真・女神転生 クロス   作:ダークボーイ

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PART56 IMAGINARY TITANOMACHIA

 

「機材搬入急げ!」

「各自装備の確認!」

 

 ターミナルから続々と人員や物資が運び込まれ、臨時の前線基地と化していくタルタロス内で様々な準備が進められていた。

 

「シャドゥ達に動きは?」

「先程小規模な戦闘が有った以降は沈静化していますわ」

「まあ、タルタロスにここまでの戦力が送り込まれた事は初めてだろうが………」

「こちらとしては物資の補充が出来てよろしいのですが、いささか手狭ですわね」

 

 内部の安全確認を行う美鶴に、イザボーが報告しつつ溢れ始めている人と物に嘆息する。

 

「相手はあの巨大ロボだ、この程度の武装でどうにかなるかがまず問題だが」

 

 八雲が運び込まれた物資からグレネードランチャーや無反動砲と言った重火器をチェックしながら呟き、美鶴とイザボーは眉をひそめる。

 

「確かに、我々のペルソナでもあのサイズ相手では有効とは思えん」

「こちらも大型の仲魔を用意したいのですが、中々………」

「どこも似たようなモンだ。前のはただ暴走してただけだったから力技でねじ伏せたが、今度のは筋金入りのマッドサイエンティストの肝入ときてやがる。突いたら何が出てくる事やら………」

「私、ああいうのは詳しくないのですけれど、弱点のような物はないのでしょうか?」

「そうだな、動力を断つとか、システムをダウンするとか」

「どちらにしろ、外部からの干渉は難しいだろうな。内部突入してどっちか出来るか、いっそ核弾頭でも自爆させられれば…ここの中って外からのダメージどこまで防げる?」

「かつて外壁破壊は試みられたらしいが、失敗したそうです。ただ放射線までは………」

「そうか、上の連中も巻き込むから自爆狙いは無理か………」

 

 危険な事を呟く八雲に、イザボーは美鶴の袖を突く。

 

「この方、少し言ってる事が危険な気がするのですけれど、大丈夫なのですか?」

「その点は当たってますが、頼りにはなります。色々な意味で危ない人なのも間違いないのですが………」

 

 女二人が八雲を少し遠巻きにする中、着々と準備は進んでいた。

 

「他勢力の状況は?」

「遠巻きに監視部隊を配置してる。こちらが行動起こしたらどう出るか………」

「アレがある種の抑止力になっていたからな。無力化したら一気にここになだれ込む可能性もある」

「守護を召喚しなくてはコトワリの解放は出来ないわ。珠閒瑠市の方が狙われるかも」

「珠閒瑠市とタルタロス、双方に防衛戦力は残しておく必要があるな」

「ここが防衛線になるか………」

 

 各チームのリーダー達が準備を進めつつ、状況をまとめていく。

 

「風花ちゃんとりせちゃんはここのエントランスを拠点にナビゲートをよろしく。状況に変化があったらすぐ知らせて」

「分かりました」「OK」

「こちらのメンバーは半数ここに置こう。タルタロスとシャドゥ戦の事なら熟知してる」

 

 レイホゥからの指示にナビ役の二名が頷き、それを聞いた美鶴も部員の配置を決めていく。

 

「オレ達はどっちに?」

「お前らはエントランスだ。外のデカブツとやり会える自信が無いなら外に出るな」

「そうします………」

「それと外からなだれ込まれそうになったらナビの二人連れて逃げろ。戦争やらかすには多分お前らはまだ早い」

 

 悠が確認を取るのを、八雲は多少脅して配置を伝える。

 

「その、いつもこんな感じなんですか?」

「まあな。敵味方共に多少人数が桁で増えてるだけだ。デカいのは初めてだが、ロボじみた奴なら前に戦った事がある」

「こちらだと暴走したロボットなんてそこいら中にいるぞ」

「確かに。あそこまで巨大じゃないが」

 

 悠が恐る恐る聞いてくるのを八雲が肯定するが、通りすがった小次郎とアレフが余計な追加をして悠の表情が凍りつく。

 

「安心しろ、その内慣れる。まず常識なんて物を捨てる事を覚えろ」

「なんて事教えてんのよ。あながち間違ってないけど………」

 

 八雲の助言(?)にレイホゥが突っ込んだ所で、八雲のGUMPからアラームが鳴る。

 

「エントランスの準備が出来たようなんで行ってきます」

「電子戦なんて出来るデビルサマナーはあんただけだからね。せめても狙いがこっちに来ない程度には頑張って」

「レッド・スプライト号のバックアップがあるから、この間よりはマシか………」

 

 レイホゥに発破を掛けられながらエントランスへと向かう八雲を見ながら、悠はおもむろに口を開く。

 

