IS スカイブルー・ティアーズ   作:ブレイブ(オルコッ党所属)

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 過去最大級にネタを、てかネタしかない。
 これをISと名乗る勇気。

 プラズマチョチョン「だが私は謝らない」


第145話【バカとロマンと規格外(オーバード)

 

 

 突然だがIS学園には2年生からパイロット科と整備科に分かれることになっている。

 整備科とは文字通りISの整備を専門的に行うクラスであり、パイロット科とはカリキュラムが異なる。

 

 ISの整備に興味があるもの、又はパイロット科では結果が出せなかった者など理由は様々ではあるが整備科があるのだ。

 まあ大抵パイロット科に行くものでクラスの数も比べたら少ない。今年は疾風と一夏が居るため比率も更に変化するかもしれない。

 まあそれは置いといて、とりあえず整備科はパイロット科より数が少ない。そして数が少ないということは、純度が濃いのである。

 そう、純度が。技術力、そして……変態度が、ロマン度が高い。

 技術力に比例して変態ロマン度が上がるのだ。

 

 それ故に一部ではIS学園整備科は魔境、変態黙示録、頭フロムとも呼ばれている。

 

 ここで少し思い出して欲しい。

 以前疾風が菖蒲にIS学園を案内した時の台詞を。

 

『コンクリート製の柱にブースター取りつけたような鈍器をイーグルのプラズマジェネレータに直結されかけた』

 

 と。

 つまり、そういうことである。

 作ってしまってるのである。それを。

 

 そして幸運なことに、又は不運なことに。

 整備科のロマン馬鹿共が産み出した数々の規格外兵装。学園上層部から流石に危険ということで倉庫に未完成品として埃を被っていたそれをISの産みの親が見つけたのだ。

 それを見て大爆笑したのだ。

 

 お分かりいただけただろうか。

 

 それでは皆さんご一緒に。

 

 バーカ♥

 

 

 

 

 

「ホントは好きじゃないんだ……こういうマジな勝負ってのは……私のキャラじゃないしね」

 

 自嘲気味に喋るIS学園3年生女子。機体はブルー・ブラッド・ブルーから鹵獲した空色に塗装されたクリア・ティアーズだ。

 だがそんなローテンションとは別に彼女はニンマリと歪笑を浮かばせていた。

 

「まあやるんなら本気でやろうかぁ! その方が楽しいだろぉ!? ハハハハァッ!!」

 

 ぐんにゃりと歪むクリア・ティアーズの背中。それはバススロットから出てくるサイズのデカさを物語っていた。

 損失したビット兵器の代わりに取り付けられた汎用ブースターを押し退けて現れたそれは……

 

「え、なにあれ? え、ちょっとなにあれ!!?」

「ちょっと待って藤原さん!? その背中にあるのなに!? なんかコンクリートの柱に見えるんですけど!?」

「ええ、間違いないですよフランシィ先生。正真正銘コンクリートの柱(マスブレード)ですよ」

 

 近くにいた女子生徒とIS学園教師、エドワース・フランシィが目をひん剥いた。そこにはISにあってはならないものがあったから。

 ISの背中から生えたと錯覚するほど伸びているのは鉄骨で補強されたコンクリートの柱、そして先端にブースターがいくつもついている無骨なそれ。

 

 某ロボゲーに登場し、焼け野原ひろしが振り回していた【マスブレード】であった。

 

「ブレードってよりハンマーじゃない!? というかやっぱり柱なの!? なんでそんなものISに乗せてるのよ!!」

「? 質問の意味がわからないです。載せちゃダメなんですか?」

 

 藤原と呼ばれたパイロット科女子はバチバチとスパークするマスブレードをグインと動かして腕部に装着。

 

《不明なユニットが接続されました。システムに深刻な障害が発生しています。直ちに使用を停止してください》

「くーー! これこれこれこれぇ!! ジンジンキタキタぁぁぁーー!!」

「藤原さん何かキマっちゃってない!? あなたそんな性格だったかしら、もっと大人しい子じゃなかった!?」

「いやー実はこっちが素なんですよ。やっぱりね、やるもんじゃないですよね。キャラじゃないことは………これだから面白いんだ、ISって奴はぁ」

 

 不安を煽るアナウンスと共に光波スラスターであるそこから出ては行けない筈の内燃炎が吹き出し、マスブレードのブースターが轟々と爆炎を吹き出した。

 

 勿論視界のホロスクリーンにノイズが走る徹底っぷり。

 エネルギーチャージを示す円が完成。

 フルチャージ完了。

 藤原女子はスラスターを更に吹かして目の前に突貫した! 

 

「……え?」

「ちょいさぁぁぁ!!!」

 

 目の前を通り過ぎようとしたブルー・ブラッドのIS乗りは一瞬思考が停止する。

 自身と同じクリア・ティアーズが。膨大なエネルギーを内包した身の丈の何倍ものコンクリートの柱を狂喜的な笑みで振りかぶって来たのだから。

 

 ゴシャアッ!! 

 

 普通は鳴ることのない、いや鳴ってはいけないであろう打撃と破砕音が敵クリア・ティアーズのスラスターごと粉砕して炸裂。

 敵は断末魔さえ上げられず道中のワルキューレ数機を砕きながらマッハ速度で海水に叩きつけられた。

 勿論、相手はシールド0(死ぬ)

 

「ハハハッ! アーハハハハハハッ! そうだ! これでいい!! 最高だぁ! 整備科(貴様ら)ぁぁぁ!!」

「柱爆発したぁ!!?」

 

 エネルギーの過剰流入だろう。

 藤原女子の右腕に装着されていたマスブレードが木っ端微塵に爆発した。

 

 搭乗者は、なんとか無事のようである。

 爆煙の中からすっかり煤だらけになったクリア・ティアーズが出てきた。

 

「いやー死ぬかと思った!」

「どうして生きてるの藤原さん!? いや無事で何よりだけども!」

「最後爆発するのを分かってるって思ってる自分が居るの嫌だなぁ」

「満足ですわぁ、ほんと整備科には感謝だな。あ、先生。私一旦学園に戻ります。エネルギーとシールドエネルギー結構注いだので」

 

