垂らしてしまった。

 まだまだカルチャーに染まりきってない。染めがいがあるとは隊員の言である。

 

 国家援助をしてくれたのはフランスだけではなく。ドイツ陸軍の精鋭部隊黒ウサギ隊が応援に来てくれたのだ。

 

海軍IS部隊(ロート・ヴァール)空軍IS部隊(ゴルト・アードラ)は残念ながら来られませんでした。両軍とも祖国防衛に努めると」

「いや。お前たちが来れば百人力だ。今こそ、ドイツ最強と謳われたシュヴァルツェ・ハーゼの名を轟かせる時だ!」

「ヤー!!」

 

 まがりなりにもドイツ最強の部隊と言われたドイツ陸軍特殊IS部隊。

 他の追従を許さないネームドアーミーは志を同じくして戦場に馳せ参じる。

 

「隊長! 本当にファルケたちを助け出すことが出来るのですか!?」

「一刻も早くフランチェスカ何某というファッキンシットの手から連れ戻したいであります!」

「可能だ。IS同士による接触は必要だから救出は私とクラリッサが行うことになる。今この場において約束しよう。祖国ドイツ連邦共和国、そしてシュヴァルツェア・ハーゼの名に誓い必ず4人を連れ戻すことを!!」

「「ヤー!!」」

 

 変わり果ててしまったネーナ、ファルケ、マチルダ、イヨ。

 大切な部下を穢された報いを。そして黒ウサギ隊に手を出したことを骨の髄まで思い知らせてくれる。

 

「クラリッサは私と共に、お前たちには学園内の警備とEOSによる火力支援を担当してもらう」

「了解です。しかし隊長、頼まれたIS用レールカノンの予備をあるだけ持ってきましたが。本当にこれをEOSに使わせるのですか?」

 

 ドイツ本国からは部隊の他にレーゲンと同型、もしくは改良型のレールカノンを大量に持ってきた。

 ドイツが誇る88ミリ高射砲【アハト・アハト】をISサイズにまで縮小させるというコンセプトの元に制作されたドイツ製レールカノン。

 ISのPICを持ってしても反動を受けるその威力を果たしてEOSで扱えるのかというのは当然の疑問であった。

 

「問題ない。レーデルハイト工業が開発したEOSの反動制御は優秀だ。なにせ世界最高峰のIS用パイルバンカー【ロワイヤル】を使ってもバラバラにならないのだからな」

「ロワイヤルを!? それは頼もしい」

「いや副隊長。そもそもEOSでロワイヤルを使う状況があることにツッコミを入れましょうよ」

 

 レーデルハイトが誇るマッスルジーニアス。時々人かどうかを疑われるのが密かな悩み。

 

「あ、クラリッサさーん!」

「むっ? 誰、だぁ!? お前、山田真耶か!?」

「はい、お久しぶりです! 物資搬入のサインをお願いしたくて」

 

 あいも変わらず世界最高峰ともいえる殺人的バストを揺らしながら山田真耶がポヤポヤな笑顔で駆け寄ってきた。

 その暴力的かつ犯罪レベルと見紛う豊満な揺れは黒ウサギ隊の面々に衝撃を与え「人類の可能性……」「バスト・レボリューション」「大きすぎる……修正が必要だ……」「素敵だぁ……」「ネオアームストロングサイクロンジェットアームストロング砲じゃあねえか」「完成度たけーなオイ」と口々に呟かせ……

 

 おい最後なんか見当違いな奴居たぞ。第一肝心の砲身はいったいどk……

 

「き、貴様! 何故IS学園に居る!! というか本当に山田真耶か? 私の知る真耶と比べると凄いほわほわしてるような。昔はもう本当に目がランランとしていたのに。あと相変わらず谷間おっ広げだな!? 前から言ってるが恥ずかしくないのか!?」

