IS スカイブルー・ティアーズ   作:ブレイブ(オルコッ党所属)

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 読み返して気づいてしまった。
 1、2巻に箒の見せ場が無さすぎる!何故だ!彼女は少しバイオレンスで素直過ぎないだけなのに!!
 なんとかしたいな。IF後に箒メイン回でも書くか?


IF第6話【それは正しく流れ星】

 

 

「では一年一組のクラス代表は織斑一夏くんに決定です! あ、一繋がりで良い感じですね!」

 

 朝日のような朗らかな笑顔な山田先生。上手いこと言ってやった的な顔をしている。

 そんな彼女に照らされたクラスの女子(ノリ的に騒げない箒とセシリアは除く)+俺は大いに盛り上がっていま。

 

「なんで?」

 

 ただ1人、一夏は困惑を絵に描いたような顔でぽそりと呟いた。

 

 ん? 一夏と俺のバトルはどうしたって? 

 それでは回想に行こう。ごまだれ~。

 

 

 

 ーーー◇ーーー

 

 

 

「マイクロミッサァァァイル!」

「うおわー!? なんだそのミサイルいってぇ!?」

「ガットリィィィング!!」

「うおっ、近づけねえ!」

「レーザーシュゥゥゥト!」

「ちょ! それセシリアのライフルだろ!? くそっ、零落白夜!」

「ここで実弾射撃。あ、弾切れだ」

「チャンス!」

「だと思ったか! バススロットリロード!!」

「なんだその超技術! うわ、もうシールドがない!」

「グレネード12連打ぁ!!」

「アバー!」

「ガッチャ! 楽しいデュエルだったぜ!!」

 

 

 

 ーーー◇ーーー

 

 

 

 こんな感じで勝ちました。ビクトリー! 

 

 詳しく話すと今回俺は打鉄ではなく小回りと重武装を両立したラファール・リヴァイヴを持ち出した。

 戦法はとにかく射撃射撃射撃の近接メタ。

 マイクロミサイルとガトリング、スナイパーラオフル、アサルトライフルと手を変え品を変え弾幕ガンパレード。セシリアから借りたスターライトMkⅢで零落白夜を誘発。

 弾切れ、と見せかけたフェイクで零落白夜を継続的に使用した一夏のシールド残りカスに一当てしてフィニッシュ。

 

 前日と今回の試合の落差よ。あれはもはやギャグだったね。

 とにかく一夏には何もさせず、零落白夜を無駄打ちさせての自滅キル。うーん割とえげつない、だが勝てば良かろうなのだー!! 

 

「山田先生、質問を宜しいでしょうか」

「はい、織斑くん」

「何故俺がクラス代表なのでしょうか。2人に負けましたし、全勝したセシリアがクラス代表をやるべきなのでは?」

「それはですね」

「わたくしが辞退したからですわ!」

 

 今日もポーズがキレッキレ、セシリア・オルコットが高らかに宣言した。

 

「え、なら俺に勝った疾風がやれば」

「俺も辞退したからだ! 理由は後ほど!」

「お前もポーズ決めるのか。仲がいいなお前ら」

 

 この疾風・レーデルハイトには夢がある! 

 

「確かに勝負は一夏さんの負けでしたが、同時にわたくしが負ける可能性もありました。代表候補生であるわたくしとあそこまで戦えた一夏さんには光る物を感じました。クラス代表戦を通せば更なるスキルアップも望めるはず。様々な要因を踏まえた上で一夏さんがクラス代表になる方がメリットになると考え、辞退致しましたわ」

「な、成る程……で、疾風は? クラス代表になったらISに乗る回数も増えるだろうに」

「俺もセシリアと同じ意見だ。白式はピーキー過ぎるけど、使いこなせば強いのは織斑先生が証明してる。知識や技量が足りてる俺たちよりお前のほうが得るものが多い。というかお前は経験が圧倒的に足りないんだから機会が増えることの重要さは分かるだろ?」

「まあ、そうかもしれないけど」

「あと単純にクラス代表がめんどくさい」

「あけすけもなくぶっちゃけやがった! というかそっちが本音だろ!」

 

 そんなことはないぞ。どっちも本音ってだけだ。

 専用機が来るまでのIS不足に関しては休みの日に工業で乗れば良いしねー。実際専用機のデータ取りで行くことになるし。

 

 そしてやはり面倒くさい、一年任期とかだる過ぎるわい。頑張れよ一夏! 応援してるぜ!! 

 

「疾風はこの際放っておくとして、一夏さんに一つご提案が。先程言ったように貴方には光る物があります。ゼロからたった一回の練習であれほどの腕前を見せたのです。ですがまだ拙い、昨日のボロ負けがその証明です」

「何も言えねえ」

 

 シールド満タンのパーフェクトWINだったからな。

 心折れてないか心配したぜ。反省と後悔はしていない。

 

「もっと鍛錬を積めば更に伸びることでしょう。ですが指南役の疾風の専用機は2か月後。練習機では間が空きすぎてしまいます」

「まあそうだな。次の練習機貸し出しまで1週間あるって疾風が嘆いてた」

「山田先生なんとかなりませんか。もうIS欠乏症が出てます、禁断症状ががが」

「ええ!? 昨日乗ったばかりなのに!?」

 

 熱が一気に冷めると同時に身体がムズムズしてきて身体はISを求める状態になっている。早く休みにならないかな。

 次の休みまで3日。長い……長すぎる。

 

