IS スカイブルー・ティアーズ 作:ブレイブ(オルコッ党所属)
「敵の主力が止まった! 今のうちに戦線を押し返せ!!」
「了解! 素晴らしき女性至上世界の為に!」
「「素晴らしき女性至上世界の為に!」」
疾風とセシリアの動きが鈍ったことによりブルー・ブラッドが攻勢に転じた。
一部専用機を除いた全てがクリア・ティアーズ。その中の何割かはナノマシンの活性化によりセシリアとМに遠く及ばないながらも
物量の倍化という意味では恐ろしいが、やはり特出すべきは専用機持ちであろう。
「そらそらそらぁ!」
「ぐっ! なんだ! 何かに当たったぞ!?」
「見えない! 敵の攻撃が見えない!」
「アハハ! 面白いように当たるじゃない! ほらもう一撃!」
碧い龍のような口から断続的に放たれる不可視の砲撃が乱戦下のIS学園勢力を狙い撃つ。
不可視の砲撃、衝撃砲を放つのは台湾代表候補生、
無色透明の砲撃は密集している乱戦化においてこれ以上ないぐらい効果的に働いている。
甲龍・紫煙は甲龍の量産試作試験機。だが何故中国の看板とも言える甲龍の量産機を台湾の代表候補生が所有しているのだろうか。
ISが生まれた今も中国と台湾の仲は良いとは言えない。だがIS誕生以前と比べて両者の関係はビジネス関係以上未満という最低譲歩レベルの関係性に落ち着いた。
更に決め手として甲龍の完成には少なからず台湾の技術が関わっている為、中国は台湾に対し甲龍・紫煙のライセンス契約を受理。台湾の代表候補生である乱がそれを受領したということである。
ちなみに余談ではあるが韓国と北朝鮮のパワーバランスも変化している。
ISが生まれて以降世界の核兵器撤廃が加速し核兵器という抑止力に依存していた北朝鮮は痛手を負い。長年居座っていた総書記の男性が新しい女性総書記に変わったことで早急な韓国との和解を構築中。
今では通称として統合大韓民国とも呼ばれてるそうな。
閑話休題
近づいてきた学園の打鉄を得物である斬馬刀【角弐】で吹き飛ばした乱は物足りないとばかりに啖呵を切る。
目の前に居るのは有象無象。女王の加護を得た自分たちの敵ではないと本気で思っているからだ。
「さあどっからでもかかってきなさい! この凰乱音と甲龍・紫煙が全部ブッ飛ばして……」
「見つけたぁ!!」
「え?」
何処か聞き覚えのある声。
何処からと辺りを見回すとフッと影が落ちた。
「らぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!」
「いいっ!?」
頭上から迫りくるは
乱は逃げることなく空中で踏ん張り角弐で受け止めた。
流石に勢いを殺せず高度を落とす乱の目の前には自身のISのオリジナルである甲龍を駆る鈴の姿があった。
「やっと見つけたわよ乱! ちゃんと洗脳されてるみたいね! 遠慮なく殴れて安心したわ!」
「鈴姉ちゃ……んん! 何しに来たのよ鈴! なんであんたが敵になってんのよ!」
「決まってるでしょ! あんたを洗脳したクソッタレの野望をぶち壊す為よ!!」
鈴が龍砲をぶっ放すと同時に乱も負けじと龍砲・単式を発射。
ぶつかりあった衝撃弾が2人の間で弾ける。
「洗脳? 洗脳って何よ! 私は正気よ!? 鈴の方が洗脳されてるんじゃないの!?」
「じゃあ聞くけど。あんた何のために戦ってるのよ」
「決まってるじゃない! 素晴らしき女性至上世界の為よ!」
「よしブッ飛ばす!!」
元々なかった後顧の憂いを吹き飛ばした鈴は腕部衝撃砲、崩拳を撃ちながら肉薄。