「なっ! 谷間は良いじゃないですか! 私が胸の間に汗が溜まりやすいのは知ってるでしょう!? あと、私はIS学園の教師であり、ボーデヴィッヒさんの副担任です!」

「なにぃ!? お前が教師!? お前みたいな倫理観の欠けたハッピートリガーバーサーカーに教師など務まるのか!? しかも隊長のクラスだと! おおお前! 隊長に悪影響を与えてないだろうな!? いやそんな爆乳曝け出して悪影響与えてない訳が無い!」

「失礼ですね! 相変わらず私を見るなり胸のことばかり。そういうクラリッサさんは育ったようですね? 私には負けますが」

「お前に勝てるわけないだろうが! 今でこそ軍服で抑えてるから小さく見えるがGカップまで成長したわ!!」

「おい、私の前で長々と胸の話をするな。抉られたいか」

 

 鈴のように胸に対するコンプレックスはそこまで持ち合わせていないが、こうも目の前で巨乳爆乳談義をされれば流石の絶壁美少女隊長もピキるというものだ。

 陰で黒ウサギ隊員が「副隊長バストアップトレーニング頑張りましたもんね」「まだ将来性はあります」と残酷なんだか思いやりのあるようなことを呟いた。

 

「コホン。話から察するに、二人は知り合いだったのか?」

「……はい。私と真耶はIS学園の先輩と後輩でした。当時の私は学園でも有数なIS乗りで。入学したての真耶に何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も勝負をふっかけられました。地獄だった」

「だから昔のことは引っ張り出さないで下さい! そういうクラリッサさんもあの時案外ノリノリだったじゃないですか!」

「うぐっ……ええい、おいジブリル! ジブリル・エミュレールは居ないのか!? 私とあいつで2枚盾だろ!」

「じぶちゃ、こほん。ジブリルさんはルクーゼンブルク公国防衛で来られませんよ」

「ああそうか。あそこは時結晶(タイム・クリスタル)産出国だったな……私一人で真耶を抑え込むのか? 今日が命日か私の」

「そろそろ怒りますよ。お望みなら今一度見せましょうか私の本性」

「良く分からんが、仲良さそうで何よりだ」

 

 そう。仲は良いのだ。

 ラウラに指摘されて否定しない程度には。

 

「だがしかし。クラリッサの言う通り山田先生は油断ならぬ人物だ。下手をすればこの学園で一番の要注意人物といっても過言ではない」

「なにぃ!? やはり何かやらかしてるのか真耶!」

「ええ!? 私心当たりないですよ!?」

 

 真耶の言う通り彼女がラウラに何かした覚えはない。あるとすれば疾風が入学したあと起きた全裸朝這い事件で叱ったぐらいだが……

 

「あれは私が転入して初めての実技授業の時。まだ嫁、一夏に心を開いていないときだった。山田先生がテンパってアリーナに落下しそうになったのだ」

「お前、変な時に舞い上がってドジる癖は直らなかったのか……」

「その時受け止めたのが一夏だった。一夏はギリギリ白式展開して受け止めたのだがな。だが問題が発生した。なんと、一夏の手には山田先生のオパーイが握られていたのだ!!」

「あーーーー!!」

「なんと、それはラッキースケベ!」

「ToLOVEるですか!? ダークネスですか!?」

「破廉恥! 破廉恥ですわ!」

 

 山田先生は思い出し羞恥し。

 黒ウサギ隊の若い面々は降って湧いた猥談に盛りに盛り上がる! 

