ガンダムビルドブレイカーズ Snatchaway   作:ウルトラゼロNEO

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戦の後

「ほらほら、もっと笑ってサクライン~!」

 

 ゴールデンコスモスとのバトルから翌日、サイド0の部室ではチナツが遊びに来ており、今日も自由気ままに自撮り棒を使用して、マリカに身を寄せながらスマートフォンで何枚もパシャパシャと写真を撮っていた。

 

「えっと……あの、こう……ですか?」

「ダメダメー! ぜーんっぜんカタいよ、表情が! こうやってニコッってするの。ほら、ニコッ!」

 

 とはいえ、マリカ自身、自撮りはおろか、あまり撮られるのは得意ではないのだろう。

 頬も引き攣り、ぎこちのない笑顔を浮かべるマリカにチナツが笑顔でダメだしすると、やはり慣れているのか、二本の人差し指を両頬に添えると、とびっきりの笑顔を見せる。

 

「あ……えっと……ニ、ニコッ」

「もー! ガンプラだけじゃなくて、自分が一番盛れる角度とかベンキョーしとかないと!」

 

 マリカのようなタイプはすんなりと出来れば、苦労はしないだろう。

 それでも見よう見まねで両頬に指を添えて、硬い笑顔を浮かべるマリカにチナツはぶーぶーと文句を口にする。

 すると今までスマホを弄っていたアラタはやれやれ、なにも分かっていないとばかりにため息をつくと、組んだ足を解いて立ち上がる

 

「まあ待ちなさいよ、ちなちー。そのぎこちなさもまたマリカちゃんの良さなんだよ。言ってしまえばぁ……あどけない初々しさ? 慣れてしまえば決して出すことの出来ない味にメロメロになっちゃうんだよ。素人っていうジャンルに人気がある理由が良く分かる。ところでぇ……その写真、後で俺のスマホに送っておいてくれ」

「よくわかんないけど、それならアラターも一緒に撮ろっ!」

 

 なにか高尚な説でも唱えているかのように眉間に人差し指をあてながら芝居がかった』口調で話す自称天才はそのまま焼き回しを頼むなか、それならとチナツは飛びつくようにアラタに身を寄せる。

 

「あぅっ……」

 

 マリカと違い、アラタは特に抵抗もなく、そのままチナツと腕を絡ませながら、イェーイと写真を撮っている。

 チナツとはノリが合うのだろう。とはいえ、それを傍から見ているマリカは複雑そうに体をもじもじと揺らす。

 

「ほら、マリカちゃんもおいで」

「っ! は、はいっ!」

 

 親密に写真を撮っている二人の姿を見ているだけしか出来なかったマリカだが、ある程度、写真を撮り終えると、アラタが何気なく声をかけてくれた。どうやら三人で写真を撮ろうというのだろう。

 先ほどまでぎこちなく写真を撮られていたマリカも途端に嬉しそうな顔で頷いて、トコトコとアラタとチナツの間に入ってくる。

 

(ソウマ先輩と……こんなに近くに……)

 

 じゃあ、撮るよーと自撮り棒を掲げるチナツの声を聞きながら、マリカは写真を撮るために身を寄せてきたアラタに意識してしまう。

 チラリと横目に見れば、これほど近づいたことはなく、その精悍な顔立ちを見て、鼓動が早くなっていくのを感じていると視線に気付いたアラタは不意に笑顔を見せ、一気に顔が熱くなっていく。

 

「はい、チーズッ!」

 

 チナツの合図にアラタと共にカメラへ顔を向ける。

 パシャリ、と部室にシャッター音が響き、チナツが撮り具合を確認すると……。

 

「おっ、すっごい良いじゃん、サクラインっ!」

 

 すると今まで不満を口にしていたチナツだが、今、撮った写真を見て、たちまち上機嫌になる。

 何だと思っていたら、そのまま画面を見せてきた。

 そこに写っているのは、アラタとチナツ、そして何よりぎこちなさは残るものの、頬を染め、はにかんだ笑みを見せる一人の可憐な少女だ。

 まさに主役といってもいいぐらいだろう。マリカが自分で見てみて、それが自分だとは思えないほどだ。

 

 だが理由は分かっている。

 やっぱりマリカちゃん可愛いとうんうんと頷いているアラタに人知れず、視線を向けるのであった。

 

 ・・・

 

 部室で今日もサイド0の活動を行うなか、ユイは途中、放送で教師に呼び出しを受け、リュウマは第02ガンプラ部に遊びに行き、イオリとチナツもその様子を見に行っている。

 

「あの、先輩……」

 

 故に今はマリカと二人きりになっている。

 とはいえ、特に意識もしていなかったが、ふとマリカから声をかけられる。

 

