ガンダムビルドブレイカーズ Snatchaway   作:ウルトラゼロNEO

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運命のベストマッチ

レイナによってトモン・リュウマのことを知らされたアラタ。

その日は何もすることもなく、二日が経過した。

放課後、部活動へ向かおうとする一年生達だが、その中でリュウマは一人、バックを持って生徒達とは逆の方向へ、帰ろうとしているのだ。

 

「──よっ、後輩君」

 

下駄箱で自身の靴を手に取った時であった。

いつの間にか近くの下駄箱に寄りかかっていたアラタに声をかけられた。

 

「なっ、なんだてめぇっ!?」

「おいおい、俺は先輩だぞ。口の利き方がなったないんじゃないか?」

 

いるとは思っていなかったために、心臓が跳ね上がるかのように身体を震わせながら驚いていると、その言葉遣いに飄々としたまま、指摘されてしまう。

 

「まあ良い。今日はお前に用があって来たんだよ」

「俺に……?」

「そっ。“今日も何もしない”で帰るのかい?」

 

何もしない、その言葉にリュウマは顔を俯かせる。

というのも、リュウマはこのガンブレ学園において、カリキュラム以外のガンプラに関する活動はしていないのだ。

学園はかつてと変わってしまってはいるが、それでもガンプラをに関わる者がいるのは変わらない。皆、部活動など己のビルダーとしての腕を高める活動に励むわけだが、リュウマだけは違う。この二日、様子を見ていたが、学園では最低限の授業をして、後はさっさと家に帰るのみだ。

 

「……アンタにゃ関係ないだろ」

「そういうわけにもいかない。どんな形であれ、一度、お前を気にしちまったんだから、ここで引くのもそれはそれで後味が悪い」

 

ぶっきらぼうに答えながら、靴に履き替えて出て行く。

その後姿にため息をつくように肩を落としたアラタはその後を追う。

 

・・・

 

リュウマの後をついて歩いていると、不意にリュウマは振り向いて吼えるように言ってきた。

 

「ついてくんなよッ!」

「別にいいだろ。こっちは俺の帰り道じゃないんだよ」

「じゃないのかよっ!」

 

ズッコケながらツッコミをいれる姿に資質を感じていると、少しは会話をする気にはなったのか、リュウマは歩く速度を落とす。

 

「……アンタ、誰だよ」

「よくぞ聞いてくれた。俺は天才ガンプラビルダーのソウマ・アラタだ。サイド0のリーダーをやっている」

「あっ? サイド0っていゃあ、あのラプラスの盾を倒したっていった……」

 

そういうこと、と三本指を回しながら、リュウマの隣を歩き始める。

この時間であれば、まだそこまで多くないにせよ、帰路につく他校の生徒達の姿が見受けられる。

もうそろそろ日が沈むであろう穏やかな時間のなか、アラタは道の先にゲームセンターを見つける。

 

「ゲーセンでバトルでもしないか?」

「……しねえよ」

「ガンプラに手をつけない、バトルもしない。じゃあ、なにがしたいのよ」

 

この世界でガンプラ、ひいてはガンプラバトルは大流行している。

バトルシミュレーターがあるこの時間のゲームセンターとならば、それはもう混雑しているものだ。

だが、リュウマはバトルの誘いを蹴ったのだ。

 

「明らかになにかあったって顔だ。話してみないか?」

「……」

「少なくとも無下にはしないぜ?」

 

誘いは蹴っても、未練はあるのだろう。

下唇を噛むその姿を見かねて、その肩をポンと叩き、その苦しみを吐き出させようとする。

 

「……分かった。ついて来い」

 

漸くリュウマも折れたようだ。

しかし立ち話をするわけにもいかないと思ったのだろう。

相変わらずぶっきらぼうにだが、アラタを連れて場所を変える。

 

・・・

 

「俺はバカでぶきっちょで……だから正直、モデラーのことなんかこれっぽっちも分からねえ。でも、バトルだけは楽しかった。楽しくて楽しくて、それで結果を出せば、周りの奴等も喜んでくれた」

 

リュウマの案内で移動したのは、近くの河川敷だった。

まるで青春のようなロケーションだな、と腰を落としていると、リュウマは川に向かって投石を始めながら、自身のことを語り始める。

 

「中学のときに進路で悩んでたら、当時の先生がガンブレ学園を勧めてくれたんだ。バトルが特化してるっていうし、バカな俺だけど死ぬ気になって勉強して……それで漸く入学できた」

 