 

「嫁は余りの質量に揉んだまま固まった。だが山田先生は顔を赤く蕩かせ、言葉では嫌がる素振りを見せつつ満更でもなく、挙句の果て教官をお義姉さん呼ばわりしたのだ!!」

「わーー! なんで全部言っちゃうんですか!?」

「真耶。貴様生徒に淫行を……」

「違います! あれは事故です! 全くもって事故だったんです!!」

「だが嬉しかったのだろう?」

「あう……」

 

 思わず思い出して顔を赤らめた。

 ギルティである。紛うことなくギルティである。その乳含めてギルティである。

 

「一夏は年上好きだからな。しかもお淑やかな人物が好きという。しかも母性の象徴であるあの乳は正しく年上の包容力を体現している。年上、おっぱい、IS技術。全て私が不利だ!!」

「正しく要注意人物! 山田真耶、見直したと思ったらとんだ淫乱教師だな! 同人誌受けしそうな身体と性格してるもんな!! 日頃から妄想とかしてるんだろ! 昔からムッツリスケベだったもんな!」

「誤解です! 本当に誤解なんですぅぅ!!」

 

 そこから真耶は必死に誤解を解いた。

 盛り上がる黒ウサギ隊を静まらせながら誤解を解いた。

 IS学園に織斑一夏を狙う淫乱教師というレッテルを何としてでも拭うために。

 

 残念既に手遅れである! 

 

 

 

 

 

 大分脱線したが、クラリッサは真耶に渡されたタブレットにサインを書いた。

 

「はい。確かに受領致しました。ありがとうございますクラリッサさん」

「手続きだ、礼を言らん。しかし本当に角が取れた風に見える。淫乱女教師だが」

「忘れて下さい、本当に忘れて下さい」

「それは置いとくとして。隊長、学園に居る時の真耶はどのような感じで? さっきの淫行を抜いといて」

「怒りますよクラリッサさん! いえもう怒ってますよクラリッサ先輩!!」

 

 クラリッサはプンプンと怒る真耶を見て(あっ、本当に変わったなこいつ。なんだこの可愛い生物誰だこれ……)と冷めた目をした。

 

「ふむ。山田先生は教官、織斑先生の副担任にして副官だ。常日頃織斑先生を支えていると言っても過言ではない。授業も分かりやすく温厚で人当たりも良く。生徒に絶大な人気を持つ親しみやすい先生だ」

「成る程、聞けば聞くほど山田真耶とは思えない」

「泣いていいですか」

 

 クラリッサが知る山田真耶は銃央予塵(キリング・シールド)と呼ばれるほどの猛者で。もっとも好戦的でもっとも手が付けられない破天荒を擬人化したような人物だった。

 そして誰彼構わずISバトルを仕掛ける。疾風・レーデルハイトに匹敵、或いは超えるほどのバトルジャンキー。

 それが山田真耶(学生)だったのである。

 

「隊長が嘘をつくとは思えん。真耶、しっかり教師をしているんだな」

「そうですよ。皆から頼られるお姉さんであり教師なのです!」

「しかしお前一人の力ではあるまい。真耶は元日本代表、つまり織斑教官がしっかり矯正してくださったのですな。流石我らが教官だ」

「それを言われると」

 

 事実なだけに言い返せない。当時国家代表を決める為の試験で幾度となく千冬に噛みつき一太刀のもとに返り討ちにされたのが懐かしい。

 

 だが懐かしさに浸ることは許されず。黒ウサギ隊がまたもぶちまけた。

 

「流石教官! 常日頃狂犬と聞かされた山田真耶女史を躾けるとは!」

「アリーナの地面を弾痕で埋め尽くしたトリガー馬鹿をここまで丸くするなんて!」

「学生なのに学園の至る所で要注意人物の指名手配ポスターを貼られまくった犯罪者一歩手前の銃央予塵(キリング・シールド)をここまで大人しくさせるなんて!」

「私たちには到底真似できない」

「「「そこにシビれる! あこがれるゥ!」」」

「ちょっとクラリッサさん!? なんで無関係なこの人たちがそんなこと知ってるんですか!? どういうことですかクラリッサさん!!?」

「ん? そんなのお前の武勇伝を余すことなく部下に話したからに決まってるだろうが」

「ほああああぁぁぁぁぁぁぁ!!?」

 

 最大級の悲鳴が搬入口周辺に響き渡り窓を揺らした。

 たった1年。たった1年とはいえクラリッサと過ごした学園生活は濃密と言っていいほど内容が濃いのだ。

 思わず膝から崩れ落ちた。胸も揺れた。

 

「あの1年が。あの1年がこんな大勢の人に赤裸々に……」

「ちなみに卒業してからもジブリルとは連絡を取り合っててな。その間に聞いた愚痴も全部話した」

「じぶちゃぁぁぁぁん!!」

 

 ところがどっこい! 山田真耶が過ごした3年間の武勇伝が赤裸々だぁ!! 