「デビルサマナーってあんな感じの人達ばかりなんですか?」

「八雲は少し違うわね。ハッカーの方が元だから。悪魔召喚プログラムの完成以降、偶然それを手にしてデビルサマナーになる人達が増えてね。もっとも使いこなせる人は極めて少ないわ。欲しかったらヴィクトルかアーサーに頼んでみたら?」

「ペルソナだけで結構です………」

 

 世界観の違いをそこはかとなく感じながら、悠も防衛拠点となるエントランスへと向かう事にした。

 

 

 

「作戦開始まで、あと15分か」

 

 レッド・スプライト号からレンタルされた軍用腕時計を確認した修二が、ステルスシートの下から超力超人・改を見る。

 隣にいるダンテも周囲を見ながら不敵な笑みを浮かべていた。

 

「いきなり突入、ってわけにはいかないか」

「あんた一人ならいいかもしれんが、核弾頭相手にした事は?」

「無い」

「悪魔の体って核爆発耐えられっかな? 試す気はしないけど………」

「いい経験になるかもしれないぜ?」

「そんな事言えるのあんただけだよ………」

 

 被爆の危険性を笑い飛ばすダンテに心底呆れながら、修二は開始時刻を待つ。

 

「あいつをどうにかしたら、次はタルタロス登ってカグツチどうにかしてか………気が遠くなりそうだ」

「じゃあ手早く終わらせるとしようぜ。そろそろ始まりそうだ」

 

 愚痴っていた修二だったが、ダンテの言葉に即座に顔を引き締める。

 

「始まった」

 

 第一段階として、デモニカをまとった機動班が四方八方からロケット弾や小型ミサイルを発射する。

 超力超神・改の巨体の前には無意味とも思える攻撃だったが、着弾した弾頭からは無数のチャフがばら撒かれる。

 

「あんなので効くモンかね?」

「相手の気がそらせりゃいい。来るぞ」

 

 超力超神・改の各兵装が動き、攻撃してきた機動班へと砲口が向けられる。

 それらが火を噴く直前だった。

 

 

「行くよ、順平」

「おうよ、行くぜチドリ!」

「メーディア」『インサイン・エスケープ…』

 

 タルタロスの入り口から程ない所で、魂を半ば共有しているチドリと順平が、手を握り合って順平が己の召喚器をチドリに向けてトリガーを引き、チドリのペルソナを発動。

 強力なジャミングが超力超神・改を襲い、向けられていた兵装が停止、超力超神・改自体も妙な挙動を見せ始める。

 

「今だ!」

「おうよ」

 

 その隙を逃さず、修二とダンテはステルスシートから飛び出し、同様に他の三方からも将門公の力を借りた者達が飛び出す。

 

「前と同じ対抗手段される前に、動きを止める!」

「安心しな、その前にゴスロリお嬢さんを狙う連中は潰しとく」

 

 修二が冥界で同じ手を使った時の事を思い出しながら叫ぶ中、ダンテはひと足早く前へと出ていく。

 そしてホルスターからエボニー&アイボリーを抜くと、凄まじい連射で目に入る兵装を次々と破壊していく。

 

「あんまま任せておきたい所、だがな…!」

 

 修二が呟きながら、超力超神・改の間近まで迫ると、将門公からもらったマガタマをかざす。

 他の三方でもそれぞれ将門公の力が込められた刀をかざすと、それを地面へと突き立てる。

 

「頼んだぜ、マサカド様!」

 

 修二が叫んだ直後、四方の点を結ぶように光が伸び、それらが繋がった直後、超力超神・改の動きが完全に停止する。

 

「封印成功!」

 

 修二は笑みを浮かべるが、かざしたマガタマから来る圧力にその場から動けないでいた。

 

「聞いてねえよ………」

 

 他の三人も同様の状態らしい事を遠目で確認しながら、修二はマガタマに力をこめ続ける。

 

「一番最初にギブアップしそうなの、オレだよな………」

 

 

 

「封印確認! 作戦を次の段階へ!」

「エンブリオ、攻撃を開始!」

 

 タルタロスエントランスに作られた臨時指揮所で、各所からの報告が響く。

 

「それじゃ、これで…」

 

 ペルソナを解除しようとしたチドリが、言葉の途中で崩れ落ちそうになり、慌てて順平が支える。

 

「ちょ、チドリ!」

「大丈夫、ちょっと疲れただけ」

「あんま無茶させんな、黄泉帰ったばかりは安定しないからな。お前もだが」

 

 それを見ながら八雲がアドバイスしつつ、手は凄まじい速さで用意された複数のキーボードを叩き続ける。

 

「そいつ程じゃないが、兵装潰すまでの時間はなんとか稼いでやる」

「お願い。少し休んだらこっちは大丈夫だと思う」

「控えててくれ、最悪もう一度って事になる可能性も有る」

「その子のペルソナ、こっちも影響うけんだよな………」

「対策しててこれか」

 

 八雲のそばで同じように電子戦を挑んでいた通信班の隊員達が、メーディアの影響で多少エラーが出ている事に顔をしかめる。

 