「本当に……ありがとうございました。ゴールデンコスモスを倒してくれて」

「まあ、美味しいところを持っていったのはあの筋肉バカだけど」

「それでも……裏切っていた私に選択肢を与えてくれたのは嬉しかったです……」

 

 改めて感謝するマリカにわざわざ言わなくてもいいとばかりにおちゃらけて、肩を竦めていると、それでも、と真面目なトーンで話すマリカに表情を正し、顔を向ける。

 

「……元々、私が弱かったのがいけなかったんです。ガンプラバトルも……心も……」

 

 自虐に一瞬、そうでもないとフォローしようと思っていたが、マリカの決心がついたような迷いのない目を見て、黙って彼女の話の続きに耳を傾ける。

 

「……これからは……先輩達を見習って頑張ります! どんな出来事が立ち塞がっても、まっすぐ自分の道を進めるようになるために……」

 

 止めれるもんなら止めてみな。

 それはマリカが初めてアラタと共にミッションをプレイした時、彼が誰かが立ち塞がった時には言ってやれと自分に教えてくれた言葉だ。

 あの時、感じたアラタの格好良さとG-ブレイカーの美しさはその言葉と共にずっとマリカの心の中に強く刻み付けられていたのだ。

 

「だ、だから……ですね。これからもよろしくお願いします、“アラタ”先輩っ!」

 

 彼女にとって新たな再出発もあるのか、今までずっと苗字で呼んでいた呼称を名前に変え、ペコリと頭を下げる。

 とはいえ、初めてアラタの名を呼称するということもあって、どこか気恥ずかしさのようなものが判じられる。

 

「そっ、それじゃ……わたし、今日は帰ります! 色々と試してみたい武装があって、少し近くのホビーショップに行ってみようと思います!」

 

 アラタが何も答えぬまま、彼女自身、自分でも大胆な行動をしたと思っているのだろう。

 下げた頭は耳まで真っ赤にすると、そのまま返答を待たずして逃げるように、失礼しますっ、と部室を去っていく。

 

「──」

 

 マリカがいなくなった後の部室にはアラタだけが取り残されていた。

 どうやらマリカが恥ずかしがりながらでも自分のことを名前で呼んだことの反動が大きかったようで、安らかな表情ながら白目を剥いていたのだが……。

 

「うあぁっ!?」

 

 まるで時間が止まったかのように、微塵も動く気配のないアラタの制服のポケットが震える。

 突然のことに飛び跳ねて驚いて確認して見れば、どうやらGBにメールが来たようだ。

 

 “ゴールデンコスモスのサカキ君に勝ったんだね! おめでとー! そんな凄腕ガンプラビルダーさんと一緒に遊びたいから、良かったらこの後でチャットルームに来てねっ!”

 

 差出人はRECOCOだった。

 放送部が中継していたとはいえ、情報の伝達が早いものだ。

 とはいえ、アラタもRECOCOとの時間は悪いものとは思っていない。

 まだユイ達が帰ってくる気配もないため、アラタはメールに記された通り、ガンプラバトルシミュレーターに乗り込むと、チャットルームへと向かうのであった。

 

 ・・・

 

 《あっ、早速来てくれたんだ。ありがとう!》

 

 チャットルームへ向かえば、早速、RECOCOのアバターが出迎えてくれた。

 メールを送って、すぐに出向いてきてくれたことが嬉しいようで、待ちわびたとばかりに明るく出迎えてくれた。

 

 《サクライさんがサカキ君に無理やりガンプラを作らされ続けて……ずっと悩んでたって聞いてさ。君たちが解決してくれて本当に良かったよー》

「今回はちょっと出番を食われた感があるけどね」

 

 マリカの話はRECOCOにまで及んでいたのだろう。

 彼女が自由の身となって手放しで喜んでいるRECOCOに、相変わらずおどけながらでも、マリカのことで喜んでいるのはアラタも同じようでその口元には穏やかな笑みが浮かんでいた。

 

 《それじゃあ早速、その実力を私にも見せてもらおうかなー!》

「はいはい、時間がないんだろ。その分、濃密なものにしちゃいますよっ」

 

 とはいえ、今回のゴールデンコスモスとのバトルはショウゴの時と同じようなバトルだった。

 マリカが解放されたのは嬉しいが、ショウゴの時ほどではないにせよ、しこりのようなものが多少はあるのだ。

 だがRECOCOとのミッションは毎回、楽しめるものであり、ミッションを終えた後も晴れやかな気分になることが多い。

 早速、アラタはG-ブレイカーと共に出撃していくのであった。




実は息抜きでガンブレ2小説を修正したりしてます。といっても現在の書き方にあわせた簡単な修正とキャラ絵の追加ぐらいですが。

そんな修正をしている最中に気づいたのが、Newガンブレって今までのガンブレシリーズでいたやたら露出度が高い格好をしたMCがいないなって。

ということでリンコちゃん、脱ごう。
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