 第3世代のジェネレーターどころかシールドエネルギーすら注ぎ込んでまで放たれた必殺の一撃。

 ほぼ空っけつとなった藤原女子はいい笑顔のまま学園に帰還した。

 これは余談だが、藤原さんの親戚には声優さんが居るらしい。いまもバリバリ活躍中だとか。

 

「ななななんだ、なんなんだあれはぁ!!」

「すっげえ! マジでマスブレードじゃん!! リアルで見る日が来ようとは!! しかもISに装着される日が来ようとは!! 生きてて良かった!!」

 

 自陣営の量産機であるクリア・ティアーズに末恐ろしい何かが装備され、挙句の果てにぶん殴ったのを見て恐々しているアイビスに対して全力シイタケ目で大興奮してる疾風は今も斬り結んでいる最中であった。

 

「貴様! あの不細工な兵器は貴様の仕業か! なんてことをしてくれたんだ! 美学の欠片もない!!」

「あーやだやだ。ロマンの欠片も理解しないなんてこれだからミサンドリーは駄目なんだよ」

「くぅっ! 許さん、許さんぞ! 我らの誇りであるISをあのような愚物で汚すなど!!」

「ププー! テロリストが誇りなんて言ってたらぁ。埃の間違いだろププーププー! もう一度あわせてププー!」

「殺す! 殺してやるぞ貴様ぁぁぁ!!」

 

 アイビスの怒りに呼応するようにアイアン・メイデンの流体金属が荒々しい武器となって振り下ろされる。

 逃げ回る疾風の楽しそうなこと。全力でおちょくりながらヒョイヒョイと鉄の刃を捌いていく。

 

「レーデルハイトくぅん。仲間外れはよくないなぁ、私も入れてくれないとぉ」

 

 ニタリ。そんな効果音が聞こえるほどねっとりとした声色が疾風、そしてアイビスの耳に届いた。

 

 IS学園の海際。

 EOS部隊から離れたそこにはクリア・ティアーズに乗った新聞部のエースにして副部長、黛薫子その人の姿があった。

 例に漏れずクリア・ティアーズの華奢なフォルムに似つかわしくない超砲身。砲の根元にはウネウネとした薬室が赤熱化を通り越して光っており。機体背部にはジェネレーターのようなものが太陽の如く輝いていた。

 

 背負ったその名は超多薬室重加速砲【ヒュージキャノン】

 通称、主任砲である。

 

「うほー! 今度はあれかぁ!!」

「き、貴様ら! 何をするつもりだ!?」

「いやいや。ちょっとお手伝いをね!!」

 

 長距離射撃用に搭載されたブリリアント・クリアランスが強制パージ。

 薬室内で循環、連続点火されたエネルギーの塊が溢れ。ヒュージキャノンからプラズマの塊が発射された。

 

 放たれたプラズマが真っ直ぐ戦場を横切り、疾風とアイビスの元に向かう。

 アイビスは直ぐ様回避しようとしたが、目の前の男がそれを許さずヒールバンカーで体勢を崩す。

 

 回避は出来ないと踏んだアイビスは直ぐざま流体金属の壁を形成する。ISのエネルギーを注ぎ込んだ流体金属の盾。これならば防御出来ると踏んだのだろう。

 なんとも片腹痛い。

 

「なんだと!? うわぁぁ!!?」

 

 アイビスが展開した液体金属の壁は瞬時に溶解蒸発。ナノマシンの超反射神経を持ってギリギリ回避するも、膨大なプラズマの余波でアイビスを吹き飛ばした。

 ちなみに撃ったのは核砲弾ではなく純粋なプラズマエネルギーの塊だ。環境に配慮されてる素晴らしい兵器ですね!! 

 

「ヒー! わかってたけどおっかないなぁ! 黛先輩ナイススナイプ! こっちが誤射されないか心配だったけど」

「どうもね疾風くん! シチュエーション的に誤射するべきか迷ったけど流石にそれは度を超えちゃうからね! それよりも敵から奪った奴に乗せたお馬鹿ロマン兵器をぶつけた方が面白いでしょ!」

「面白い? それには同意ですねえ!」

「フフーン。さてまだ何発か撃てるね。じゃあもうちょっと遊ぼうかぁ。見せてみなぁ、女尊男卑なんて考えてる奴等の力をさぁ!」

 

 ケーブルで学園から繋がってるエネルギーをこれでもかと注ぎ込み、第二射を発射した。

 目の前に迫ってきた敵ISがプラズマの奔流に巻き込まれたのを見て一夏と箒は目をひん剥いた。

 

「うお!? なんだ、沖から光が!」

「バトルフォートレスじゃないよな。撃ってるのは……黛先輩!? 何してるんですかそれ! ていうかなんですかその砲台! なんか凄い光ってますし!」

「ヒュージキャノンだよ! 凄いでしょ!」

「ヒュージキャノン!? 確かあのロボゲーに出てきた奴ですよね!?」

「てかあんなの出るなんて聞いてないぞ! どうなってるんだ疾風! 作戦になかったろあんなの!」

「しかもあれ明らかに規格外だろ。束さん怒らないのかな」

「ああ、それは大丈夫。発案者兼監修が篠ノ之博士だから。サプライズしたいって言ったのもあの人」

「ね、姉さんが関わってるのか!? あれを!?」

 

 そうその通り。先ほどのマスブレードや黛さんがヒャッハーしながらぶっ放したヒュージキャノンも篠ノ之束が関わっている。

 

 一時期、脳を焼かれた独立……じゃなかった整備科の先輩たちはISでオーバードウェポンを使いたい! という欲望に身を任せてIS規格でソレを作りあげたのだ。

 圧倒的破壊力を得る代わりにISのエネルギーを根こそぎ奪い尽くすそれを教師陣が「これはちょっと……」「流石に規約違反」ということでお蔵入り。ディティールにもこだわったそれらを捨てるわけにも行かず死蔵される運びとなった。