「まだやってる最中で奇声だの呪詛だの漏れてこないだけマシだ。オレは何度も有る」

「ホラー映画だな………」

「違うのは登場人物が自分って事だ。山岸、久慈川、そっちは」

「準備出来てます」「やるよ~!」

「ユノ!」「ヒミコ!」『ハイ・アナライズ!』

 

 準備していた風花とりせがペルソナを発動、二人がかりで超力超神・改をアナライズしていく。

 

「すごいエネルギー反応です。こんなの初めて………」

「え~と、核弾頭ってどんな反応?」

「落ち着いて、魔力や生命力のこもってないエネルギーを除外していけば………アレ?」

「どうした?」

「これって………」

「人間の反応! しかも複数!」

「なんだって!?」

「本当か!?」

 

 二人からの同時の報告に、エントランス防衛に当たっていた啓人と悠が思わず声を上げる。

 

「ま、アレだけのデカブツだ。一人で運用出来るとは思えんが、核武装した巨大ロボに乗ってる物好きはどこのどいつだ?」

「ペルソナ使いの反応は二人、もう一人は恐らくデビルサマナーです!」

「他に弱い反応一つ、いや二つ?」

「ペルソナ使いの片方は神取だろうが、あとは誰だ? 一応出張ってる連中に知らせとこう」

 

 予想外の事態に八雲は手を休めずに通信文を別キーボードで打っていてふと考える。

 

「で、そいつら強いのか?」

「反応はかなり強いです。一番強いのが多分神取という人だと思いますけど、他の二人も………」

「ヤバいね、これ………待ち伏せかな?」

「状況的に考えて神取の仲間ってのが妥当だろうな。あの野郎、巨大ロボと核弾頭以外にそんな手札隠してやがったのか………」

 

 八雲は舌打ちしながらモニターを確認、動けない超力超神・改の兵装を喰奴とダンテが破壊していく様子に、僅かに悩むとキョウジへとホットラインを入れる。

 

「キョウジさん」

『聞いてたぜ。今の所作戦に変更は無しだ。あのデカブツと核弾頭、これが今の所一番の問題だからな』

「了解、突入班その他に通達、中に誰かいたら一応撃っとけと」

「ちょ!?」

「ペルソナ使いなら普通の弾は効かん。デビルサマナーなら簡単に撃たれる間抜けはいない。覚えとけ」

「………そうなの?」

「多分………」

 

 八雲の言葉にりせは驚くが続けての八雲の説明に風花に問い質し、風花は困った顔をしながらも一応肯定する。

 

「それよりも、肝心のブツは?」

「あ、はい! 目標の左胸部分に独特のエネルギー反応が有ります!」

「なんかすごいヤバイ感じ、多分これが………」

「安心しろ、そう簡単には起動しないだろうから。こちら八雲、核弾頭の位置判明。これより座標を送る」

 

 アナライズで判明した核弾頭の位置に、八雲は顔をしかめる。

 

「胸部、しかもかなり深部だな………」

「内部構造も大分入り組んでるようです。詳細まではまだ途中ですが………」

「でもハッキング解除したら撃たれるんだよね?」

「いくつかマニュアルで動かそうとしてるな。こっちの電子攻撃が切れるより早く兵装潰し終えられるかどうか………」

 

 言葉の途中で、マニュアルで狙いもつけずに放たれたらしいミサイルがタルタロスのそばに着弾、爆音を轟かせる。

 

「ミサイル! ミサイル飛んできた!」

「だ、大丈夫です。狙いつけてなかったみたいで………」

「ミサイルの一発くらいそちらで対処しとけ。ペルソナ使いならできるだろ?」

 

 慌てるりせと風花に、八雲は口調も変えずに作業の手を止めない。

 

「オレ、すげえ帰りたくなってきた………」

「うん、多分みんな思ってる」

 

 入口付近でタルタロス防衛がてらに外の様子を見ていた陽介のぼやきに、同じく外を見ていたゆかりも頷く。

 

「カグツチとやら開放したら帰れるかもしれんぞ、まともに開放できる状態かは不明だけどな」

「さすがにアレは私でもアナライズ出来ません………」

「そんなヤバイの?」

「接触したテレパスが次々発狂したって話だ。無事に接触できるのはセラだけだそうだが、やってみるか?」

 

 全力で首を左右に振るりせを横目で見ながら、八雲はキーボードを叩く手を休めないが、そこで小さく舌打ちした。

 

「押され返され始めた!」

「リソースをこっちに向けたか。本気でかかられたら、この程度のマシンじゃ焼かれるな」

「アーサーからの経由と直接じゃ、こちらに分が悪い! 兵装破壊はどうなってる!?」

 

 通信班が慌て始める中、八雲は顔をしかめただけで手の動きが加速する。

 

「あの、私も…」

「山岸は久慈川と内部アナライズを続けろ。まあ何か有っても…」

 