「疾風の専用機が来るまで直接的な指導が出来ないのは一夏さんにとって致命的。ですので、それまでの間このわたくしが指導役を拝命致しますわ!」

「おおっ、それは助かる……」

「ちょっと待て!」

 

 箒さんスタンダップ。目には明確な怒りと焦りを感じている。

 恋する乙女にとって全ての女子がレッドアラート、特にこのIS学園に限っては。

 

「生憎だが一夏の教官は足りている。これ以上増やせば混乱を招くだろう。故に指導は要らない!」

「それは一夏さんが決めることですわ。貴方には引き続き剣の指導をお願いします。役割分担ということですわ」

「わ、私は篠ノ之束の妹だ! だからISも私が教える!」

「あら、ISランクCで知識も不足しているということは疾風から聞いておりますが?」

「お、お前喋ったのか!? なんてことをしてくれたんだ!」

 

 口止めされてないですしお寿司。

 反省も後悔もパートツー。

 

「そ、そういうお前は何ランクなんだ!」

「わたくしのランクはAですわ」

「な!? ……ら、ランクなど関係ない! 私は一夏に頼まれたのだ。そう、どうしてもと頼まれたのだ!!」

「そうなの?」

「いやしてない……」

 

 だろうね。

 まあ箒の気持ちも分からなくもない。せっかく一夏と同室、そして懐かしい剣道の鍛錬という恵まれた環境をこれ以上侵食されるのは我慢ならんのだろう。しかも相手が時代が生んだ美少女セシリア・オルコットならば。

 こればかりは理屈ではない。乙女心は論理ではないのだ。生まれてこの方恋なんか知らないけどさ。

 

 しかし口でセシリアに勝つのは厳しいぞ。セシリアは魑魅魍魎跳梁跋扈がひしめく社交界を渡り歩く猛者だ。

 加えて箒の反撃材料が乏しい。これはもう勝ちが決まっている。箒は意地だけで食らいつくしか手段がない。

 

「お前は一夏を許さないんじゃなかったのか! そもそもお前は部外者だ!」

「その点についてはもう和解致しましたわ。それに貴方の言う部外者なら疾風も当てはまりますし。それとも、わたくしに一夏さんを取られるなんて思ってる訳ではありませんわよね?」

「そそそそそんなことあるわけ、ない!」

 

 セシリアもヒートアップしてるなー。

 セシリアはセシリアで善意で動いてるから正当性と意地がぶつかりあっている。

 山田先生は例の如く役に立ちそうもないし、ここは俺が治めるとするかね。

 

「座れ阿呆ども」

「いだっ!」

「あいた!」

 

 颯爽登場! 銀河美女! ブリュン・ヒルデ!! 

 

 の出席簿アタックが2人の頭に。相変わらず痛そうだなー。ついでに一夏も叩かれた、得意気な顔ってどんな顔だろ。

 気のせいかな、俺も睨まれた。察知力高くないっすか先生。

 

「お前たちのランクなど等しくゴミだ。ランクだけで実力の優劣はつけられん。篠ノ之束の妹や代表候補生であろうと一から勉強してもらう。下らん真似事は若さの特権だが今は私の管轄だ」

 

 ISランクは操縦者とISのシンクロ数値。大きければ大きいほどISの操作性も向上する。が、飽くまでそれは数値に過ぎない。

 うちの母さんはランクCから頭角を現して最終的にはA+に引き上げているのだ。ランクだけが全てではない。

 

「あの、織斑先生のランクはどれぐらいだったんですか」

「私はSだ」

 

 が、世の中には外れ値が存在する

 ISランクSなんてそれこそ限られた数しか存在しない。流石ブリュンヒルデ。

 

「クラス代表は織斑一夏。異論はないな」

「「はーい!」」

「異論しかない」

「敗者には選択の余地はない。分かったな」

「はい………家庭能力底辺の癖に」

 

 バシン! 

 

「聞こえてるぞ」

「ヒャい……」

 

 

 

 ーーー◇ーーー

 

 

 

 天気は快晴。俺はこの日を待ち望んでいた。

 なんたって今日は! 

 

「IS実習授業だ! 我が世の春がキターー!!」

「お前IS動かす度にそのテンションなのか」

「放っておきましょう。あれは専用機が来るまで治りませんわ」

「賢明な判断だ。行くぞ一夏」

 

 うーん周りの反応が冷たい。だけどめげないしょげないドラゲナイ。

 

「言っておくがレーデルハイト。今日はISに乗らないぞ。専用機持ちの動きを見ての解説だ」

「ななななんですってー!!!? ぐはっ……」

「疾風ーーー!!」

 

 あれおかしいな。身体に力が入らない。

 あ、地面が冷たい。まるで死んでるかのような冷気を感じる。此処が私の故郷、ジ・アース。

 

「ではこれよりISの基本的な飛行操縦の実践してもらう。織斑、オルコット。試しに飛んでみせろ」

「はい」

「は、はい」

 

 先にセシリアがISを展開。よどみない動作、流石代表候補生。損傷していたブルー・ティアーズも新品同様に修復されている。

 

「うん。やっぱりブルー・ティアーズは美人だな。乗り手も相まって相乗効果倍だな!」

「あ、復活した」

 

 セシリアのティアーズから高濃度のISニウムを受け取った。だがまだ足が小鹿のようだ。

 一夏の方は右手の腕輪を左手で掴んで念じているがまだ出てこない。

 

「早くしろ。熟練のIS操縦者は展開まで1秒もかからん」

「わかってるけど……」

「一夏ー! 最初は声に出して展開してみなー! 出る感覚さえ掴めれば武装をコールするのと同じく自然に出来るようになるから!」

「そういうもんか。よーし…来い、白式!」

 

 腕輪から光が広がり、一瞬で白式が形成。一夏に纏った純白のISはフワリと地面から浮いた。

 よし! 白式からも補給完了! 復活!! 

