ガンダムビルドブレイカーズ Snatchaway 作:ウルトラゼロNEO
「モリタ君、なにしにここへ……!?」
「おいおい、そりゃないだろー? ガンプラビルダー同士がぶつかって、バトル以外になにするってんだ?」
突然のショウゴとその取り巻きの襲来にサイド0の面々が困惑するなか、ショウゴは心根の卑しい笑みを浮かべ……。
「それともバトル以外のもっと親密なお付き合いがお望みかぁ?」
聞いているだけで不愉快になってくる下劣な物言い。
これにはサイド0の面々も顔を顰めて不快感を露にしている。
「最っっ低。モリタ君、変わったよね。前はそんなひどいことを言う人じゃなかった」
「おいおいユイ……。俺は今も昔も優しいんだぜ? どうだ、俺が生徒会に口きいてやるからよ。そんな変人転入生なんて放っておいて、俺達のチームに入れよ。俺ぁ、おめえのガンプラテクニックは認めてんだからよ」
ユイでさえその言動に不快さを露にするなか、なおもショウゴは煽るように先程のチョークリーパーのせいで気絶しかけているアラタを見やると、ここで変人というワードに反応したアラタが意識を完全に取り戻す。。
「絶対にお断りよ」
「どうしてもか?」
「どうしてもよ」
「なら、やるしかねえなぁ。強者が正義。それを俺が証明してやらぁ!」
ユイが今更、生徒会傘下に下るなどありえないことだ。
その迷いのないまっすぐな瞳を向けられたショウゴは苛立ちを隠さずに、舌打ちをする。
「万が一、お前が勝ったら俺は二度とお前と関わらない。それと、ユイのクラスや他の連中から奪ったパーツを全部くれたやる。これだけありゃあ、改造し放題だ」
他人のパーツで改造する気などないが、それでもショウゴが今後、ユイに関わらないというのであれば、願ったり叶ったりだ。
だがこれはサイド0が勝った場合の条件。その逆はというと……。
「代わりに……俺が勝ったらユイ、お前は俺のもんだ。なにをしようがされようが文句は言えねえ。ギャン子のコスプレでもやってもらうぜぇ?」
あぁ、この男はどこまで人を不愉快にすれば気が済むのだろうか。
鳥肌すらたつその言葉にいよいよ、サイド0の面々も我慢の限界が訪れたのだろう。
「変態です……。変態がいます……!」
「てめぇっ、いい加減にしろよ、この野郎ッ」
「そんな条件、飲めるわけが……っ!」
口々にショウゴへ非難をするマリカ達。
特に血気盛んなリュウマに至っては今すぐにでも殴りかからんばかりだ。
「はっ、吠えんじゃねえよ。ユイやそこの転入生がいなかったら、声も上げられなかった小物の分際でよぉ」
小馬鹿にするようなその言葉にリュウマ達は悔しさで歯を食い縛る。
結局、この三人はきっかけがあったから、サイド0にいるのだ。
逆に言えば、アラタとユイがいなければ、今までのように傍観者の立ち居地にいたかもしれない。
「──まったく吠えてんのはどっちなんだか」
ますます険悪なまでに張り詰めていく空気のなか、心底、呆れたように声を漏らす者がいた。
アラタだ。
椅子にもたれかかっていたアラタはチラリと鋭くショウゴを一瞥すると、ゆっくりと立ち上がる。
「絵に描いたような下衆な小物過ぎて笑えてくる。なに、薄い本の竿役にでもなりたいんですか?」
「な、なんだてめぇっ!?」
「委員長達は今のこの学園を良しとせず、ただ流されるだけの無言のフォロワー達のようにはならなかった。こいつらはこの先を……未来を考えて、サイド0に加わったんだ」
ただただシニカルな笑みを浮かべながら、淡々とショウゴへ言葉を突きつけるアラタ。
紛れもなく彼は怒っていたのだ。
殴りかかるような激しい怒りではなく、ただ静かに、それでいて着実に相手の心を抉るかのように。
「それは自分達だけのためじゃない。この先みんなが笑顔で楽しくガンプラを、バトルが出来るようにって。アンタはどうなんだ? 今のことしか……自分のことしか考えていないんじゃないんですか? そんな奴がこいつらが……俺達が