 疾風が主任仕様のマスブレード擬きを取り付けられかけたのはここらへん。

 

 そして冒頭に記述した通りIS学園をブラブラしていた束が偶然整備科の倉庫に眠っていた再現型オーバードウェポンの群れを見つけたのだ。

 これには整備科一同は肝を冷やした。相手はISの生みの親。こーんなふざけた武器をISに取り付けようとしたなんて知られたら、と。

 だが束は。

 

「アハハハハハ! なにこれ誰が作ったのこれ! え、君たち? うわマジかお馬鹿だねぇ! え? なんで謝ってるのさ束さんこういうの嫌いじゃないよ。頭の硬い企業連中じゃこういう自由な発想は出来ないからね! ロマンが足りないんだよロマンが。一撃必殺のブレオンとか無限エネルギーの最強兵器とかね。そうだ次の戦闘でこれ使おうよ! 打鉄やラファールじゃジェネレーター的に足りない気がするな。あ、そうだ連中からパクった奴に乗っけて使おうよ! ブルー某の苦い顔が目に浮かぜぇぇ!!」

 

 と凡人が作った規格外兵器相手に世にも珍しいイケイケモード発動。

 そこらへんに歩いていた疾風と千冬を捕まえてサプライズ計画始動。

 通常のエネルギーに加えて零落白夜のエネルギーバイパスを参考にエネルギーを加えるという白鉄や黒鉄を開発した倉持第一技研涙目のエネルギー供給により見事再現するに至ったIS規格のオーバードウェポンたち。

 

 一時期再現にこだわるあまりISコアがオーバーヒートしたり、使用後にまったく動けない仕様だったり、ガチでシステムに深刻な障害を発生させようとしたところを疾風と千冬の必死な説得により事なきを得たのは内緒である。

 馬鹿と天才は紙一重とはよく言ったものである。

 

 そして完成したのが白色のクリア・ティアーズを疾風カラーの空色に染め、最新ジェネレーターに物を言わせてゲテモノお馬鹿超兵器を背中に背負った。

 敵からしたら尊厳破壊の何物でもないオーバード・クリア・ティアーズが完成したのである。

 

「ということで箒。予定通り数分後に絢爛舞踏頼むよ。あれ、エネルギーとシールドエネルギーをほぼ吸い尽くすから」

「りょ、了解した。ほんとなんてものを作ってくれたんだ姉さんは……」

「でも箒。あれの原型作ったのIS学園の先輩たちだぜ?」

「あんなものを作って喜ぶか! 変態どもが! もうどっちが敵か味方かわからないぞ私は!!」

「残念だけど、私たちには味方なんていないんだ……そう、いないんだよ。味方も、そして、敵もね……あぁぁいしてるんだぁぁ君たちをぉぉぉぉ!!! アハハハハハハッ!!!」

「加減にしてくださいね黛先輩!?」

「ハハハッ! いーいじゃん、盛り上がって来たねぇぇぇ!!」

「お前も程々にしろよ疾風!?」

 

 ハイテンション眼鏡✕2を筆頭に戦場はより混沌の渦に巻き込まれつつあった。

 

 そしてこれだけで終わらないだろと思った読者の皆様。

 おめでとうございます、正解です。

 

 

 

 

 

《不明なユニットが接続されました。システムに深刻な障害が発生しています。直ちに使用を停止してください》

 

 飽くまで、恐らく演出であるシステムエラー表示とノイズが走る。

 篠ノ之束なら本気でISコアに不正アクセス&ハッキングが出来そうだが飽くまで演出である。

 

「パワーこそ、兵器の本質……」

 

 滲み出る狂喜の笑みを抑え込みながら武装展開開始。

 背中に背負うは130門のパルスキャノン。武装レールごと前方にせり出し、ハリネズミのような砲塔が鎌首を上げる。

 両肩の増設ジェネレーターを励起状態に。砲門から緑色の光が溢れ出す。コジマではないよ、ほんとだよ。

 

 その異形を目にするや敵ISとワルキューレが急いで退避しようとするがもう遅い。

 

「何も出来ぬまま終わらせる。逃げ回りながら……死ねぇ!!」

 

 ヴォワァー! という普通なら聞くことのない音と共に、【マルチプルパルス】が放ったパルスの暴風が前面扇状に広がった。

 巻き込まれたワルキューレは塵も残らず。クリア・ティアーズは武装の大半を巻き込まれながら甚大なダメージを負った。

 

「くぅ! なんて馬鹿げた火力! しかしあんなもの、一発撃てばろくに動けまい!!」

「我らの誇りを汚した罪! その身を持って贖え!」

 

 ライフルを損失した敵機がサーベルを持って使用不能となったマルチプルパルスというウドの大木に向かって刃を突き立てんとした。

 

 本来ならばこれで終わったことだろう。

 だが某ロボゲー最新作の登場によりマルチプルパルスは更なる魔改造が加えられていた。

 

「パルスキャノン、増加ジェネレーターパージ。マイクロミサイルユニット【バルテウス】展開!」

 

 パルスキャノンの砲身と肩のジェネレーターが音を立てて分離。ガラ空きのレールユニットを補填するように同数のマイクロミサイルランチャーが装填。更に空いた肩に新しいレールユニットと共にミサイルがせり出した。

 

「クソミサンドリーが! ぶっ殺してやる!!」

 

 数えるのも馬鹿らしいぐらいぶっ放されたミサイルはアプデ弱体化前の板野サーカス宜しくの鬼軌道。その一発一発が打鉄弐式と同じ山嵐弾頭。

 夥しい噴煙と無数の爆発音。

 

 度重なる面制圧に敵はトラウマを発現しかけたという。

 

 

 

 

 

「うわー凄い! マルパルからミサイル出してるじゃない! ヤ、ヤバい初期テウスのトラウマがががが。でも凄い再現度、流石うちの整備科と篠ノ之博士。良い仕事してくれるわ。んじゃあ私も出しちゃおうかな! いでよ若本砲!!」

