ガンダムビルドブレイカーズ Snatchaway   作:ウルトラゼロNEO

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明日はウルフェスで会おう


学園について

「さーて、授業も終わったし、楽しいガンプラの時間ね! マリカちゃんの調子も戻ったことだし!」

 

 ECOCOとのミッションから数日が経った。

 サイド0によるゴールデンコスモス撃破の報はガンブレ学園中を駆け巡っていた。

 そんな中、放課後の08部の部室では、今日もサイド0の活動が行われようとしていた。

 

「は、はい! あの、ありがとうございました……っ。これ、いただいた物ですけど、お礼です」

 

 目の下にクマまで作り、やせ細っていたマリカも今では回復している。

 この喜ばしい状況で、マリカはお礼にとばかりに持ってきたパンを人数分、取り出す。

 しかも、そのパンはただのパンではないらしく……。

 

「これ、プレミアム購買部の限定パン!? よく手に入ったね!」

「はい、“サイド0への景気付けだ”って、マスミさんがこっそり渡してくれました」

 

 何でもそれはマスミのファームで手がけた新鮮な食材を惜しみなく使用したこのガンブレ学園限定の一、二を争う商品だ。

 中々、入手し辛いことから、ユイ達もあまり食べたこともなく、マリカが取り出した時は非常に驚いていた。

 どうやらマスミから餞別で送られたらしい。

 

「私達の活動が段々と実を結んできてるんだね……」

「モリタ先輩に続いて、ゴールデンコスモスを破ったのが効いているみたいですね。あの人達は生徒会の運営の一部を代行していたトップランカーでしたから。そしてこの先は、ランク上位の相手ばかりです」

「そっか……。ここからが本番なんだね」

 

 しみじみとこれまでの歩みを振り返るユイに頷きつつもイオリから釘を刺される。

 生徒会を相手に戦えば戦うほど、手練れが立ち塞がることだろう。

 これからの激闘を予感して、顔を引き締める。

 

「……」

 

 アラタは一人、深々に椅子に腰掛け、頬杖をついていた。

 口元には笑みは浮かんでいるものの、その目だけは虚しく見るものを映している。

 

「なぁ、どうしたんだよ」

「……何でも? これからどんな相手がこの天才の前に立ち塞がるのか考えてただけだ」

 

 傍から見れば、いつもの余裕ある態度をとっているようにも見えるが、そこに違和感を感じて、声をかけたのはリュウマだった。

 すると、アラタは我に返ったかのようにハッと僅かに目を見開くと、いつもの飄々とした態度で肩をすくめている。

 

「っつーか、これからどうすんだよ。もういっそ生徒会室にでも行っちまうか?」

「さすがに、それは厳しいのでは……。生徒会──“ラプラスネスト”は学園最強のチーム。それと戦うには、もう少し実績がないと」

 

 やはりアラタへの違和感は拭えないままなのか、釈然としないリュウマだが、今後の活動について話を切り出す。

 ここまでまさに躓くことなく快進撃を続けるサイド0だが、やはりこのまますぐにでも生徒会に挑むというほどうまくはいかないらしい。

 

「生徒会長に挑もうとしても、実力不足とみなされると門前払いどころか、学園追放という噂もあるって話よ」

「なんだそれ、馬鹿じゃねえの」

「いや、私に言われても……。あくまで噂レベルの話ってこと」

 

 しかも生徒会長に挑む以前に審査のようなことがあるようだ。

 話を聞いたリュウマはおかしさからか、露骨に顔を顰め、文句を口にすれば、イオリも同じことを思ってはいるのか、何ともいえない様子だ。

 

「っんで、どれくらいの実績が必要ってんだ?」

「ランキング一桁台……とかでしょうか」

 

 不満はあるが、順だってというのであれば、さっさと済ませるのみだ。

 リュウマの問いに一同、頭を悩ませると、やがてマリカがおずおずと口を開く。

 因みに以前、バトルをしたゴールデンコスモスのサカキが10位だという。であれば、必然的にそれより上になるわけだが……。そうして再び頭を悩ませていると、不意に08部の部室の扉が開く。

 

「──俺が来た。持て成せ」

 

 そこには、アールシュがいたのだ。

 相も変わらず、自分こそが頂点であるかのように堂々と振舞うその姿には安心感さえ感じる。

 

「ア、アールシュ君は確かランキング2位だよね」

「副会長を抑えてのことですから、相当なものです。生徒会長に匹敵すると噂されるのも理解は出来ます」

 

 尊大な態度をとるアールシュだが、それだけの自信は、やはりそれに見合うだけの実力があるからだろう。

 そんなアールシュの学園内ランキングは何と一位に君臨する生徒会長のシイナ・ユウキの次いで二位とのこと。

 副会長や他の生徒会役員を凌いで、その立場にいるアールシュにユイとイオリはヒソヒソと話す。

 

「あのっ……アールシュ君、私達とバトルをしてもらうなんてことは……」

「世迷言を。この中で俺のシヴァを戦わせても良いと考えるのは、そこの道化(クラウン)のみ」

 

 おずおずとバトルを持ちかけるユイなのだが、予想通りというべきなのか、アールシュは鼻で笑って、キッパリと一蹴すると、チラリとアラタを一瞥する。

 

「おい、そいつは俺達が弱ぇからとかじゃねえだろうな!」

「喧しいぞ青トカゲ。実る兆しも見えん青い果実など口にする気はない」

 