 

 本日2回目の大絶叫。

 思わず学園終生のライバルにして大親友のジブリル・エミュレールをあだ名読みする真耶ちゃん。

 

「更に更にまだあるぞ」

「もういいですもういいですぅ!」

「人の口には戸は立てられぬ。日本のことわざにそうあるな? そして私は軍属だ。この意味がわかるな?」

「……まさか!!」

「そう! 軍上層部にもお前の武勇伝は轟いている! 上層部はお前を危険視している! いや! 学園上層部に居るという情報を掴んでるなら学園に対するブラックリストに載ってるかもなぁぁぁぁ!!」

「いやぁぁぁぁぁぁぁっっっ!!」

 

 山田真耶! 本日3回目の大絶叫!! 

 そして伝説へ(誇張抜き)

 

 クラリッサも待ってましたとばかりにテンションフォルテッシモ! 

 

「スゲー爽やかな気分だ! 新しいパンツを履いた正月元旦の朝のようになぁ!! 全ては真耶ぁ! お前の過去の行いのせいだぁ!!」

「なんてこと、なんてことぉ……」

「さいっこうにハァイってやつだぁぁぁぁハハハハ!!」

「くっ、くぅぅ」

 

 散々振り回された学園生活。親しい後輩の仇も纏めて取ったクラリッサは思わず側頭部を人差し指でグリグリしながら煽っていく。

 クラリッサ・ハルフォーフ22歳。正しく人生の大絶頂である。

 あまりのスーパーハイテンションにラウラ含めた黒ウサギ隊が引いているが大した問題ではない! 

 

 這いつくばった真耶が心底恥ずかしそうに瞳に涙を浮かばせた真っ赤な顔でクラリッサを睨んだ。

 

 本来ならここで終わるだろう。満足するだろう。

 だがこのクラリッサ! 容赦せん! 

 真っ赤な顔で睨みつける真耶、それがクラリッサ大尉の琴線に触れた! 

 

 ニヤける顔を無理やり抑え。バススロットから金縁の眼鏡を装着し、カエルのように滑り込みジャンプをして真耶の顔を覗き込んだのだ! 

 

「その顔が見たかったぁ……自分の黒歴史に羞恥するその顔がぁ!! アハハハハッ! アハハハハッ!!」

 

 凡骨顔負けの顎出し顔で煽り倒すクラリッサに真耶は恥ずかしさと怒りでおかしくなりそうだった。

 

 いま人生におけるこの瞬間は。クラリッサ・ハルフォーフの脳髄に深々と刻まれる偉大な歴史となったであろう。

 

「ねえねえ。副隊長、ジャンプした時にスカート破けてるんだけど」

「副隊長意外とお尻あるからねぇ」

「しっ、静かに! いま大尉は幸せの絶頂に居るんだから!」

 

 女性として重大なハプニングが起きたが気付いたとしても今のクラリッサには些事である! 