 風花も手伝いを申し出るが、八雲が差し止める途中でハッキングに使っていたマシンの一つが文字通り火を吹いて沈黙する。

 

「この程度で済む。………なんてパワーの使ってやがる、ダミーは用意しておいたが、全部火吹くのも時間の問題か」

「なんで落ち着いてんすか!?」

「消火器! 消火器!」

「誰かブフ系!」

 

 その様子にエントランスにいたペルソナ使い達の方が慌てて今だ火花を上げているマシンだった物を消火する。

 

「冥界だとリソースを召喚装置に軒並みつぎ込んでたが、使う奴が使えば変わる物だな」

「く、せめてプラズマ装甲発生装置破壊までは持たせないと!」

「レッド・スプライト号と位置が変わってなければの話だが………」

 

 一進一退の電子戦の攻防が繰り広げられていた頃、当の超力超神・改の中では…

 

 

 

「ジャミング能力を持つペルソナに、これは平将門の力を借りた封印か。こんな手を隠していたとはな」

 

 神取が身動きの取れない超力超神・改の状況をチェックしつつ、動かせる物を端から試していく。

 

「ハッキングも手慣れてるようね」

『助勢するか?』

 

 赤いデモニカの少女と、そのサポートAIが画面に映し出されるハッキング状況をチェックしながら提言するが、神取は小さく首を振ってそれを断る。

 

「機体が動かないなら、その分のリソースをハッキング対応に回す。腕のいいハッカーだが、純粋にパワーならこちらが上だ」

「そんな悠長な事言ってていいの」

『兵装の破損率がかなり高くなっている。完全に場所を把握されている』

「向こうにも同型艦が有るからな。こちらの兵装がどんな物かはバレている。元からついていたのはな」

 

 画面に外部で喰奴やダンテが次々と兵装やプラスマ装甲発生装置を破壊していくのを見ながら、神取はほくそ笑みながら完全に独立したシステムを引いていたある装置を起動させた。

 

 

 

「次は、そこか!」

 

 ダンテがリベリオンを振るい、そこにあった大口径機銃を破壊する。

 

「張り切ってるなブラザー!」

「そっちもな」

 

 超力超神・改の外装を階段でも登るように平然と登りながら大剣と銃で兵装を次々破壊していくダンテのそばを滑空しながら、シエロが雷撃魔法を雨霰と放ち、別の兵装を破壊していく。

 

「兵装もだけど、プラズマ装甲発生装置も壊すんだよ!」

 

 アルジラが両腕の触手で外装を登りながら、発生装置の一つを壊す。

 

「あと三箇所、ヒートそこから10時方向、5m先」

 

 ゲイルがギガンティック号の図面と変形時の変化からアーサーが割り出したプラズマシールド発生装置のあると思われる箇所を指示し、外装を登っていたヒートがひとっ飛びでそこへ爪を突き刺して陣取ると、業火を吐きつける。

 

「こちらは破壊した。あとは中央発生装置だ」

 

 ロアルドがヴァジュラ状になっている腕で発生装置を貫き、最後の一つの場所を確認する。

 

「胸部中央部、あそこだな」

「任せな!」

 

 シエロが一気に上昇し、超力超神・改の胸部、一際大きな盛り上がりが有る中央発生装置と思われる場所に電撃魔法を叩き込むが、一際強固な装甲に半ばで阻まれる。

 

「うげ、硬ぇ………」

「どいてな」

 

 そこへダンテが装甲板を駆け上がり、リベリオンを大上段に振りかぶる。

 それを一気に振り下ろそうとした瞬間、何かに気付いたダンテが斬撃を停止、装甲板を蹴って下降するとリベリオンを突き刺して体を固定する。

 

「おいおい、何やってんだい?」

「なんか、ヤバイ感じがする。動いてるぞ、それ」

 

 シエロが首を傾げるが、ダンテの目は中央発生装置へと向けられている。

 

「どういう事だ、電子攻撃はまだ続いているはずだ」

「完全に独立しているのかもしれない。だが、一部だけ稼働させてどうする?」

 

 装甲の出っ張りに体を預けたゲイルとロアルドが状況を確認する中、その脇をサーフが駆け上がっていく。

 

「サーフ!」

 

 アルジラが思わず声をかけるが、サーフはダンテがぶら下がっていたリベリオンの柄を蹴って飛び上がると、中央発生装置に猛吹雪を吐きつける。

 だがそれは装甲板を半ば弾き飛ばしながら発生したプラズマ装甲に阻まれた。

 

「起動しやがった、だが…」

 

 落下しながら腕からの刃を突き刺してダンテの隣にぶら下がったサーフだったが、ダンテと二人で発生したプラズマ装甲を見てある事に気付く。

 

「小さいな」

「ああ」

「こんなんじゃロクに防御も…」

 