中学の担任については多大な恩義を感じているのだろう。

先程まで険しかった顔も少しだけ和らいだ。

 

「すっげぇ嬉しかったよ。学園の空気もなんかおかしいなとは思ったけど、それでも頑張った。ここでモデラーとして勉強してバトルをもっと強くなるんだって……。お陰で少しずつ技術を得て、一年でランキングも上がり始めて……ヘンテコだけど、俺が自分で考えてカスタマイズしたガンプラだって作れた。けど……」

 

勉学に励みながら、向上する日々を思い出しているのか、懐かしむように話していたが、だからこそなのか、拳を強く握り、吐き捨てるように怒鳴る。

 

「誰かにぶっ壊されたんだよ、俺が作ったガンプラがッ!」

「……!」

「ちょっとトイレに行ってる時だった。帰ってきたら、置いきた俺のガンプラがなくて……次の日、わざわざぶっ壊されたガンプラが机に置かれてた」

 

自分がガンプラが無残に破壊される。

それはモデラーであれば、その絶望は計り知れないだろう。そして目の前の青年はその絶望を味わったのだ。

 

「結局、犯人は分からねえまま……。あの学園はガンプラが好きな奴等が集まる場所だろ!? そんな場所にいる奴の誰かが人のガンプラをぶっ壊した! それにあそこはパーツ狩りだってある! だったら……あそこでガンプラに関わろうなんて思えねえよ……」

「……そのガンプラは直せないのか?」

「さあな。夢と同じなんだよ……。時間をかければかけるほど、それが頓挫した時の反動はでけぇ。今はもうガンプラを作るのも、バトルしようっていう気すらならねえ……」

 

するっとリュウマはアラタに詰め寄って、その両肩を掴んで自身の怒りや悲しみ、その全てをその瞳に涙を溜めながら、切実に話し、やがては崩れ落ちる。

 

「一週間……いや、二週間、時間をくれないか?」

「あっ……?」

「言ったろ。無下にはしないって。お前は話してくれた。だったら俺はどうにかして応えたい」

 

へたり込んで、肩を落とすリュウマの肩を抱くように屈むと、その目を合わせながら真剣に話す。そこにいつものおちゃらけた態度は一切ない。その雰囲気にリュウマは思わず頷くと、その肩をポンと叩いて微笑みながらアラタは帰ろうぜ、とこの場は一先ず終了するのであった。

 

・・・

 

「少しいいか」

 

翌日、第10ガンプラ部へ向かっていたレイナの前にアラタが現れた。

 

「なにかしら?」

「頼みがある。どんなものでもいい、この学園でのトモン・リュウマのバトルデータを全部、俺に見せてもらえないか? 放送部にも掛け持ちしてるのなら出来るんじゃない?」

「ふむ……。少なくとも考えなしってわけではないようね。良いわ、何とかしてみる」

 

レイナに頼んだのはリュウマのバトルのデータだ。

放送部はバトルの配信などを行っている。どんな形であれ、リュウマのバトルがあるかもしれない。

迷いのない芯のあるその目を見て、顎先に手を添えて僅かに考えたレイナは微笑みながら了承すると、アラタも微笑んだ。

 

・・・

 

(……アイツ、なにしようってんだ)

 

それから一週間が経った。

今日も学校を終えたリュウマはカーテンを閉め切った薄暗い部屋でベッドに倒れこむ。

 

その頭の中にはアラタが。

なにかしようというのだろうが、あれっきり音沙汰がない。

リュウマはベッドから立ち上がると、自身の机に向かう。そこには無残にもボロボロで軸の折れたガンプラがあった。

 

「くそ……っ……クソォッ!」

 

リュウマの視界が滲む。

知らないうちにボロボロと涙が溢れていたのだ。

自分の中にあるやりきれない想いを紛らわすかのように、机の上の器材に当り散らすように薙ぎ払うのであった。

 

・・・

 

「……」

 

一方、こちらはアラタの私室。

彼の前にはパソコンがあり、そこにはガンプラバトルの様子が映し出されていた。

 

フィールドで大きく目を引く一機のガンプラがあった。シャイニングガンダムだ。

しかし、その出来栄えはガンブレ学園にいる身からすれば、お世辞にも褒められたものではないが、それでもゲート処理などは丁寧に行われており、ガンプラをより良くしようという愛と一生懸命に作ったという想いがバトルを見るだけで伝わってくる。

そう、なにやりそのガンプラの動きがとても楽しそうなのだ。相手を尊重し、自分を高める。そんな直向な向上心すらシャイニングガンダムとそれを扱うバトルから伝わってくるのだ。

