IS スカイブルー・ティアーズ   作:ブレイブ(オルコッ党所属)

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第7話【辿り着いた約束】

 開始と同時に光が弾ける。

 

 ブルー・ティアーズの後付装備、スターライトMkⅢから放たれるレーザー。

 レーザーといっても、厳密には光速ではない。何故なら、まだ人類は光を完全に物理化したとは程遠いから。

 それでも光速に近い、ビーム兵器より速いそれは、人の動体視力、身体能力では見切ることは愚か回避することなどほぼ、いや不可能と言っても良い。

 

 だがISに乗った者は違う、ハイパーセンサーにより拡張された人間の感覚は、その不可能を可能とする。

 そして、このスカイブルー・イーグルに搭載された鷲帽子の強化観察型ハイパーセンサー【イーグル・アイ】がそれをより確実な物にする。

 

 顔面を撃ち抜くべく放たれた青白い光を紙一重の動きで回避ーーーしきれなかった。

 SEがほんの少し、本当に少し減ったのだ。どうやらレーザーから散った光がシールドにぶつかったのだろう

 カッコつけたらドジを踏む呪いでもかかってるのだろうか。幸いセシリアがそれに気づく事もなく続け様レーザーを撃ち込んできた。

 

 迫るレーザーの射角をイーグル・アイで計測し回避する。いくらISと言えど、レーザーを見てから回避は困難だが、こいつの推力はそれを為した。

 上々の仕上がりだ、打鉄鉄風で慣らした成果が上手く出ている。

 無論それだけではない。専用機の名にはじぬ使いやすさ、フィット感がある。フルオーダーメイドのこいつは今まで乗った訓練機とは段違いに乗り心地がよく、そして楽しいのだ。

 

「良く避けますわね。ですが、逃げてばかりで張り合いがありませんわ!」

「なら、こちらからも撃ってみようか!」

 

 バススロットからアサルトライフル【ヴェント】をコールして撃つ。

 銃弾は狂いなくセシリアの元へ飛ぶが、むざむざ当たる彼女ではない、軽くいなしてからスターライトMkⅢの照準を合わせ、撃つ。正確無比な射撃はヴェントを持っていた左腕に命中。

 ヴェントが手から離れるやいな、インパルスの穂先をセシリアに向け、突っ込む。

 

「苦しまぎれの特攻など!」

「ふふん、それはどうかな」

 

 不適に笑う俺に疑問を持ったセシリア、直ぐにその疑問は解消された。

 向けたインパルスの穂先が中心から割れ、横にスライドしたのである。割れた中心に青白いプラズマが走り、コンマ秒で収束、圧縮されたプラズマ弾がそのまま槍から撃ち放たれた。

 ヴェントによる射撃はフェイク、本命は槍に隠された射撃兵装。

 完全に虚を突かれたセシリアは即座にブルー・ティアーズを動かし、なんとか肩を掠る程度に納めるも、確実に隙が生まれた。

 それを逃す手はない。スピード型であるイーグルのウィングが唸りをあげティアーズに肉薄し、インパルスをそのまま叩き付ける。

 迫る槍に、セシリアはスターライトMkⅢでインパルスの刃ではなく柄の部分で受け止めた。

 

「電撃。それが貴方の第三世代装備ですか」

「今までありそうで無いだろ? 結構難しいらしいんだよ、この技術は!」

「っ! きゃあ!!」

 

 バチチチッと装甲を走る電流が勢いを増し、イーグルの肩と膝のスリットが開き、青い光が漏れだしていた。

 マズい! と思うも時既に遅し、イーグルから発せられた密度の高いプラズマフィールドがセシリアとブルー・ティアーズを鍔迫り合い状態から吹き飛ばした。

 追撃に再びインパルスのプラズマ弾が発射、セシリアもオート照準で腰に備えられた実弾型ビットからミサイルを吐き出し、プラズマと衝突して爆ぜた。

 

「ティアーズ!」

 

 来るか! 

 スラスターのプラットホームから放熱板のようなパーツ、機体と同じ名を持つ彼女の第三世代兵器、ブルー・ティアーズが射出される。

 

 四つのビット兵器は彼女を中心に四方に散らばる。

 ハイパーセンサーが射撃体制に入ったビットの存在を知らせてくれた。

 小さな射手の一つからスターライトMkⅢより出力の低いレーザーが撃たれる。センサーで察知した射撃をなんなく躱す、だがその次、また次を躱しきるも最後の1発が肩のアーマーに直撃した。

 機体が崩れる、直ぐにマニュアルで下に退避、仰向けのまま地面を滑るようにビットをやり過ごしていく。

 

 途端、ビットの動きが緩くなった。それはつまり。

 

「うおっと!」

「くっ!」

 