 だが、その言葉に食って掛かったのは、リュウマであった。

 しかしいくら凄まじい剣幕で詰め寄ろうと、アールシュは眉一つ動かすことなく、冷たく切り捨てる。

 

「お言葉ですが、私達の実力は簡単に切り捨てられるほどではないと思います。現に誰もが楽しめるため、学園を元に戻すために私達はラプラスの盾のモリタ先輩やゴールデンコスモスを──」

「愚か者は始末に負えんな。俺が評価するのは、その姿勢であり、実力は二の次だ」

 

 イオリも見下されていると黙っていられずに口を挟むのだが、その言葉が返ってアールシュの嘲笑を買ってしまった。

 

「ミカグラよ。貴様はかつて俺に助力を求めたことがあったな」

「え、ええ。その時はキッパリと断られたけど……」

「その意味を貴様は理解しているか」

 

 部室内がどんどんと張り詰めた空気になるなか、アールシュの鋭い視線はユイに向けられる。

 まるで罪人に罪を問いただすかのようなその目にユイは身震いしながら、当時のことを振り返りながら答えるが、その後の問いにユイは表情を悩ませる。

 ユイは当時、唯一、生徒会に抗う可能性を持つアールシュに助力を求めたことがあるそうなのだが、断られてしまった。その理由まで話されてはいなかったようだ。

 

「俺は常に前へ進む。戻るなどという逆行に興味はない。生憎、俺はこの学園に思い出作りの為に来たのではなく、未来に活かす為に来たのだからな」

 

 宇宙開発に伴い、導入されるというMSの開発など、世界は目まぐるしく変化している。

 プロのガンプラファイターになれずともMSに伴うAMBACの一端を自動で学べたりと、ガンプラやバトルの価値が我々の世界とは異なるなかで、アールシュにとって世界でも有数のガンプラに特化したこの学園での時間は有限なのだ。

 であれば、その時間を前に進むために使いたいのだ。

 

「第一、学園を元に戻す? それを掲げる貴様等のチームのリーダーはその“元の学園”を知らぬではないか」

 

 緊迫する空気にマリカも怯えるなか、アールシュから放たれた言葉にユイ達は動揺する。

 アラタが転入してきたのは、先月のことだ。

 いくら楽しかった元の学園に戻したい、などとユイやイオリが一生懸命に語ったところで、アラタはそれを想像するしかないのだ。

 

「大体、誰もが、などと実現するのか? 楽しみ方は人それぞれであるし、強者と弱者の構図は常に成り立っているものだ。昨日まで強者と弱者の関係であった者達が手を取り合えると? 貴様等の指す誰もが、はどの層を指すのだ。半端な力を持った理想論者ほど手に負えんものはない。貴様等を支持する層もいるそうだが、それはかつての現生徒会が成り立った流れと同じではないのか?」

 

 つらつらと挙げられるアールシュの言葉は、元々の彼の話術もあるのか、反論もままならぬほど飲み込まれて、ユイ達は苦々しい顔のまま黙ってしまう。

 

「俺とて貴様等の全てを否定する気はない。貴様等のような想いを抱く者も必要ではあるし、学ぶのが目的とはいえ、今の学園の全てを良しと思っているわけではない。だが、だからこそ、もし貴様等が現生徒会を“倒す”のではなく、“救う”と言っていたのならば、少しはバトルを、いや、肩を並べる可能性もあったのかもしれんな」

 

 自分でも多少の熱が入ってしまったのを自覚しているのか、自己嫌悪のように静かにため息をつくと、いくっらかクールダウンしたのか、そのままアラタを脇に抱えて部室を去っていく。

 

 ・・・

 

「……俺に何の用?」

 

 アールシュの脇に抱えられたまま、アラタは静かに口を開く。

 その声は先ほどのやり取りがあったにも関わらず、非常に落ち着いたものだった。

 

「近く、ランキングバトルが行われる。貴様はそこで俺とアイゼンと共に出る」

 

 そもそもアールシュはアラタに用があったようだ。

 しかもその内容とは、ランキングバトルをアールシュとレイナと共に出撃するというのだ。

 何より、出る、ともう確定しているのだから、これにはアラタも驚くしかない。

 

 どうやらアールシュが向かっているのは、第10ガンプラ部のようだ。

 恐らくそこにはレイナが待っていることだろう。

 

「貴様らが勝利したのは所詮は氷山の一角。もしも貴様が今の立場に身を置き続けるのであれば、貴様はまずこの学園の全てを知らねばならん。全てに目を向け、耳を傾けるのだ」

 

 上位ランカーに名を連ねる者全てショウゴやサカキのように驕り高ぶっているとは思っていないが、もしかすれば、これはそんな上位ランカー達と出会うチャンスなのかもしれない。

 アラタはアールシュに抱えられたまま、この先、なにが待っているのか、果たして自分達が進んだ先の学園に何が待つのか、考え続けるのであった。

 




暑いよね、ってことで水着絵
アヤ&レイナ

【挿絵表示】

アヤ「えっ、なんでツインテールなのか、ですか? 何でも某ゲームで復刻された水着の皇帝さんを召還できなかったそうで、その皺寄せが同じパツキンの私に来ました」
レイナ「何事も無理をしては、めっ、よ。その反動は大きいもの」

うーむ、塗り分けで頑張ったけど、肉感って難しい…。
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