 

「よし、出来た!」

「当たり前だ。レーデルハイト、あまり織斑を甘やかすな」

「すいません。でもその分先生が厳しくしますし」

「フン。では飛んでみろ」

 

 セシリアは予備動作なしに飛翔。一夏は軽く足をかがめてジャンプするように飛び上がった。

 先に飛んだセシリアを追い越し、白式と一夏は天井に辿り着いた。

 

「よっしゃ!」

「高機動型なら当然だ、一々喜ぶな。次は予備動作なしで飛んでみせろ」

「ぐっ。はい……」

 

 意見はごもっともだけどもう少し手心が欲しいところ。

 織斑先生の頭には弟を褒めるという家族愛はないようだ。それとも素直じゃないだけおっと睨まれたぞ退散退散。

 

「くそー、少しは褒めてくれても良いだろうにあの鬼姉は」

「精進あるのみですわ。しかし流石ですわね、速さでは白式に勝てませんわ」

「でもセシリアの方が飛び方綺麗だぜ」

「ありがとうございます。ところでこの前の件は考えて下さいましたか?」

「指導のやつか? 俺としては頼みたいけど箒がな……」

「一夏さんも時には強く言わないと聞き入れて貰えませんわよ。特にああいう手合いには」

「わかってるんだけど。なんか千冬姉と同じで頭が上がらないんだよな」

「まあいざという時は疾風も加えて説得を……」

「おい一夏! いつまでセシリアと乳繰り合っている! 早く降りてこい!!」

 

 山田先生のインカムを奪って怒鳴る箒。

 乳繰り合うって箒さんはしたないですわよ。暴走特急は今日も絶好調だ。あ、叩かれた。

 

「なにやってるんだ箒。しかしこの高さでも全然見えるな」

「下の様子がよく見えますでしょう? これでも大分制限がかけられていますわ。本来なら宇宙空間の何万キロの光で位置情報を観測出来るのです。理論上は地球から月の表面を観測することも出来るとか」

「ほー……」

「どうかしまして?」

「疾風もセシリアも知識豊富で分かりやすいなって。箒なんか擬音オンパレードで全然わからなかった」

「想像出来ますわね」

 

 ぐっだとか、どんだとか、ぐわらきーんだとか。これには疾風からも笑顔で論外判定を食らい大ショックを受けていた女武者篠ノ之箒。

 ちなみにセシリアもセシリアで本気で説明すると専門用語満載だったりここは52度、ここは20度反転と細かすぎる説明を披露するのは此処だけの秘密だ。

 

「次は急降下からの急停止。目標は地表から10センチだ」

 

 うわー、とても初心者にやらせる奴じゃない件について。

 なんなんだろう。先生は一夏の心を折りにかかってるのでは? 

 

「ではお先に、一夏さん」

 

 先にセシリア。急降下に違わぬスピードでぶつかる! と思わせてスーーっと無理なく地表スレスレでホバー。

 10センチ以下は確実だ。流石はセシリア。

 さーて次は一夏だけどどうかなー。10センチは無理だろうけど。

 

「うまいもんだなー。次は俺だな。急降下のパワーダイブは翼からロケットブースターのイメージ……よし!」

 

 一夏も急降下。先程急上昇した時と同じスピードで……

 

 ギュンッ! ズドォォンッ!!! 

 

 グラウンドに正面から突っ込んだ。

 一瞬何が起こったか分からない超スピード。俺でなくても見逃しちゃう。土煙が晴れるとクレーターが出来ていた。

 

「誰が地上に激突しろと言ったんだ馬鹿者」

「すみませ……」

「ホハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!! アハッ、ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!」

「笑いすぎだろ疾風ーー!!」

 

 なに! なにこれなんだこれ! 

 ギュンズドーンって! 駄目だ腹いてー!! 

 

「情けないぞ一夏! こんな醜態を晒すなど、恥を知れ!」

「お前は辞書に優しさというものを取り入れろ箒ー!!」

「一夏ー! お前のあだ名が決まったぞ。これからは銀の流星と名乗れ!!」

「墜落するからそれつけただろ! 白式なんだから白にしろよ!」

 

 白い流星なんてそんな素敵ネームつけられる訳ねえだろ。そういうのは後ろにも目をつけてから言いなさい。

 

「一夏さーん! 大丈夫ですのー? お怪我はありませんか?」

「ありがとう。俺を心配してくれるのはセシリアだけだよ。ああ、セシリアが女神に見える」

「そんな褒めても何も出ませんわよ」

 

 照れることなく微笑むセシリアに思わず拝みたくなった一夏。

 吊り橋効果という奴だろうか。惚れるなよ一夏。

 

「しかし見事なまでの垂直落下でしたわね」

「いつ止まればいいんだ? って考えたときには地面だったよ」

「わたくし、ISに乗って結構経ちますがこんな場面に遭遇したことはありませプフッ」

「あーー! セシリアにまで笑われたーー!!」

「ごめんなさい。駄目ですわ、アハハハハ。こんな面白いもの久し振りに見ましたわ! とにかく怪我がなくてなによりですわ……ウフフ」

「ちっくしょー……」

 