対して甲龍・紫煙は腰の三叉に分かれた3本の尻尾型武装【甲尾】から濃密な機銃弾幕で牽制。
目の前に現れる弾丸の群れに怯むことなく腕部下部に増設されたボルテックチェーンを回転させ防御膜として展開。尻尾1基につき3本に別れた合計9門の機銃をものともせず強引に突き進んだ。
「なんて無茶苦茶!」
「こんなんで怯むと思ったの!? この新米代表候補生!!」
「なにを! 少し私より長いからって! 私より胸ない癖に!」
「どんぐりの背くらべでしょうがぁぁぁぁ!!」
再びぶつかり合う双天牙月と角弐が重厚な金属音を響かせる。
龍虎ならぬ龍龍相搏つ。従姉妹同士の決戦が戦場の片隅で始まった。
ーーー◇ーーー
「居たぞ! 織斑一夏だ! 最優先抹殺対象だ!」
「殺せ! この世に男性IS操縦者など必要ない!!」
「このっ! 貴様止まれぇっ!」
「残念だったな! お前たちにやられるほど弱くないんだよ! 悔しかったら当ててみろ! この劣化版セシリア!」
「おい一夏! 疾風じゃないんだからそう煽るな! あとセシリアにも失礼だろ! こんな奴ら如きが劣化版だなんて言われたら!」
「「撃てぇぇ!!」」
ミサンドリーは面白いぐらい煽りが有効。というのを疾風から学んだ一夏は早速実践してみたら結果は大当たりだ。
箒も想い人の疾風化を危ぶむも自身も無自覚に煽ってることに気付いていない。
白色のクリア・ティアーズの中に紛れ込む純白の白式・雪羅。そしてそれと対を成す紅のIS紅椿。
東西南北縦横無尽に飛び回る一夏と箒の役目は疾風と同じく囮と撹乱である。
といっても2人のISはピーキーな上に高燃費。
同じ役目を持つ疾風やセシリアと比べたら技量にも差はある。
だが2人はそれに腐ることなく自らの役目を徹底する。
知名度、見た目ともに目立つ2人を撃墜せんと躍起になる敵を。他の仲間が攻撃させる餌として。
「各機、織斑さんと篠ノ之さんの後ろを狙え!」
「織斑くん、援護するよ!」
「良い疑似餌だぜ1年坊主!」
「なに! 横から!?」
教師と3年生の混成部隊が横合いに弾幕を展開。
反応が遅れたビット兵器は爆散し、敵の動きが止まった。
自分たちは間違っても強くない。だがそれでもやるべきことをやる。かつて力に振り回されていた一夏と箒の姿はそこにはなく。立派なISドライバーとしての姿があった。
「クソッ、小癪な真似を! ハッ、奴は何処に」
「隙ありだぁ!!」
無論、ただ囮で居るわけではない。
チャンスとかかれば絶技・零落白夜の刃が光る。
千冬にはまだまだ及ばずとも接触時発動に更に磨きがかかった零落白夜がクリア・ティアーズを一刀両断。
「雨月、空裂! そして穿千! くたばれ悪党!!」
「うわあっ!!」
そして単純にパワーが高い紅椿も瞬く間に1機撃墜。光波、刺突レーザー、そして極太ビームの一連コンボ。滑らかかつ乱れのないそれは相応の努力の結果であった。
「ほ、箒さんや!? そんな全開でぶっ放して大丈夫か!?」
「あっ! いや撃墜したのだから良いだろう!」
「良いけど俺と違ってワンオフ・アビリティー何回も発動できないから注意しろよ! それはそれとしてナイス撃墜だぜ箒」
「そ、そうか! まあこれぐらいなら造作も」
「やべっ! 箒後ろ!」
「なにっ!?」
一夏に褒められて気が緩んでしまった箒の背後を敵のレーザーサーベルが迫る。
赤椿のオートガードがあるとはいえ、いらんシールド消費になると箒は慌てて刀で受け止めようとした。
だがその光の剣は届くことなく弾かれた。
箒の刀ではない、もっと鋭い物によって敵の手元からサーベルが失われた!
