ガンダムビルドブレイカーズ Snatchaway   作:ウルトラゼロNEO

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頑張れリュウマ!友に捧げた大勝利

 《今回のG-cubeは決戦型です! さあ、荒れ狂う吹雪の中に残るのは、どちらのチームなのか、注目です!》

 

 山頂に建設された基地は降りしきる雪が強い風によって吹き荒れ、視界さえ遮られてしまうほどだ。

 そんな雪山基地がサイド0とゴールデンコスモスのバトルステージに選ばれ、この暴風雪に負けぬほどの戦いを予感させる。

 

「チッ……こりゃあ、普通にやるよりもやり辛ぇな……」

「口を動かす前に手を動かせ」

 

 機体を襲う強烈な吹雪を前に、モニターどころか、機体を動かすのにも制約が出るような状況にリュウマは悪態をつき、注意されていた。

 

(ゴールデンコスモスは潤沢な資金が強みのチームであることは間違いないが、果たして実力はどれ程のものか……)

 

 現在、サイド0はG-ブレイカーとマリカマルがセンサーをフル稼働させて、相手チームの動きを探知しようとすると同時に山頂を目指していた。

 下手に山道の途中で相手チームを探すよりは、余程良いだろうと考えてのことだった。

 

「もう間もなく山頂の発着場に到着します……。少しは雪の勢いも弱まっているようにも感じられますね」

「ああ、だが問題は相手がどう動いているかだけどね」

 

 全てを飲み込まんばかりに振り続けていた雪も勢いも減っているようにも感じられるなか、襲撃されることも考え、周囲を警戒しつつ山頂を目指していたサイド0だが、マップを確認すれば、そろそろ山頂にある雪山基地の入り口である発着場に到着する。

 

 しかし問題はゴールデンコスモスも自分達と同じ行動をしているかどうかだ。

 もし同じく山頂を目指しているのであれば、先に山頂に登った方が有利となるだろう。

 

 その答えはすぐに知ることが出来た。

 

「──ッ! 熱源探知っ!」

「……どうやら向こうの方が早かったようだな」

 

 けたましくアラートが鳴り響くと同時に山頂から無数のロケット弾が降り注ぐ。

 何とか機体への損傷を防ぐことには成功したものの、苦々しく見上げた先には雪山基地に陣取るゴールデンコスモスのガンプラ達の姿が。 

 どれもマリカに作られただけあって、傍から見ても精巧な作りではあるが、使用者である彼等の趣向も無理に取り入れさせているのだろう。

 アカツキをベースにシンプルな作りながら、輝かんばかりに黄金の装甲を光らせるサカキのオーロドを隊長機に金色のガンプラ達は手に装備した似つかわしくない無骨なバズーカを構えて、連射してくる。

 

「フッ……機体を汚さぬ美しい幕引きだな」

 

 ありったけを撃ち、山道の地形が変わるのではないかと思うほど、巨大な 爆炎が巻き起こり、立ち上る黒煙を見て、サカキを心底、愉快そうに嘲るような哄笑をあける。

 

「──うあぁっ!?」

「なにっ!?」

 

 すると硝煙の中から現れた波のようなビームを受けた僚機の一機が強引に硝煙へ引き寄せられていく。

 不可思議な現象に、追い詰めたわけではないのか、と慌てて硝煙の方向を見てみれば……。

 

「こっからが反撃の幕開けだァッ!」

 

 硝煙から飛び出したのは、レイジングだった。

 バックパックのビームナギナタをマニピュレーターの上で素早く回転させると、そのままの勢いで自由の利かぬ敵機体をすれ違いざまに切り裂く。

 

「マリカちゃんが作ったガンプラっぽいけど、なにか違うような……」

「はい……。私が作った時とは外観に差異があります……。どうやら後付けパーツを組み込んでいるようです」

 

 硝煙がなくなれば、そこにはビーム・プレーンとシールドを展開しつつ、トラクタービームを打ち出していたG-ブレイカーと、既に後方支援にとライフルを構えているマリカマルの姿が。

 

「撃て! 撃て撃てぇっ!」

 

 動揺して、退きながらバズーカの引き金を引くサカキ達だが、マリカマルの支援射撃によって、その殆どが撃ち落され、あっという間にレイジングの接近を許せば、棒高跳びのように接近した勢いを利用してビームナギナタを雪原に突き刺し、勢いを利用して回りこんでいた。

 

「ハァアッ……!!」

 

 挟み撃ちの形となり、G-ブレイカーとマリカマルの射撃を前方に、後方にはレイジングが深々と腰を落としている。慌てている時間もなく、支援射撃によってバランスを崩した敵機体の一機を後ろから正拳突きによって粉砕された。

 

「こんのっ……庶民がぁっ!」

 

