ガンダムビルドブレイカーズ Snatchaway 作:ウルトラゼロNEO
元々、劣等感が強い傾向にあるのは自覚している。
何故ならあの学園にいれば自分よりも優秀な人間なんて幾らでもいるからだ。
それだけならば諦められる。
事実として自分が劣っているのだから、喚いたところでその差が埋まることはない。
才能……それだけに留まらず、差が出来る要因は幾らでもあるだろう。
努力は報われるなどと知ったような口を利く奴がいる。
……そんなわけがないだろう。
成功した者の中に努力していた者がいたのであり、必ずしも努力したから成功するわけではない。
第一、自分だけが努力をしていると思っているのか?
才能を持った奴だって努力するし逆にいえば努力は当たり前なんだ。
努力が足りないという言葉もナンセンスだ。それを口にして時間が巻き戻るわけでもないし、じゃあその足りない努力とはどれ程のものだ?
それとも結果が伴わなくとも努力は無駄にならないとでも?
違うな。そうやって浪費した時間に対して、その時間の中にいた自分に対して言い聞かせているだけで結果が伴った方が断然良いに決まっている。
マラソンのようなものだ。
どれだけ息を切らして、どれだけ汗をかいたところで結局、追い抜かれてしまえば栄光は掴めない。
だから僕は結果だけを考えて、這いずる想いで上位ランキングに名を連ねようとした。
例えどんなことをしてでも僕は栄光を掴んでやると躍起になったんだ。
……なのに
──トモン・リュウマ
アイツという存在を目の前にして僕の中でなにかが弾けたんだ。
・・・
「あん? リュウマはまだ来てねえのか」
ゲームセンターに訪れたのはマスミと三馬鹿だった。ゲームセンターの一角に位置するガンプラバトルシミュレーターのコーナーに顔を見せれば、ショウゴ達の姿はあるもののリュウマの姿はない。とはいえ野菜を持ち帰っただけなので心配せずともすぐに顔を見せるだろう。
しかしここでマスミも眉を顰めた。
ショウゴ達に近づけば近づくほど彼らが発するピリピリとした雰囲気を感じ取ったからだ。ここ最近、和やかなガンプラライフを過ごしていた彼らがここまで険しい雰囲気を見せるのは珍しく、なにがあったのかと考えてしまう。
「……マスミさんか」
「おう、どうした?」
「……わりぃ、今日はこれ以上、バトルする気にならねえから帰るわ」
マスミに気付いたショウゴだが一向にその表情が和らぐことはない。そのことについて触れようとするも口にするのも腹立たしいとばかりにショウゴ達は険しい面持ちのままゲームセンターを去っていく。以前ならばありえたかもしれない苛立ちをそのままぶつけて来るようなことがなかっただけマシというべきか、しかし何かあったのは明白だろう。
「……お前もいたか」
ショウゴ達の背中を見送りながら、果たしてどうしたものかと頭を悩ませていると不意に彼や三馬鹿の前に姿を現した者がいたのだ。
リョウコだ。
以前と変わらず、ここで張り込みでもしていたのだろう。だがその表情はどことなく重い。
「アイツ等になにがあったか知らねえか」
「……私となにかあったとは考えないのですか?」
「お前はビビられることはあってもあんな顔させる奴じゃねえだろ」
リョウコにショウゴ達に一体、なにがあったのかを尋ねると彼女は僅かに驚いたような反応を見せる。
今では生徒会と離反したショウゴ達だ。そんなショウゴ達が険しい顔をして去った後に姿を見せればなにかあったのかと疑われるかと思ったか、マスミ達はそういった態度は見せないのだ。しかしそれはマスミなりにガンブレ学園におけるリョウコを知っているからだろう。
「実は……──」
その言葉に目を見開いて息を呑んだリョウコだが、やがてこの場でなにがあったのかを話し始める。彼女が話し始めると同時に近くのモニターにはサイコ・ゲルググが不気味にモノアイを輝かせながらプレイヤー機を破壊していた。
・・・
「大分、遅れちまったなぁ」
その数分後、ゲームセンターに駆け込んできたのはリュウマとミツルだった。昼食を終え、急いでやってきたのだろう。息切れしたままシミュレーターへ向かえば、そこにはマスミと三馬鹿の姿があった。
