ガンダムビルドブレイカーズ Snatchaway   作:ウルトラゼロNEO

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明日は何とは言わないがEXPOで会おう


創造の翼

 アラタとリュウマ、様々な想いを抱いた二人のバトルの舞台となったのは地球を眼下に見下ろす衛星軌道上だった。既にG-ブレイカーとレイジングボルケーノはお互いの姿を視認しており、戦いの火蓋は既に切り落とされていた。

 

 真っ先に仕掛けたのはアラタ操るG-ブレイカーだった。

 アラタはレイジングボルケーノをリュウマによって見せ付けられたあの瞬間でしか知らない。今、こうして見る限りでもレイジングボルケーノはまさにレイジングの流れを汲む格闘機体と考えて良いだろう。ならば彼の得意とする近距離に入らず、自分が得意とする中、遠距離から仕掛けるのが定石だろう。

 

「しゃらくせぇッ!」

 

 しかしレイジングボルケーノは距離を置いて回避に専念するよりもG-ブレイカーに接近することを選んだのだ。

 こちらの射撃攻撃に対して最低限の回避をしつつそれでも避けられないものに関しては腕部のドラゴンヘッドを盾代わりに弾きながら恐れ知らずに接近してきた。

 

「ちっ、相変わらず滅茶苦茶な奴だなっ!」

 

 どんどん距離を詰めてくるレイジングボルケーノに対してG-ブレイカーはすぐさま距離をとろうと飛び退くと同時にフォトン装甲からエネルギーをビーム化してレイジングボルケーノを狙うとすぐさまアサルトモードへ変化して高出力ビームを解き放つ。

 

 真っ直ぐ伸びた高出力ビームはレイジングボルケーノへ目掛け、やがて大爆発を起こす。

 果たしてどうなったか、アラタが油断なく様子を伺っていると……。

 

「クッ」

 

 何とレイジングボルケーノはいまだ健在であり、硝煙を突き抜けて殴りかかってきたではないか。

 すぐさま反応するが、まるで先程の爆発で更に加速をつけたかのようなレイジングボルケーノの勢いは凄まじく咄嗟にシールドを構えて受け止める。

 

「どうした、随分と鈍ったんじゃねえのか」

「調子に……っ」

 

 こうもあっという間に接近されたこともそうだがリュウマの成長はこの三日間のうちにかなり飛躍的に遂げたようだ。しかしだからといってこのまま言われるがままに終わるつもりはない。すぐさまシールドで払いのけ、高トルクモードを発現させる。

 

 振りかぶった一撃はレイジングボルケーノに放たれた。

 全てを裂くように放たれた鋭くも重い一撃は真っ直ぐとレイジングボルケーノに向かっていき──。

 

「っ!?」

 

 受け止められたのだ。

 

 本心からG-ブレイカーを誇るアラタからすれば高トルクモードの一撃を真正面から受け止められたのは衝撃以外の何物でもないだろう。しかし実際にレイジングボルケーノは健在であった。

 

 驚きはそれだけではない。

 

 レイジングボルケーノの各部の装甲が展開され、輝きを放つと紅蓮の龍はまさにその姿を表すかのような紅き輝きを纏ったではないか。

 

「覚醒……!?」

 

 リュウマの覚醒への驚きはアラタだけではなくそれを見ているユイ達をも驚かせていた。

 この三連休の間にリュウマになにがあったのかは分からない。しかし唯一、分かることはリュウマは確かに強くなったという明確な事実だろう。

 

「クッ!」

 

 真正面からレイジングボルケーノの輝きを受けていたアラタは目を逸らすように受け止められた腕を振りほどくとそのまま高トルクモードの蹴りを放とうとするが、身を逸らすことで容易く回避されてしまった。

 

「……そんなもんなのかよ。ソウマ・アラタ」

「なに……?」

 

 その後もG-ブレイカーの機能を活用するも覚醒状態のレイジングボルケーノには全く歯が立たず、見かねたリュウマの言葉にアラタは表情を険しくさせる。

 

