ガンダムビルドブレイカーズ Snatchaway   作:ウルトラゼロNEO

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謎のガンプラ

 ガンプラもバトルも好きだった。

 だからこそその道に進むんだとガンブレ学園に入学した、……筈だった。

 

 しかし待っていた現実は楽しいとは程遠い殺伐とした弱肉強食の世界。

 弱者に人権などないに等しいその世界で何とか強者としての立場を得ようと必死にもがき続けた。

 なに不自由なくガンプラが、そしてバトルが出来るように何としてでも上位ランキングに名を連ねるんだとどんな苦汁を飲んででもと今までずっと神経をすり減らすような学園生活を送ってきたのだ。

 

 ……だからこそなのかもしれない。

 

 能天気にガンプラが好きだ何だと言っている奴等へ憎悪に似た怒りが生まれたのは。

 

 ・・・

 

「リュウマの奴、遅えな」

 

 ミツルの襲来より翌日のゲームセンター。そこにはショウゴ、サカキ、シロイの姿があった。待ち合わせしていたようでお昼時を過ぎたゲームセンターでショウゴは今か今かとリュウマを待っているのだが中々、顔を見せなかった。

 

「マスミさんのファームで農作業を手伝ってから来るそうだしね」

「まあ直に顔を出すだろう」

 

 他にもマスミや三馬鹿の姿もない。とはいえ予め連絡はされているのか、ぼやくショウゴを他所にサカキとシロイは何気なく話しながらリュウマ達を待とうとするのだが……。

 

「仕方ねえ。先にバトルしちまおうぜ!」

 

 目の前にシミュレーターがあるのであればすぐにでもバトルがしてみたい。それがビルダーとしての情熱があればあるほどだ。それにここでいつまでもリュウマを待ってぼんやりとしているという時間の無駄というものだろう。

 ショウゴの提案にシロイやサカキも同意して頷くと各々、ガンプラバトルシミュレーターに乗り込んで出撃していく。

 

 ……その姿を見つめている陰がいるとも知らず。

 

 ・・・

 

(徹夜明けで手伝いなんてするもんじゃねえま……)

 

 一方、ここはリュウマの自宅。欠伸をしながらおぼろげな足取りでいえに帰ってきたのはリュウマであった。まだ眠気に襲われているのだろう。普段の活気溢れる姿とは一変して非常にぼんやりとした様子だ。

 

「うーす……」

「おかえりー。随分とまあ眠そうじゃないか」

「徹夜してたからなぁ……」

 

 マスミから貰った野菜を持ち帰ってぼんやりとしたままリビングに顔を見せればソファーに腰掛けていたリュウマと同じ赤毛の姉に声をかけられる。普段のリュウマといえば、基本的には早寝早起きのタイプなのだが寝る間も惜しんでガンプラを作製した為、眠りについたのは少しずつ空に明かりが見え始めた明け方であり、それも僅かな仮眠でそのままマスミ達の手伝いに向かってしまった。

 

 姉との会話も程ほどに渇いた喉を潤そうと寝起きでいつも飲んでいる牛乳を取りにまず台所に向かおうとすると……。

 

「やっと帰って来たでござるか」

 

 エプロン姿の忍者がいたのだ。

 

「お昼の準備は出来てるでござるよ」

「おぉーっ、出来た!? いやーミツルちゃんってば手際が良いねぇっ」

 

 蕎麦を茹でつつ薬味の準備を終えて声をかけるとあまりに何ともいえない光景にかける言葉を失っているリュウマを他所に彼の姉はルンルンでミツルのもとへ駆け寄っていく。

 

 ・・・

 

「母ちゃんもパートだし、昼はどうすっか悩んでたんだよなー。ミツルちゃんがいて助かったよー」

「これくらいであれば全然でござるです」

「いやいや大したもんだってぇっ。リュウマに言うと毎回、プロテインラーメンなんだよなぁ」

 

 三人で昼食をとりつつ和やかに談笑をしている姉とミツル。とはいえ相変わらずミツルは忍者スタイルなので食卓を囲むにしてはあまりに異様な風景だ。

 

「……随分と仲良いな。なんかあったか?」

「んにゃ全然」

 

 あまりに違和感なく親しげに話している姉とミツルの姿に首を傾げてしまう。とはいえ姉がミツルと会ったのは数時間前にリュウマと一緒に部屋を出た時であり、その後リュウマがマスミの手伝いに向かった後も特になにもなかったという。

 

「悪い子じゃないしな。ならそれで良いじゃないか。うん、十分だ」

「たまに思うけど姉ちゃんってスゲエよな」

「姉ちゃんだからな」

 