「箒様! 余所見なさらぬよう! せぇぇい!!」
菖蒲が櫛名田の4枚ある電磁物理シールドでチャージング。弾き飛ばされた敵機に追い打ちの桜花弾頭、そして八岐銃砲の射撃が降り注ぐ。
「お二人とも気を緩めないように! ここは戦場です! 少しの油断が命取りとなりますよ!」
「そう言いながら背後にノールック!?」
「何処の鷹の目ヒーローなんだ菖蒲さん」
背後からレーザーダガーで斬りかかろうとするワルキューレを一瞥もせずに矢を放った。
ISの全方位視界も使わずにやってのけたのだから尚のこと凄い。
菖蒲も菖蒲で電磁弓射の精度が上がっているが、ゆくゆくはマーベルヒーローばりの弓の冴えを見せるかもしれない。
そんな菖蒲に群がってくるワルキューレを梓のプラズマリム、八岐銃砲のニードル。更に途切れない連続弓射でたちまち屠っていく
「こんな雑兵だけで止められるとでも!? この徳川菖蒲の櫛名田を舐めているのですかっ!!」
「菖蒲さん、なんか何時もより激しめだな」
「戦国時代の血が滾っているのだろう。もしかしたら私よりも武人気質なのかもしれない」
周辺のワルキューレの掃討完了。だが疾風とセシリア、そして学園機構が減らしてくれたとはいえまだまだ人形の底が見えそうにない。
だがそれでもISの数は確実に散らばってきている。
「ここらへんは開けて来ましたね。今のうちに洗脳された人たちの解除も視野に入れましょう! 私に続いて下さい、突破します!」
「うむ、心得た!」
「なんか何時もより頼もしいぜ菖蒲さん。俺たちも負けてられねえ!」
「行きましょう! あの悪鬼羅刹の思い通りになどさせません!」
疾風とセシリアが自由に動けない今でこそ動かなければ。
更なる敵に挑みかからんと、3人の若き武者たちが戦場を駆けた。
ーーー◇ーーー
時間は少し巻き戻り決戦の少し前。
「はぁぁぁああああぁぁぁーーー…………」
「おやおや、随分とデカくて長いため息ですね」
「最長記録じゃな〜い」
楯無が地の底から出たんじゃないかってレベルのため息を出した。
それはもう肺活量の限りを尽くしたため息だった。
「どうしたのお姉ちゃん。そこまで深いため息見たことない」
「あーごめんね簪ちゃん。いやね、ちょっと軽く、いやかなり現実逃避しててね」
「もしかしてまだかなり仕事ある? 手伝うよ」
楯無は更識の当主。
今回の件で処理しなければならない案件が爆発的に増えた。そのことを気にしているのだろうかと簪は心配そうに姉の顔を覗き込む。
「ありがとう簪ちゃん。でも大丈夫。来てるのは多いけど手に負える仕事だから、そこは問題はないのよ。ただ、手に負えない奴が出たというか」
「というと」
「…………ほら、私の前の国家代表」
「ログナー・カリーニチェ氏ですか?」
ログナーは初代ロシア国家代表。楯無は二代目にあたる。
当時ロシアとのパイプとISに目をつけた楯無が自由国籍権を手にログナーに国家代表の地位を賭けた挑戦状を叩きつけ、完膚なきまでに叩きのめし。国家代表の任についた。
その圧倒的なまでの快進撃に正に時の人と呼ばれるほどの人となった楯無。
専用機とロシア国家代表、そして国家のパイプを手に入れた楯無。正に順風満帆。完璧にロードマップを完遂することが出来た。
が。看過できないイレギュラーが発生してしまった。
「カリーニチェ氏が国家代表戦でお嬢様にガチ惚れしたのですよね」
「そうなのよぉぉぉぉ!!」
「あー。私もネットで見たことある」
「今じゃたっちゃんへの愛を叫ぶ配信とかしてるよねぇ」
「うぼぁぁぁ……」
ログナー・カリーニチェ、22歳。
更識楯無にフォーリンラブしてしまったのである。