「俺がこうやって強くなれたのはお前のお陰だ。お前がいたから燻ってた俺の心に火がついた。だから今度は俺がお前の心に火をつけてやるよッ!」

 

 次の瞬間、G-ブレイカーに衝撃が襲い掛かる。一瞬の出来事だったが、どうやらレイジングボルケーノに殴り飛ばされたようだ。体勢を立て直そうとするのも束の間、レイジングボルケーノは一気にG-ブレイカーとの距離を詰める。

 

「っ……。知ったような口を利いてッ!」

 

 バトルの状況は圧倒的に不利だ。しかしそれだけではなく、心さえもリュウマに追い詰められるかのようだ。だからこそそれを振り払おうと間近に迫るレイジングボルケーノに対してビームサーベルを引き抜いて突き刺そうとする。

 

「俺は見たまんまのお前しか知らねえよォッ!」

 

 対してレイジングボルケーノはその右手に液体金属を纏うことでビームサーベルを握り潰したのだ。

 

「俺が知ってるお前は自分大好きなお調子者で、だけどガンプラに対しては真っ直ぐでそれでいて人の心に寄り添うのが上手くて……ッ! でも最近のお前は薄っぺらい笑顔ばっか浮かべやがるッ!」

 

 纏まりもなくただただ思いついたままにアラタへの想いを吐き出すリュウマにアラタは息を呑む。レイジングボルケーノとG-ブレイカーの周囲に握り潰されたビームの粒子はまるで涙のように静かに宇宙空間を流れていた。

 

「お前はコウラの奴に“どうしようもない時は、助けを求めてくれれば良い”とか言ってたよな。それだけじゃねえ、お前が今まで誰かの為に言ってきた言葉……。その殆どはお前自身が言ってもらいたかった言葉じゃねえのかッ!?」

 

 苦しんでいる時、たった一つの言葉で背中を押される時がある。同じように苦しんでいる人がいるのであればその苦しみが分かるからこそその人に対して言葉が送ることが出来る。

 

「でもお前は変なところで不器用だからそれが出来やしねえ! お前に必要なのは本心を隠して薄っぺらい笑顔で取り繕うとする小賢しさじゃねえだろ!」

 

 だが言葉を送れても自分自身が出来るかどうかはまた別問題だ。

 過去を労わり未来へ繋ぐ。これはかつてアラタが口にしていた言葉だが、実際彼自身が過去を労わることが出来ていないのだ。

 

「俺、は……っ……!」

 

 レイジングボルケーノとG-ブレイカーのバトルは感情を押し出したバトルは苛烈さを増していく。リュウマに押されるアラタだが、それでも覚醒している相手を前にここまでバトルが出来ているのはやはり彼自身の実力によるものだろう。だからこそ彼は天才と自称しても、それが罷り通ってしまったのだが。

 

「俺は頭が良くねえ! でも俺はそれでも良い! 不完全だって構いやしねえ! お前が、サイド0がくれた強さがあるから俺は不完全のままだって前を向ける!」

 

 アラタは完璧なヒーローのような存在であろうとした。しかしそんな彼と出会い、交流を深めたリュウマは不完全であろうとそれを受け入れて前を向こうとすることで弱さを強さにしているのだ。

 

「お前に必要なのは差し伸べられた手を掴むことが出来る強さだろうがッ!」

 

 レイジングボルケーノ、そして何よりそれを操るリュウマの渾身の一撃が放たれる。シールドで受け止めようとするG-ブレイカーだがこれまでの戦闘によって消耗していたシールドはその一撃によって粉砕され、G-ブレイカーもまた大きく吹き飛ばされてしまった。

 

「しまっ……!?」

 

 だがここで大きな問題が発生した。

 姿勢の制御が利かずに吹き飛ばされた影響で地球の重力圏に捕まって大気圏へ墜ちていってしまったのだ。

 

「このままだと……っ!?」

 