 本体からの狙撃の合図だ。ハイパーセンサーにより事実上死角が無くなった視覚はこちらに狙いを定めたセシリアの姿がぼんやりと写っていた。

 やはり情報通り、セシリアはビット操作中は移動も攻撃も出来ない。ブルー・ティアーズの脳波操作型自立移動兵器は世界に多くある第三世代兵装の中でもトップクラスの難易度を放っている。

 BT適正値の公式記録の上位に立つセシリアでさえこれなのだ。操作の仕方は解れど、それをより高みに移行する術はまだ解明されていないのだ。

 そのBT兵器の試験運用のデータ取得がセシリアがIS学園に来た理由である。

 

 話を戻そう。セシリアはビット操作と自機操作のどちらかしか行うことが出来ない。こちらとしてはイーグル・アイを持ってしても四方から襲い掛かるビットの飽和攻撃を完全に対応するには経験不足。つまり。

 

 先程地面に落とされたヴェントを拾いあげ、セシリアに向かって撃つ。

 フルオート連射ではなくセミオート。間隔をあけ、インパルスのプラズマ弾を挟み込んでセシリアに止まる時間を与えない。

 ビットを回収したセシリアは忌々しいと不快感を露にした。

 

 

 

 ーーー◇ーーー

 

 

「わぁ……凄いですねレーデルハイト君、入学当初の織斑君より動かせてるんじゃないですか?」

「レーデルハイトは学園に入学する前からISの知識を詰め込み、ISの構造を理解している。織斑と違って入学からISに触り続けていたからな。専用機にも乗っていれば、あれくらいは動かせる」

 

 アリーナの管制室、一年一組の担任と副担任が二人の模擬戦を観察していた。

 

「情報収集も欠かせなかったのだろう。ビットを脅威と判断し、断続的にオルコットに攻撃を加えることで、ビット操作に集中させない動きだ」

「織斑君の時は近接ブレードのみでしたから、出来ない動きですね」

「機体の相性も良いとは言えん、色々な要因がレーデルハイトに味方している」

 

 セシリアのレーザー狙撃が降り注ぐ中、避けられない攻撃はインパルスから発生させたプラズマフィールドに弾かれ、歪曲して地面に落ちた。

 疾風が接近しようとするが、セシリアは的確に移動ルートを潰すため、思うようにいかない。

 

「オルコットさんも頑張ってますね」

「ああ、いつも以上に気合いが入っている。入学当初と同じ人物とは考えられんな」

「そこまで言っちゃいますか」

「奴は今本気で勝負している。もし織斑との初陣でオルコットが慢心していなければ、織斑はファーストシフトを迎えることなく落とされていただろう」

 

 試合時間が異様に長かったのが、それを物語っている。

 

「思い出しますねぇ。私あの時ヒヤヒヤしましたよ。オルコットさんがクラス代表の時に言ったこと。織斑先生が今に動き出さないかって、生きた心地しませんでした」

「お前の中の私はどんだけ短絡的なんだ? あんな若気の至りの小娘の言い分など、どこぞの兎に比べたら可愛いもんだ。それに織斑の圧倒的知識不足や周りのミーハー具合いを見れば、そんな考えもくるだろう。ーーーーーー一夏の知識不足の要因は私にもあるしな………」

「え?」

「なんでもない」

 

 再び模擬戦の様子を観察する。

 疾風の斬撃が空を切り、セシリアは後方移動しながら狙撃を行う。

 

「レーデルハイト君、このまま行けますかね?」

「どうだろうな、レーデルハイトは上手く操縦してるように見せてるが、まだ機体に振り回されている。見てみろ、一度目の射撃は避けれているが、二度目の時間差射撃のほとんどは防御している。奴のISの性能なら、難なくよけれるはずだ」

「ですが、ダメージらしき損傷は与えられているとは」

「ああ、このままオルコットが何らかの動きを見せなければ、そのまま押しきられて負ける可能性も充分にある。だが勝負はまだわからん。我々はハプニングに目を光らせておくとしよう」

「はい」

 

 疾風が入学する前に起こった二つの事件、今回は第2の男性操縦者の初専用機戦。

 ただ観戦するだけの余裕は、今の教師陣にあるとは言えないのだ。

 

 

 ーーー◇ーーー

 

 

「でいぃやぁっ!!」

 

 渾身の降り下ろしがティアーズの肩をかする。段々と近接にシフトしていったイーグルの動きは、付かず離れずを繰り返しひたすらビットを射出させない戦法に、セシリアのフラストレーションは溜まるばかりだった。

 

「どうした! 段々槍が届いてきたんだが!」

「余り調子に乗らないで下さいまし!」

 

 ビットを全展開、分かれた四門の砲口からレーザーの雨が降り注ぐ。その射線を解析、計測し一番被弾率の低いルートを全力で押し進んだ。

 被弾しそうなレーザーはインパルスのフィールドを展開して突破。横凪ぎに振られたインパルスを空いた手に展開された防衛用ナイフ【インターセプター】で受け流す。

 勢いを殺さず上下逆さまの状態で蹴りを入れる。同時に脚部装甲が開き、プラズマの刃が飛び出した。

 