突っかかるのさえ忘れて、ただただ身が凍りつくような冷たいアラタの雰囲気におされて、壁際まで追い詰められる。しかしアラタはそのままショウゴの胸倉を掴んだのだ。
「そんなことは許さない。ユイ姉ちゃんも委員長もマリカもリュウマも皆、俺が守る。その想いを侮辱する奴は……誰であろうとどんな手を使っても壊してやる」
鼻先が当たるかどうかの距離でのやり取りと、真正面から受けるアラタの押し潰れそうなほどの圧にショウゴの足元が震えていく。
よく見れば、アラタの手にはスマートフォンが握られており、今までのやり取りは全て録音されているようだ。もしもショウゴが負けた際はこれを学園中に流せば、ユイへの要求などこの学園にはいられなくなるだろう。
「アラタ君、落ち着いて! ……モリタ君、その条件でいい。やるわ」
「よ、よし、やってやろうじゃねえか。後で吠え面かくなよなぁっ!」
見かねたユイがアラタを制止し、キッと鋭い視線を向けながら、ショウゴの条件を飲む。
先程まで押されていたショウゴも慌てて気を取り戻しながらも、いまだ先程のアラタの圧が忘れられないようで、動揺が見え隠れしている。
《──さぁーッ! 三度、勃発したレジスタンスチームサイド0とモリタ・ショウゴのラプラスの盾との因縁のバトル! 今回もワタクシ、シャクノ・リンコが臨場感たっぷりでお送りしていきますっ》
緊張感の漂う第08部の部室に放送部が滑り込んできた。
しかし今は一々、その存在に構っているつもりはない。アラタ達はバトルルームへと移動する。
・・・
「俺も戦いてぇところだが、アンタ達三人のほうが連携は固ぇだろ……。クソッ、なんだよ3on3って」
「た、戦えない分、ここで精一杯、応援してますので……っ!」
バトルルームに移動したアラタ達。
出撃メンバーがアラタ、ユイ、イオリの三人で決まるなか、リュウマは口惜しそうに拳を握り、マリカもどこか悔しそうにしながら、ぎゅっと胸の前で両手を握って応援する。
「……アラタ、私は確かにアナタやユイ先輩がいなかったら見てる側だったのかもしれない」
「けど違う。今、ここにいる委員長は立ち上がったんだ」
「ええ。だからこそ全力で戦うわ。きっかけをくれたあなた達に全力で応えたいからッ」
順次、バトルシミュレーターに乗り込んでいくなか、ふとイオリがアラタに声をかける。
どうやら先程のショウゴの発言に思うところがあったようだ。
だが、だからこそ改めてその決意と戦意が強いものになったのだろう、彼女らしい気丈な笑みに頷き、イオリはバトルシミュレーターに向かっていく。
「アラタ君、さっきはありがとう……。怖かったけど、嬉しかった」
「……絶対に、アイツの思うようにはさせない。今回ばかりはおふざけなしだ」
「本当にありがとう……。だからお願い、力を貸して……! 私、絶対に負けるわけにはいかない」
次に声をかけてきたのはユイだ。
しかし先程のアラタがまだ脳裏にあるようで、僅かに怯えながらでも感謝してくれた。
ユイに止められたとはいえ、いまだショウゴへの怒りはあるのか、静かに鋭くショウゴが乗り込んだシミュレーターを見据えるなか、ユイの言葉に頷き、バトルシミュレーターに乗り込んでいく。
「──……すまない、G-ブレイカー」
シミュレーターに乗り込んだアラタは待機画面が表示されるなか、セットしたG-ブレイカーを切なげに見据えながら、申し訳なさそうに呟く。
「少しの間だけ付き合ってくれ」
アラタの表情にはどことなく悲しみが滲んでいる。
それを振り切るようにG-ブレイカーと共に出撃するのであった。
・・・
《さぁー今回のG-cubeは決戦型です! 果たして、どちらのチームが栄光を掴むのでしょう! その模様を最後までお送りしますよッ!!》
バトルフィールドとなったのは月面基地だった。
リンコの実況と共にバトルが開始され、投影されたガンプラ達は一同に行動を開始する。
「決戦型ね。これなら相手に集中できるというものだわ」