 

「フーフー。もう怒りました。堪忍袋の尾がブチギレましたよ」

「自業自得だ馬鹿め! その羞恥の悪感情、実に美味である!!」

「やかましいですよっっ!!」

 

 いつの間にか眼鏡から目元を覆う白と黒半々に分かれ境目にⅡと刻まれた仮面を真耶が引っペ返して地面に叩きつけた。

 

「表に、いやアリーナに出なさいクラリッサ・ハルフォーフ!! ギッタギタのケチョンケチョンにしてあげます!!」

「良いだろう! 今の私はとてもとても気分が良い!! 受けて立とう!!」

「いきなりのバトル勃発!」

「しかもノット・ティーンエイジャー対決!」

「日本で言うところの『キッタハッター』ですね!」

「譲れないアラウンド・サーティーがある、ですね!!」

「おいお前たち。煽ってないで止めたほうが……」

「「うおおぉぉぉぉぉぉ!!」」

 

 雄叫びを上げながら真耶は盛大に爆乳を揺らし。クラリッサは破れたスカートから黒のちょっとセクシーな下着をチラつかせながらアリーナに向かって爆走した。

 

「ショー・マスト・ゴー・オンがなくても弾痕まみれのチーズにしてあげますよっ!!」

「ハン! ツヴァイクの第3世代機構は搭載されてないが、ノーマルのカスタムラファールの銃央予塵(キリング・シールド)など赤子の手を捻るより軽いわぁ!」

「不完全な機体で勝てるなんて甘く見られたものですね! 学生時代の地獄を思い出させてあげますよ!!」

 

 お互い安い挑発の応酬をしながら学生時代のテンションに戻る二人。

 追う形でキャーキャー言う部下たちが後を追い。

 

 最後は暫定的に常識人のラウラが残された。

 

「これ、私の監督責任になるのだろうか……」

 

 部隊で唯一真耶の黒歴史を知らず、クラリッサと隊員のはっちゃけ具合に謎の疎外感を感じながらポツリと呟いた。

 

 ラウラは辛うじて働く強化された脳細胞を頼りにとりあえず教官に報告しよと通信を送った。

 

 そのあと、織斑先生に止められるまで死闘の限りを尽くした銃央予塵(キリング・シールド)と黒兎隊副隊長、そして一緒に盛り上がったシュヴァルツェ・ハーゼの隊員19名が揃いも揃って出席簿の餌食となったのは自明の理であったとさ。

 

 ちゃんちゃん。

 

 

 




 どうも、改めましてあけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。
 本当は2話に分けたかったブレイブです。

 気付いたらこうなってたんだ。ロゼンダさんとクラリッサさん書くの楽しすぎて筆が乗りまくったんだ!俺は悪くなーい!
 と、どっかのレプリカ王子ばりに叫んでみましたが。

 ロゼンダさんみたいな拗れた叔母様書くの凄い楽しい。
 こう見てくれは良いのに泥臭い感じ。善人でもないけど悪人でもないような絶妙な感じ書くの楽しい。
 一夏からしたら不倶戴天の1人ですが。シャルロットとの温度差が原作より明らかに違うことに驚いてる様子。
 一夏も一夏で書くの楽しいんだ。無鉄砲で不器用な主人公書くの楽しいんだ。

 そしてそして本作初登場!クラリッサ・ハルフォーフ大尉だぁ!!そう、実は初登場なんですよクラリッサ!
 22歳ということなので真耶の先輩に抜擢される不幸よ。是非もないよなぁ!公式設定なんだから!
 そしてクラリッサはとにかくネタを盛りやすい!アニメのネタが盛りやすいが。黒ウサギ隊も同様です。皆さん、ネタ全部わかりましたかね?

 ブレンネタは最初の構想にはなかったのですが降りてきましたね、ネタの神が。気づけば1日で6000文字書いちゃいました。こんな筈ではなかったぞ!!

 補足ですが。原作のシュヴァルツェ・ハーゼは空軍扱いになっておりますが今作では陸軍扱いとなっております。
 ドイツ海軍と空軍もいつか出す予定なのでお楽しみに。 

 あと真耶ちゃんのオパーイ成分が割り増しに。仕方ないね、オパーイは正義だもの。あんなでかいオパーイしてるのが悪い。

 次回は決戦準備②でございます。こっちと違ってしっとりやりたいなー。
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