 とびきり良い笑顔で笑うセシリアに一夏は拗ねざるを得ない。いつもならはしたないと言う感じに笑うセシリアも可愛いことよ。何しても絵になるとか反則だな。

 しかし2人とも仲良くなってくれて嬉しいわ。完全に友達の関係だ。万が一の時は俺が仲を取り持とうと思ったけど無駄な心配だったようだ。

 

「レーちん親の目線になってる」

「わかる?」

「わかるー。次はセッシーとしののんを仲良くさせたら?」

「うーん。誤解が解けない限り難しそうだよ。それに見る分には面白い」

「悪い顔してるー」

 

 他人の痴話騒ぎほど面白いものはない。

 早足でクレーターに向かう箒を見ながら高みの見物と洒落込むのであった。

 

「甘やかすなセシリア。そもそもISをつけてて怪我をするわけがないだろう」

「俺の心は傷だらけだよファースト幼馴染」

「あら、ISの防御機能にも限度はありますのよ。友人を心配することがそんなに不思議なことかしら」

「こいつを甘やかしたらろくなことにならんのだ。幼馴染である私がよく知っている!」

「素直に心配だとおっしゃれば宜しいですのに」

「な! だ、誰が一夏の心配などするものか!」

「だそうですよ一夏さん。冷たいですわねー。まさに鬼のようですわ」

「ね、猫被りよりマシだ!」

「あら失礼なことを言いますわね。ニャー♪」

「あ、今の可愛い」

「ぬっ! ぐぬぬ……ニャー!!」

「「………」」

「………」

「一夏さん、貴方の幼馴染さん可愛らしいですわね」

「ああ、不覚にもそう思ってしまった」

「お、お前らー!!」

 

 腕を振り上げて怒る箒をISの機動力で置き去りにする。

 こいつら見てて飽きねーなー。何を見せられてんだってなるけども。

 

「お前たち、授業中に遊ぶな」

「申し訳ございません。つい興が乗ってしまって」

「お前もレーデルハイトに似てきたな」

「なっ……」

「おい何故ショックを受ける」

「フン。とまあ良い例と悪い例が同時に出たが。ISは戦闘機と同じぐらいの速度を短時間で出すことが出来る。そして操縦者の意思を即座に反映する。逆に意識しなければ織斑のようになる。織斑のような無様を晒さないように気をつけろよ」

「「ハイ!」」

 

 複雑だ。ボソッと何かが聞こえた気がしたがスルーしたほうがダメージはでかそうだ。反省しなさいよ。

 

「次は武装の展開だ。織斑、やってみろ」

「わかった」

「返事は『はい』だ。馴れ馴れしいぞ」

「はい! んっ!」

 

 腕を突き出すと手には雪片弐型がコールされる。

 最初とは雲泥の差だ。努力の結果が出ている。

 

「どうだ! 今の何秒だ疾風!?」

「ジャスト1秒ぐらい?」

「うへ。目標までこれの半分かー。きっつー」

「自覚できているなら努力しろ。次、オルコット」

「はい」

 

 左手を肩の高さまで上げ、真横に腕を突き出す。よどみない一連の動作。その空いた空間に元からあったようにスターライトMkⅢがコールされた。

 

「おお、流石早いな」

「フフン」

「たしかに早い。だがそのポーズは改めろ。横に銃身を向けて敵を撃てるものか」

「こ、これはわたくしのイメージに最適なポーズで」

「展開から銃を正面に向け、狙いを定めて撃つ間に何秒ロスする」

「……改めます」

 

 おお、あのセシリアをすら瞬殺とは。

 織斑先生論破力高いなー。最小限かつ簡潔に急所を貫いて抉り抜いている。

 一夏も一夏で此処ぞというときの論破力高いから遺伝かしら。

 

「オルコット、次は近接兵装だ」

「え……」

「どうした、出来ないのか?」

「や、やります。やりますとも」

 

 スターライトMkⅢをリコールし手をかざして念じる。

 しかし展開の粒子が集まるだけで一向に形にならない。

 ああ、やっぱり近接戦は捨ててるのか。しかし出来ないのを先送りにしてるなんて珍しい……あ、目が合った。

 

「まだか?」

「くっ、うぅ………………い、インターセプター……」

 

 諦めたかのように音声コールでナイフを呼び出したセシリアは羞恥によるものが顔を赤くしている。

 

「試合でもそうだったが。代表候補生ともあろうものが鍛錬を怠ったか?」

「………想定では近接戦の間合いに入らせることすら論外でしたわ」

「だが突破されたことも事実だ」

「はい。鍛錬を積みます」

 

 意気消沈。それを絵に描いたような彼女と再び目が合った。

 がっかりしたでしょう? と言う目で見てくる。まったくしょうがないお嬢様。

 

「(意外な一面見れて良かった。頑張れよー)」

「っ! よ、余計な御世話ですわっ」

 

 周りに聞こえないISが拾える声量で喋ってやると更に赤くなってそっぽ向いた。

 

 そのあとは白式とブルー・ティアーズを教材にシールドバリアの解説やPICと言った基本中の基本などを学びながら授業はお開きとなった。

 結局ISには乗れずか。畜生め……

 

「時間だな。今日の授業はここまで。織斑、グラウンドの穴を埋めておけよ」

「1人で、ですよね……わかりました。土って何処なんだ?」

 

 うわー、結構大きい穴空いたのにあれを1人で埋めるのか。IS使えるだけまだマシか……むっ、閃いた! 