《不明なユニットが接続されました。システムに深刻な障害が発生しています。直ちに使用を停止してください》

 

 意気揚々に量子変換されたのはヒュージキャノンに負けないぐらいの巨大な砲………ではなく2つの巨大な筒状のユニット。

 左の方には分解された大型弾道ミサイル。そして右はそれを撃ち出す発射台。

 なんでこんなものを撃とうとしたのですか? と聞かれれば。撃ちたかったからという答えが返ってくるだろう。

 何故若本砲なのかは誰にもわからない。

 

「あぁ〜〜ら、これ皆さんとっておきのミサイル撃っちゃうよぉ〜〜? 発射台出来っちゃったよゥ〜〜〜?」

 

 若本の名の通りあなご風に喋りながらガションガションと組み上げられるミサイルと発射台。

 脳内BGMにはコンギョが流れている。

 

 念の為Partツーではあるが組み立てられたのは核ミサイルではない。だがそのかわりにISのエネルギーをこれでもかと注ぎ込める特注仕様+現状出来うる限りの破壊力を詰め込んだ篠ノ之束特製の超高火力爆薬が詰め込まれている。

 こんなものが爆発したらどうなるか、それは文字通り火を見るより明らか。

 

「ミサイrrrル準備ぃ……あらぁ5、4! あぁ3! あ2ィ、1ィ〜〜。イッちゃってェ〜〜!」

 

 ISのエネルギーによって光輝くミサイルが真上に発射されてしまった。

 垂直ミサイルよろしく遥か上空に放たれ、ミサイルは敵戦線の後列辺りに向かって爆進。

 頭上から何かが来ると気づいた時にはもう遅い。

 

 戦場の後方に太陽が生まれた。

 

 

 

 

 

「このオーバードウェポン凄いよぉ! 流石フロムが生んだファイナルロマン!! クリア・ティアーズのエネルギーは全て注ぎ込まれている! これは条約禁止化まったなしかなぁ! わかっているのかブルー・ブラッド・ブルゥゥ!!」

《不明なユニットが接続されました。システムに深刻な障害が発生しています。直ちに使用を停止してください》

 

 今度は巨大なジェットエンジンにも見えるレーザーブレード発振器と集合体恐怖症ご注意のフジツボみたいに小さなエンジンのような物がついた外殻。

 

 システム起動。お約束の不穏アナウンスと共にフジツボ外殻が展開、フジツボから膨大な排気炎が噴出。

 発振器も火を吹き巨大なレーザーブレードを放出。しかしレーザーがまったく安定しない為かブレードというより巨大なガスバーナーにも見えた。

 その刃の長さはIS5機分に相当する。ヴィシュヌのドゥルガー・シン、疾風のイーグルが出した大型ブレードを大きく上回るそれは正に【ヒュージブレード】の名に相応しい魔剣であった。

 

 本来であれば。ヒュージブレード発動中はろくに動けず。攻撃判定は左斜め下に振りかぶる形となっている。

 落ち着いて見れば避けれないことはない。

 ここまで4種類のオーバードウェポンを見せられたブルー・ブラッド・ブルーは即座にヒュージブレードから離れた。

 

 そう、本来ならば動けない。

 だが今回制作された数々はISが行動不能にならないよう想定火力や取り回しが(当社比で)軟化されている。それでも並のISなら一撃で刈り取れるパワーではあるが。

 

 そして現在彼女はフジツボエンジンからの噴射炎の勢いをPICブレーキで抑えているのだ。

 つまり……制動が解除されればどうなるか。

 

「扱いづらいパーツとかって話だが、最新型が負けるわけねえだろぉ!! 行くぞおおぉぁあ!!!」

 

 PICブレーキ解除、ついでに姿勢制御プログラムもカット。フジツボエンジンによる推力方向もあったもんじゃない強烈滅茶苦茶なエンジンブーストのままそれは解き放たれた! 

 

「うわー! やめろやめろこっちに来るなぁ!!」

「回避! 回避!! 今すぐこいつから離れろぉぉぉぉ!!」

「あ、死んだ?」

 

 目の前に迫る圧倒的な熱量を前に思考が途絶えたブルー・ブラッドの1人が海に向かって叩き落とされ、ついでとばかりに海にチョン、と触れたヒュージブレードによる熱量で発生した水蒸気爆発で彼方に吹き飛ばされた。

 

 想像してみて欲しい。ISの身の丈5倍のレーザーもといバーナーブレードが。

 一撃でISをシールドエンプティにする極長の刃が本人の制御を離れてブンブン振り回されながら迫ってくるその姿を。

 もうロマンとか通り越してホラーである。

 

「絶好ちょーーーうである!!」

 

 そして本人は馬鹿丸出しでヒュージブレードの推力に任せ風の向くまま火の向くまま。

 IS学園の3年生大丈夫だろうか。大丈夫じゃないです。

 

 

 

 

 

「なんとも凄いことになってるわね……一応戦争中のはずなんだけど。みんながみんな変わらず平常運転なのは良いことなのか悪いことなのか」

 

 色鮮やかな赤髪のショートボブ、赤いフレームの眼鏡。ISスーツも赤という赤尽くしの彼女は2年生のイギリス代表候補生、サラ・ウェルキン。

 彼女の射撃技能は学年を跨いでもトップクラスの腕前であり。代表候補生としても後輩であるセシリア・オルコットの師匠でもある。

 

 そんな彼女の同級生、並びに先輩が駆るクリア・ティアーズから繰り出される規格外兵装の数々を横目に的確な射撃を叩き込んでいた。

 

「相変わらずというか。うちの学園生ってメンタルが強いというか明後日のほうにぶっ飛んでるというか……強いわよね、色んな意味で」

 

 下手にトラウマやPTSDになるよりはっちゃけた方がよっぽどマシだろう。それを込みでメンバーを選定したというのもあるだろうが。

 実際このオーバード・クリア・ティアーズ作戦は効果を発揮している。

 

