IS スカイブルー・ティアーズ   作:ブレイブ(オルコッ党所属)

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 更新遅れて誠に申し訳ない。
 
 実は二週間前に大阪行ってUSJ行ってきました。
 ハリー・ポッターエリア満喫してきました。杖も買っちゃった。
 初めてのソロ旅行だったので緊張したけど楽しかった。オルコっ党支部長にも会えましたし。

 イマジネーションは大阪に置いてきた!
 そんなわけねえだろってね。いや申し訳ないです。
 なんとか今年中にこの章は終わらせる!今はそれを目標に頑張ろうと思います。
 残り一月、応援よろしくです。
 


第64話【男ならば】

「セキュリティシステム、ファイアウォール共に突破されました! それと同時にシステムが再構成され、こちらのアクセスを受け付けません!」

「カウンタープログラムは」

「全て効果無しです」

「はぁーー」

 

 アリーナのオペレータールームで観戦していた千冬は今月最大のタメ息を吐いた。

 こちらが幾ら防壁を強化しようと対策を講じようと相手は積み木の城を蹴り上げるように無に返してくる。

 それがわかっていても対策を講じなければならない。警備責任者としてのメンツをこれ程疎ましく思ったことはなかった。

 

 気持ちを切り替えた千冬は突如現れた乱入者の姿を見て普段鋭い目を三割増しにして舌を打った。

 

 今回の試合は学園の在り方を変える絶好の機会。勝負は終わったような物だが、漁夫の利を奪われたという感覚が奥歯に挟まってきた。

 

(奴にとってそんなのお構いなしか)

 

 あの乱入者の出所。もとい開発者に向かって心中で吐露する。

 

「アリーナの状況は」

「シールドレベル5。観客席の生徒も避難できない状態です! 通信もジャミングがかけられ、専用機持ち。並びに戦闘教員との連絡も取れません!」

「恐らく援軍を寄越さないための措置だな。まったく、こちらの手段を的確に潰してくれる」

 

 アリーナ内には既にリミットダウンしてるISが13機。戦えるのが3機。

 戦力的には申し分ないが………

 

「織斑先生。正体不明ISの解析が完了しました」

「どうだ?」

「はい。形状は大きく違いますが、前回のクラス対抗戦で出てきたISの類似系統と考えて間違いなさそうです」

「生体反応は」

「反応無しです。つまりあれは」

「無人機、ということだろうな」

 

 だがそれが分かったところで今の自分たちに出来ることは限られている。

 

「山田先生。急いで通信の復旧を」

「了解しました」

 

 だが今は出来ることをする。

 決して手を止めない。

 それがせめてもの抵抗だ。

 

 

 

 ーーー◇ーーー

 

 

 

「来た!」

 

 スラスターから火を吹かして巨大なブレードを斬りかかるゴーレムⅡ。

 そのスピードは通常の白式・雪羅に匹敵していた。

 

「速いな!」

 

 ノックバックの勢いで距離を取るが相手の速さがそれを許さず射程距離を一定に保っている

 正確無比な斬撃は確実にこちらの命を捕るような動きに見える。

 無機質な殺意。表現するならこれ以上ない捉え方だった。

 

「虚先輩! のほほんさんと一緒にそこら辺に転がってる奴らを待避させてください!」

「わかったわ。本音」

「はーい、今起きまーす」

 

 のほほんさんが緊急用にプログラムされた解除プログラムを使って打鉄をアンリミテッドモードに移行して動けるようにする。

 虚先輩とともに女性の為の会の面々を安全な場所まで退避させる。

 

 色々規定破りな荒業だが非常時なので大丈夫。いざとなったら会長がなんとかしてくれる。

 斬りかかるブレードをインパルスでいなしていく。いや、いなしきれてなくて腕が痺れる。

 

「なんつーパワーなんだよ。しかもこの連撃!」 

 

 とにかく無駄がないのだ。二本の巨大ブレード、しかも固定装備という取り回しの悪い武器の癖に見事に連撃を繰り出してくる。

 だがこっちに夢中なら好都合! その隙に本命がいく! 