 

「織斑先生! 俺も穴埋め手伝って良いですか!」

「良いだろう」

「しゃあ!」

「だがISを使うのは禁止だ」

「一夏! 頑張れよ!!」

「お前は少し隠せ! 欲を!!」

 

 

 

 ーーー◇ーーー

 

 

 

「来たわよ。あたしが来てやったわよ! IS学園!!」

 

 時刻は夜。IS学園正面ゲート前に小柄なツインテールの少女がボストンバック片手に立っていた。

 

 意気揚々とゲートを潜るが、直ぐに顔をしかめて地図とにらめっこしている。

 

「本校舎一階総合事務受付ってどこなのよ。なんでこんな小難しい名前なのよ……いやほんと何処よ!」

 

 啖呵を切るも答えるものはいなく風のみがヒュルリと音を立てている。

 止まっていても仕方ない。行動あるのみだ。行動し続けることが自分に合っている。歩いていけば必ず辿り着くだろう。生き当たりばったりと言ってはいけない。

 

 いっそのこと飛んで探そうか……いやそんなことをすれば直ぐに警備のISが飛んできて御用だろう。

 彼女の実力を持ってしても学園の戦闘教員相手では分が悪い。最悪速攻退学届けの可能性すらある。

 

「早く一夏見つけなきゃいけないのに……いやいや別にあたしが会いたい訳じゃないわよ! 女ばかりのとこに男一人なんて心細いに決まってるし! あー! あたしってばなんて優しいのかしら。感謝しなさいよ一夏!」

 

 誰に向けてのツンデレなのか。幼馴染の名前を口にしながらなおも歩き続ける。

 

 そう、彼女は一夏の幼馴染。日本に住んでいたが家庭の事情で故郷中国に渡ってそれから会えないまま時が過ぎた。

 そんな中テレビで一夏がISを動かしたと聞いて目ん玉をひん剥いた。そこからの行動は早く、渋っていたIS学園の入学申請を希望。既に別の代表候補生が向かうところに待ったをかけ。相手の代表候補生とタイマンで決着をつけ、ついでに自分をよく思っていない偉いやつに一発ぶちかまして見事転校をもぎ取った。

 そのあと代表候補生管理官である楊麗々にぶちのめされたのは言うまでもない。

 

 とにもかくにも愛しの? 幼馴染に遠路遥々会いに来たのだ。こんなところでグズグズしてるわけにはいかない。

 こうなれば大声で叫んで誰かに来てもらおう。いやいっそのこと一夏の名前を叫ぼうか。そうと決まれば早速。

 

「あー疲れたー! IS使って土木作業をするなんて思わなかったぜ……」

「っ!」

 

 声を出そうとした口を急いで手で塞いだ。

 今の声、間違えるはずがない。忘れもしない、懐かしい男の子の声。

 

 視線を向けるとIS学園の制服に身を包んだ一夏の姿が。

 一年と少しだけなのに更にかっこよくなったように見える。鼓動が高鳴り、顔が赤くなる。

 だけどやっと会えた。会いたかった一夏に会えた! 

 

「いち──」

「まったくあれぐらいで疲れるなど鍛錬が足りぬ証拠だぞ一夏」

「ほんと厳しいことしか言わないよな箒。そんな無愛想じゃ嫁の貰い手がなくなるぞ」

「よ、よよよ嫁ぇ!? なにを言うんだ一夏!」

 

 ……誰だ? あの親しそうな女は誰だ。

 何故顔を赤くしている。しかも名前で呼び合っているだと? 

 少女の内にあった熱は冷め、変わりに赤黒い炎がメラメラと燻り始める。

 

「ですが一夏さん。あのような細かい作業はイメージトレーニングの反復練習に最適ですわ。後半の方はスムーズに出来ていたでしょう?」

「まあ確かにセシリアの言う通りだけれども」

「いやー俺もIS動かせたらなー。手伝ってあげれたのになー」

「側にいながらただ見てるだけだった癖に……」

「タノシカッタ」

「この野郎……!」

 

 もう一人出てきた。金髪のロングの女子は少女の目から見ても美人さんだ。なんかもう一人居たけど男だから無視。

 金髪の彼女も一夏と名前を呼びあって親しそうだ。

 

 2人とも美少女と呼んでも差し支えない容姿だ。少女自身も整っているという自負はあるが。少しだけ、ほんの少しだけ自身が揺らぐ。

 

 そして何よりも……

 

(2人ともオパーイがデカい!!)

 

 箒の歳にしてはデカすぎるメロンを2つ携え、歩くたびに僅かに揺れていた。その暴力的な揺れは少女の心にヒビを入れるには充分すぎた。

 なんだあの爆乳は、パッドじゃないのか? そうだパッドに違いない! じゃなければ世界が間違っている!! 

 

 セシリアの方は箒に比べれば劣るものの十二分の大きさを誇っている。そして箒よりお尻が大きく形が良い。

 バスト・ウエスト・ヒップが全てが完成されている。あれはなんだ? 本当に学生か? ハリウッドモデルが制服着て歩いているのでは? そうじゃなきゃ世界がおかしい!! 