「隠し武装!?」

「せいぃやっ!!」

 

 脚部プラズマブレードがセシリアの横っ腹に当たる。SEが削られ、よろけたところにインパルスを力任せに降り下ろす。ヒット、そのままブルー・ティアーズを下に突き落とした。

 苦し紛れに無理矢理スターライトMkⅢの狙いを定めて、撃ちまくる。だがそれは当たらない。

 インパルスの穂先が開く、先程より長くチャージされ、プラズマの輝きも強い。

 

 正直、セシリアにとってこれは想定外だった。勿論油断や慢心などしていない、だがそれでも此処まで自分の思うように行かなかったのは初めてだった。

 此処に入学してもうすぐ三ヶ月、今もなおビットを思うように動かせない自分に腹がたってくる。目の前にいる彼は動かしてまだ三週間、ISの性能もあるだろうが、それを扱う技量が三週間のそれではなかった。

 否、三週間ではない。疾風は遥か前からISというものを知り、自身を鍛えてきた。いつか今この瞬間来ると信じて。

 悔しい、ただひたすらに悔しかった。一夏に追い詰められた時より何倍も悔しかった。

 

 このままプラズマが直撃すれば自身のSEは大幅に削られ、負ける可能性も大いにある。

 嫌だ、負けたくない。決して代表候補生の自覚や祖国の為だけではない。

 彼に負けたくない。この日を楽しみにしていたのは自分もだから、それをこんな腑甲斐無い結果にしたくはないと。

 スターライトMkⅢの持ち手を強く握りしめた。今もなお輝くプラズマを放たんとする疾風に、セシリアは一つの思いを込めて引鉄を引いた。

 

「負けたくない!!」

 

 蒼のISから放たれた光が空色のISに向かう。

 

 

 ーーー◇ーーー

 

 

 レーザーが飛来、なんなくよける。後方からビットが近づいているが、本人から撃たれたならばビットからの射撃はないだろう。追い詰めた、後はこいつを当て、残ったSEを強引に削りきれば俺の勝ちだ。

 

 インパルスのプラズマ砲が臨界を迎える。

 最大出力のプラズマのトリガー引きプラズマを発射。

 先程より大きいプラズマ弾がセシリアの左手に命中、ビットはなおも接近中。プラズマが命中したからセシリアの集中力も途切れただろう。計算に入れれば間に合わうことはない。

 と思っていたら後ろの砲台のうち二機が火を吹いた。予測より早い、だが問題ない、こいつの機動性ならギリギリ避けられる。

 

【ブルー・ティアーズ、射撃体制】

 

 アラートも束の間セシリアがスターライトMkⅢを発射、同時に残りのビットからレーザーが放たれた。

 

「はっ?」

 

 錯覚だろうか、いや錯覚ではない。しかし何故だ? セシリアは出来ないんじゃなかったのか。

 ビットと本体からの同時射撃を! 

 

 乱れ撃たれるレーザーを避けながらセシリアを撃とうとしたヴェントは別のビットに撃ち抜かれて爆散する。

 

 やはり気のせいではない。ISとビットの同時操作を行っている。

 

 幸いにも最大稼働状態であるフレキシブルの歪曲射撃を行っていないのを見る限りそこまでは至っていないみたいだが、一気にこちらの目論見が崩された。

 

 そこからは一気に形勢逆転。

 制約を外されたセシリアとの戦いは技量の差が明確に出ていた。ビットの射撃は試合開始当初とは正に雲泥の差。

 ビットの射撃は本体ほど正確ではないにしろ明らかに命中率とその挙動が良くなり、実質1対5の状況。イーグル・アイをもってしてもその挙動全てを把握し、整理することは今の俺では難しかった。

 

 残った射撃兵装のインパルスのプラズマを放つも当たる気がしない。

 

「行きなり化けすぎだろコラァ!」

「運も実力のうちですわ!」

「今運って言った!?」

 

 若干戸惑っているセシリアの顔を見る限り隠し玉ではなく、同時操作はこの土壇場で発現したみたいだ。いやいやそんなのありか! 