 接触の一秒前に零落白夜発動。黄金の刃が背後から斬りにいく。

 

 しかしゴーレムⅡは胴体から上だけ(・・・)を回転して一夏を吹き飛ばす。

 更に斬撃と同時に掌のビーム砲を乗せてきた。頭上数ミリを熱線がかすった。

 

「うおっと危ないっ!? 斬るのと同時に撃つなんて器用だな!」

「まるで箒の空裂みたいだ」

「そしてそのまま回転して?」

「やばっ! 離れろ疾風!」

 

 一夏の必死さを見たら素直に従うに限る。

 バックでブーストするとゴーレムⅡが駒のように回転しながらビームを撒き散らしてきやがった。

 これぞ本当の人間花火ってか。

 幸いビームの射程はそこまでだった。

 プラズマフィールドを展開する時間なかったし、一夏の言うとおりにしてよかった。

 

「んでさっきの話途切れたけど。あれが無人機ってマ? ていうか今の動作人が乗ってたら腰ねじ切れてたよな」

「そうだな。大分フォルム違うけど、疾風がIS学園に来る前に襲撃してきた無人機に似てる」

「無人ねえ、人が乗ってないのにISが動くってあり得な………いことはあり得ないよな。ISの場合」

 

 福音だって人が中にいたとは言え実質目の前の無人機と同様だ。

 インフィニット・ストラトスという代物は半分はオカルトに漬かってるんじゃねえかってひしひしと感じ始めてきたし。

 どっかの人が言ってた『十分に発達した科学技術は、魔法と見分けがつかない』とは、よく言った物だよ。

 

「通信駄目だ。アリーナの外とまったく連絡が取れない」

「十中八九あいつの仕業だよな」

「だろうよ。だから先ずはあいつをぶっ壊さねえといけないって訳だよ!」

 

 しかし止まらないんだけどあの人間花火。独楽のように回転しながらこっちに来てるし。

 近づけないからレンジ外からインパルスをフルチャージで撃つことにした。

 

「この威力ならかき消せるだろ!」

 

 撃たれた特大プラズマ弾は乱れ撃たれるビームを突っ切りゴーレムⅡに直進。ゴーレムⅡは当たる瞬間に止まり、胸で受け止めた。

 命中したプラズマ弾はパン! と弾けた。散ったプラズマは装甲を滑り排水口に流れる水のように両肩に生えた三本のブレードパーツに吸い込また。更にゴーレムⅡのブレードがプラズマに覆われ、大型のブレードが更に一回りも大きくなった。

 

「へぇ!?」

 

 まさかの電撃耐性ガン済み。

 耐電装甲に避雷針ユニットとか! 

 前回のゴム弾といい襲撃者がガチで俺を殺しに来てないか!? 

 

 ハイブーストで斬りかかるゴーレムⅡのプラズマブレードをプラズマフィールドで防御する。

 そしてまた肩の避雷針が光り、プラズマフィールドから二本のプラズマの線がゴーレムⅡの両肩と繋がった。

 

『警告! スカイブルー・イーグルのプラズマ・エネルギーが吸収されています』

「ふざけ! ふざけるなよオイ!」

 

 そしてなんでお前のプラズマブレードは素通りなんだよ指向性のある避雷針ってなんだよアホか! 

 フィールドを解いたら斬られ、解かなくても電池切れで斬られるという前門後門状態のなか。一夏の荷電粒子砲を察知したゴーレムⅡがイーグルから離れ、避雷針の線も途切れた。

 

 マジナイス一夏!! 

 

臓物(ハラワタ)をブチ撒けろ!!!」

 

 追いすがるように懐に潜り込む。ブライトネスを渾身の力で差し込み、プラズマの六連撃をブチかました。

 無人機なんだから臓物じゃなくて配線だな。まあいいぶちまけろ! 

 

 六連発のカートリッジを排莢。ダメ押しで三発ぶちこんだ! 

 理論的に最大連射の9連発。使ったらしばらくブライトネス使えないけど少ないチャンスを物にする! 