 ダンテが片手でぶら下がりながらアゴに手を当てた所で、プラズマ装甲に包まれた何かがせり出し始め、そこにスパークが生じ始める。

 

「は、やっぱ巨大ロボにはこういうのが付きものか」

 

 なにか危険な物だと悟りながらも、ダンテの顔には不敵な笑みが浮かんでいた。

 

 

 

「おい、何か出てきてるぞ! どうなってる!」

 

 マガタマを介してマサカド公の結界を貼り続ける修二が、通信に思わず怒鳴る。

 

『今こちらでも解析中…』

『こちらアーサー、該当する兵装を確認。プラズマ装甲内包型粒子砲と判断。ただし、調査計画までに完成せず、未完のまま搭載されていた兵装です』

「完成されてるじゃねえか! しかもこっち向いて…まさか!」

 

 修二が徐々にスパークが強くなっている粒子砲に血の気が引きながらも、かろうじて自分の背後、そこにあるタルタロスの方を見る。

 

「狙いはタルタロスか!」

 

 

 

「つう訳で大型粒子砲がこっち狙ってるらしい。ここの外壁持つか?」

「わ、分かりません!」

「超激ヤバって出てる!」

 

 八雲が平然と告げる中、アナライズ役の二人は大慌てする。

 

「だろうな………アーサー、発射までの時間は?」

『内部エネルギー量から逆算………約600秒前後』

「10分、退避は間に合わないな」

『どうする、作戦を前倒しするか!?』

『だが核弾頭と粒子砲、双方を無効化する方法は!?』

 

 各所から慌てた通信が飛び交い、八雲も頭を巡らせる。

 

「私なら、何とか止められるかも………」

「無茶言うなチドリ! まだ無理だ!」

「逃げよう!」

「どこに!?」

「今からじゃ全員転送も間に合いませんね………」

 

 ペルソナ使いが泡を食ってあたふたする中、八雲の片手が予備用のマシンへと伸び、何かをタイピングしていく。

 

「手持ちの発破じゃ足りないか………だとしたら。キョウジさん、プランCに移行を」

『仕方ねえ、切り札は取っておきたかったんだが………プランC発動を!』

 

キョウジの発動宣言と同時に、超力超神・改に攻撃を加えていた者達が一斉に撤退する。

 それと同時にカグツチの影、超力超神・改から死角になる場所に待機していた業魔殿が姿を表す。

 

『こちら業魔殿、攻撃を開始する』

 

 ヴィクトルからの通信と同時に、業魔殿の各所が開き、そこからミサイルやロケット弾が放たれる。

 今だ動けない超力超神・改に攻撃が次々と命中していくが、元が頑丈である事と改造のためか、致命的な損傷にはならず、何より粒子砲のチャージは止まらない。

 

「攻撃命中、けど効果は低いようです!」

「チャージ継続中! どうするのこれ!?」

 

 ナビの二人が慌てふためく中、八雲は表情を変えずに逆算されるチャージ時間を観察する。

 

「やばい、こっちに出力振ってきた! このままじゃマシンが持たな…」

 

 通信班の一人が叫んだ時、ハッキングに使用していたマシンが次々と限界に達し、煙や火花を吐き出し始める。

 

「ちっ、限度か」

 

 八雲が舌打ちしながら、手元のレバーを引いて自分のマシンに達する前に回線を物理断線、それと同時にある警報を発しつつ、通信を入れた。

 

「メアリ、こっちがいかれた。そっちの準備は?」

『出来ています。全システムオールグリーン、発射体勢に入ります』

 

 メアリからの返信と同時に、八雲の見ていた画面に別のカウントダウンが表示された。

 

 

 

「ハッキングは排除出来たか。だがどれだけ虫が混入されたか………」

「力任せね。それが一番楽と言えば楽だけど」

『待て、4時方向に高エネルギー反応!』

 

 神取がハッキングを強引に潰した直後、赤いデモニカのサポートAIの警告と同時に、ブリッジ内にも警報が鳴り響き、業魔殿とは違う場所から感知高エネルギー反応の地点が拡大表示される。

 

「これは………」

 

 

 

「シルフ・ブリッド、コネクト!」

「チャージ確認、次弾装填開始」

「ターゲットインサイト、微調整開始します」

「パピヨンハート、出力上昇! きばりや!」

「分かっています!」

 

 超力超人・改から少し離れた丘の上に、巨大なユニット部に対して小さな口径を持つ奇妙な砲塔、それが二門用意され、更にそれを五人の人造少女達が発射体勢に入っていた。

 砲塔のユニット部には白、赤、青、茶の輝きを持つカートリッジが飛び出しており、それぞれに装填されている風火水土の精霊が、順次砲塔へと装填されていく。

 

「サラマンダー・ブリッド、コネクト!」

「チャージ開始」

「パピヨンハート、出力上昇、エレメント・チャージャー安定を最優先!」

 