 右肩と左足を擦れ違い様当てられる。SEがガクンと減らされる。

 エネルギー補給の為、ビットが彼女のプラットホームに戻される。これはチャンスだ。

 

 不恰好な体制のままカスタムウィングの位置を操作してハイブースト。

 先ずは接近して組伏せる、自身を射撃ラインに入れてしまえばビットでも狙いづらくなる。

 インパルスの柄を握りしめてセシリアの顔を睨み付ける。

 彼女の口角が僅かに上がった。何か? と疑問に思うと、ブルー・ティアーズの腰に装着されている実弾型のビットが消えている。

 

 突如アラート、自身の左右から4機のミサイルが飛来。

 無理な体勢で飛んだため回避運動が出来ない。

 

「やばっ」

 

 ミサイルが命中、イーグルの姿は爆煙の中に消えた。

 

 

 ーーー◇ーーー

 

 スカイブルー・イーグルが爆煙に包まれる数分前、もう一人の男性IS操縦者である一夏は呆気に取られていた

 

 ああもセシリアの射撃をよけれるとか、本当に何回目かわからないがあいつ本当に初心者なのか? と

 対して一夏の初陣はむしろ当たりまくりだった記憶、序盤でセシリアの射撃を少しでも避けられていたら、零落白夜によるSEゼロで自滅、なんて情けない結果にならなかったかもしれない。

 

 しかし疾風と違って一夏の場合はISの練習をしていなかったというのもあった。

 自身の指導元である箒がISよりも剣道の練習をさせ続けたせいでもあったりするのだが。まあ、最初に剣に触れたお陰でISに乗った後でも殆んど問題なく雪片弐型を振るえたってのもあるから、決して無駄ではなかったが。

 

 ………いや説明されたとしても理解出来なかったのでは? 箒の教え方はなんとも擬音のオンパレード。

 例をあげるなら『そこをクイッとしてここでグワラキィィン! だ!!』

 この教え方でどう覚えろと、言うのだろーーー

 

「ん? いた、いだだだだ!! 何するんだ箒! いたただだ! 痛いって、つねるなよ!」

「なに、お前が私に対して失礼な事を考えていたようだからな。以心伝心とは素晴らしい事だな一夏よ」

「素晴らしくない!」

「以心伝心は言いすぎだとしてもお前は顔に出過ぎだ。少しポーカーフェイスとやら覚えることだな」

「いたたたたっ!」

 

 以心伝心はともかく見事的中した一夏の頬はまあ延びること延びること。これが彼女の照れ隠しなのだがそんなのわかるはずのない一夏。

 そんな状況を放っておくヒロインズではない。

 

「ちょっと何試合見ないで痴話喧嘩繰り広げてるのよ!」

「痴話喧嘩? シャルロット、痴話喧嘩とはなんだ?」

「えと、夫婦でする喧嘩みたいなもの…かな?」

「何夫婦だと!? 嫁よ! 私という夫がいながらお前は!」

 

 嫁じゃない! 何時に直ったら直るんだその誤情報は! 一夏は声に出したいものの依然として箒に伸ばされてるため上手く喋れない。

 

「ふざけるな! 一夏私の、私の…んぐっ」

「じゃあ僕が立候補しちゃおうかな?」

「させると思ってるの!」

「シャルロット! 例えお前でも容赦はせんぞ!」

 

 誰か助けてください、なんとか箒の頬っぺ伸ばしから逃れた一夏は天にも地にも祈った。

 

「隣良いかな? 織斑君」

「え? あ、はい」

 

 声をかけてくれた救世主様の方向に顔を向けるときちんとワックスが整えられた金髪の青年が隣に座ってきていた。

 

「初めまして。僕は疾風の兄のグレイ・レーデルハイト。弟がお世話になっております」

「あ、どうも。えと、なんで俺の名前を?」

「それは当たり前さ、男ながらISを使える君を今の世界知らない人はいないと思うよ? 勿論うちの疾風もそれに当てはまるけどね」

 

 か、考えてみればそうだ。

 どうもそこまで自分が凄い人間なのか今一よくわからない一夏は愛想笑いで返した。

 

「それで、なんでこっちに?」

「いやー、流石にあのなかに居続けるのはちょっとね」

「あのなか?」

 

 

 

「行けぇ疾風ぇ!!」

「そこです御曹子!」

「疾風様頑張って!」

「目だ! 鼻だ! 耳だ!」

 

 見るとレーデルハイト工業の職員であろう人々が一丸となって疾風を応援していた。

 特に体格のでかい男の人はレーデルハイト工業のロゴの入った旗をブンブン振り回していている。

 そしてその中心にいる金髪美人の女性はその異彩の中で平然と試合を見ていた。と思ったら疾風が攻撃を与えた途端立ち上がって回りと一緒に声を張り上げた。

 確かにあのなかに入りたくはない。離れた場所からでも圧倒されるのだから近場にいたらどうなるのか。

 現にあの集団の周りだけ不自然に空席だ。

 

「ところで、君には今の疾風がどんな風に見える?」

「どうって。楽しそうっすよね?」

 

 そう、疾風がISに乗るとき何時も楽しそうだった。勿論普段が暗いという訳ではないのだが、ISを目の前にするとヒーローショーに釘付けになる子供宜しく目を輝かせるのだ。

 

「そう、今疾風は楽しんでいるんだ。ずっと叶えたがっていた夢の一つが叶ったからね」

「夢ですか?」

「そう、いつか自分が設計した機体でバトルに挑みたい。男だからという理由でISに乗れないという現実を突きつけられ続けたあいつにとって、今の時間は何物にも変えがたい時間なんだ」