「……俺が撹乱する。二人はその隙をついてくれ」
殲滅戦や争奪戦とは違い、何か大きな柵があるようなバトルではないため、気兼ねなく戦えると口角を吊り上げるイオリと一方で、アラタが小さく指示を出す。
そのあまりにも消え去りそうな態度に戸惑いつつも、ユイとイオリは頷いて指示通りの行動を始めると同時にG-ブレイカーは宇宙に鮮やかな光を放ちながら、飛び立つ。
「──てめえらはいたぶっていたぶってごめんなさいと言わせてやるぅ!!」
程なくしてショウゴ達の反応が見つかり、その機体を捉えることが出来た。
相変わらず小物のような物言いを聞きながら、先行したアラタはショウゴ達のガンプラを一瞥する。
(ウェザリングやつや消しがされているパーツとそうでないパーツの混合。相変わらず統一感のない継ぎ接ぎか)
「調子に乗って、一人で出てきやがったか! おい、てめぇら撃て!」
周囲をその機動力を生かして飛び回りながら、ショウゴ達のガンプラを見やる。
ショウゴのガンプラであるザルグ改は以前に比べて、赤色で統一されているが、よく見れば、その一つ一つのパーツの仕上げ方が異なっており、取り巻き達のガンプラと共に相変わらず奪ったパーツで組んだ継ぎ接ぎのガンプラのようだ。
一通りの観察を終えたG-ブレイカーに飛んで火にいる夏の虫とばかりにショウゴ達は手持ちの射撃兵装で攻撃を開始する。
「舐めるなよ、そんなガンプラで……俺のG-ブレイカーに勝てるかァッ!!」
するとG-ブレイカーのフォトン装甲からエネルギーをビーム化して全方位へ解き放ったのだ。
そのあまりの量はショウゴ達のものを圧倒的に上回り、彼等を途端に慌てさせる。
しかしそれで終わるわけがない。
G-ブレイカーはトラフィックフィンからトラクタービームを発射させると、取り巻きのうちの一機の制御系に干渉し、その動きを完全に拘束すると、そのまま引き寄せた。
「いまだッ!」
「──任せてッ!」
「──必ず仕留めるわッ!」
引き寄せられる取り巻きのガンプラにアラタが素早い指示を出すと、控えていたリリィとサファイアが動き出す。
何とかしようと銃弾をばら撒くザルグ改達の間にリリィが飛び込むと、シールドで防ぎながら、バスターライフルによってその動きを乱し、その間に飛び上がったサファイアのビームサーベルによって一刀両断される。
《おぉっと、早速一機が撃破されたぞーッ!?》
「なんだよ、アイツ!? 全身武器の化け物かよッ!」
一機だけならば簡単にどうにかできると思っていたが、その一機だけでここまで乱されて、挙句には自陣の一機を失ってしまった。あまりの状況にツインアイを発光させながら、こちらを鋭く見据えるG-ブレイカーに畏怖する。
「ど、どうしますか、ショウゴさん!?」
「う、うっせぇ! 自分で考えろ、それくらいっ!」
完全に陣形を乱されてしまった。
残った取り巻きが必死に指示を求めるが、自分自身にそんな余裕がなく、寧ろ指示を仰ぎたいくらいのショウゴはあまりにもお粗末な返しをしていた。
「あたふたしているのが命取りなのよォッ!!」
突いてくれと言わんばかりの大きな隙にサファイアが動く。
ビームライフルに待ち変えたサファイアはバルカンと共に連射することで相手の動きを乱しつつ、確実にその装甲を削っていく。
次に動いたのがユイだった。
サファイアの巧みな射撃によって一つに固まったザルグ改達を確実に仕留めるために各部装甲を展開して、マニピュレーターに液体金属を纏う。
「シャイニングゥッ……フィンガァーッ!!」
両腕から渾身のシャイニングフィンガーがザルグ改達に放たれたのだ。
その輝きは悪しき者を滅するが如く、ザルグ改達へ向かっていく。
「おい、なんとかしろぉっ!」
「なぁっ!?」
なんということなのか、ショウゴは取り巻きのガンプラを無理やり掴むと、リリィに向けて盾代わりにしたのだ。
軌道も変えられず、リリィのシャイニングフィンガーが取り巻きのガンプラの装甲を抉り、そのまま破壊する。