 

「これは流石に効くだ、ろっ」

 

 真横からプラズマブレードが飛んできた。

 ブライトネスで受け止めたが受け止めたブライトネスごと空中に投げ飛ばされた。

 

『敵IS。推定ダメージ、低』

 

 衝撃はあった。だがそれに上乗せされているプラズマは装甲の奥に届かず、全てその上を滑って避雷針ユニットに吸われた。

 

 ゴーレムⅡは空中で無防備になった俺に向けて胸部装甲を開いた。中から明らかにキャノンっぽいものを覗かせて。

 

 あ、それ明らかにヤバいやつ。

 

 視界が真っ白に染まった。

 

 

 

 ーーー◇ーーー

 

 

 

「ちょっとあれってもしかして!」

「一夏たちが言ってた無人機?」

「皆さん落ち着いて! 慌てずにゆっくりと行動を!」

 

 ゴーレムⅡの襲撃に会場は浮き足だつ観客席。

 何度目の非常事態だと嘆くか叫びたくなるがそんなことは考える余裕もなく。皆が出口に駆け込んでいく。

 

「通信はジャミングがかけられてるようです。ど、どうすれば?」

「どうするって」

 

 織斑先生からの指令がない以上無闇に動けない。

 専用機持ちが案を絞り出すなか。ダメ押しに生徒の悲鳴………というより怒声が飛んできた。

 

「ヴぁぁ!? やっぱり出口のシャッター閉められてるぅ!!」

「もう廃止しろよ出口のシャッター!!」

「だから言ったのよあいつら疫病が」

「「「お前は黙ってろぉっ! 今それどころじゃねぇんだぁっっ!!」」」

 

 シャッターを蹴っていた女子がこれ幸いと避難してきた女子に顔芸を繰り出してシャットアウトした。

 

 今年でトラブル件数は合計3回(1年生は4回)。

 IS学園の生徒は段々と仕上がっている………気もしなくもない。

 

「先ずは生徒の避難を進めよう。隔壁ならISで破壊できる」

「え、いいんですか!?」

「無問題。ほら行くわよ!」

 

 各々がISを展開。避難口で密集している生徒に離れるように注意する。

 

「わたくしたちも行きましょう菖蒲さん」

「はい。あ、疾風様!!」

 

 菖蒲の悲鳴にセシリアはアリーナのゴーレムⅡと疾風を見た。

 次の瞬間。疾風とスカイブルー・イーグルが光に包まれて………

 

 

 

 ーーー◇ーーー

 

 

 

「うおおおーー!!」

「うわったぉっ!?」

 

 

 光に飲み込まれた瞬間に一夏が横からダイビングレスキュー。シールドは減ったが継続ダメージは避けれた。

 いや、ほんと今日の一夏マジヒーロー過ぎる。

 

「ひ、光に飛び込むのは二回目だ………」

「そんな体験二回もあってたまるか」

「前の襲撃の時なんだけど」

「しかも従来機ときた!」

 

 俺がいない間にもIS学園は危険に満ちていたみたい。

 

「さっきのキャノンから出たのは俺から吸ったプラズマだな。いやまて、あんな短砲身でなんでこんな威力出るんだよ技術の差ヤバすぎる」

「無人機作れるようなのが相手だからな」

「納得、っとぉ!」

 

 空気を読まずにブレードを叩きつけるゴーレムⅡ。

 少し離れたところに居たのほほんさんがギョッとしていたが、ゴーレムⅡはのほほんさんを無視してこっちにビーム砲で攻撃してきた。

 

「あいつ。さっきから俺と疾風にしか攻撃しないな。相手チームを救助してる二人には目もくれない」

「最初から俺と一夏目当てだろうなぁ。あの避雷針と帯電ユニットとか。大型ブレードとか」

 

 あの超火力を最初から使わなかったのは、あれにはプラズマバッテリー、又はそれに準拠してるものは搭載されていないからだと思われる。

 搭載されていれば最初からブレードにプラズマを纏わしているし、現にスカンピンになったからかブレードのプラズマが消えている。

 

 つまり奴のプラズマ兵装のエネルギーは俺のイーグルに依存している。

 そして完全に俺のイーグルのメタを張られてる。

 

亡国機業(ファントム・タスク)の差し金………には見えないんだよな」

「根拠は?」

「なんとなくだから無い」

「奇遇だな。俺もなんか違うと思う」

 

 散り際(死んでない)の安城が言ってたことは気になるけどアレは無視していいとして。

 

 奴らが敗北を認めないためにこいつを乱入させ、それを悟らせない為に自作自演でやった。ていう考えもある、が。

 

 それならなんで有人機でこなかった? という疑問が浮上するのだ。

 