 

 スッと少女は自分の身体に目を向ける。

 胸も尻も凹凸がない。背も相まって小学生に間違われても仕方ないスタイル

 これが地平線か、なんと美しい。

 

 そんなグンバツ美少女2人が一夏と仲睦まじく会話をしている。

 声をかけることも出来ず、気付けばその場を後にしていた。

 

「ん?」

「どうした一夏」

「いや。なんた見たことあるような子が居たような……」

「また私の知らない女か!?」

「もしくは幽霊か!?」

「怖いこと言わないで下さいまし。それよりも早く会場に行きましょう」

 

 

 

 

 

「フフ、フフフフフ」

 

 先程の少女は目の前の明かりに導かれるように歩いた。

 どうやらここが本校舎一階総合事務受付らしい。

 

「はい、これで手続きは終了です。IS学園へようこそ、凰鈴音さん」

「………」

「凰さん? どうかしましたか?」

「織斑一夏って」

「はい?」

「織斑一夏って、何組ですか?」

「ああ、1番目の男の子? 彼は一組よ。凰さんはニ組だからお隣ね」

「なんで一緒じゃないんですか? なんで隣なんですか? 胸か? 胸なのか? 貧乳に人権なしなのか畜生めぇ……!」

「ふぁ、凰さん?」

 

 虚ろな目をする少女、凰鈴音に人の良さそうな事務員さんは困惑を露わにし、手元の資料と見比べる。

 おかしい、写真では快活な少女の筈なのに目の前の少女からは闇しか感じない。というか胸って言ったか? 

 

「あ、そういえば織斑一夏くん、一組のクラス代表になったんですって。動かして間もないのにクラス代表なんて。やっぱり織斑先生の弟さん……」

「クラス代表……って何?」

「えーとクラス代表というのは………」

 

 説明を聞いている内に鈴の目に光が戻ってきた。

 だがそれは普通の光ではなく何処かギラギラした野望の光だった。

 

「二組のクラス代表ってもう決まってますか?」

「決まってるけど。どうして?」

「お願いしようかと思って、クラス代表変わってって」

「え、でもクラス代表は一年任期で……」

「大丈夫ですよ……あたし、超強いから!」

 

 にっこりと笑う凰鈴音の笑顔は天使のようだった。

 額に浮かんだ青筋がなければ、の話だが。

 

 

 

 ーーー◇ーーー

 

 

 

「というわけで! これより貧乏くじ、じゃなかった。めんど、じゃなかった。クラス代表に就任した一夏を出汁にして、カンパーイ!!」

「「カンパーイ!!」」

「隠す努力をしろ!!」

「こーとーわーらーぬっ!」

「………じゃあ隠せよ!!」

 

 クラッカーの紙吹雪や紙テープの集中砲火を食らってデコレートされた一夏の渾身のツッコミ。疾風・レーデルハイトには効かなかった。

 

「いやー今年は織斑くんとレーデルハイトくん居るから新鮮ねー。というか女子校に男って何処のラノベよ」

「とにかくクラス対抗戦も盛り上がること間違いなしだわ!」

「どうしよ、ここで告白するべきか。衆人環境ど真ん中で告白。獣電池どっかにないかな」

「あー眼福。イケメンは心のオアシスね!!」

「なあ疾風。明らかに一組じゃない人どころか上級生も居る気がするんだが」

 

 普通にクラス人数を超えた数がパーティー会場もとい食堂に集まっている

 恐ろしきかな、女子の噂は光の如く。つまり下手をやらかしたら即アウト。うーん情報社会。

 

「あらあら湿ったお顔ですわね一夏さん。パーティーの主役たるもの胸を張って堂々としませんと」

「勝手に盛り上がってるだけな気がするんだが。セシリアは流石というか堂に入ってるな」

「まあ場数が違いますので。といっても私が渡り歩いたのはここまで可愛らしい物ではありませんが。オホホホ」

「うへっ」

 

 乾いた笑い声を上げるセシリアに一夏は何かを察したのかブルッと震えた。

 人の澱みって恐ろしいからなー。くわばらくわばら。

 

「随分と人気者じゃないか一夏。羨ましい限りだな」

「本当にそう思うのか?」

「ふんっ」

 

 箒も箒で相変わらず機嫌が悪い。

 というか機嫌が良いところを見たことがない。

 

「セシリアさんセシリアさん。箒さんは何時まで空振りのシャドーボクシングでツンケンするんでしょうね。あれでは何も進展しないですぞ」

「あれは根底にあるものですわ。恐らく3年は治らないかと」

「IS学園卒業するやん」

「つまりそういうことですわ」

「灰色の青春か、可哀想に…」

「聞こえてるぞ2人とも」

「聞こえるように言いましたので」

「くやしかったら素直になれヘタレツンデレ侍」

「随分な言い様だなお前ら……」

「何の話してんだ?」

 

 せっかく恋する幼馴染と再会できたんだからもう少し喜べ。絶対一夏勘違いしてるから。てか一夏じゃなくても勘違いするから。

 

「こんばんわー。新聞部副部長の黛薫子でーす。インタビューに来たんだけど良いかな? 答えは聞いてない!!」

「凄いぞ一夏。この人ブレイクダンス得意そうだ」

「それか致命的に運がないかだな」

「あ、待ってそれは私に効く……」

 

 あ、ダメージ入った。

 くじ引きで嫌な思い出とかありそう。

 

「気を取り直して……ではでは織斑くん! クラス代表になった感想をどうぞ!!」

「え!? えーっと……まあ、なんというか頑張ります」

「建前でも良いからもう少し気合の入ったこと言えよお前」

「そうだよー。俺に触ると火傷するぜ、とか。俺の剣は108式まであるぜ、とか!」

「んーーーーー。自分、不器用ですから」

 

 お前がそういう台詞吐くには半熟どころか生卵過ぎるぞ。

 せめてハーフボイルドぐらいにはなってくれ。

 

「あはは! 前時代的だね! まあ足りないところは適当に捏造しとくから!」

 

 おい記者としてはあるまじき最低最悪外道発言が飛んできたぞ。

 これも情報社会の闇か! 