 その奇妙な砲塔、業魔殿謹製の切り札、タイタニアキャノンの左右をアリサとメアリが自らを接続して制御し、アイギスが同様に接続して火器管制を行っていた。

 

「これで半分なんか!?」

「なぜ今まで使わなかったのでしょう?」

 

 更に両脇からラビリスとメティスがタイタニアキャノンを支えながら、安定に尽力していた。

 

「精霊の補充に時間がかかるのと、強力過ぎて使用用途が限定されるからです」

「それに半端なソウルじゃ扱いきれない! もっと集中しないと!」

 

 メアリとアリサの説明を聞くまでもなく、すでにペルソナまで総動員させ、ペルソナ三姉妹はタイタニアキャノンの制御に全力を注いでいた。

 

「レーダー波確認、感知されたであります」

「そりゃ、こんだけのエネルギー感知されへんわけないわ………」

「早く次弾を!」

「ウンディーネ・ブリッド、コネクト!」

「チャージ開始、負荷上昇」

 

 発射準備を急ぐ五人だったが、制御を一部回復させた超力超神・改の残っていた兵装がこちらへと向けられる。

 

「あかん! 誰か迎撃出来ひんか!?」

「制御に手一杯です、姉さん」

「同じく!」

「まだ最後の一発が残ってる!」

「四大元素を均等に混合させないと、暴発の可能性が有ります」

「なんでもええから早く!」

 

 ラビリスが慌てるが、誰もが文字通り手が離せず、必死に発射準備を進める中、兵装の一つからロケット弾が発射される。

 直後、飛来した銃弾がロケット弾を貫き、爆砕させる。

 

「レディの準備は邪魔する物じゃないぜ」

 

 両手に硝煙を上げているエボニー&アイボリーを持ったダンテが五人の前に立ち、遅れて喰奴達も集結してくる。

 

「発射までガードしろ」

「言われなくても!」

「そっちも急げ!」

 

 サーフの命令を聞くまでもなく息せき切らせながら喰奴達がガードにつく。

 

「発射まであと何秒かかる」

「もう少し! ノーム・ブリッド、コネクト!」

 

 ゲイルからの問にアリサが叫びながら、最後のカートリッジが接続される。

 

「エレメントチャージャー、臨界まで5,4,3,2,1、マックシング!」

「ターゲット、超力超神・改、胸部粒子砲!」

 

 砲塔内に四元の精霊の力が融合、増幅されていくのを五人の人造少女達が全力で制御、メアリとアリサが調整し、アイギスが狙いを定め、ラビリスとメティスが暴れそうになる砲塔をなんとか抑え込む。

 

「最終安全装置解除! メアリさん!」

「皆さん、ソウル最大!」

「ツイン・タイタニアキャノン、FIRE!!」

 

 メアリとアリサの声がトリガーとなり、二門の砲塔から四元全ての属性を持った純粋なエネルギーの塊が烈光となって放出される。

 虚空を貫いた烈光が超力超神・改の粒子砲を覆うプラズマ装甲に直撃し、凄まじいまでのスパークを撒き散らす。

 僅かな間、拮抗していた双方だったが、とうとう限界に達したのか、烈光がプラズマ装甲をその下に有った粒子砲ごと貫き、超力超神・改の巨体を貫通して消える。

 

「戦果確認、目標破壊に成功………」

 

 アイギスが呟くと、途端に体の各所から蒸気が噴出し、強制冷却モードが発動。

 両脇にいたラビリスとメティスも同様で、メアリとアリサに至っては強制スリープモードに移行していた。

 

「おっと、ちょっとハッスルしすぎたか」

「なるほど、今まで使わなかった理由はこれか」

 

 ガードしていたダンテや喰奴達が慌てて救援に入るが、アルジラは変身を解いてスナイパーライフルを手に周囲を警戒する。

 

「さっきのはちょっと強力過ぎたわね。シエロ!」

「他の偵察部隊みたいのが一部こっちに向かってる! ちょっとやべえかも………」

「こちらロアルド、どうやら見せつけすぎたようだ。こちらも狙われている」

『最悪それは破壊しても構わない。ロボ娘達は動かせるか?』

「まだかなり発熱している。冷却が済むまでは…」

「どけ」

 

 キョウジからの返信にロアルドは喰奴でも触るのに躊躇するほど発熱してるアイギス達をどう退避するか悩むが、そこでヒートがためらいなくアイギス達機械姉妹三人をまとめて抱えあげる。

 

「大丈夫か!?」

「これくらいオレなら平気だ。そっちは」

「いける」

 

 高温状態の三人を抱え上げ、かすかに皮膚が焼ける異臭が漂うのをヒートは意にも留めず、その背後ではアイギス達程ではないが、スリープモードに入っているメアリとアリサをサーフが冷却しつつ抱えていた。

 

「エンブリオンは五人を護衛しつつ、タルタロスまで一時撤退」

「了解」

「あっちはどうなってるの?」

「始まったようだ」

 