 最初の余裕とは打って変わって、焦りのあまり余裕もないサカキはビームサーベルを引き抜きながら、レイジングに襲い掛かるが、手首の辺りを掴まれると、そのまま頭突きを受けてしまう。

 

「オラ、来いよ」

 

 怯むオーロドだが、レイジングはその隙を追撃することなく、人差し指をクイクイッと引いて挑発する。

 それをまんまと乗ってしまったのだろう、たちまちサカキは怒りの形相でレイジングに襲い掛かるが、悉く受け流されて腹部に掌底打ちを受けて、よろめいてしまう。

 

「何故だ!? 何故、手も足も出ない!? サクライ君はビルダーとしても劣っているとでもいうのか!?」

「劣ってんのは今のお前その物だろうが」

 

 何をしてもレイジングに傷一つつけることも出来ず、どんどんオーロドの損傷だけが増えていく一方だ。

 あまりの状況にサカキは受け入れられずに叫ぶが、普段のリュウマの熱っぽさから考えられぬほど冷静に指摘されてしまう。

 

「俺は別に人のガンプラで戦うことは否定しねえ。自分だけじゃなく、人のガンプラを使うことで見えてくるもんもあるからな」

「そうだ……! 聞いたぞ、君のそのガンプラはあの変人から渡されたそうだな!」

「ああ。自棄になってた俺に可能性を見出して、このガンプラを預けてくれた」

 

 ビームサーベルを振りかぶって、襲い掛かるオーロドだが、足を引っ掛けられ、そのまま雪原を派手に転がってしまう。

 そんな自身を見下ろすレイジングに屈辱感を感じながら、サカキがマリカから流された情報を思い出し、指摘すると、かつてのことを思い出しながら静かに答えられる。

 

「コイツにはアイツの期待と自由にバトルをして欲しいっていう想いの全てが詰まってんだ。だからよ、俺はコイツで戦う限り、無様な戦いは出来ねえ! 人のガンプラで戦うってぇのはなぁ、ソイツの思いも背負って戦うってことだろうがッ」

「っ!?」

 

 段々と自身とアラタのことを思い出しているのか、言葉に熱が入るなか、オーロドの首部を掴むと、そのまま無理やり起き上がらせる。

 

「てめえはどうだ? ソイツに込められた想いが分かるか?」

「ガンプラに込められた想い……だと……?」

「ああ、俺には分かるぜ。苦しい……本当に苦しいけど、ガンプラに罪はねえからって、一切、手は抜いてねえ! てめえはそれをビルダーとして劣ってるって言いやがった!」

 

 モニターを見つめるサカキの身体は恐怖で震える。

 そこに映るツインアイを輝かせて、こちらを見据えるレイジングの姿はまさに逆鱗に触れた愚者に怒り狂う蒼き龍だ。

 

 だがその恐怖もリュウマの熱のある言葉に和らぎ、考えさせられる。

 リュウマには分かっているのだ、精巧に作られたオーロドは脅迫は一切、関係なくマリカが手を抜くこともなく、一生懸命に作成したものであると。

 

「そんな野郎に俺は負けねえ! 負ける気がしねえェッ!!」

 

 リュウマの言葉に動揺するサカキのオーロドの顎先を殴り、そのまま遥か大空に叩きつける。

 

「レィイッジングゥウウッ!!! フィンガアアアアアアアァァァァァァーーーーーーーーァアアッッッ!!!!!!!」

 

 各部の装甲を展開し、レイジングはオーロドを追って、飛び上がり、まっすぐとオーロドを目指して向かっていく。

 

「天駆ける蒼き龍……!」

 

 展開した装甲を輝かせ、光の尾を走らせるその姿は天へと昇る気高い蒼き龍のようだ。

 風を切り、轟音を響かせる様はまさに怒りの咆哮だ。

 向かってくる荒ぶる蒼き龍を見つめ、その姿に恐怖よりも不思議と美しさを感じながら、オーロドの胴体は貫かれ、そのまま雲の上の晴れ渡る空まで連れて行かれると、大爆発するのであった。

 

「あの筋肉バカ、やったな」

「リュウマ君も先輩のことが大好きなんですねっ」

 

 光差す雲の切れ目からゆっくりと降りてくるレイジングの姿にアラタとマリカが微笑む。

 リュウマはバトルに集中していたが、その時の言葉は二人とも確かに耳にしていたのだ。

 

「へへっ、やっぱつえーぜ!」

 

 G-ブレイカーとマリカマルを見ながら、リュウマは底抜けの笑顔でピースサインをする。

 その言葉はかつてアラタとの近接縛りのバトルをした後と同じ言葉だ。

 それは決して自分だけが強いといっているわけではないことは、空からの光を受け、まるで喜んでいるように輝いて見えるレイジングを見れば、明らかだった。

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