 

「セシリアちゃんもコメント頂戴」

「わたくしもですか?」

「華の専用機持ちで代表候補生だもの」

「成る程、そういうことでしたら………コホン。ではまず始めにわたくしが何故クラス代表を辞退して織斑一夏を指名したかというと。彼の実力と今後の見聞を高めるための……」

「ああ長そうだからやっぱいいや」

「おいおい」

 

 この人結構適当だな! こんなのが副部長で大丈夫か? だからこそ副部長なのか? 

 これにはセシリアも黙ってはいられない。

 

「自分から聞いておいてそれはないかと思いますが!?」

「大丈夫大丈夫! 適当に捏造しとくから。そうだな、織斑くんに惚れたということにしとこうかな!」

「当然のようにフェイクニュースをぶちまけたぞこの先輩!!」

「それともレーデルハイトくん。いやいっそのことダブル彼氏というのも!」

「黛先輩。少しでも理性が残ってるならおやめなさい。そんなことをしたらIS学園が火の海になりますわよ」

「またまたそんな御冗談を……」

「………………」

「え、マジ?」

「ええ。内部ではなく外部からも、いえ外部の方が火力は高いですわね。少なくともお二人の命はないかと」

「そんなガチトーンで男子二人の命消えるの!?」

 

 それに関しては俺も詳しく知りたいところですよセシリアさん! 

 え、殺されるの? そういう方面から来るの? セシリア・オルコットガチ勢とかそんな感じ!? 怖い! 

 

「敢えて簡潔に言うならば、一夏さんに経験を積ませる為ですわ」

「はい、ありがとうございまーす。次はレーデルハイトくんで。2人目の男の子だしコメント宜しく!」

「俺もですか。といってもセシリアと同じです、一夏は経験も知識も足りないのでスキルアップをと」

「うーん。同じ意見と来たか、インパクト足りないなー。よーし……」

「捏造とかした場合関係各所総動員で新聞部を潰して先輩も社会的に殺すので宜しくどうぞ」

「朗らかな笑顔でとんでもないこと言いやがった! この男の子怖い!!」

 

 捏造、ダメ、絶対。

 

「まあクラス代表めんどかったんで押し付けた感じもありますね」

「なにさ面白いネタあるじゃなーい! んじゃあ2人とも並んで。専用機持ち2人で写真撮るから」

「あらわたくしと一夏さんで?」

「疾風はいいのか?」

「レーデルハイトくんは別枠で取るから。ほら早く並んだ並んだ!」

 

 促されるまま海をバックに一夏とセシリアがカメラの前に。

 うーん正しく絵になる美男美女。セシリアと肩を並べられるイケメンなんてほんと数えるぐらいしかいない。

 俺? 聞くんじゃありません。

 

「それじゃあ撮るよー。1000万人の救済に必要な犠牲者の数はー?」

「え? え、えっと」

「正解は100万人でしたー。イメージだ!!」

 

 パシャリ。一瞬CV安元になった黛副部長の手でカメラのシャッターが切られ写真が撮られた。

 

「あら?」

「なんで全員入ってるんだ!?」

 

 なんちゃってクラス写真を。

 

 まだ一ヶ月も経ってないのに恐るべき団結力と行動力。一組の全メンバーがシャッターの刹那の間に一夏とセシリアの周りに集結した。

 

「私たちを差し置いて織斑くんとのツーショットなど羨ましい! 許しておけん!」

「故に邪魔させてもらった。卑怯とは言うまいな」

「まあ篠ノ之さんには負けるけどねー」

「わ、私が何処に立とうが勝手だろう!」

 

 そう、箒はわざわざ一夏とセシリアの前に立って物理的に二人の間を引き裂いている。なんて大人げない、恋する乙女は無敵である。

 

「あ、やっぱり疾風も居る。また独特なポーズを」

「祝福しろ! パーティーにはそれが必要だ!」

 

 勿論俺も居る。こんな面白いこと参加しないわけないだろう。アイコンタクトをくれた相川さんありがとうね! 

 

「オッケー! クラスの結束って感じしてて良いわね! ではおさらばしまーす! 新聞楽しみにしててねー」

「行くぞ一夏! 腹が減った! 飯だ飯!」

「お、おい箒!」

「ずるいぞ篠ノ之さーん! 織斑くーん! 私にアーンってしてー!」

「サービスでお胸触らせてあげようか? 触れない爆乳より触れる美乳よ!」

「一夏!!」

「俺は悪くねえ!!」

 

 あれよあれよと一組メンバーが食べ物の方へ。

 ああいうのなんていうんだっけ。金魚のフンとは少し違うか。

 

「ウフフ」

「どうした。えらく上機嫌じゃん」

「いえ。写真撮影で乱入されたことなんて初めてででしたので」

 

 由緒正しきお嬢様であるセシリア。周りもそう扱って大切丁寧に接してきた。

 だけどIS学園のみんなは良い意味で遠慮がない。セシリアにとってここは初めて尽くしなのだ。

 

「楽しいなセシリア。これからもっと楽しくなるぞ」

「ええ、楽しみですわ」

 