 サーフの指示の元、一時撤退を始める喰奴達だったが、横目で超力超神・改の方を見る。

 そちらでは作戦の佳境に入ろうとしていた。

 

 

 

「核弾頭の位置は?」

『変わっていません! あ、超力超神・改の出力が低下中!』

『今の攻撃で動力系が壊れたみたい! やるなら今!』

「凪、準備はいいか」

「はいライドウ先輩!」

 

 控えていたライドウと凪が、風花とりせのナビを聞きながら、管を構える。

 そこから羊のような姿をした小型の悪魔、何でも貪るとされる技芸属 トウテツを召喚する。

 

「ふむ、アレから核弾頭とかいう物を吸い出せばよいのか」

「そうだ、かなり危険な物らしいから注意するように」

 

 ライドウに肩車の形で乗ったトウテツの確認に、凪の肩に移動したゴウトが答える。

 

「ではいくぞ、死ぬなよ」

 

 トウテツが宣言する中、ライドウは合掌して精神と体内マグネタイトを高め、凪がその背に両手を当てて自らの体内マグネタイトを注ぎ込み始める、

 そしてトウテツは大きく口を開くと、そこから凄まじい吸引を開始する。

 

「く………」「うう………」

 

 空間すら捻じ曲げる吸引術に、凄まじい勢いで体内マグネタイトを消費されるライドウと凪が苦悶を上げるが、決して止めようとはしない。

 吸引され、捻じ曲げられた空間が目的の場所を装甲ごと引き千切り、そしてその中に有った物を引きずり出した。

 

『それです! 破損しないように注意してください!』

「凪、もう少しだ」

「はい先輩!」

 

 引きずり出された、三角錐状の物体がライドウ達の手前まで来た所で術が中断、思わず片膝をつくライドウと両膝を付く凪の前に核弾頭が地面に突き刺さる。

 

「ふむ、距離が近いからその程度で済んだか」

「出したぞ、後を頼む」

 

 トウテツが関心しながら管へと戻り、ゴウトに促された背後にいた技術班が急いで核弾頭の解体に入る。

 

「放射能漏れチェック!」

「大丈夫、遮蔽されてる!」

「遠隔起爆装置の類をチェック!」

「大丈夫だ! 時限装置の類も無い!」

「信管を外すぞ、急げ!」

 

 ガイガーカウンターで確認の後、大急ぎで解体が始められる中、ライドウは疲弊して乱れる息をなんとか整えながら、核弾頭を見る。

 

「これ一つで都市が一つ消えるのか」

「ああ、ここで爆発したら、文字通り何もかも全滅する」

「そんな物をなぜ積んでいたセオリーなのですか?」

「知らねえよ、オレらも知らなかったからな」

 

 凪も呼吸を整えつつ、核弾頭を見る。

 そこから感じる禍々しい雰囲気に、思わず凪はツバを飲み込まずにはいられなかった。

 

「それよりも、あっちはどうなっている!?」

「動き出される前に無力化するぞ!」

 

 マサカド公の封印が切れる前に作業を終わらせるべく、技術班達は急いでいた。

 

 

「核弾頭奪取確認、現在解体中。まもなく作業が終了するそうです」

「一段落ついたか」

 

 風花からの報告を聞きながら、八雲は懐から愛用のソーコムピストルを抜いて初弾を装填する。

 

「あの、何してるんですか」

「何って、カチコミの準備だ。どっちになるかは今に分かる」

 

 悠が恐る恐る聞いてくるのに平然と八雲は答えながら、装備を次々チェックしていく。

 

「デカブツの様子は?」

「出力更に低下! 多分もうほとんど動けないと思うよ!」

「あの粒子砲、動力から直結してたか。ラインを派手に壊したみたいだな。突入班に突入準備を…」

「待ってください! 超力超神・改に接近する一団を感知!」

「それだけじゃない! あちこちから色んな反応がこっちに向かってる!?」

 

 風花とりせのアナライズ報告に、八雲は舌打ちする。

 

「どうやら、手ぐすね引いて待っていたのはオレらだけじゃないみたいだな………」

 

 

「進め! 今こそのあのガラクタを占拠し、我らの新たな居城とするのよ!」

 

 チアキの号令の元、ヨスガの軍勢が進軍していく。

 

「あの内部には、守護を呼ぶだけのエネルギーが有るのは確かなのね?」

「こちらでも確認した。どうやらあの男はアレの起動のために科学的以外に色々なエネルギーを収集していたらしい。守護を呼ぶには十分だろう」

 

 エンジェルの説明にチアキは口元に歪んだ笑みを浮かべる。

 

「守護さえ呼べれば、こちらの物よ」

「好きにすればいい。私は先にあちらを占拠しておく」

 

 エンジェルの指示の下、カルマ協会の一部がタルタロスへと向かっていく。

 

「他の勢力も動き出したか、早い者勝ちだな」

 