 そも無人機IS=女性を必要としないISの存在は女尊男卑主義者にとってはとても都合の悪い代物。

 ミサンドリーどもはISは女性だから扱える。女性にしかISは動かせない、だから自分たち女は偉い、ヒエラルキーの頂点は自分たちにある。というスタンスで行っている。

 言ってみれば、無人でプログラムとAI、又は遠隔操作で操れるであろう無人ISはミサンドリーにとって数少ない男性IS操縦者以上の驚異と言える。

 

 まあだからなんだって話。

 現状は変わらず試合も滅茶苦茶だ。

 

「さっきから零落白夜を当てようとしてるけど。あいつ、零落白夜を発動してきた時の動きのキレが鋭くて胴体に当てれない」

 

 そう。一夏が零落白夜を展開するときゴーレムⅡはものすごいキレのある動きでよけるかブレードでいなしてくる。

 まるであの時の銀の福音のように零落白夜を明らかに警戒してる動きだ。

 

「平然とブレードで受けてるからな。対光学兵器素材かアンチビームコーティングなのかも」

「やっぱり完全に対俺たち仕様のISってことだな」

「ああ」

 

 その証拠に、俺と一夏はあいつにダメージを与えられていない。

 それに先程の多対戦に神経をすり減らしている。対して無人機は生き物じゃないから疲労なんか感じない。

 

 これは………

 

「勝てないかな、こりゃ」

「ちょ、なに言ってんだよ!?」

「勘違いすんな、負けなければいいんだ。時間がたてば避難も終わる。教師陣だってこっちに介入するために動いてる筈だ」

「だけどよ………」

 

 一夏の言いたいことは分かる。

 だけどここまで対策が取られまくられてる以上、無闇に踏み込みすぎれば命の危険がある。

 いま俺たちがいる場所は試合ではなく戦場。

 

「だからここは無闇に動かず。相手の意識をこっちに向けたまま順次後退して」

『疾風ぇぇぇーー!!』

「んんあああっ!?」

 

 キーーーン!! 

 

 プライベートチャンネル越しに聞こえたテレパシーボイスが脳内を大きく揺らした。

 実際ISのボイス機能故にそんなことはないのだが。それほど迫力のあるボイスだと言うことを理解してほしい。

 

「え、いまのって?」

「せ、セシリアか? 通信が復旧したのか。おい今そっちどういう状況」

「そんなこと後ですわ!」

「はぁっ!?」

 

 先に言ってくれよ! 非常事態宣言だぞ今。

 なに考えてんだあのお嬢は。

 

「さっきから黙って聞いてればなに情けないことばかり口走りまくってますのあなたは!」

「あ、あのセシリア様。今は疾風様の言うとおり先ずはこちらの状況を」

「少し黙っていてください菖蒲さん! これからしますから!」

「は、はいな!」

 

 セシリアが菖蒲さん一括して黙らせた。

 なんか分かんないけど凄い怒ってるようだ。

 

「良いですか二人とも! いま教師陣がそちらに向かってますが。隔壁の除去に手間取ってそちらに向かうのは困難です! なので増援は見込めないと思いなさい!」

「最悪だなオイ!」

「ほらまたネガティブなことを言って!」

「客観的かつ現実的に見てんだよこっちは!」

 

 根性論でやれるほど甘くは………

 

「そんなの知りませんわよ!」

「ほんとどうしたお前!? 情緒不安定?」

「わたくしは至って正常です。疾風が情けなさ過ぎて怒ってるだけです!」

「はぁ?」

「もう完全に負けモードではありませんか! 諦めモードじゃありませんか! あの時わたくしに詰め寄られても強気でいた疾風は何処に行きましたの!」

「いや何を言いたいんだお前は」

 

 俺が聞くとセシリアはプライベートチャネルを切り。大きく息を吸い込んだ。

 

「男ならば!! それぐらいの敵に勝てなくてどうしますの!!」

「!!」

 

 センサーでセシリアを見ると。明らかに怒ってるように見え。だけど何処か心配そうにも見えた。

 

「以上ですわ!」

 

 そう言ってセシリアは避難する生徒を誘導するためにその場を立ち去った。

 

 セシリアの渾身の叱責。

 先程ハイパーセンサー越しの声みたいに脳をやられる程の大音量でもないし、喋った内容もドシンプル。

 

 だけど今ので胸のうちが激しく揺さぶられた。

 

「なあ一夏」

「なんだ」

「あいつムカつかね?」

「え、セシリア?」

「いやいやいや、無人機のほう」

 

