ガンダムビルドブレイカーズ Snatchaway   作:ウルトラゼロNEO

23 / 97
蒼天の衝撃

 リョウコと別れてから、第08部の部室へと目指していたアラタだが、ふと視線の先にある人物を捉える。

 

「んっ……」

 

 白のペレー帽に、肩にかけた丈の長いブレザー。

 なによりは一切の汚れも知らないようなふわりと揺れる純白の髪。

 アラタの視線の先にいたのは、レイナだった。

 

 普段は澄ました印象を受ける彼女だが、今は僅かに眉を寄せ、頬もほんのりと汗ばんでいる。

 見れば、ガンプラが収められていると思われる紙袋をか細い両手に幾つも持っているのだ。

 

「これ、部室まで持っていけばいいの?」

 

 まだまだ第10ガンプラ部までは距離があり、流石にこのまま見過ごすのも後味の悪いものがある。

 そのままレイナのもとに歩み寄ると、彼女が持っている紙袋のいくつかに手をかけながら、声を掛ける。

 

「……あら。でも悪いわ。まだまだ距離があるもの」

「だからこそでしょ。サイド0のエンブレムも作ってくれたんだ。少しくらいは恩返しさせてよ」

 

 重い荷物に意識が向いていた為、アラタに気付いていなかったのだろう。

 僅かに驚いてはいたものの、自身の持つ紙袋に手をかけるアラタに申し訳ないと断ろうとするが、ここまでやって、やらないわけにもいかないと半ば強引にレイナの紙袋を持つ。

 

「……強引なんだから。でも嬉しいわ、ありがとう」

「っていうか、これなに? ただのガンプラだけじゃないような……」

「業者の方にメッキ加工してもらったのもあるのよ。手軽にメッキに出来るのは素敵なことよね」

 

 そんなアラタの姿に手伝いしたがりの子供を見ているかのように苦笑すると、アラタの好意に任せる。

 ふと気になったことを聞いてみれば、どうやらこの紙袋の中には業者に注文したものもあるらしく、早く実物を見てみたいと言わんばかりに期待感を膨らませた笑みを見せる。

 

「着いたわね。今、扉を開けるわ」

 

 何気ない雑談をしていると、漸く第10ガンプラ部の部室が見えてきた。

 さっと素早く扉の前に移動すると、アラタが通り易いようにと自動ドアを開かせる。

 

 

 

 

「──ぶーんっどどどどどぉーっ!!!!!!」

 

 

 

 

 

 第10ガンプラ部に足を踏み入れた瞬間、ハイテンションな擬音語が聞こえてきた。

 

「ずっだぁーんっ! びゅうぅぅーんっ!」

 

 何事かと思い、見てみれば、部室にある机に腰掛けたブロンドのシニヨンヘアをちょこんと大きな白いリボンで纏めた一人の少女が二つの素組みのガンプラを両手に持って、戦わせて遊んでいたのだ。

 遊びに集中しているらしく、こちらに気付いていない少女にアラタが声をかけようかと迷っていると、レイナに様子を見ていようと手で制される。

 

「ばばばばっばぁーんっ!」

「「……」」

「きいぃぃーんっどぅーんっ!」

「「……」」

「ずがあぁーんっどがぁー……」

「「……」」

「……はっ!?」

 

 暫らく遊んでいたが、漸くこちらの視線に気付いたのだろう。

 碧眼を丸々とさせ、大きく身を震わせていた。

 

「ぶ、ぶちょぉっ! いらっしゃるのなら声をかけてくださいっ!」

「可愛らしかったからつい。ごめんなさいね」

 

 照れ隠しをするかのように、レイナのもとに駆け寄り、顔を真っ赤に染めながら抗議する金髪の少女だが、その姿も可愛らしいのか、頭を優しく撫でられ、だらしのない顔を浮かべる。

 

「あれ、後ろの方は?」

「ソウマ・アラタ君よ。サイド0のリーダー」

「あっ、知ってます」

 