「なんてことを……──きゃぁあっ!?」
非道なその行いにユイが不快感を露にするも、シャイニングフィンガーを放ったことで出来た隙をザルグ改のショルダータックルを受けて、吹き飛んでしまう。
「勝ちゃいいんだ……。勝ちゃあ、どんな手を使ってでも……っ!」
動揺のあまり、妄執のようにショウゴがブツブツと呟いていると、ふと攻撃を知らせる アラートが鳴り響き、顔をあげる。
「なっ……」
見上げた先にいたのは、美しい
宙に浮きながら各部のフォトン装甲を輝かせ、この宇宙に輝きを灯すその姿はまさに天使のようで、思わず見惚れてしまう。
だが、天使は天使でも相対する者にとって、それは破壊の天使。
その装甲が血濡れのごとく赤く染まると、高収束ビームをザルグ改へ放ったのだ。
「んなぁっ!?」
アサルトモードの高収束ビームを受け、大きく吹き飛ぶザルグ改。撃破に至らなかったのは曲がりなりにもそのパーツが良質なものであったからか。
しかしそれが仇となる。
体勢を何とか戻そうとするのも束の間、一気に接近してくるG-ブレイカーのビームライフルとミサイルとして放たれた二つのトラフィックフィンを数発浴びてしまい、体勢を戻すところか更に怯んでしまう。
「ひっ……! な、なんかパーツはねえのか!?」
その間にG-ブレイカーは眼前にまで迫っていた。
ツインアイをギラリと光らせるその姿は何と恐ろしいことか。
先程の天使のように思えたのから一転、悪鬼のように思えてしまう。
ショウゴはパニックのまま先程の味方機から密かに回収していたパーツをリアルカスタマイズによって組み替えるのだが、そんなことは知ったことではなく、G-ブレイカーは手持ちのビームライフルとシールドを捨て、ビームサーベルで何度も切り刻み、そのままザルグ改へ突き刺す。
これで終わりなどではない。
それを表すように両手足を高トルクモードへ変化させると、そのまま響くような重い攻撃を幾度に渡って叩きつけ、そのままアッパーのように宙へ打ち上げる。
再びGーブレイカーはツインアイを輝かせる。
バックパック基部から反物質を閉じ込めた結晶体を生成、大量にザルグ改へ散布する。低温対消滅によって接触したザルグ改は削り取られるように瞬く間に消滅したのだ。
《なんということでしょう!? まさに白い悪魔! G-ブレイカーの活躍によって勝者はサイド0だァーッ!!》
フォトントルピード。それがパーフェクトパック最大の特徴にして、切り札。
ザルグ改が跡形もなく消滅したことによって、リンコの声がフィールドに響き渡る。
「──ごめん、ごめんなG-ブレイカー」
バトルが終了し、ユイやリュウマ達が手放しで喜んでいるなか、アラタは一人、シミュレーターの中で膝を抱えて、G-ブレイカーに謝罪していた。
「お前がしたいのは、こんなバトルじゃないよな……。こんなバトルにつき合わせてしまって、本当にごめん……。想いをぶつけ合った末に戦っている瞬間にも成長し合えるようなバトルを……お前にも絶対に味合わせて見せるから」
これをガンプラバトルだなんて思ってはいない。
ただただ自分達の怒りや思い通りにしたいからなどという醜さをガンプラに乗せただけの戦いだ。
事実、アラタはショウゴへ怒りが残っており、最後の殆どのモードを使用した執拗な攻撃はその表れだろう。
手段としてガンプラを使用してしまった。
今更、竦むつもりはないが、それでも何も感じないわけではない。
バトルを終わった後に残るのは虚しさと自己嫌悪のみ。
こんな想いはずっとしてきた。それこそ初めてショウゴ達とバトルしたあの日から、自分がしたいのはこんなバトルではないと。
このようなバトルにGーブレイカーを巻き込んだことを謝罪しながら、アラタはこのことを悟られないようにと、バトルシミュレーターを出る頃には飄々とした態度で出て行くのであった。
・・・
「本気の本気で最強のガンプラを用意してきたのに……っ! なんで負けちまうんだよ……っ!」