 数に勝る敵への牽制。確実にIS1機を持っていく火力の抽出。尊厳破壊による精神的なダメージ、そして挑発による士気の低迷。

 一見バカ丸出しではあるが成る程、意外なほど理に適っている。

 

「ああいうデカくてド派手で超火力。姉さんが好きそうだわ。というより絶対『あたしもぶっ放してぇ!』って言うわ確実に」

 

 サラ・ウェルキンの姉は英国直属IS部隊の一つであるスカーレット・ナイツの団長、ジュリア・ウェルキン。

 知的な彼女とは対照的に燃える熱血漢。無類の派手好き。現在は護国防衛の為こちらに来れないが。もし来ていたらそれはもう眩いばかりに目を輝かせるだろう。

 

「まあ……私もこれを受け取った時点で同類かな。じゃあ行こうかしら」

《不明なユニットが接続されました。システムに深刻な障害が発生しています。直ちに使用を停止してください》

「このノイズ。本当に演出なのかしらね。ISコアに悪影響ありそう」

 

 視界に映るノイズに軽くツッコミつつオーバードウェポン展開。

 

 出されるのは規格外の中でも更に規格外のグループにある物の一つ。

 設定画のみのそれすらも整備科女子と篠ノ之束は想像した。

 

 そう、没ったオーバードウェポンが一つ。

【3連レールガン】を!! 

 

「レールガン展開完了。PICブレーキ、アイゼンロック」

 

 右手には銃口含め至る所が赤熱化されている大型レールガンが3つ。

 左肩には大筒状の加水式原子炉……ではなくそれに似せた大型プラズマジェネレーターである。

 ほんと核好きだよなACVシリーズ。

 

「これ、レールガンじゃなくてレールキャノンじゃないかしら。というか没シリーズにまで手を出すなんて。設定資料通りの低射程じゃないのは安心してるけどね」

 

 本来遠距離狙撃が得意である彼女はヒュージキャノン担当であったが黛薫子が「これで主任成分決めたい!!」という熱烈オファーにより3連レールガン担当となった。

 自分も主任成分摂取したいとは思ったが、他よりロマンにはっちゃけれない彼女としては逆にありがたかったかもしれない。

 

 そうぼやきながらもレールガンのチャージは進む。

 膨大な電力に各所を赤熱化しながら放つそれはどれだけの射程を誇るのか。やろうと思えば遠くにいる敵旗艦さえも撃ち抜けそうだ。

 

「EMLモジュール全点接続。エネルギータービン全開。出力80…90……緊急弁全閉鎖、リミッター解除! 100…110…115……レールガン最大出力……!」

 

 出力が上がるにつれてレールガンの発光が強くなる。

 ぼやきつつもノリノリである。彼女も一人のACプレイヤー。そして彼女は顔のない夢女子ランキング6位に撃ち抜かれた乙女の一人でもあった。

 

 狙われていると気づいた敵機は回避行動を取ろうとするが無駄な足掻きだ。

 標的が巨大メカワームでないことを少し惜しみつつもサラは引き金引いた。

 

「これで決める…!」

 

 三連続の振動、オレンジ色の光の尾を引きながら日の目を浴びなかった超兵器が現行超兵器インフィニット・ストラトスに牙を剥く。

 

 

 

 

 

「いやー凄い高まってるし重いなぁこれ! よりによってこれを担ぐ日がこようとは思わなかったよ!」

「牛崎さん無闇に動かないで。本当に重いから」

「あーごめんごめん。こんな馬鹿な兵器背負ったらテンション上がっちゃってさ」

 

 IS学園の外部カタパルトデッキでセッティングを終えた牛崎という生徒はISより二回り大きい規格外兵装を背負ってご満悦だ。

 いまも過剰なエネルギーを蓄えたオーバードウェポン(没)の中でも一際キワモノのそれが今か今かと出番を待っている。

 

「それを言うなら私もですよ。見てくださいよこのブースター。これ前に整備科がアリーナにクレーター出したロマンブースターですよこれ。ていうか本当に重い、PICつけてても重いの馬鹿過ぎる」

「でもよぉ北星。実はこれどっかの国で似たようなの構想されてたらしいぞ」

「ほんと変態ばっかねこの世界は。まあIS界筆頭があれだもんね」

 

 ニコニコしてる友人をIS+OWごと背負う北星と呼ばれた生徒は彼女とは対照的にローテンションだ。

 そんな彼女はクリア・ティアーズではなく稲鉄パッケージを装備した打鉄……なのだが背中に備わっているのはこれまたとんでもないもの。見方を変えればオーバードウェポンよりとんでもないブースターが備え付けられている。

 

 中央にメインブースター1基、それを囲うように4基の増加ブースター、そして更にそれを囲うように小型ブースターが8基。それを骨組みのような部品だけで繋ぎ合わせている。

 ただ真っ直ぐ飛ばすことだけを考え、搭乗者を人間魚雷にする強襲型ブースターユニット。

 その名を【VOB】。またの名をヴァンガード・オーバードブーストである。

 

 牛崎は彼女の背中、というよりVOBに固定されてる感じになっている。

 VOBひしゃげるだろと思うだろうがそこはISのPICと束バランス調整がなんとかした。

 今に始まったことではないがテクノロジーの暴力と横暴が過ぎる気がする。

 

「よっしゃあ! 正面から行くぞ北星!! 頭が湯だったミサンドリーごとき、小細工など不要!!」

「了解、このまま突っ込むわよ! 幸運を、出席番号5番!」

「あえての出席番号、わかってるじゃないか北ぼ、しぃぃーーーー!!」

 

 カタパルト射出、からのVOB点火! 

 二段階瞬時加速や紅椿の全開展開装甲なんか目じゃない超加速がPICで殺しきれないGとなって2人に襲いかかる! 