 セシリアに大声を上げた時から律儀に止まってるゴーレムⅡを見て呟いた。

 

「多分あれ作った奴。『勝てるものなら勝ってみな』とか『うわっ、全然駄目じゃん雑魚だなこいつら』みたいに今頃画面の前で思いっきり馬鹿にしてる。そう思ったらさ」

「…確かにムカつくな」

 

 一夏の表情も険しくなってきた。

 そんなやつに虚仮にされてる。そしてそんな奴の思惑にまんまと乗せられてしまった自分にもムカついてきた。

 

「だからこう考えた。どうせ勝ちに行くなら相手が最も惨めになるやり方でやってやろうじゃん?」

「疾風。まーた悪い顔戻ってきてるぞ」

「さっきのセシリアのやつが効いたのかもな」

 

 てかあいつにここまで言われる原因もアイツだよな。ますますムカついてきた。

 八つ当たり? 知ってる。

 

 武器を構え直すと、ゴーレムⅡも再び戦闘態勢に入った。

 

「プラズマで倒したいな。プラズマ効かないと思ってる奴を電撃で倒せたら凄いそそる」

「出来るのか?」

「うーん、言ってみたけど無理じゃないかな。まあいま言ったのはぶっちゃけエクストラウィンだよ。メインは普通に零落白夜でぶった斬ろう。中に人いないんだ、真っ二つにする勢いでやっちまえ!」

「わかった!」

 

 開幕から二機同時に瞬時加速(イグニッション・ブースト)

 先行した一夏が零落白夜を起動。ゴーレムⅡのモノアイがキュイっと動き、繰り出される斬撃パターンを分析して対処に移すが、一夏は斬ると見せかけて左手の雪羅から荷電粒子砲【月穿】をゼロ距離で撃った。

 

 予想していなかった攻撃にゴーレムⅡは回避の為に上半身を回し背部ブースターで無理やり右に避けた。

 

「ゲッチュッ」

 

 カンッと! ハニカム状のシールドエネルギーがゴーレムⅡの前で弾けた。

 ボルトフレアを腰だめで撃ってみたが。

 

「当たるねぇ!」

 

 ボルトフレアのレールガンはプラズマではなくプラズマで撃ち出された実弾。

 多少プラズマを帯びてるがそれを吸いとったとはいえまったく問題ない! 

 ていってもさっきの多対戦で残弾ないけどな。

 残りを撃ちつくしたボルトフレアをリコールしインパルスのバーストモード発動。

 プラズマの大刃で接近するとゴーレムⅡは避雷針ユニットでプラズマを吸い取って無力化を図る。

 

「リーチをさぁ!」

『!!?!?』

「変えるんだよ!」

 

 バーストモードを形成したプラズマは焼失したが、その中にあるインパルス本来の実体刃が敵のブレードをすり抜けて横っ腹を切り裂いた。

 

「しっ!」

 

 そのよろけたところを一夏の零落白夜による高速の突き技がヒット。

 ゴーレムⅡはそのまま後方に吹っ飛んだ。

 

『状況更新。戦術パターン変更。スカイブルー・イーグルの無力化を選択。開始』

 

 大型ブレードがまたプラズマに覆われる。

 背部ブースターを吹かし急接近。だがこの速度は先程とは一線を越えていた。

 

 この速度は瞬時加速(イグニッション・ブースト)か! 

 

 イーグルの機動性をもってしてなんとかギリで避けれた。

 それを見越したゴーレムⅡはクイックターンで強引に反転した。通常なら人体に負荷がかかる無茶な行動だが、肉を持たない機械人形ならそんなの関係ない

 俺の背後に剣を突き立てるゴーレムⅡにイーグル・アイが予測、計測しアラートを鳴らしてくれた。

 背中にプラズマフィールドを接触の瞬間に展開し。当たると同時に衝撃を利用して上に宙返りしシザーアンカーをゴーレムⅡの両腕に巻き付けた。

 

 PICブレーキを全開。距離を離そうとしたゴーレムⅡが態勢を崩した。

 

「つーかーまーえー、ウワババババ!」

 

 こいつアンカーからプラズマ流してきやがった!