 

 グレイの声に一夏は上空の疾風に視線を戻す。

 先程の好戦より一転、セシリアに追い詰められつつある疾風は劣勢ながら笑みを絶やしていなかった。

 一夏の初陣の時は楽しむ余裕など微塵もなかった。いや、今の疾風もそんな余裕はないのかもしれないが、それでも笑っているのだ。

 

「だから一夏君、男でISを動かすというのは特別という言葉だけで片付けれないんだ。君と疾風の存在は今の世界を容易くひっくり返してしまう可能性がある。その事は覚えておいてくれ。ごめんね、なんか説教くさくなって」

「いえ、そんなことは──あぁっ!」

 

 再び試合に目を向けるとセシリアが撃ったミサイルが疾風に直撃した。

 

「大丈夫だよ」

「え?」

「うちの製品と疾風は、あれぐらいで倒れるほど柔じゃないよ」

 

 

 ーーー◇ーーー

 

 

「………手応えありですわ」

 

 そう言いながらもセシリアはライフルのスコープから目を離さなかった。

 今だ漂う爆煙の周りを四機のビットが周回しながら煙の中のISに備えていた。

 

 何故だか分からないが、セシリア本人のBT適性値が急上昇した。試合前が35%なのに対し、現在は倍の73%になっている。

 勿論理論値限界のフレキシブルは使えないが、今までよりビットに意識を割かずともスムーズに操れるようになったのだ。

 いったい何故? と考えるも一旦中断する。まだ試合は終わっていない。

 スカイブルー・イーグルのSEは大幅に削った、後は煙が晴れたあとに包囲殲滅すれば良いこと。

 

 やがて煙が晴れ、セシリアはビットに射撃を命じようとしたが、その中に居たイーグルの姿に目を見開いた。

 

「な、なんですのそれは?」

 

 晴れた煙の中、スカイブルー・イーグルは正4面体のクリアブルーのバリアに包まれていた。それぞれの頂点にはステルス戦闘機を小さくしたような、くの字型の飛翔物が浮かんでいた。

 

「まさかそれはーーーまずい!」

 

 バリアが解除、イーグルの周りに浮かんでいた飛翔物の先端からプラズマ刃が飛び出し、周りを周回していたセシリアのビットに襲いかかった。急ぎビットを後退させようとしたセシリアだったが。一機が遅れ、計6機の飛翔物に食い尽くされるかの如く細切れにされた。

 

 総勢六機の飛翔物がイーグルのウィングに格納される。

 その飛翔物に酷似した物を、セシリアは確かに知っていた。

 

「ビット兵器はブルー・ティアーズだけの十八番じゃないぞ」

 

 ブルー・ティアーズに搭載されているもののほぼ同じ大きさのそれは間違いなくビット兵器のそれだった。

 

「今まで使わなかったのはこれの細かな調整が今終わったからだ。さあ、まだこれからだ! 楽しもうぜセシリア!!」

「望むところですわ!」

 

 ビットのチャージが終了し、互いのカスタムウィングのビットをスタンバイする

 

「行けよビーク!!」

「行きなさいティアーズ!!」

 

 カスタムウィングから6機のビット兵器【ビーク】を射出、セシリアのビットと交差しながら入り乱れる。

 

「初めてのビット操作でこれ程の動きを? その機体にはBT操作システムが組み込まれてるとは考えにくい。いったいどういう絡繰りですの!?」

「態々手の内を晒すほど俺はお人好しじゃない。少し考えればわかるんじゃないか?」

「いいでしょう。ならその絡繰り、必ず見つけ出して見せますわ!」

「なら把握しきる前に倒す!!」

 

 ブルー・ティアーズのビットをビークに任せて俺はセシリアにプラズマを撃つ、ビット使用時の制約が外されたセシリアは避けながらもレーザーとミサイルを撃ちながら応戦する。

 5時方向から撃たれたビットからのレーザーが頭をかする。少しでも気を抜けばビークの追跡をかわしたビットが俺のISを獲りに来る。

 気を抜けないなこれは。

 短所を無くし、接近戦以外の有利が無くなった今でも、俺の口元は笑みを絶やさなかった。

 

 

 ーーー◇ーーー

 

 

「そこっ!」

「なんのっ!」

 

 試合開始から15分、ビークの一機が敵のレーザーに穿たれた、それと同時に滞空していたミサイルビットを別のビークで切り落とした。

 ビット同士の応酬から暫くたった後にセシリアが的確にビークを撃ち抜いてきたのだ。

 こりゃ気づかれたかな、ビークの仕組みに。

 

 ビット兵器はビークが三機、ティアーズはレーザー二機を残すのみ、イコライザの武装は健在だが、こちらのインパルスに過負荷がかかっていると警告がきている。

 もともとインパルスは出力強化を図る前に製作されたもの。強化されたイーグルの出力に槍が耐えられなかったのだ。

 後数回電磁フィールドによる防御を行えばインパルスは爆発四散するだろう。

 本体の電磁フィールド発生装置もクールダウンしてるため使用不可。

 