 

「……最っっ悪だ」

 

バトルを見終えて、重いため息と共にディスクを取り出す。

近くには山積みになっているケースがあり、これが最後の一枚だ。

 

「俺はきっと今やってることを後悔する」

 

そのまま背伸びをしながら、机に戻っていく。

そこにはG-ブレイカー。そして組み立てえられたインナーフレームの姿が。

近くには外装となるパーツが丁寧に仕上げられており、あと少しで完成するのだろう。

口ではそう言っているものの、笑みを浮かべながら作業に取り掛かるのであった。

 

・・・

 

「ふみなチャレンジの日だねー。なんだかんだでお祭りみたいなものなんだよねー、これ」

「とはいえ毎回、上位ランカーに撃破されるのがオチですけどね」

 

そして月末のふみなチャレンジ当日。

学園のバトルシミュレーターをフル稼働させて行われるこのイベントには参加しようというユイやイオリ、マリカの姿もあった。

 

「アラタ君、急用があって出れないって言ってたけど……」

「目に凄い隈がありました……。心配です……」

 

しかしこの場にアラタの姿はない。

ここ最近、アラタはサイド0の活動こそ全うしているものの、寝る間も惜しんで、他になにかやっているのか、隈を作っていて、気を抜くとボーッとしているのだ。

 

「……」

 

そんなユイ達の近くにはリュウマの姿があった。

今の話を聞いていたのだろう。なにか考える素振りを見せながら、その手に持っているガンプラを取り出す。

 

それはシャイニングガンダムをベースにしたカスタマイズガンプラだった。

両腕には龍を思わせるカスタマイズがされており、その出来栄えは到底、リュウマ自身も自分では手が届かないと感じるほど凄まじかった。

 

彼のこれを手にした二日前の出来事を思い出す。

 

・・・

 

「お前にこれをやる」

 

二日前、アラタがリュウマに言った期日の日に彼は人のいない第08部の部室にリュウマを呼び出して、ケースを渡す。

 

「なんだよ、これ……」

「お前用に作ったガンプラだ。お前のバトルデータを全部集めて、作っている最中もずっと研究していた」

 

そこに入っていたのは、シャイニングガンダムをベースにしたガンプラだ。

これを見て、おずおずと尋ねれば、アラタは寝る間を惜しんでまで全て研究とガンプラ作成に注いでいたのだろう、大きな欠伸と共に舟をこぎながら答える。

 

「俺はもうガンプラに関わるつもりは──」

「嘘つけよ。本当に関わる気がないなら、とっくに退学してるだろ。それに……その言葉を言ったお前の顔、酷かったぞ」

 

関わるつもりはない、その言葉を言い終える前に被せられる。

見ていられないとばかりに顔を顰めるアラタが近くの鏡を指し、見てみれば、リュウマの今の顔は目に大きな涙を溜めていたのだ。

 

「……確かに自分のガンプラを壊されたのは辛い。しかもこの学園で……。お前のバトル全部、見たよ。すっごい楽しそうだった。最っっ高だった。でもだからこそ、俺はお前にそんな理由で……。ガンプラに絶望を残したまま辞めて欲しくないんだ」

 

リュウマのバトルのデータを見ていて、ガンプラバトルは技術力や実力のみで語れるものではないと感じた。

だから、そんな彼にガンプラへ絶望したままでいて欲しくないのだ。

 

「でも……また誰かにぶっ壊されるかも知れねえぞ」

「その時は俺がまた創造(ビルド)する。お前にはこの学園に残って、モデラーとしての腕を高めて最っっ高のガンプラビルダーの一人になるところを見たいんだ」

「なっ……」

「俺がこの学園を元に戻す。その間にファイターとしての腕を腐らせたくないから、そのガンプラを渡すんだ。お前のデータに基づいて作ったから実力を発揮できるはずだ。けど、勘違いするなよ。結局それは俺が作ったんだ。お前の細かい部分に対応しているかは分からない。だからこそ最後にはお前が最高のガンプラを作って、バトルして欲しい。その間にそのガンプラが何度も破壊されるのなら、俺がその度に創造(ビルド)する」

 

純粋にリュウマの今後を見てみたいと思った。

だからこそその為に必要な労力は惜しむつもりはない。

 

「……分かったよ。そこまで言われたんじゃあ、俺も無下には出来ねえ。今はこいつを借りて、もう少しやってみようと思う。けど、アンタも大概だな。俺みたいなバカにこんなすげぇガンプラを預けるなんて」