 IS企画のVOB。今回はとにかく初速と加速を重視。更にオリジナルより遥かに小さいサイズ差により長距離航行は出来ない、言わば短距離特化のVOB。

 だが問題なし、戦場はそこまで広くはないのだから。

 

 明らかに環境に悪そうな黒色の排気煙を吐き出しながらVOB+2機のISが戦場を横断する。

 

「良い加速だぁぁぁ! 光が逆流してるみたいだぁぁぁ!」

「牛崎! もうすぐポイント!」

「ロマンだ! 我らにはそれが必要だ!!」

《不明なユニットが接続されました。システムに深刻な障害が発生しています。直ちに使用を停止してください》

 

 牛崎が没オーバードウェポン【Sマイン】を起動。

 左右3基ずつ、軽6基のブロックコンテナ。そして両肩のタービンジェネレーター2基がけたたましく回り、赤熱化する。

 

 このSマインはコンテナに搭載された多数の浮遊機雷を上空に発射。そのまま落ちて自分ごと周りを爆撃するというお馬鹿兵器だ。

 勿論そのまま発動すれば自爆必須。そこでより広範囲かつ安全に爆撃する為にVOBによる超速運送機雷爆撃を敢行したのだった。

 だがまかり間違ってVOBに当たりでもすればそれはそれでお陀仏であるのだが……

 

「要らないわよねぇ安全性なんか! それで勝てるって言うんならさ!!」

「ネタよね!? それほんとにネタよね!?」

「フルファイヤーー!!」

 

 VOBの進行ルート上に打ち上げられた、それはもう数えるほど馬鹿らしい機雷という名の花火たちは自由落下で敵の頭上に降り注ぐ。

 

「うわぁ!? なんだ今の何が通った!!」

「ケホッ! 煙で何も見えない……なに、なんか落ちてくる音が……」

 

 そして案の定、それはISエネルギーを内包した超高性能爆薬である。

 VOBの煙を目眩ましにルート状が一斉に起爆。戦場に再び轟音を轟かせた。

 

「VOB使用限界! 牛崎降りて!」

「あいよぉ!」

「ぐっ! よいっしょぉ!!」

 

 VOBから降りた牛崎を確認しそのまま宙返り。

 パーツというパーツに分解パージされたそれをそのまま敵軍めがけてばら撒き。なけなしのエネルギーが込められたそれはまたも爆発する機雷となった。

 

「あー北星ー、重いー動けないー助けてー」

「はいはい分かったから大人しくしててよね」

 

 

 

 

 

「あれだ同志よ。世の平穏を乱す、愚か者よ」

「消さねばならぬ。さもなくば、この荒れ果てた世は救えぬ」

「「世に平穏のあらんことを。世に平穏のあらんことを」」

《不明なユニットが接続されました。システムに深刻な障害が発生しています。直ちに使用を停止してください》

 

 2重に奏でられる崇拝の言葉。

 2重のシステムボイス。

 熱に浮かされた宗教みたいな台詞を呟きながらコールされたのは影に葬られた2機のオーバードウェポン。

 

 片割れは【拡散ロケット砲】

 現行オーバードウェポンと比べてシンプルな構造している。

 何故なら主要部分は右手に連なる『40本のロケット砲』のみなのだから。

 例に漏れず赤熱する砲身。これロケットが誘爆、もしくは融解しないのかと疑問は残るがそこは我らが篠ノ之束なんとかしてくれた。

 篠ノ之博士の科学力は世界一ぃぃいい!! 

 ゲーム情報や設定力だけで、これらIS用オーバードウェポンは作られているぅぅぅ!! 

 

 そしてもう一つは【大和】

 特徴的なギアユニットを備えた9門の大砲。

 そして6つのミサイルコンテナを背負った。もう取り敢えず火力を注ぎ込んでいけとばかりに備え付けられた、超弩級戦艦の名を冠す超火力ユニットだ。

 本当なら敵旗艦にタンク脚で挑みたかった!! というのは整備科とパイロットの意見であるが勿論却下されている。

 

「もう! 次から次へとゲテモノばかり!!」

「撃て! いや当てろ! あれに当たれば搭乗者ごと木っ端微塵だ!!」

 

 より多くの敵を纏めて葬れるようにと前線で展開した彼女らが使うそれは爆発物が剥き出しの状態となっている。

 シールドエネルギーすら火力に転換している以上万が一があった場合シールドを抜いて誘爆する可能性すらある。

 

 だからこそ盾役がここぞという時に役に立つ! 

 

「おら通さねえぞ!」

「鉄壁イージスが通るっすよぉ!」

 

 弾幕の前に現れたのは炎を内包した巨大な氷の壁。

 攻撃によって割られた氷壁からISのエネルギーを混ぜ込まれた特殊な炎が吹き出し、レーザーを拡散消失させ。ただの一発も拡散ロケット砲と大和に届かせることはなかった。

 

「おら! やっちまえビーハイヴども!!」

「先輩。別にあの人らネタでやってるだけで例の宗教を語る金儲け組織じゃないっすよ」

「でもよ、あいつらの実家養蜂家なんだぜ」

「もしかして選定基準もネタよりなんすか今回の規格外兵器群」

「そして漏れなくACプレイヤーだ」

「バカばっかっすね」

 

 YESかNOで言えば、YES方面である。

 ほんと馬鹿と天才は紙一重。

 それはもうみんなネタに振り切れる訳である。

 

 そして最高のシチュエーションを作ってくれた養蜂家コンビのテンションも鰻登りだ。

 先程の抑揚のない台詞も大分我慢したのだから。

 

 ジェネレーター臨界。

 発熱するオーバードウェポンに比例して2人のテンションもとどまることを知らない! 

 

「大いなる篠ノ之束(もの)が我らを見ている。負けるはずがない!」

「このオーバードウェポンこそ、その証! ヒヒヒッ!」

「「世に平穏のあらんことをぉ!!」」

 

 ドドドドドドドド!! 