 G-セルフをベースとして完成度を高めたG-ブレイカーならば大気圏の突入は難しいことではなかっただろう。

 しかしレイジングボルケーノによって消耗した機体、そして落下角度からしてもこのままではG-ブレイカーは燃え尽きてしまうだろう。

 

「俺はやっぱり……弱いままなのか……」

 

 誰かの背中に隠れてばかりだった幼い頃の自分。

 そんな自分と決別したいからこそ今の自分になった筈なのに、結局それもただの外面だけであり、今ではメッキのように剥がれてしまった。

 

「……っ」

 

 自分は弱いんだとそうやって諦めて目を瞑ろうとした時、モニターに一筋の流星が目に飛んできた。

 

 ──レイジングガンダムボルケーノ

 

 気高き猛る炎の紅蓮龍がそこにいたのだ。

 確実に自分を撃破する為なのか? 一瞬、そんな考えがアラタの脳裏を過ったが次の瞬間、彼は驚くことになる。

 

 何とレイジングボルケーノはG-ブレイカーに向かって手を伸ばしているではないか。

 そこには一切の敵意は感じない。レイジングボルケーノは、リュウマはただ真っ直ぐにG-ブレイカーを助けようと手を差し伸べているのだ。

 

「どう、し、て……」

「──つまんねえこと聞くなよ」

 

 レイジングボルケーノの行動の意図が読めずに戸惑っているとスピーカー越しにはどこか優しいリュウマの声が聞こえてきた。

 

「こんなことで終わらしたくねえんだよ。俺達はこれからも一緒に創造(ビルド)していくんだからよ」

 

 その瞬間、アラタの中で何かが破壊されるような感覚があった。

 そしてそれは同時に彼の中でまた新しい何かが創造される時でもあった。

 

「……最っ悪だ。こんなに無様なことなんて他にない」

 

 頬に熱いものが流れるなか、アラタはジョイスティックを手に取り……。

 

「でも……最っ高だ」

 

 レイジングボルケーノが伸ばした手をG-ブレイカーは確かに掴んだのだ。

 

 

 

 ──その時、地球を包むかのような光の翼が広がった。

 

 

 

 レイジングボルケーノの輝きがG-ブレイカーの中に流れて光を灯すかのようにG-ブレイカーは覚醒を果たしたのだ。そしてそのまま手をつかみ合った二機のガンダムの背中から覚醒の翼が広がり、お互いを優しく柔らかに包み込むと羽を撒き散らしながら地球に落ちていく。

 

「誰かの手を取るって……こんなに温かいんだ」

 

 一人で強くなる人間もいることだろう。しかしその者は結局、一人のままだ。

 例え弱くてもいい、無様でも構わない。誰かの手を取ることによって伝わる温もりに勝るものはないし、何よりこの温もりが自分を強くしてくれるのだ。

 

 アラタとリュウマがただ純粋にくしゃっと砕けたような笑みを浮かべるなか、タイムアップを迎えるのだった。

 

 ・・・

 

「……みんな、ごめん。俺、知ったような口を利いてたけど……本当は口だけの弱い人間なんだ」

 

 バトルを終えたアラタは改めて仲間達の前に立つと、彼女達に対して謝罪の言葉を口にする。

 

「……誰かの背中に隠れてた自分から決別したくて……でも結局、俺は弱いままだ。ただ演じてただけで変わることは出来なかった」

 

 改めて自分の口から己の弱さを打ち明けたアラタの肩が震える。

 今、自分の弱さを吐露したことで彼女達はなにを思うのだろうか。ただの中身が伴っていない空っぽな人間、といったところだろうか。

 

「……だけど、これまでみんなの話を聞いて……何よりリュウマの手を掴んで気付けたんだ。弱くたっていいって。完璧なヒーローなんて俺の中には必要ないんだって」

 

 今までずっと誰もが必要する存在、何よりも強い自分であろうとした。だが根本的に自分はそういう人間ではない。だからこそガタが来て、最後には脆くなった自分を曝け出してしまったのだろう。

 

