ガンダムビルドブレイカーズ Snatchaway   作:ウルトラゼロNEO

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約束の部室に

 アラタ達のバトルフィールドに選ばれたのは、妖しく光る月夜の市街地であった。人の手によって作られた光によって不夜城と化したこのフィールドで今、戦いの火蓋が切って落とされた。

 

「さあ、行っきますよー」

「え? ちょっ、おい!」

 

 NPC機が出現したと同時に我先にと上空を舞い上がるフリーダムインパルスに、止める間もなかったため、アラタが唖然としていると……。

 

「ほらほらー! 早く動かないと全部、私がキラキラバシュゥゥゥン!! で一気に終わらせちゃいますよーっ!」

「ったく、本当に自由っ子だな」

 

 妖精が宙を舞うように、軽やかに飛行するフリーダムインパルスの後姿に軽いため息をつき、レイナと肩を竦めつつも、その後を追う。

 

「フリーダム系に乗れば、一度はピピピッとやってみたいマルチロックっ!!」

 

 一方でアヤのシミュレーターでは、センサーが瞬時に多くのNPC機を捉えていた。

 そしてバックパックと腰部に備わったそれぞれ二門のバラエーナプラズマ収束ビーム砲とクスィフィアスレール砲を展開すると、ビームライフルと共に構える。

 

「(数撃ちゃ)当たれええぇぇぇぇぇーーーーっっ!!!」

 

 5つの砲門で一斉射撃を行い、色取り取りのビームがNPC機たちへ猛烈な勢いで向かっていく。

 とはいえ、標的に対して砲門を切り替えるわけでもなく、半ば撃ちっ放しのままの為、たまたま射線上にいた敵機体しか撃破には至らなかった。

 

「……そんなに当たってないな」

「……いいんですー。マルチロックからのブッパがしたかっただけですー。当たるとはいってないですー」

 

 結果でいえば、建造物のほうが破壊しているだろう

 乏しい結果を指摘されたアヤはそっぽを向いたまま、唇を尖らせて、吹けない口笛を吹こうとする。

 そんな二機へ銃口を向けるNPC機達だが、横から放たれたビームによって貫かれ、爆発した。

 

 マスカレイドだ。

 素早く反応したNPC機が銃口を向けたと同時に軽やかに宙返りすると、背後に着地し、先ほど、破壊したNPC機達からデータパーツとして奪った武装をリアルカスタマイズによって組み替えると振り返る間も与えずに撃破する。

 

「あんな動き、MFかヘビーアームズぐらいでしか見たことないぞ。あのガンプラの稼動域と運動性は相当なものだ」

「とーぜんですっ! マスカレイドと部長は鮮やかに勝利を奪う怪盗淑女なんですからっ!」

 

 簡単に見えるが、ガンプラバトルで宙返りなどビルダーが細かい挙動まで把握し、それを可能とする稼動域を持つガンプラでなければ出来ないことだ。

 純粋に関心しているアラタにアヤは自分のことように自慢する。

 

「見ているのは勝手だけど、このままだとトータルスコアまで私が頂くわよ?」

「それって予告のつもり? 悪いが出し抜かれるつもりはないよ」

 

 周囲一帯のNPC機を全て撃破したマスカレイドはビルの上に着地し、月光を背に受けながらG-ブレイカー達を見下ろす。

 

 悪戯に笑うレイナの挑発めいた言葉につられて笑みを浮かべたアラタはG-ブレイカーから光輪を放ちながら、月夜を舞う。

 マスカレイドの影響を受けてか、G-ブレイカーは攻撃を軽やかに避けつつ、NPC機へ接近するとビームサーベルを引き抜き、爆発どころか音を立てずに機能だけを停止させる。

 

 その行動にアラタとレイナは笑みを交わすと、静かでありながら情熱的かつ優美なワルツのようにバトルフィールドを舞台にした仮面舞踏会(マスカレイド)が幕を開けるのであった。

 

 ・・・

 

「ぬぬぬぅ……見惚れてたら、スコアが最下位になってましたぁ……!」

 

 バトルを終え、シミュレーターから出れば、マスカレイドとG-ブレイカーのバトルに見惚れるあまり、良い戦果を挙げられなかったアヤが胸の前で両手を握り、悔しそうに唸っていた。

 

「それで俺の動きとガンプラはどうだった?」

「えっ? あぁはい、素晴らしいと思いますよ、人間性以外」

「俺、キミに何かした?」

 

 元々、発端はアヤの提案だ。

 聞いてみれば、さらりと酷いことを言われ、頬を引きつらせてしまう。

 