なんでも自分を圧倒的なまでにボコボコにした楯無に性癖を開花したらしい。
そこからはもう大変で。ロシアにいる間に犯罪スレスレのストーカー、盗撮行為。楯無に近寄る老若男女全てを敵視するほどのクレイジーサイコレズ(ドMマシマシバージョン)となり。しまいには年下の楯無をお姉様♡呼ばわりしてしまう程の異常性愛っぷり。
ある意味フランチェスカ以上に厄介な奇人だ。
どうしてこうなった畜生は楯無の言である。
「確か彼女は今回の事件でブルー・ブラッド・ブルーの尖兵としてロシアの重要施設を襲撃しましたよね。彼女も洗脳されてるならば」
「違うのよ」
「え?」
「セシリアちゃんに聞いたんだけど。あの狐目年増洗脳されてなかったのよぉぉぉ!!」
そう。ログナーは自らの意思でフランチェスカに組みしたのだ。
その理由とは。
『私に協力してくれたら更識楯無を貴方の恋人にさせてあげるわ』
『やりマス!!』
二つ返事だったらしい。二つ返事で国家とか諸々裏切って喜んで世界の敵になったのだ。
チクショウメー!! と某総督ばりに叫んだ楯無はきっと悪くない。
「……こうなったらもう徹底的にギッタギタにしてやろうじゃない。どうせあの年増は逃げても見つけてくるだろうし。ボコにボコしてさっさと豚箱にぶち込んでやるわ!」
「相手は喜びそうですけどね」
「ドMって無敵だよね〜」
「お黙り布仏シスターズ!!」
なんて粋がっていた楯無は早速意気消沈していた。
いつもの余裕スマイリーな仮面など砕け散り、もう不快感を隠さずに目の前の天敵を冷えた目で見ていた。油断したら白目になりそうなのを全力で抑えつけながら。
視界には楯無と同系統にしてミステリアス・レイディのプロトタイプである
「会いたかったです楯無お姉様!! このログナー・カリーニチェ。会えない日々を妄想で耐え忍んで耐え忍んで居ましたがもうそんな必要はありませんネ! さあお姉様! 私と一緒に愛を育みましょうヨ!! 永遠ニ!!」
ダダダダダダ!
「アン! 開幕機銃なんて! なんて! なんて熱烈なのですカ! お姉様の愛に当てられて! ログナー! 濡れちゃウ!」
(帰りたーーーい!!)
もはや言葉を口にすることすら億劫だ。
心の底から楯無は願った。
神様、一生のお願いですからログナー・カリーニチェという痕跡をこの世から抹消して下さい。
本気で願った。もう本気の本気で。
「さあ行きましょうお姉様! 私と愛の
「死ねぇっ!!!」
「はうん♡楯無お姉様からの罵倒。最・高! これを聞くために生きてると言っても過言ではありませんネ!! さあお姉様もっと私を罵って! そして突き刺しテー!!」
(もう誰か助けてっっ!!)
普段の10割増しにキモいログナーに楯無は本気のSOSを叫んだ。心の中で。
それは楯無故のプライドか。なけなしの自制心か。自身と同じ蒼流旋で突っ込んでくるログナーをもう半泣きになりながら迎撃に向かう。
楯無は既に限界だ。
早く何とかしなければ楯無の精神が危ない。
それでも戦わなければならない! それが自分の仕事でありやるべきことだから! もう楯無を支えてるのは誇りと責任感だけだった。
だが天は更識刀奈を見捨てなかった!
2人の間を切り裂くように放たれた2発の荷電粒子砲。更に後詰めに放たれた多数のマイクロミサイルがログナーに殺到。
ミサイルにしては意地の悪い埒外機動を取るミサイルをレイディと同じアクア・ヴェールと蒼流旋のガトリング、そして撒き散らしたクリア・パッションでようやく相殺する。
「大丈夫お姉ちゃん!」
「か、簪ちゃん!?」
楯無を庇うように現れたのは実妹である簪だった。
え、なにこれヒーロー? 私の妹ヒーロー過ぎ?