 お互いのSEもレッドカラー、後2、3撃当てたらSEはゼロになる。

 

「息が上がってますわね。ギブアップなら受け付けますわよ?」

「抜かせ、ビットはこっちのほうが多いぞ」

「ですわね」

 

 セシリアがビットを動かし、ビーク一機を二方向から撃つ。辛うじてかわすビットだがスターライトMkⅢからの狙撃が掠り、二撃目のビットレーザーの光に焼かれて落ちた。

 

「これで同数ですわ」

「にゃろう」

 

 上から得意気に頬笑むセシリアに対し苦笑いで返す。

 ビットがそれぞれのスラスターに収まりチャージされ、もう一度巣だつ時をまつ。

 

「正直驚きましたわ、貴方がここまでやるとは」

「ティアーズが前のデータ通りなら充分勝ち筋はあったんだがな」

「あら弱音ですか?」

「まさか、ワクワクが止まらなくて大変だよ」

 

 待ち望んだ瞬間、飛び交うプラズマとレーザー、付かず離れずの応酬、アリーナを駆け回る二つの蒼。

 願うならばこの時がずっと続けばと思った。だが勝負は決着がついてこそ勝負、セシリアもそれが分かっているのかスターライトMkⅢを握り直す。

 

 行くぞ、イーグル。俺の相棒。ご要望通りお前を限界まで強化したんだ。不甲斐ない様見せたらオーバーホールだからな。

 スカイブルー・イーグルの出力をあげる、応えるようにプラズマ・ジェネレーターが唸り声をあげた。

 

「ーーーーー疾っ!!」

 

 爆発的に加速、同時にビークを展開。

 同時に展開されたティアーズから降り注ぐレーザーを掻い潜るように進み、ビークのコマンドは全て防御に回した。

 

 一つ、そして残り一つとこちらのビットが競り負ける。

 セシリアとの距離はISの距離感で5歩か6歩。スターライトMkⅢの発射体制が整った。ここが勝負どころだ。

 

 俺は帽子形状の強化型ハイパーセンサー・イーグルアイの演算出力を最大にする。

 

【コース形成、マルチスラスター12・78・45・1~3、6~8の順に連続点火】

 

 セシリアのスターライトMkⅢの銃口が光る瞬間に体が斜め左方向に引っ張られる。

 そのままマルチスラスターの機能をフルに使い半六角形の直角機動でセシリアの背後を取った。

 

「行けっ!!」

 

 最大出力に移行しセシリアに向かって突貫体制を取った。

 

「甘いですわよ!」

 

 俺の行動を読んでいたセシリアがそのままドットターンでスターライトMkⅢの銃口を向けた。

 だけど一発なら耐えられる。ブーストを最大点火させ、セシリアに突っ込んだ。

 

 が、そのセシリアの口角が上がった。

 スターライトから放たれたBTレーザーは今まで見たものより数段出力濃度が高かったのだ。

 

「なにっ!?」

 

 濃密なレーザーが電磁フィールドを展開していたインパルスぶち当たり、拮抗も束の間、その高出力に押し負けて爆散した。

 再び立ち上る煙からインパルスの空色の破片がバラバラと落ちていく。

 

 BTエネルギーライフル【スターライトMkⅢ】のバーストシュート。

 ライフルの使用不能を対価に数倍のエネルギーを込めて撃ち出す、今まで誰にも見せたことのないセシリアだけの隠し玉。

 

 武器を犠牲にするという事からエレガントではないという理由で今まで使わずにいたものだが、今はプライドや意地にこだわっている場合ではない。

 ただ勝つために、全てをかなぐり捨てて放った必殺技。その一撃はものの見事俺の予想を上回りインパルスを破壊、イーグルのSEも30を切った。

 

 手応えはあった、後は残った武器で削りきれればセシリアの勝ちだ。

 

 ボフッと煙の中から飛び出す、手に持っていたインパルスとビット兵器全機を失い残った武装は脚部プラズマブレード。

 

 勝てる! そう確信したセシリアは風前の灯の掻き消そうとビットを飛ばした。

 

 だがセシリアは見落としていた。

 その能ある()は更に爪を隠していたことに。

 

「まだだぜセシリア!!」

 

 スカイブルー・イーグルの腕部装甲が横に開き、直剣状のプラズマサーベルが飛び出してきた。

 

「まだ隠し武器を!?」

 

 驚きのあまりにビットの挙動がほんの少し緩やかになったところを切り伏せ、左腕部のプラズマサーベルの場所からプラズマバルカンが放たれ、もう一つのビットが穴まみれにされた。ティアーズ二機はイーグルの隠し爪により全滅した

 