 

 ガトリングの弾幕と見紛うほどの砲弾、ミサイル、そしてロケット砲の嵐。

 本気で世に平穏を取り戻すべく放たれた暴力の濁流は前方広範囲に爆発の華々を咲き誇らせる。

 

 没とは言えオーバードウェポン。

 一撃必殺のそれとは違うがそれでも規格外。

 膨大な熱量を超広範囲に投射する2機のIS……もはやISと呼んでいいのかわからないそれはただひたすら暴力を撒き散らした。

 

「なんなんだよこいつら頭おかしい!」

「くそっ! あいつら、洗脳してる奴らもろともお構い無しか!!」

「回避! 回避ぃ!!」

 

 ブルー・ブラッド・ブルーの面々は度重なるバカとロマンを前に現実逃避しながら死に物狂いで逃げている。

 中には泣き出すものも居るぐらいだ。

 

 いい気味である。自分たちは絶対に勝てると勘違いしている奴等が慌てふためく姿は凄く、凄くスッとするものだ。

 え? さっき負けるはずがないって言ってたって? ネタなんです。ネタなんです。

 

「あー良いなぁ!! 最高にイカしてるじゃねえかよ! 見ろよフォルテ、あいつら情けねえ顔して右往左往してるぜ!!」

「あいつらからしたら尊厳破壊の何物でもないっすならねぇ。私もあんなものつけたくないっすけど」

「なんでだよ。最高にロマンかましてるじゃんよ」

「ダリルは好きっすよねぇ、流石アメリカンガール。でも駄目っすよ、今からつけるなんて言うのは。あれつける前に結構な調整ないと使えないらしいっすから……ダリル?」

 

 普通は気づかない感情の機敏。

 他の人は気づかなくても、ダリルと深い関係にあるフォルテはそれを感じ取り相棒の横顔を見て察してしまった。

 その猟奇的な笑みを。

 

「……嘘でしょダリル」

「わりぃフォルテ……もう積んでるんだわ」

 

 こっちとしては詰んでいるだけどという言葉はヘルハウンドの後ろに現れたアホみたいにデカい重機みたいなソレに封殺された。

 

《不明なユニットが接続されました。システムに深刻な障害が発生しています。直ちに使用を停止してください》

 

 左肩にはお約束の外付けクソデカジェネレーター。右肩には丸鋸を何枚も重ねたような極厚カッターが6枚も積まれている。

 フレキシブルアームによって懸架された丸鋸が先端に集中。赤熱化して回るその名は【グラインダー】

 その姿は丸鋸の集合体というより掘削用のドリルのようであった。

 

「ヒューー!! バチバチキタキターー!! さいっこうにハイって奴だぁぁぁぁ!!」

「…………………」

「おい何してんだよ早く来いよフォルテ。合体すんぞ合体」

「……え? え!? 私もっスか!? てか合体!?」

「合体だよ。お前とエネルギー繋げる&冷却で一秒でも長く使うんだよ早くしろよ!」

「えーーーーー!!?」

 

 人生で出したことのない声を出したであろうフォルテ。

 ダウナーを人の形にしたような彼女がお祭り男みたいな声を出したのだ。

 

「え、ええ。合体ってコアのバイパス接続っすか? いや無理っすよ背中塞がってるし行けたとしても溶けますよコールド・ブラッド」

「いや前空いてんだろ」

「前って、前!? そんな恐ろしいの真横にスタンバイしろと!?」

「いいから早く来いって! 時間ないんだから! てか熱い! 早く来い! ハリー! ハリぃぃぃ!!」

 

 確かにオーバードウェポンは時間制限がある。

 いまもオーバーヒートするんじゃないかと身構えてるしどっちにしろ溶けそうだ。

 目がガキンチョみたいにらんらんと輝いてる恋人の前に渋々鎮座するともう既に暑かった。

 直ぐ様ケーブルを接続しコアバイパス接続作業へ。通常なら時間がかかるものだがそこは学園一のコンビ、一瞬である。

 

 ヘルハウンド全体に冷却用の氷膜が張られるも一瞬で液状化からの気化で水蒸気となった。

 2機分のエネルギーを吸い取り、グラインダーは豪快に唸りをあげた。

 

「うあーアチィっすぅー」

「俺たちの愛よりか?」

「やかましいっすよ! 行くっすよダリル!」

「……す……」

「へ?」

「ぶす……つぶすぅ」

「あの、ダリル?」

「潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰すぅっっ!!!」

「ダリルさん!? なんか乗り移ってない!? どっかで焼け焦げたエンブレムとか拝借したりしてないっスよね!!?」

 

 

 

 ーーー◇ーーー

 

 

 

「すーー……むふーー」

《ご満悦だなマスター。ああいうの好きなんだな》

「いや良いねぇ。最高だわ」

《物好きなことで》

 

 そう言ってヤレヤレと首を振るマスコットイーグルの顔もまんざらでもない感じだ。

 

 ISの自由性がよく見て取れる最高の絵面だ。

 企業では決して、というより絶対作らないであろう実用性と汎用性をかなぐり捨てたIS学園整備科と篠ノ之束が作り上げたフロムが誇るバカとロマンの集大成。

 

 まさか没ネタのやつまで担ぎ上げるとは思わなかったわ。

 皆さんほんとノリノリである。あとで全員分のログを貰わなければなるまい。

 リアルでオーバードウェポンを目にする機会があろうとは。この点に置いては敵さんに感謝せねばなるまい。

 

「いやーISって最高だよな。そう思わないか? 安城」

「ふざけるんじゃないわよ」

 

 額に青筋を立てしかめっ面で睨みつける安城敬華に向かってケラケラと笑う。

 元女性の為の会会長である彼女からしたら笑みを浮かべるだけでも虫唾が走るようだ。更に青筋が増えている。切れそうだなぁ血管。

 

「なにヘラヘラしてんのよ! あんなバカみたいな武器ではしゃいで! 頭おかしいんじゃないの!?」

「おいおいそんな褒めないでくれよ敬華ちゃん、照れるじゃないか」

「名前で呼ぶな! あと褒めてないわよ! 何処聞いたらそう聞こえるのよ!!?」

 

 何をおっしゃっているのかわかりませんな。

 頭おかしいなんて我々からしたら最大級の賛辞ではないか。

 どうしたんだいきなり褒めちぎりだして、どっか具合でも悪いのかい? 