「本当のバカは自分をバカだなんて言わないんだよ。だから預けられる。お前を……信じられる」

 

アラタの想いがリュウマに届いたのだろう。ケースを手に取りながら、苦笑交じりに話す。

手に取ったガンプラの出来は段違いだ。これを碌に知らない人間に渡すのだから、どうかしている。

だがアラタは一切の迷いも後悔もなく、ただリュウマへの信頼のみで答えたのだ。

 

 

 

 

「よく聞け。そいつの名前は──……」

 

 

 

 

 

 

・・・

 

 

《さあ、いよいよ始まりますふみなチャレンジ! 果たして誰が撃破するのでしょうか!》

 

そして今に戻る。

いよいよふみなチャレンジも始まりの時が近づいており、リンコの実況も始まる。

 

《実況はお馴染み、シャクノ・リンコでお届けしますっ!》

「さあ、アラタ君の分まで頑張るよ!」

「そうですね。活躍して自慢しましょう」

「及ばずながら頑張ります……っ!」

 

リンコの実況を耳にしながら、意気揚々とユイ達出撃のときを待っていた。

 

《さて、今回はゲストを招いております!》

「ゲスト?」

「今までそんな人誰も……」

 

出撃のときを待っていたら、突然、リンコから聞きなれぬ言葉が聞こえる。

ユイ達は首を傾げていると、リンコは特別ゲストへどうぞ、と促し、ゲストは喋り始める。

 

 

 

 

《部品のブレイィイカァァア! 天才仮面モデラービルドです! イエエエエェェェェーーーーーーイッッッ!!!!》

 

《今日はよろしくお願いします!》

 

 

 

 

「「ブッフゥッッ!!?」」

 

 

 

その瞬間、美しい二人の少女(ユイとイオリ)は凄まじい勢いで噴き出した。

そこにいたのはガンブレ学園の制服に身を包んだ赤と青の左右非対称の仮面を被った変人がいたのだ。

 

《ビルドさんは諸事情で顔出しNGとなっておりますので、ご了承ください》

《とにかく俺はサイド0とは無関係だ》

 

「あぁ……そう言えば、せんぱ……ビルドさんは色んな部活に顔を出してましたね。それにガンダムに仮面枠はつきものです」

「いやいやいやいや! 流石に意味が分からないよ! 何で当たり前のようにあそこにいるの!?」

「しかもテンション高いわりには凄い眠そうだし!!」

 

放送席でのやり取りに唯一、一人だけ噴き出さなかったマリカは納得と言わんばかりに頷いているも、理解が追いつかないユイとイオリは放送席を映すサブモニターで舟を漕いでいるアラt……ビルドにツッコむ。

 

《ところでビルドさんは今回、気になるビルダーはいますか?》

《ええ、それは勿論、一人だけいますよ》

 

「ったく……なにやってんだよ」

 

それはガンプラバトルシミュレーターに乗り込んでいたリュウマも耳にしていた。

先日の自称天才の真剣な態度を思い出しながら、ビルドの姿についつい苦笑してしまう。

 

《これ聞いてるなら、見せてくれ》

「任せとけ。今の俺はっ……負ける気がしねえッ!」

 

スピーカーから聞こえる期待の言葉。

名前こそ言わなかったが、それが自分のものであることはリュウマにはすぐに分かった。

 

いよいよカタパルト画面に切り替わる。

カタパルトにガンプラが接続されるなか、高らかにリュウマは叫ぶ。

 

 

「トモン・リュウマ……レイジングガンダム、行くぜェッ!!」

 

 

シャイニングガンダムをベースに龍の意趣が施されたカスタマイズガンプラ……レイジングガンダムは再起を誓うリュウマと共に出撃するのであった。




女の子達と一緒にバトルをするのもいいけど、男キャラともしたかったな、っていう。
それでいうと、ガンダムブレイカー2のショウマ君はキャラクター性も主人公っぽくて歴代シリーズでも一、二を争うレベルで好きです。

ガンプラ名 レイジングガンダム
元にしたガンプラ シャイニングガンダム

HEAD ガンダムアストレイ レッドフレーム
BODY ガンダムエクシア
ARMS シャイニングガンダム
LEGS シャイニングガンダム
BACKPACK ライジングガンダム
拡張装備 ドラゴンヘッド×2(両腕)
     チークカード×2(両頬)

こちらも同じく活動報告にリンクがあります
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