 エンジェルは向こうに見える一団に、むしろ挑戦的な笑みを浮かべながら見つめていた。

 

 

「裏切り者を始末し、我らのマガツヒを取り戻すのだ!」

 

 シジマの軍勢が、超力超神・改へと向け進軍していく。

 

「氷川様はすでに召喚の準備を終えられている! あとは奪われたマガツヒを取り戻すまでだ!」

「ついでにあのガラクタを破壊するのだ!」

 

怨嗟の声を上げながら一進に進む悪魔達は、他の軍勢の姿を気にも止めていない。

 ただ守護召喚の使命と、神取への憎悪を滾らせ進む様は文字通りの百鬼夜行の様相を呈していた。

 

 

「くっくっく、本当にやりやがったぜ」

「ああ、機能の一部でも止められれば行幸と思っていたが、ここまでとはな」

 

 アマラ回廊に通じる一角から、勇と三十代目ライドウが機能を失いつつある超力超神・改を見てほくそ笑む。

 

「で、どうする?」

「アレの中のマガツヒには興味は有るが、すでにヨスガとシジマが向かっている。ならばもう一つを目指そう。あちらも戦力のほとんどをこちらに向けていただろうからな」

 

 そう言いながら三十代目ライドウはシバルバーの方を見る。

 

「そっちは任せる。オレは塔を狙う」

「内部にかなりの使い手がいるようだ。こちらの準備が整うまで牽制でも構わん」

「早くしろよ。それこそ早い者勝ちだからな」

 

 無数の思念体を引き連れ、ムスビの二人は二手に別れ、それぞれに向かっていった。

 

 

 

「どうやら、カチコミされる側みてえだな」

「ひええ………」

「なんか、天使と鬼の連合軍と幽霊の集団が来てるように見えんだけど………」

 

 八雲が冷静に状況を判断する中、借りた双眼鏡で片方ずつ覗いていた悠と陽介が震え上がる。

 

「キョウジさん」

『おう、こっちにも来てる。これから各自の判断で戦闘に入れ。お前らはそこを死守な』

「了解」

 

 通信の向こうから聞こえる戦闘音に頷きつつ、八雲はGUMPを抜く。

 

「ペルソナ使い達は上階に退避しつつ、防衛陣を構築、喰奴達が戻ってき次第、オレは外で防衛戦に」

『こちらイザボー! 上階からシャドゥの大量発生を確認しましたわ! こちらですでに交戦中!』

 

 指示の途中で飛び込んできた通信に、八雲の頬が引きつる。

 

「くそ、なんでそいつらまで活発になる?」

「外の悪魔達に触発されたのかもしれません………それ以上の事は詳しくは」

「ど、どうするの!?」

 

 風花とりせに問われ、八雲は少し考える。

 

「活動部は山岸と一緒に上階に戻ってシャドゥに対処、調査隊は久慈川とここに残って上下の漏れてきた奴に対処しろ。山岸は中、久慈川は外をアナライズサポート。質問は?」

「あの、上下から同時に来られたら………」

「やばいと思ったら逃げろ。最悪、あの世には知り合いもいるから、オレかライドウの名前出せば無碍な扱いはされないだろ。あ、上司が新鮮な死体欲しがってたな」

 

 直人の質問に八雲がとんでもない返答をし、調査隊全員の顔色が変わる。

 

「しかし、このタルタロス、ひいてはカグツチを抑えられたら危険なのでは?」

「今の状態のカグツチが開放されたらどうなるかなんて分からないが、まあどのコトワリでもロクな事にはならんだろ。傾倒したけりゃ好きにしてもいいぞ」

「死守するしかなさそうだな………」

「じゃあここを頼む。行くぞみんな!」

『お~!』

 

 直人と八雲の会話に、がっくりと肩を落とす悠だったが、啓人は召喚器を手に仲間達と上階へと向かっていく。

 

「八雲~、ありったけ持ってきたよ~」

「八雲さん、珠閒瑠市にもムスビの軍勢が向かっていて、応援は不可能みたいです!」

 

 入れ違いに、上階から持てるだけの武装を持ってきたネミッサとカチーヤが現れる。

 

「久慈川、喰奴とロボ娘達はどこまで来てる?」

「すぐそこ! 他の連中よりも早くここに着くよ」

「とりあえずは、伸びてる五人を守るのがお前達の最初の仕事だ」

「了解!」

 

 八雲の指示に、特別調査隊のメンバー達は声を上げる。

 それを聞きながら、八雲はエントランスから外へと出ながらGUMPのトリガーを引き、召喚プログラムを起動させる。

 

「さて、始めるか」

 

 創世を目論む者達と阻む者達、全てが入り組んだ激戦が、始まろうとしていた。

 

 

 鋼の虚神が倒れると共に、蠢く影達。

 全てを混沌に巻き込み戦いの果てに有るのは、果たして………

 


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