 ひょっこりとレイナの後ろにいるアラタを見ると、レイナの紹介に手をポンと叩く。

 自分を知っている、そのことに途端に得意げになって、いつもの挨拶をしようとするアラタだが……。

 

「はい、声をかけられたら、いつでも逃げる準備をしろと言われましたっ!」

「不審者っ!!!?」

 

 てぇんさいガンプラピルダーの~と言う前に少女が放った言葉に、芸人よろしくとばかりの突っ込みが響き渡った。

 

「ですがご安心ください! 私は噂よりも自分で感じたことを信じますっ!」

「あ、ああ。それはよかっt──」

「はい! 視界に入った瞬間に逃げます!」

「なんでえええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっっっ!!!!!?」

 

 上げて落とすとはまさにこのことである。

 荷物を置いていたアラタも途端に頭を抱えて、崩れ落ちた。

 

「何故でしょう……。アナタからは常人とは違う何かを感じます。ビンビンです」

「そ、それはきっと俺が天才だから……」

「FF外から失礼します。自分で天才とかいう人とかどうかと思いますよ」

「クソリプするのも止めてもらえない!?」

 

 胡散臭いものを見るように、目を細めて見つめてくる少女に普段とは珍しく振り回されるアラタ。

 そんな二人のやり取りを傍から見ていたレイナはクスクスと笑いながら、少女の頭を後ろから撫でる。

 

「この子は一年生のイチカワ・アヤ。クォーターでこの第10ガンプラ部の一員よ」

「よろしくーですっ」

「あ、ああ。よろしく」

 

 むふーっと頬を緩めるアヤはレイナに撫でられて羨ましいだろうと言わんばかりに自慢顔で挨拶してくる。

 一度、その両頬を思いっきり引っ張りたくなるようなその顔にアラタも頬を引き攣らせる。

 

「今日もブンドド遊びをしていたのね」

「あぁ、あれいつもやってるんだ……」

「みんな、子供みたいだの、バトルシステムがあるんだから、そんな遊びする必要ないとかいうのです。分かってないのです、ふざけてるのです。ブンドド遊びはガンプラバトルの始祖ともいえる高貴な存在なのですよ。それを笑うものはデストロイです、トランザムです、アーアアーです」

 

 部員であるアヤの先ほどの遊びはレイナからすれば、見慣れたものだったのだろう。

 ともあれ、アヤはガンプラバトルだけではなく、あぁやって手に持って遊ぶ、所謂ブンドド遊びも好きなようで、それを馬鹿にされるのは納得いかないようにぷんぷんと怒っている。

 

「それよりも、部長に見せたかったガンプラがあるのです!」

「あら、楽しみね」

「もぅ、部長が放送部のお手伝いがなければ、もっと早く見せられたのです」

 

 するとタタタッと自身が先程まで腰掛けていた椅子の隣に置いてある鞄まで移動すると、この時を待っていたのか、浮かれた様子でゴソゴソと鞄の中を漁る。

 

「はい! 新作ベアッガイのキテ──」

「ちょっと待てええぇぇぇぇぇぇぇっっっ!!!」

 

 アヤがケースの中から取り出そうとした耳に赤いリボンがついた白いネコ風のベアッガイが一瞬、見えた瞬間、アラタが全力で制する。

 

「むぅ、なにか問題でも?」

「問題だらけだわ! 夢の国の次はサン○オ!? ここ、どんだけ各方面に喧嘩を売るんだ!?」

「どーせ仕事なんて選んでないんですから知らない人が見ても、“あぁいつものコラボか”で済ましてくれますよ」

 

 そういう問題ではないと、頑なにアヤがベアッガイを取り出そうとするのを止める。

 それが数分続き、埒が明かないと渋々、やっと断念してくれた。

 

「分かりました、わーかーりーまーしーたー。もぅ、私も部長並のセンスを見せたかったのですがね」

「アンタの影響か」

「ガンプラは自由よ。何なら私がユウキ・タツヤが使用するという設定で作成したアメイジングスパイダーマ──」

「自由といえば許されると思うなよ」

 