 ほんの一瞬の動揺で戦況がひっくり返った。

 だがセシリアは諦めない、直ぐ様インターセプターを取り出そうとする。

 それをさせんと俺の意志が声となって放たれた。

 

瞬時加速(イグニッション・ブースト)!!」

 

 イーグルの8本のスラスター噴出口が一斉にセシリアに向き、俺の体は前方直下に吹き飛んだ。

 これが、俺の最後の隠し玉。一度放出されるはずのエネルギーを取り込んで次の加速に上乗せする技術。本格的にISに乗り初めて二週間程では発動するには困難な技術、それが功を奏してか、セシリアの動きがほんの一瞬止まった。

 ガシンっ! とアーマーとアーマーがぶつかる音と共に二つの蒼がもつれあい、セシリアの右手に現出されようとしたインターセプターは光の粒となって弾けとんだ。

 

「なっ!?」

「くぅぅっ!」

 

 左手でセシリアの右腕をとらえ、もう片方をセシリアの腹部に押さえつける。細やかな怒号と共にプラズマバルカンが火を吹き、ブルー・ティアーズのSEを削り続ける。

 そのまま直下にスラスターを再点火、真下の地面に躊躇うことなく直進した。

 

「うぅぅぅぅ!!」

「おぉぉぉ!!!」

 

 そのまま二人はアリーナの地面に突っ込み、文字どおりアリーナが揺れ、土煙な舞い上がった。

 静まり返るアリーナ。観客は二人が落ちた場所の土煙が晴れるのを今か今かと待ち続ける。

 

 

 

 

「まったく。女性を地面に叩きつけるとは、なんて野蛮なのでしょうね」

「それは失礼、こちとら必死だったんだよ」

「………まあ」

「………」

「お見事でしたわ」

「ハハッ。どーも」

 

【セシリア・オルコット シールドエネルギー0、勝者・疾風・レーデルハイト】

 

 無機質なアナウンスと共に静寂に包まれた観客席がたちまち歓声合唱に変わった

 組みしたままの二人、お世辞にも優雅と言えない様だったが。二人とも笑みだけは崩さなかった。

 

 

 ーーー◇ーーー

 

 試合終了後、ロッカールームで母さんの暑い抱擁を受けてしまった後に、俺はイーグルのほうに出向いてメンテナンスを行っていた。

 

「あー、スラスターユニットがオバヒ気味、モーション設定しないで行きなり瞬時加速したからかな。センサーの演算プロトコルを修正して、後は、うわー結構ボロボロ。………………よし、あとはオートメンテナンス」

 

 イーグルをオートメンテナンスモードに切り替え、床にドカッと座り込んでイーグルの足にもたれ掛かる。

 

「ふーーーー」

 

 疲れた、ほんと疲れた。でもこの疲労感が先程の勝負が本物である証だ。

 ………勝てた。俺、ほんとにあいつに勝てたんだな。

 

「………しゃあっ!!」

 

 やべぇ! すげー嬉しい! 初めてISを動かせると認識したのに匹敵する嬉しさだ。

 

「随分と嬉しそうですわね」

「ん? そりゃあね、昔からの夢の一つでもあったし。それが勝星となったんだから」

 

 いつからいたのかISスーツから制服に着替えたセシリアの姿があった。

 

「しかし今日は随分と思いきってたんじゃない? 一夏から聞いたときはもっと上品に動いてるらしいけど?」

「負けたくありませんでしたの、なりふりかまってられませんわ。本気でしたのよ、ええそれも今までにないくらいに、慢心も油断も一切なし、全力を尽くしましたわ」

「それはそれは」

「でも負けてしまいました。正直悔しいですわ、 まだ初心者の域をでない者にこうもやられるなんて………でも、感謝致します。貴方のおかげでBT適性値も上昇しました」

「驚いたぜあれは、行きなりビットの動きが化けた。どれぐらい上がったの?」

「73%」

「それって高いのか?」

「ええ、過去に前例はありませんわ。ですがまだまだです」

「100%いったら曲がるんだっけ?」

「理論上は。もっともこれは元になったワンオフ・アビリティーがそうだっただけでしたので、確証はないのですが」

 

 第三世代技術というのは主に二種類ある。

 一つはワンオフ・アビリティーを現代技術で再現したもの、これにはセシリアと一夏の白式が当てはまる。

 二つ目はワンオフ・アビリティーを参考にせず、イメージ・インターフェイスを応用した独自技術。これには俺と、中国の衝撃砲があたるらしい。

 

「ところで、貴方のビット兵器ですが。やはりあれにはBT操作システムが組み込まれてませんわね?」

「ああ、やっぱバレてたか」

 

 スカイブルー・イーグルのビット兵器であるビーク。実はこれに第三世代技術は使われていない。

 セシリアのティアーズは彼女の思考脳波パターンをダイレクトにISに伝達することで操作する第三世代技術。

 