「簪ちゃん、どうしてここに? 貴方の管轄は私と違うところじゃ」
「お姉ちゃんとログナーさんが会敵したって聞いて飛んできたの。お姉ちゃん強がってたけど、時々うなされるぐらいログナーさんのこと苦手だったって聞いたから。居ても立ってもいられなくて」
「簪ちゃん……」
「今までは明確な実害はなかったから見逃してたけど。テロリストになってまでお姉ちゃんを付け回すなら容赦しない。ログナー・カリーニチェ、あなたにお姉ちゃんは渡さない。お姉ちゃんは、私が守る!!」
その手に握る振動薙刀、夢現の切っ先と同じぐらい鋭い目線をログナーに向ける簪は明確な敵意を宿していた。
いつも楯無の後ろに隠れるだけだった簪が。
いつだって楯無を追いかけていた簪。
そんな簪が敬愛する姉を守らんとしたのだ。
楯無は強くなった妹に感極まった。
感極まって、感極まって挙句。
「がんざじぢゃぁぁぁん!!!」
「え!? お、お姉ちゃん!?」
「もう大好き! 簪ちゃん大好き! 大大大大好き!! もう簪ちゃんしか勝たん!! 簪ちゃんサイコー! 可愛い! うちの妹世界一ぃぃぃ!!」
感極まって妹に抱きついた。戦場のど真ん中で。
もう本当に限界だったのだ。そんな中愛する妹がヒーロー顔負け、否ヒーローそのものの姿で助けに来てくれたのだ。
他でもない自分の為に。
もう一度言おう、楯無は限界だった。それはもう色々歯止めが効かないぐらいに。
それはもう! 妹への愛を大爆発させるぐらいに!
だがそれが1人の女の逆鱗に蹴りを入れたぐらいの特大地雷だということを失念していた。
「……お姉様? 何を言ってるので? 好きと言いました? 大好きと言いました? この私を差し置いてそんな女を大好きと? 私を、差し置いて、大好きと? そんな女を? 妹であるというだけの要素しかないそんな女を? 大好きと、言ったのですか? 許さない、許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない…………」
「え、な、なに?」
「これは、ヤバいかも」
首をカクカクしながら光を失った目でブツブツ呟くログナー。はっきり言ってホラーである。
ヤンデレストーカーサイコレズは1人で良いだろうに何故こんなところにも居るのだろうか。
「許さしませんヨお姉様。殺します。殺す殺す殺す殺す殺すぅ!! その妹という名の駄肉の塊をぶっ殺してお姉様と添い遂げまス!! ウワーーーーー!!!」
「やばっ、発狂したわよこの女!」
「お姉ちゃん構えて! 来る!」
「ええわかってるわ! 愛する簪ちゃんをこんな奴にやらせるものですか! 簪ちゃんが居れば、もう何も怖くない!!」
「お姉ちゃん、その台詞は死亡フラグだからやめて!?」
愛する妹に負けられまいと楯無は蒼流旋を構え直し。
愛する姉をマミらせまいと簪はいま一度強く夢現を握り直した。
ーーー◇ーーー
「見つけた、アニエス叔母さん」
「来たのね。態々私の前に一直線なんて。喜ぶべき? それとも悲しむべきかしら、シャルロット」
「おっと私も居るんだが。このチョコレートの現人神が!!」
「ショコラデさん、今だけは黙りましょう」
「モガゴ!?」
シャルロットの前に被ろうとしたショコラデの頭を引っ張って戻す真耶に目もくれずシャルロットは叔母であるアニエスから真っ直ぐ見据える。
戦場の一角に集結したラファール・リヴァイヴは4機。
標準色の真耶とアニエス。チョコレート色のショコラデ。オレンジ色のシャルロットのラファール。
3対1、IS学園側が数的有利なうえに実力者ではあるものの油断は出来ない。
アニエスは第1回モンド・グロッソの決勝進出まで勝ち上がった。正に最強格にして、