 

「ていうか俺の前に一人で来るって正気か? あ、お供の木偶人形は数に入れてねえぞ。騎士道精神の正々堂々なんて感傷的な考えで来たのか?」

「ええそうね! あなたは今度こそ私が殺すわ! クイーンから賜ったこの機体とシステムで!!」

 

 安城の頭部に見覚えのあるバイザーユニットが装着される。

 白色のクリア・ティアーズの細部が黒に変化した。こいつは……

 

「懲りずにVTシステムか。それは俺に通じねえってわからないかね」

「ただのVTシステムと思わないことね! このシステムは数多の国家代表のデータを統合し、更に対疾風・レーデルハイト用に調整された特注品。あなたの第二次形態移行(セカンド・シフト)のデータも搭載されているのよ!!」

 

 それで負けるわけないって? 舐めすぎだろ俺とイーグルを。

 だがこいつ以外にそれが搭載されていたら厄介だな。とりあえず情報を送信っと。

 

「あなたがどれだけ速かろうと私からは逃げられないわ。死んでもらう、今度こそ」

「…ムリだな」

「はあ?」

「お前なんかに俺とイーグルは倒せない。俺には分かる、無様に負けるのはお前の方だ」

「あぁ!? やってみなさいよぉ!!」

 

 安城の怒りに呼応したかのようにクリア・ティアーズの出力が目に見えて跳ね上がった。リミッター解除でもしてるのだろうか。俺に追いつくために推力もイジっているのだろう。

 

 だがそんなことよりも俺は興奮していた。

 誘導したとはいえあんな台詞とシチュエーションを用意されてしまえば。こっちもやるしかないじゃないか! 

 

《やるんだな、マスター?》

「ああやっちゃうよイーグル。ということで麻美さん、お願いします」

『私としては不安なんだけど。あなたが楽しそうならそれで良いわ。レールガンにコンテナ装填。目標、スカイブルー・イーグル・ヴァリアンサー。射出!!』

 

 バトル・フォートレスの大型レールキャノン【ガイア】からコンテナが射出された。

 高速で戦場を横切るコンテナは途中で外装をパージ。中から現れたのは……横一列に並べられた6機のチェーンソーだった。

 

 イーグルのバリアブルスラスターが腰辺りに移動、空いた背中にそれが装着された。

 

 これはダリル先輩が装備したグラインダーから正式採用された最後のオーバードウェポン。

 その名は誰もがご存知、【グラインド・ブレード】である!! 

 

「はっ!? はぁ!? あんたもそれつけるの!?」

「当然だろ! 皆あんなのつけて楽しんでるのに俺だけ除け者なんてあんまり過ぎるだろうが!!」

《不明なユニットが接続されました。システムに深刻な障害が発生しています。直ちに使用を停止してください………さあ、ケリをつけようじゃないか。見せてみな、お前の本当の力を……》

 

 イーグルボイスの不穏音声&焼け野原音声と共に6連チェーンソーが腕部に装着。

 エネルギー供給のために左腕をパージ……は流石に出来ないので左腕の装甲をリコールしてオーバードウェポン側の腕部装甲をガションとつけた。

 そして極めつけ。普通ならこの横並びしたチェーンソーでそのまま薙ぎ払うのが普通だが普通じゃないのがオーバードウェポン。6機のチェーンソーを円柱状に配置、刃が動くのと同時にチェーンソーの筒が高速で回転。あまりの熱量に火とプラズマを吐き出しながらグラインドブレードがけたたましい雄叫びをあげた。

 

「ちぃ! そんなもの、このVTシステムの前では無力、え? うそ、エラー!? 該当戦略情報なしですって!? 話が違うじゃない!! コイツは特別性だって……!」

 

 おっと? なんかよくわからんがVTシステムがデータキャラよろしくバグったらしい。

 まあそりゃそうだよね! 有史以来こんな兵器なんてあるわけないし!! 

 

「ハハハハー!! フランチェスカ、見ているか! 貴様の望み通りだ! だがそれでも……」

「いや、うそ、死にたくな」

「勝つのは我々だぁぁぁあああ!!」

 

 ギュイィィィン! という暴力的なチェーンソーの嵐が目の前に迫り、息巻いていた安城のプライドごとISが焼き尽くされた。

 

 

 

 ……余談だが、何もかもを真っ黒に焼き尽くすバカとロマンの規格外兵器(オーバードウェポン)たちはそのあまりにもぶっとんだ構造から新生IS委員会の名のもとに無事禁止兵器の烙印を押された。

 

 誰も死んでないのに禁止はおかしいやろがい!! と篠ノ之博士から直接抗議があったんだとさ。

 

 

 

 





 どうも読者の皆様。最近涼しくなってきてくれて嬉しい。作者のブレイブです。

 いやーー。満足です。
 最初はこんなことするつもりなかったんですけど。
 不意に整備科こんなの作ってたなと思ってヨシヤルカァ!!と暴走した結果がこれです。ほんとバカ過ぎるwww
 まあここでしか出せないので悔いはないです。やったぜ。

 最初から最後までネタまみれの今回。皆さん元ネタ全部分かりますかね。
 若本砲はACV生放送のネタ。グラブレは御大将。それ以外はACVとVDからとってます。
 一番ぶっとんでるのはヒュージブレードですね。振り回すんじゃないアレをwww

 没オーバードウェポンも取り出したのは驚かれたことでしょう。
 オーバードレーダーとジェネレーターないやんってなってますが。いつか何かしらで出したいですねぇ。ここ以外で出せるのかどうか。
 そしてサラッと退場した安城。もうアレに尺使う必要ないですしね。妥当です。

 カオスもカオスですが戦いはまだ続きます。
 それでは次回またお会いしましょうさようなら!
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