 対してこっちの自立兵器はあらかじめプログラミングされた数多のコマンドを選択して動くAI制御。こちらが意識する必要がないので負担は少ないが、コマンドを変えるときの切替作業をするときに、ほんの少し動きが緩慢になる。セシリアはその隙を逃さずに撃ち抜いていたのだ。

 そして単純な性能差、コマンドによる決まった動きしか出来ないビークに比べて、自身の手足ように扱う変幻自在のティアーズのほうが動きが良い。

 

 しかし起動してからものの数分で気付かされるとは、流石代表候補生ってとこか。それに食い下がる俺も大したもんだったと自分を誉めたい。

 

 ピピッと電子音。オートメンテナンス終了のお知らせがなった。

 コンソールをいじってイーグルに待機形体への移行を命令する。イーグルをかたどった水色の装甲が光と共に崩れ、手のひらに収まった。

 

「これがスカイブルー・イーグルの待機形体ですの?」

「そうらしい」

 

 手のひらにコロンと転がっているそれは空をバックにした白い鷲のワンポイントの入ったバッチだった。翼には小さく稲妻のマークが入っていた。

 

「ちいさいですけど、細かい造型ですわね」

「おしゃれさんなのかね?」

「目立ちたがりなのでは?」

「否定できないね」

 

 とりあえず胸元につけてみる。おー格好いい、光の加減でバッチが光って見える。

 

「しかしどうしましょう。今や装備はインターセプターのみですわ、貴方が壊してくれたお陰で」

「俺も固定兵装以外ぶっ壊れたんだけども。武器の再装備まで丸一週間っていうし」

「貴方はそれでもなんとか戦えるじゃないですか、わたくし、自慢ではありませんが接近戦不得意ですのよ。今回だって貴方と戦うから急ピッチで鈴さんや箒さんに教えて貰ったのですから」

 

 それでもデータよりナイフ捌きやばかったがなぁ………あっ。

 

「そういえばさ」

「はい?」

「約束、覚えてるよね」

 

 セシリアの体がビクついた。

 

「な、ななななんの事でしょうか」

「勝ったら相手の言うこと一つ聞くってやつ」

「きききき記憶に、ご、御座いませんわね!!」

「お前から言ったんだろうが」

 

 その証拠にセシリアの頬には赤みが指し、目線も一行に合わせてこない。

 

「さて、どうしようかなー。今まで負けたぶんもあるし」

「んぐぐ」

 

 勿論セシリアは覚えていた。

 果てはネット知識でぼんやりと男が何を求めるか大体知っているのだ。

 ここでセシリアの頭を覗いてみよう。

 

(なにを要求してくるのでしょう、疾風だって男ですわ、それなりの、あれも有りますわよね? わたくしも日本人の方々(箒さんは別)と比べたらそれなりのプロポーションは持っていますし。いやいや駄目ですわセシリア・オルコット! 将来結婚する仲でなければ。ですが貴族たるもの一度たてた盟約は守らなければそれこそオルコット家の恥。いやしかしですが………)

 

「セシリア」

「はいなんでしょうか!?」

「百面相して現実逃避しようしてるとこ悪いけどさ」

「ああああ良いですとも!! 何なりとお申しつければ宜しいわ! このセシリア・オルコット! やるとき決めたからにはやらにゅ!!」

「………」

 

 なにを想像してんだこのお嬢は。

 

「その事で相談」

「はいぃ!?」

「保留でお願い」

「はいぃぃ!!?」

「一旦落ち着け、深呼吸深呼吸」

「すーはー、すーはー、みっともないとこを見せてしまいましたわね」

「今更だ、俺は忘れんぞ。疾風・レーデルハイト殺人未遂事件」

 

 あれほどの劇的な再会は世界を探してもそうはないだろう。

 

「んんっ!! ………それで、保留とはどういう意味ですの?」

「別に今すぐなんかしたいとかそういうのはないし、それに、こういう有意義なカードは温存しておくべきじゃない?」

「そ、それは一理あると思いますけれど」

「それに今の俺は変に高ぶってるから勢い余って破廉恥なことを頼みかねんぞ」

「は、ははっ破廉恥!?」

「嘘だけどな」

「もうっ!!」

 

 こうしてセシリアとの初陣は辛くも俺の勝利に収まった。

 だがこれで満足してはいけない。もっと腕を磨いていかなければ、世界進出など到底なし得ない。

 だけど今は勝利を噛み締めよう。まだ俺と相棒のIS人生は始まったばかり。そしてこれから訪れるIS学園生活を楽しむとしよう。

 

 笑いながら逃げ出す俺を、顔を真っ赤にしたセシリアが必死に追いかけていった。

 

 空はあの日と同じ、鮮やかなオレンジに染まっていた。




 気合いを入れすぎて15000文字、頑張りすぎだ俺。
 セシリア原作より超強化でございます。これはでかいです。

 これにて入学編終了。次回から福音編でございます。お楽しみに。

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