「御厨さんが叔母さんの反応を捕えてね。今回の作戦では僕たちがあなたを止める役目になっている」
「それでお仲間引き連れてご登場という訳ね。1人はチョコ狂い。もう一つは……ああ
「んぐっ。あまりその名で呼ばないで頂けると、黒歴史が……」
「しっかりしろマヤヤン! ほらチョコレート食べな! 大丈夫だって
「おぐふぅ!」
「「ショコラデ(さん)少し黙って。話が進まない」」
「パキッ、モグモグ」
真耶が精神ダメージの回復に勤しんでいる隣で空中体育座りという無駄の技術を出しながら板チョコを食べるショコラデ。
喉乾かないのだろうか。
「正直こっちに来てくれて安心したよ。お父さんの方はいいの?」
「ルクナバルトとの契約でね。基本的に命令には従わないといけないのよ」
「復讐の為にあんな世界征服なんて馬鹿げた思想に乗ったと言うの? 国家代表という地位を捨ててまで?」
「それに関してはどうでもいいわ。言わなくてもわかるでしょう? それに、ロゼンダはこの先に居るんだから。行きがけの駄賃として処理するだけよ」
理解はしている。
アニエスの根幹は何処までもデュノアに対する復讐。国家代表になったのもアルベールに近づいて機を伺っていたのだろう。
「シャルロット、これが最後よ。私たち、いえ私のところに来なさい。一緒にデュノアを壊すのよ」
「断るよ。その話はデュノア社の時点で終わってるはずだ。僕はあなたを止める、その為に来たと」
「出来るの? 数だけ揃えたら勝てるほど私は弱くないわよ」
「わかってるよ。だからこっちは複数で来たんだよ!」
撃鉄は突然に。
一瞬のうちに展開されたショットガンの散弾がお互いの空間で火花を生み出す。
先に展開しようとしたシャルロットと同じタイミングでアニエスはショットガンを撃った。
真耶が右翼、ショコラデが左翼にそれぞれ銃器を構え飛び出し。シャルロットがガーデンカーテンを起動、加えて手持ちシールドを構えて真正面からブーストした。
「ここで終わらせるよ、アニエス叔母さん!」
「やってみなさい! デュノアの娘!」
世代が進むにつれてアンティークと揶揄されてフランスの最高傑作、ラファール・リヴァイヴ。
第3世代が入り乱れる戦場の中、疾風は勢いを増していたのだった。
ーーー◇ーーー
「居たぞクラリッサ! 方位245」
「了解! 突貫します!」
戦闘中域に突入した黒色の2機はターゲットを発見するや否や戦場を切り裂きつつ突出。
向かう先は勿論、白く塗りつぶされた黒兎隊脱走兵たちだ。
「なっ! 隊長!?」
「ハルフォーフ副隊長まで居る!?」
「ネーナ、ファルケ、マチルダ、イヨ。先月の借りは返させて貰うぞ!」
「いきなりこっちに突っ込むなんて!」
「元隊員に容赦ないですね御二方は!」
「何が元隊員だ! 貴様らはまだ従軍しているんだぞたわけがぁ!!」
クラリッサが乗る第3世代シュヴァルツェアシリーズの2号機シュヴァルツェア・ツヴァイクはレーゲンの重厚なフォルムとは対照的に、
その数は驚異の20本である。
「行け! ツヴァイクの矢じりよ!」
一斉に放たれた20本のワイヤーブレードが空間を黒く染める。
最新のCPUと第3世代のマインド・インターフェースが20本の枝を絡ませることなく獲物に襲いかかる。
視覚と物理の両方からの物量にファルケたちは即座に回避行動。
だが入り乱れるワイヤーの中をクラリッサの
「隊長から話は聞いていたが目も当てられん! シュヴァルツェを白く染めるとは恥を知れこの俗物! 修正してやるぞこのカトンボめがぁっ!!」
「二次元風の圧が強い!」
「そして台詞がキメラ過ぎる!」
「この人の顔だけ作画1900年代になってる気がする!」
「相変わらず日本オタク被れして、って危ない!」