 ぶーぶーと文句を言いつつ、深く深くに封印された夢の国のベアッガイを横目に見て、残念そうに深々とため息をつく。

 ジロッとレイナを見れば、どこ吹く風か、涼やかな表情で肩を竦める彼女に青筋を浮かべる。

 

「では、これならどうです!」

「フリーダム……風のインパルス?」

 

 これならば止められないだろうとアヤが取り出したのは、インパルスガンダムだ。

 しかしその青い翼のバックパックや腰部のレールガンなど全体的にフリーダムガンダムのような印象を受ける。

 

「カオスだのガイアインパルスだの、更にはデスティニーインパルスもありますからね。ここ最近のマイブームはインパルスのオリジナルシルエットを妄想して、形にすることなのです。他にもジャスティスインパルスやセイバーインパルスも作りました!」

「ストライクと違って、インパルスはカラーリングの都合もあるし、バックパックだけじゃなくて実質、一機一機作ってるって事なのか?」

「モチのロンです! 作ったインパルスで合体シークエンスをブンドドで遊ぶのも楽しいです! ……まあ、HGCEなので、コアスプレンダーまでは変形できないのですが」

 

 アヤの言葉から考えれば、フリーダムシルエットを装備した、さながら、フリーダムインパルスガンダムといったところか。

 

「良い機会です、一緒にミッションをしましょう!」

「……突然だなぁ」

「私は自分で感じたものを信じます! アナタのガンプラと動きを見れば、正しく分かります!」

 

 ビシッとフリーダムインパルスを片手に指差してくるアヤに流れを持っていかれているアラタは困ったようにため息をついていると、さあさあさあ、と詰め寄ってくる。

 

「それなら私もご一緒しようかしら。二人のバトルを間近で見る良い機会でしょうしね」

「なんとー……!? これは無様な姿は見せられませんねーっ!!」

 

 するとレイナまで参加を申し出てきたではないか。

 むふーっと戦意を燃やすアヤの頭を撫でながら、レイナはクスリと笑って、アラタを見る。

 

「……分かったよ。俺も前々からアンタのバトルを間近で見てみたかったし」

「決まりね。アナタ達サイド0と交流を持ち始めてから、第08部と同じサーバーに繋がるようになってオンラインも問題はなくなったのよ。感謝してるわ」

(……俺は何もしてないんだが。マリカちゃん辺りか? いやでも、あの子もサーバーは分からないみたいなこと言っていたし)

 

 第10ガンプラ部のサーバーに関しては何も分からない。

 マリカは生徒会管理外のサーバー云々言っていたが、その辺りについてはアラタもサッパリだ。

 しかしサイド0と交流を持ち始めてからだというのだから、やはりこの件についてはサイド0も何かかかわりがあるのかもしれない。

 頭を悩ませていると、その間に設定を済ませたレイナが声をかけ、アラタはアヤ共々、シミュレーターに乗り込んでいく。

 

「イチカワ・アヤ、フリーダムインパルス! 行っきまーす!」

「ガンダムマスカレイド、出るわ」

「ソウマ・アラタ、G-ブレイカー……出撃します!」

 

 ともあれ今はバトルに集中しようとレイナとアヤと共に出撃していくのであった。




イチカワ・アヤ

【挿絵表示】


ガンプラ名 フリーダムインパルスガンダム
元にしたガンプラ フォースインパルスガンダム

WEAPON MA-BAR72 高エネルギービームライフル
WEAPON ヴァジュラビームサーベル
HEAD フォースインパルスガンダム
BODY フォースインパルスガンダム
ARMS フォースインパルスガンダム
LEGS フリーダムガンダム
BACKPACK フリーダムガンダム
SHIELD 機動防盾(展開)
ビルダーズパーツ ニーアーマー×2(両肩)

詳しい外観は活動報告の【ガンブレ小説の俺ガンダム】にリンクがあります。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。