 ダメージは軽微だけど、スリップダメージ的にシールドが減ってきている

 

「うおっ! 大丈夫か疾風!」

「びっくりして声出ちゃったわ」

 

 そしてお約束通りあいつが出すプラズマ、もとい、俺のプラズマを媒介にしたプラズマは避雷針ユニットに吸い取られない。

 

 固定化した電気すら吸い取るぐらいの吸引力のはずなのになんで………

 

「あっ!」

「どうした?」

「一夏。エクストラウィンの条件見れたかも」

「本当か!?」

「……よし、行けるかもしれん!」

 

 シザーアンカーを根本から切り離して一夏と合流した。

 外れたユニットはそのままデットウェイトとして絡み付いた。ゴーレムⅡはなんとかそれを外そうとするが、でかいブレードが邪魔で上手くいかない。

 

「ちょっと付き合ってくれるか一夏。若干情報不足でぶっちゃけ博打的なプレイングだけどさ」

「お前がそこまで言う間違いねえだろ? 付き合うぜ疾風」

 

 気持ちいいぐらい即答してくれる一夏。

 なんだか頼もしすぎて笑いが込み上げてきた。

 

「ハハッ。なんか俺たちドラマの相棒みたいだな一夏?」

「良いんじゃないか? 俺と疾風は世界で二人しかいない男性IS乗りなんだし」

「そうだな。ああ、そりゃいいや」

 

 なんのイタズラか俺達は世界の中心人物となった。

 

 互いの弱みも見せあった。

 困難にぶつかりまくった。

 ズルいことを考え、ズルいことの片棒を担いでくれて。

 あと一番重要だけど気が合う。

 うん、なんかいい気分だ。

 

 右手にインパルス。左手にブライトネスを。

 両手で雪片弐型を強く握る。

 

 これ、後で思い返したらこっ恥ずかしいパターンかな? だけど一夏は本気で言ってそうだな。

 

 まあ俺も嘘じゃないし。テンション高ぶってるから。

 今はこのまま乗っかっちまうか! 

 

「よし、やろうぜ一夏!!」

「ああ、行こうぜ疾風!!」

 

 意気揚々と三度目の突貫。

 ゴーレムⅡはアンカー外すのを諦めワイヤーだけを切り裂いた。

 

『標的接近。防衛行動に移行』

 

 それに対してゴーレムⅡは上半身を激しく回転。もはや人が入っていないことを疑いのない動きにもはや驚きはしない。

 そのままビーム砲を乱射しながらこっちに向かってきた。

 

「一夏ぁ!」

「霞衣展開!」

 

 雪羅の疑似展開装甲が開いて現出したエメラルド色の霞の盾が乱れ撃たれるビームをかき消した。

 

「スイッチ!」

「解除!」

 

 霞衣と入れ替わるようにプラズマフィールドを展開して一夏のまえへ。ゴーレムⅡは回転をやめ、その勢いのままブレード二本。叩き付けた。

 

「気合い入れろイーグル!」

 

 うねりを上げるジェネレーターに呼応して色濃くなるフィールド。

 フィールドごと切り裂こうとするゴーレムⅡ。このままプラズマを吸い取って打ち破る選択を取ったゴーレムⅡはブレードを押し当てる。

 だが一向に破れないプラズマフィールドにゴーレムⅡは想定通りではない異常に気付いた。

 

 スカイブルー・イーグルのプラズマが吸い取れないことに。

 

「大当たりだ!」

 

 プラズマフィールドを解除。

 ブレードの一本が肩に当たったが、それぐらいくれてやる! 

 

 もう一度ブライトネスを突き刺し、トリガーを引いた。

 ブライトネスを伝って撃たれる6発プラズマは、先程と違いゴーレムⅡのシールドと装甲に余すことなく叩き込まれた。

 

『プラズマアブソーブ正常に作動中。敵ISのプラズマエネルギー吸収失敗。ダメージ40%。理解不能。情報構築開始………』

「イーグルのプラズマが吸い込まれていないぞ!?」

「やっぱな」

 

 恐らく奴は俺のプラズマをそのまま放出してるのではなく、一旦溜め込んでから波長の違うプラズマとして放出している。

 あの避雷針は一定の波長以外のプラズマのみを吸い取る。

 

 だから俺はそれを逆手に取った。

 さっきワイヤー越しに流されたゴーレムⅡの電撃の電位の値を計測し。奴と同じ波長パターンのプラズマを構築したのだ。

 