バトルシミュレーターを出れば、敗北を喫したショウゴ達が悔しさのあまり当り散らそうとしていた。
しかし先程のバトルを覚えているのだろう。アラタの姿を見た瞬間にひっ、と身を竦ませていた。
「……モリタ君、あなたの敗因はそのガンプラよ」
「お、俺の……ガンプラ……?」
「そのガンプラを見て、なにか思わない? 人から無理やり奪ったパーツで組み上げたその機体……それが本当に、アナタのガンプラなの?」
アラタに怯えているショウゴにユイは彼がいまだ気付いていない敗因を指摘する。
その言葉に意味が分からず、ショウゴは己のガンプラを見やるなか、アラタも話に加わる。
「……そのガンプラを組み上げた時、楽しかったですか? 思い入れがあるんですか? そんなガンプラでのバトルは……どんな気分なんですか?」
「あなたが変わったって言ったのは、そういうところ……。だって……前にモリタ君とバトルした時は凄く楽しかったもの!」
淡々と責め立てるような物言いにどこか悲しさを感じさせるアラタ。そんな彼に隣に立ちながら、ユイもかつてのショウゴを知っているのだろう。懐かしみ、そしてその時の感じた想いが真であると表すように屈託のない笑みを浮かべる。
「くそっ……俺は……俺は……っ!」
その言葉の数々はショウゴの心に刺さったのだろう。
膝から崩れ落ちた彼の肩はどんどん震えていき、やがては咽び泣く
・・・
「……みっともねぇとこ見せちまったな。約束通り、このパーツはお前たちにやる」
あれからどれだけ経ったのだろうか。
流れるままに泣いていたショウゴも漸く落ち着いたのだろう。腫れた目を擦りながら、ザルグ改を含めて、今まで集めたパーツの全てが入ったボックスを机に置く。
「甘えないでくださいよ。俺達のものでもないパーツを使うつもりはない。今のアナタなら、それが分かっているだろうし、どうするべきかも分かるはずだ」
「そうね。それはアナタが奪った人達に自分で返すべきよ」
アラタ達はそのパーツの一つでも受け取るつもりはない。
だからこそ、その箱をつき返したのだ。
「……そうか、そうだな。分かったよ……。ただその……もう一つの条件のほうは……」
今まで好き勝手にやっていたのだ。
返す時にどんな罵倒をされるかも分からない。だがそこはケジメとして甘んじて受け入れるつもりなのだろう。だが、ユイに二度と関わらない、というのは自分で言い出したこととはいえ、何とかしたいようだ。
「バカね。私はモリタ君と同じクラスなんだから、二度と関わらないなんて無理に決まってるでしょ。それに……またバトルしましょ。今度はモリタ君自身のガンプラで」
「……完敗、だな。そういうことならまたリベンジしてやらぁ! 俺の最強のガンプラでな!」
あれだけのことを言ったにも拘らず、柔らかな笑みを浮かべ接してくれるユイにショウゴもその目尻に涙を浮かべると、ゴシゴシと拭いて、再戦を誓う。
「随分と自分に都合の良い人ですね……」
「元々、そんな悪い人じゃないのよ。……多分」
とはいえ、今までやって来たことはあまりにも大きい。
そのこともあってか、呆れているイオリにユイも苦笑しつつもフォローする。
「おい、転入生。この際だ、忠告しといてやる」
そうと決まれば早速、作ってやる! と意気込んで取り巻き達と部室を出て行こうとするなか、ふとその途中で足を止めて、アラタの近くで話し始める。
「俺は負けたが……ラプラスの盾……それに生徒会はこんなもんじゃねえ。だからよ、お前がしっかりユイを守ってやるんだぜ」
「言われなくとも」
傘下であった為かショウゴ自身がその実力を良く知っているのだろう。
その忠告にアラタは軽い笑みを浮かべながら三本指をクルリと笑う。
「じゃあな! 負けんなよ!」
最後にはやって来た際の険のある表情は消え、憑き物が落ちたかのような笑みを浮かべながら、アラタの肩を叩くと、取り巻きと共に去っていくのであった。
アラタ君だってシリアスが出来る子なんです!信じてください!