「あれ、ショウゴ達は……?」
しかしいくら見渡したところで待ち合わせしていたショウゴやサカキ、シロイの姿はない。彼らについて尋ねるようにマスミを見やる。
「……俺が聞きてえのは寧ろそこの忍者なんだがな」
「触れんなよ。忍者は忍者なんだからもう良いだろ」
「忍んでねえだろ」
とはいえ当たり前のようにリュウマの隣にいるミツルにマスミや三馬鹿は何とも言いがたい様子だ。しかしこの忍者について下手に触れれば碌なことにはならないのでそっとしておいて欲しいと目で訴えかけるとマスミは一人、首を傾げる。
「……まっ、お前はお前でちったぁマシな面になったからまだ良いか」
しかし短いやり取りの間にも以前よりも険がなくなり明るくなった表情に気付いたのだろう。マスミは満足そうに笑うと、リュウマへ歩み寄る。
「どうだ? バトルしてみっか」
「おうよ、その為に来たんだ」
ケースからEz-Aを取り出してバトルを持ちかけると、リュウマは二つ返事で答えたのだ。しかもそれは待ってましたといわんばかりにその瞳に炎のような活気を宿しながら。
「あーだこーだ考えんのはもう止めだ。こっからは俺らしく行くぜ」
バンッと拳を打ち合わせながらリュウマは好戦的な笑みを見せる。ガンプラも完成し、すぐにでもバトルがしたいのだろう。そのギラギラとした瞳はまさに獰猛な龍のような力強さを覗かせる。
これ以上の言葉は必要ないだろう。
リュウマとマスミは笑みを交わすと、それぞれガンプラバトルシミュレーターに乗り込んでいく。
「コイツは派手な祭りになりそうだな」
Ez-Aをセットし、マッチングを進めながらマスミはこれから起こるであろう激戦の予感を感じ取る。リュウマの特訓に付き合ってきたが、アレほどの活気溢れる姿を見せたのはコレが初めてだ。一体、自分がいないところでなにがあったのかは知らないが、それでもリュウマの変化はこれからすぐに感じることが出来るだろう。
「ガンダムEz-A、行くぜェッ!」
どれ程のものか、想像するだけで口角が釣り上がっていく。
マスミもまたこれから起きるであろう激闘に高揚感を抑え切れず、愛機と共に出撃していくのであった。
・・・
「きっと……なにかに囚われたままじゃいけないんだ。俺が俺らしく……」
マッチングの間に瞑っていた瞼をゆっくりと開き、リュウマはただ目の前の一点を見つめる。小難しいことを考えるのは自分らしくない。今はただこの燃え盛る闘志に身を委ねたまま駆け抜けるまでだ。
「それが何よりアイツとの“約束”を果たせる筈だから」
思い出すのは初めてレイジングを託された日の出来事。あの日のアラタの言葉は今も自分の心に深く刻まれている。だからこそ今、アラタへの想いは胸の中で燃え盛る炎の中の一つに変わり、それは留まることも知らず轟々と荒ぶっているのだ。
マッチングが終了し、出撃を促される。
彼がセットしたのはレイジングの流れを汲むガンプラだった。しかし蒼きレイジングとは対照的にそのガンプラは溶岩のようなカラーリングが施され、テイルブレードや翼のようなアームド・アーマーXCなどより荒ぶる龍の性質を強調しているかのようだ。
「トモン・リュウマ……レイジングガンダムボルケーノ、行くぜェッ!!」
これこそリュウマがサイド0に加わり、今日にまで至る全てを注ぎ込んで
自称天才に託された蒼き龍を彼なりに昇華させて生まれた紅蓮の龍は産声を上げるかのように駆動音を響かせて、バトルステージに飛び立っていくのであった。
ガンプラ名 レイジングガンダムボルケーノ
元にしたガンプラ シャイニングガンダム
HEAD オオワシアカツキ
BODY ダブルオークアンタ
ARMS シャイニングガンダム
LEGS シャイニングガンダム
BACKPACK シャイニングガンダム
拡張装備 ドラゴンヘッド×2(両腕)
チークカード×2(両頬)
アームド・アーマーXC×2(バックパック)
テイルブレード(臀部)
刀(右腰)
活動報告にリンクがあります