 どういうメカニズムで吸い取る電気を分けてるのかは分からないが。原理は俺の予想通りの筈だ。

 電位とかそういうのが関係してるんだろうけど。正直俺の頭はそれを説明できるレベルじゃないから割愛。

 今重要なのは、この短時間。奴がそれを理解してプラズマの波長を調整するまでこちらのプラズマが通じるということ。

 

「斬れ! そのままやってもいい!」

「うおーーっ!!」

 

 ノックバックで離れたゴーレムⅡに斬りかかる一夏。零落白夜の発動にゴーレムⅡは対抗しているパターンで対応する。

 

「今だ! 二段階瞬時加速(ダブル・イグニッション・ブースト)!!」

 

 零落白夜が当たる直前に瞬時加速を越えた二段階瞬時加速で体当たりを噛ました。

 インパクトのタイミングをずらされたモーションパターンは使い物にならず。渾身の一太刀がゴーレムⅡの胴を滑った。

 

「逃がすかぁ!!」

 

 雪羅の零落白夜を展開。身の丈程ある光の爪はシールドと絶対防御を破砕し、ゴーレムⅡに爪痕を刻み、内部パーツが見え隠れした

 

「浅いか!」

『損傷率92%。一時後退を選択。態勢を』

「いや、充分だ!」

 

 後退をしようとするゴーレムⅡに影がかかる。

 モノアイが上を向いたが対応が間に合わない。上空から強襲したインパルスの穂先が絶対防御を突き破り。零落白夜でついた傷痕から内部機械まで深々と突き刺さった。

 

「ゼロ距離で吸われてたけど。マイナス距離でも吸えるのか?」

『!?!?!?!?』

「弾けろ」

 

 めり込んだインパルスの切っ先から高電圧を流し込んだ。

 無人機の身体を構築していた回路や機材が次々とショートし、両肩の避雷針ユニットが中から吹き飛んだ。

 内側から次々と誘爆が起こり、プラズマと爆発で膨らんだゴーレムⅡは盛大に爆ぜてバラバラになった。

 

 吹き飛んだパーツが次々と地面に落下する。

 頭と胴体だけになったゴーレムⅡは不規則にモノアイを光らせたあと。静かに停止した。

 

「………ふー」

「やったな疾風!」

「ああ。一夏のお陰だ」

「なに言ってんだよ。お前がたてた作戦が良かったんだよ」

「そりゃどうも」

 

 どうやら分の悪い賭けには勝てたようだ。

 

「そういや。今回の多対戦はどうなるんだ?」

「あー。その事については後で考えよう。アリーナのシールドとかセキュリティも解除されてるみたいだし」

「だな。まあ何にしてもようやく終わったことだし。戻ってお茶でもーーー」

 

 ビー!! 

 

『警告! 敵ISが再起動。ロックされています』

 

「なにっ!?」

 

 一夏がゴーレムⅡの残骸を見ると。ゴーレムⅡの胸部装甲からプラズマ砲と、一際赤く輝くモノアイが見えた。

 狙いの先は、スカイブルー・イーグルの背中だった。

 

「疾風! 逃げろぉ!!」

「焦んなよ一夏」

「え?」

 

 臨界まで溜めたプラズマ砲が発射される瞬間。頭上から六基のビークが胴体だけのゴーレムⅡに突き刺さった。

 万が一を考え、先程上空から攻撃するときに空中に置いてきた物だ。

 

「中でエネルギーがくすぶってたのバレバレだったぜ? 死んだフリなんてコスい手、他のIS相手なら通じただろうけど。このスカイブルー・イーグルの目は誤魔化せない」

 

 観察特化仕様ハイパーセンサー【イーグル・アイ】。

 分析に置いては他のISより一手先を行く。

 

 砲身を潰されて行き場を失ったプラズマはゴーレムⅡの胴体を駆け巡り、膨れ上がった。

 

「言ったろ? お前はプラズマで倒すって」

『理、解………不能………』

「俺たちの勝ちだ」

 

 背後でゴーレムⅡが木っ端微塵に爆発した。

 俺は後ろを振り向くことなく。その場を離れた。

 

 エクストラウィン、達成。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なあ、一夏。今の俺、最高にカッコ良くない?」

「あー。今の台詞なかったら満点だったかな」

「アチャー」

 

 

 




 科学過ぎることはニワカで押し通すことにしました(オイ)
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