 気品ある笑みではない年相応な笑顔を浮かべるセシリア。その姿はとても可愛らしく、やっぱり綺麗だった。

 

 パシャリッ

 

「あ、ごめんね! とても良いシーンの予感したからつい」

「盗撮は駄目ですわよ」

「使用料金は要相談で」

「2人とも笑顔なのに怖い!!」

 

 

 

 ーーー◇ーーー

 

 

 

 どんちゃん騒ぎした翌日。一年一組はパーティーの余韻も冷めやらず熱気に包まれていた。

 

「あ、おはよう! 2人とも聞いた!? 隣のクラスに転校生が来たって!」

「まだ4月なのに? というか転校なんか出来るのか?」

「普通は無理だと思う。倍率一万倍のマンモスどころかダイナソー校だもん。転校するとなったらそれなりの理由が必要だよ」

「来たのは中国の代表候補生なんだって」

 

 ああ代表候補生なら納得……という訳でもない。

 代表候補生は候補生の名の通り何人も居る。セシリアのように専用機を持つ者が居れば、そうじゃない人も居る。むしろ持ってない人の方が多い。

 代表的なのは4組の更識簪さんと、上級生のサラ・ウェルキン先輩とかだな。

 IS学園に入れるほどの優良物件。つまり……

 

「あら、ということはわたくしの存在を危ぶんでの転入かしら。当然ですわね、なんたってわたくしはエリートなのですから!」

「確かにセシリアほどの人物ならその可能席は低くない。セシリアのBT適正値の上昇によってイギリスの第三世代ISの価値が跳ね上がったからな。つまり転入生はそんなセシリアに対抗できる程の有効株ということか。これは負けられないなセシリア!!」

「あの疾風? 冗談ですのでそこまでヒートアップしなくても……」

「うん知ってるよ。おちょくっただけ」

「人をからかうのも大概になさい!」

「インプラカブル!」

 

 ぐほぉ! 脇腹に貫手とは無慈悲な! 

 お前に合わせてやったというのになんて仕打ちを! というかお前が始めたことだろうに!! 

 

「このクラスに来るわけではないのだから騒ぐ程のことでもあるまい。そんなことより来月にはクラス対抗戦だろう。準備は出来てるのか?」

「ああ、セシリアが疾風の変わりにコーチしてくれているからなんとかなってる。疾風も来れる時には来てくれるしな」

「むう。私も教えたかったのだがな……」

「何言ってんだ。剣の鍛錬に付き合ってくれるから凄く助かってるぜ。ありがとな箒」

「べ、別にお前の為ではない! クラスの恥にならない為にだな」

「わかってるわかってる」

「……何もわかっていない」

「何か言ったか?」

「なんでもない! 疾風、お前も余計なことを言うなよ!」

 

 おっと先回りで潰された。箒も成長しているな。プロレスのしがいがあるというものよ。

 

「まあやるからには優勝してみせるよ」

「頼むぞ一夏! お前の勝利は皆が望んでいる! そう、優勝すれば学食デザート半年フリーパスが来るからなぁ!!」

「みんなが騒ぐのは分かるけど疾風も喜ぶのか」

「当然だろう! 俺は学食スイーツを全て平らげる男だ! お前らもそうだろーー!!」

「「「ウーラーー!!」」」

「今からでも疾風が変わったほうが良いんじゃないか、クラス代表」

「ええ。カリスマ、というより盛り上げ上手ですわ」

 

 学食デザートは月々で更新される。

 世界のスイーツが俺たちを待っている!! 脂肪? 糖分? そんなこと考えてスイーツが食えるかぁ!! 

 

「頑張ってね織斑くん! 私たちの糖分の為に!」

「クラス代表で専用機持ちは今のところ織斑くんだけだから楽勝だよねー!」

 

 いやいや専用機持ちを過信しちゃいかんよ。

 実際訓練機である程度セシリアに攻め込めたならな。ましてや白式はピーキー過ぎるし。

 といっても俺は空気の読める男。このテンションに敢えて水を刺したりは……

 

「その情報、古いよ」

「ん?」

 

 フッとニヒルに笑う声が教室の入り口から聞こえた。

 そこにはツインテールの小柄な女子がドアに寄りかかりながら挑戦的な目でこちらを見ていた。

 

「……お前、鈴か?」

「そうよ。中国代表候補生、凰鈴音。海の向こうから遥々宣戦布告って訳」

 

 風がなびき、ツインテールが揺れる。

 只者ではないというオーラを意識したその姿に俺たちは言葉を飲み込む。

 

 予感がする。これから起こるでおろう波乱の数々を。

 

「おまえ何カッコつけてんだ? すげー似合わねえぞ」

「んなあっ!? いきなりなんてこと言うのよこの唐変木!!」

 

 そしてギャグの気配も。

 

 

 






 ついに雪が降りました。どうも作者のブレイブです。
 鈴登場まで6話かー。まあ良いペースなのでは?しかし原作は書いてて楽しいですね。
 そして分かってたことですけどセシリアが一夏に矢印向いてないだけで話のテンポが違いますわ。これぞIS二次創作って感じがしますわ。
 逆になんか疾風ウィルスが移ってる気がします。すっかりおもちゃにされてる箒さん。だってあんな面白い反応したら、ねえ?

 今回のお話がよかったら高評価!感想コメント宜しくお願いします!
 次回!唯我独尊リトルドラゴン大暴れ!お楽しみに!
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