クラリッサの圧に気圧された4人組にラウラのレールカノンが通過。
バラけた4人全員を相手するようにツヴァイクのワイヤー。そして新造レールカノンであるナハト・ナハトの轟音が響いた。
「相変わらず正確な砲撃! ですが数の理はこちらにありですよ隊長!」
「ビット射出、行け!」
だが数的優勢はティアーズシリーズの十八番。
3機のクリア・ティアーズと
4人の
「おっと。後付けパッチワークにしては動きが良いですね。なんかうちの目と何気に相性発揮してるのムカつきますが」
「問題ない。一次後退しつつ対応する」
「了解です。あーツヴァイクの攻撃型AICが間に合っていればもう少し強気に行けましたのに」
ぼやきつつも20のワイヤーを絡ませることなくウネウネさせているクラリッサ女史。
当時はラウラ・ボーデヴィッヒを凌ぐ
ぶっちゃけ隊長とくんずほぐれずな拘束プレイが出来るなんてことは考えてはいない。ないったらない。
「押してるわよみんな! 私たちが隊長と副隊長を!」
「行ける! やはりクイーンがもたらしたこのISは最高だわ!」
乱れ撃つレーザーをワイヤーブレードで器用に弾きながら後退する両名を前にファルケたちは攻めの姿勢を崩さない。
ラウラとクラリッサに勝利しフランチェスカの前に連れて行く。そして次は残りの黒兎隊も。
そうすれば素晴らしい世界を皆と共に歩めることを欠片も疑わない。
自分たちは間違っていない。女は正義、男は悪。刷り込まれ、塗りたくられた認知をエネルギーに放たれるビットレーザーが更に勢いを増した。
「よしこのまま押しつぶして!!」
「隊長、射程内です」
「よし、フォイエル!」
ラウラの号令と共に無数の砲弾がラウラたちの戦域に殺到した。
虚を突かれた4人は対応できず、射線上に巻き込まれたビットが砲弾によって砕かれた。
「ヤッホー! マチルダ先輩たち!」
「私たちも相手して下さいよ!」
「洗脳されてるんですって? 安心して下さい。こういうのは一発殴れば治りますのでね!」
撃たれたのは沿岸部に並んだ黒兎隊のEOS部隊が放ったIS用レールカノンだ。
黒光りする砲身がズラリと狙ってくる光景は気分の良いものではない。
「誘われた!?」
「そういうことだ。周囲の警戒もせずに罠に飛び込むとは。帰ったら訓練のし直しだな」
BT兵器を搭載した最新型4機で均衡を保っていた黒兎隊同士の戦闘はこれにて崩れたこととなる。
以前の4人であればこうも容易く誘い込むことは出来なかった。ミサンドリーに顛倒したことで慢心したか。それとも洗脳されたことで本来の判断能力が低下したのか。
とにもかくにも、彼女らは兎の狩り場に誘い込まれたのだ。
「さあ、いま一度教えてやろう。我々シュヴァルツェ・ハーゼが若年ながら何故ドイツ最強の部隊として名を轟かせたのかを」
「くっ!」
「来い、お前たち。織斑教官の代わって、私が教育してやる」
どうも。FGO10周年の配布石に目が点になった男。ブレイブです。1000個はすげーよカノウ様。ありがとうございます。
今回は疾風とセシリア以外のメインメンバーの戦いです。
初登場の乱とログナーは如何だったでしょうか。
劇中、というかアプリで鈴2号の名前の通り鈴と雰囲気ほぼ同じなので色々苦労しそうです。
そしてログナーですが22歳で年増呼ばわりされてますが老けてるのかな?それともオーラ?ショコラデと同じく描写が少ないので、よーし好き勝手やっちゃうぞー!!ということて変態ヤンデレ成分マシマシに。情報が少ないのが悪いのさイエーイ!!
タイトルにある通りにここから更に加速していきます。まさにハイスピード学園バトルラブコメ!ラブコメ要素が少ないですが、ラブコメ書きたいなぁー!
まだ見ぬイチャコラを夢見て頑張ろうと思います!