「まあ、冗談はさておいて。とても綺麗でした。声をかけられても逃げる準備をしなくていいほどには」

「一言余計だなあ、キミはなあ!」

 

 どうしても素直に褒めることはしないのか、最後には小馬鹿にして話していたが、我慢の限界なのか、青筋を浮かべたアラタによって、そのマシュマロのように柔らかな両頬を思いっきり抓られる。

 

「い”らぁいれふぅー!」

「おっ、これ結構、クセになりそう」

「ぽりすめーん! へーるーぷーみー!」

 

 頬を引っ張られ、ぶんぶんと両腕を振って抗議するアヤを他所に思いのほか、心地の良かったアヤの頬に興味をひかれたアラタはそのまま捏ね繰り回すように触っていた。

 

「はいはい、その辺にしておきなさい」

 

 まるで兄妹か何かのようだ、とついつい苦笑しつつ、レイナは二人の頭を撫でるように手を乗せると、そのまま二人の間に割って入って引き剥がす。

 

「今更だけど、第08部の方はいいのかしら?」

「ん? あぁ、そういえば委員長から連絡が来ていたよう、な……」

 

 リョウコと話をしてから、レイナに出会い、そこからバトルをしたので時間にしてみれば一時間弱は使っている。

 リョウコと話している最中にイオリから連絡が来たことを思い出しながら、スマートフォンを取り出してみれば……。

 

 着信履歴

 委員長

 委員長

 委員長

 

「ヒエッ……」

 

 あれから定期的にイオリからの着信があった。

 一切の連絡をしていなかった為、イオリチャンを思い出して、アラタの顔もどんどん青ざめていく。

 

「別にやましいことはしてないんですから、堂々としてれば良いじゃないですか。何だったら私達と一緒に写真を撮って、私達といたことを証明すればいいのでは?」

「そうね。じゃあ、アラタ君を真ん中に私とアヤちゃんで挟もうかしら」

「そんな写真見せたら、余計に酷くなりそう気がする」

 

 後ろめたいことなど何もしていないのに、何故そんなにうろたえているのだと、アヤが助け舟を出すように提案すると、その内容に面白そうにクスリと笑ったレイナはアラタに身を寄せるが、着信履歴で一杯一杯のアラタは冷や汗をかきながら、別れを告げて、第10ガンプラ部を後にするのであった。

 

 ・・・

 

「あっ、おつかれさまです……ソウマ先輩」

「お、おつかれ」

 

 急いで第08部の部室へやってくれば、部室にいたマリカが出迎えてくれた。

 部室内を見渡せば、どうやらマリカだけのようだ。

 

「あれ、イオリ先輩に会わなかったんですか? さっき無理やりトモン君を連れて先輩を探しに行くって言ってましたけど……」

「い、入れ違いか……。あれ、ユイ先輩は?」

「えっと……親戚のおばさんが来てるそうで、今日は早めに帰るとさっき……」

 

 どうやら入れ違いで難を逃れることが出来たようだ。

 巻き添えとなってしまったリュウマに心の中で合掌しつつ、もう一人、この場にいないユイについて尋ねてみれば、どうやら家庭の用事が帰ってしまったようだ。

 

「あ、あのっ……また、ふたりきりですねっ」

(やめて、その可愛さは俺に効く)

 

 安堵するのも束の間、男女二人きりの状況に途端にもじもじと戸惑いつつも恥らうその姿を目の前にして、アラタは心臓の辺りを抑える。

 

「ふ、ふぅ……折角だし、一緒にミッションする?」

「良いんですか……!?」

(あぁ、やっぱりマリカちゃんは可愛いなぁ)

 

 何とか平静を保ちながら、共にミッションで遊ぼうと持ちかけると、頬を染めながら嬉しそうに食いついてきた。

 その姿にアラタはイオリチャンやアールシュなどここ最近の騒動を思い出してか、浄化されるように綺麗な表情を浮かべる。

 

「あのっ……バトルのほうも見てくれたら、嬉しい……です」

「いいよいいよー。もう何でも見ちゃうよ。土の中でも、雲の中でも、あの子のスカ……んん”」

 

 恥らった様子で話すマリカの初々しさにあてられ、ペラペラと何でも話そうとするアラタだが、ついつい口走りそうになった言葉を飲み込む。

 

「実はクリアできないミッションがあって……そのミッションを選ばせてください。よろしくお願いします!」

 

 ぴこぴこと設定をはじめるマリカの後姿にさえ癒されていると、暫らくして準備も完了したようでアラタとマリカは共にミッションに出撃するのであった。

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