 しかし当の姉は何か問題でもあるのかとあっけらかんとしている。この大らかさは自分以上のものであり、ある意味で羨ましいと思ってしまう。

 

「それよりも今日はバトルの約束があるのでござるか?」

「ああ。野菜を持ち帰っただけだから飯食ってさっさと行く」

 

 姉との会話も程々に麺を啜っていると何気なく聞かれた問いに答える。一回、帰ってきたのは野菜を持ち帰るためであり、昼食を済ませた後はゲームセンターに向かうつもりだ。

 

「今日はお前のお陰で完成に漕ぎ着けたあのガンプラのお披露目が出来そうだしな」

 

 マスミ達もマスミ達でゲームセンターに向かうことだろう。そんなことを思いながら晴れ晴れとした様子でリュウマは向かい側に座るミツルに話すと、彼女は何も言わないものの照れ臭そうに視線を逸らす。

 仲が良いねぇ、と一人食事をとる姉を他所に食事を済ませて準備を整えると、ミツルと共に家を出るのであった。

 

 ・・・

 

 一方でこちらは宇宙空間を舞台にしたバトルフィールド。そこにはショウゴ達が今もなおプレイしていた。しかしそれぞれのガンプラを操っているショウゴ達の表情は険しく苦々しい。

 

 彼らのガンプラと対峙するのは一機の黒いガンプラだ。

 

 ゲルググJをベースにしつつもサイコ・ザクのパーツの多くを組み込まれているのが特徴で、さながらサイコ・ゲルググというべきか。全長を超えるバックパックのみならず両肩のファンネルも相まって並の機体ではまず近づくことすらままならず蜂の巣にされるのがオチだろう。

 

「なんだよ、コイツ! スッゲェしつけえぞ!」

 

 堪らず叫んだのはショウゴだった。彼の言うようにこのサイコ・ゲルググは突如としてショウゴ達のバトルに乱入したかと思えば、執拗なまでに襲い掛かってきたのだ。

 

「まるで執念のようなものさえ感じるが……ッ」

 

 どれだけ距離を離そうとも決して逃そうともせず確実に破壊しようと迫るサイコ・ゲルググにサカキは戦慄してしまう。しかしその最中、サブアームを展開して放たれたザクマシンガンの弾薬を直撃してバランスを崩してしまった。

 

「サカキ君っ!? ──なあっ!?」

 

 まさに蜂の巣。バランスを崩したところに更に装備している大型ビームマシンガンのスコールのような銃撃をまともに受けて撃破されてしまう。

 シロイがサカキの撃墜に驚いているのも束の間、サイコ・ゲルググは一瞬にしてドムタクティークとの距離を縮めるとサブアームのザクマシンガンに加え、ビームナギナタによって幾度となく損傷を与えて、やがては撃破する。

 

「なっ……なんなんだよ、お前はぁっ!?」

 

 サイコ・ゲルググの戦い方はあまりに異様だ。

 本来、ガンプラバトルというのはプレイヤーが楽しんで熱中するものだろう。その熱が高まれば高まるほど、それは相対するプレイヤーにも伝わり、白熱したバトルが出来るというものだ。

 しかし目の前のサイコ・ゲルググは違う。あのガンプラから感じるのは歓楽とはあまりに対照的なおどろおどろしい負の感情だ。それは自慢のガンプラを戦わせて勝つ、というよりは寧ろ絶対に破壊してやるという怨念のような執念を感じてしまうのだ。

 

 異常にすら感じるサイコ・ゲルググに叫んでしまうが、その問いに答えられるどころか更に攻撃は苛烈を極める。やがてショウゴのガンプラも耐え切れなくなり、サイコ・ゲルググによって無残なまでに蹂躙され、そのまま撃墜されてしまう。

 

 後に宇宙空間に残ったのはサイコ・ゲルググのみだ。

 そのシミュレーターの中で一人、ビルダーであるクゼは歪な笑みを零すのであった……。




ガンプラ名 サイコ・ゲルググ
元にしたガンプラ ゲルググJ

WEAPON 大型ビームマシンガン
WEAPON ビームマギナタ(ジョニー・ライデン専用ゲルググ)
HEAD ゲルググJ
BODY サイコ・ザク
ARMS ヤクト・ドーガ(クェス)
LEGS ブレイクディアス
BACKPACK サイコ・ザク
ビルダーズパーツ 片側アンテナ×2(頭部左右)
         ニー・アーマー×2(両腰)

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