「でも、俺はみんなと一緒にいたい。みんなと……これからを創造(ビルド)していきたい……。これからも一緒にいさせてくれないか……?」

 

 これまでマリカをはじめ、普段は聞けない仲間達の胸に秘めた想いを聞いてきた。その一つ一つが自分の中で根付き始めているのだ。そして何よりあの時、自分に手を差し伸べてくれた存在がいる。今、この場にいる以上に最高な仲間達はいないだろう。だからこそ自分はこれからも彼女達といたい。それが弱さを受け入れて向き合ったアラタの最初の想いだった。

 

「よく言ってくれたわね」

 

 ふとアラタの身体がふわりと抱きしめられる。

 視界には穢れなき白髪が流れるなか、耳元でレイナの声が聞こえてくる。

 

「……弱くたって良いの。だからこそ人は寄り添うことが出来るのですもの」

 

 全身にレイナから伝わる温もりが広がっていき、それがアラタの目頭を熱くしていく。

 それだけではない。レイナに抱きしめられながらもそこから見える仲間達はみんな、温かく笑顔を浮かべながら安心させるように頷いてくれているのだ。

 

「だからこそ……今度はアナタが過去を労わって未来へ繋げましょう。泣いたって良い、私達ならきっとそんな涙も癒える未来を作っていけるわ」

 

 身体が震え、嗚咽と共に涙が溢れていく。

 情けない、という人間もいるかもしれない。それでも今、流れ落ちる涙はこれまで自分の中に根付いていた負の感情をどんどん洗い出してくれているかのようだ。

 

「……ありが、とう」

 

 今まで感じたことのない温もりが全てを満たしていく。

 そんな温もりのなか、アラタはゆっくりと目を閉じるのであった。

 

 ・・・

 

「……最近、いつもみんなと一緒だったから、何だか二人でいるのも新鮮だね」

 

 それから数時間後、あれから皆で無邪気に盛り上がっているとすっかり日は落ちようとしていた。そんな茜色の帰り道をアラタとユイの二人は歩いていた。

 

「……私ね、本当は生徒会に対抗して、ここまでやれるって思ってなかった。最初はね、自分が負けた責任を取らなきゃって。このままじゃ私自身が前に進めないなって、それだけで……勝っても負けても悔いが残らないようにしようってそう考えてた」

 

 アラタが静かに耳を傾けるなか、静寂が支配された空間でユイは一人、その心中を明かし始めた。

 

「でも……そんなの自己満足だよね。みんなを巻き込んで、アラタ君に甘えて……。いつもお姉さんらしくって思ってたのにアラタ君には助けてもらってばっかり……」

 

 ふとユイは足を止め、アラタが振り返って見れば俯いた彼女の表情は暗かった。

 

「私……アラタ君に感謝してもしきれない……。でもそれ以上に申し訳ないんだ」

 

 結果として巻き込んで、リーダーとして今日まで駆け抜けてきたアラタ。劇的な快進撃を前に浮かれて、彼の心中を察することが出来ないでいた。

 

「本当に……ごめんなさい……」

 

 アラタはみんなといたいと言っていたが、本来ならば寧ろ自分がそこにいる資格などないだろう。そんな自責の念があるからこそ彼女は今にも泣き出しそうな顔をしているのだろう。

 

「……俺がユイ姉ちゃんの力になるって言ったあの時の気持ちは変わってないよ」

 

 だが、いやだからこそなのだろう。アラタはそっとユイを抱きしめたのだ。

 それは何よりリュウマやレイナをはじめとした仲間達が与えてくれた温もりを分けるかのように。

 

「……俺こそユイ姉ちゃんがいたから助かった。あの頃の俺が充実していたのはユイ姉ちゃんがいたからだ」

 

 アラタもユイがいたからこそ救われた。いつも背中に隠れるような気弱な子供だった。そんな気弱な子供の心を安心させられていたのは他ならぬユイなのだ。

 

「俺はもう本当の自分を隠して取り繕ったりしない。ありのままにユイ姉ちゃん……いや、それだけじゃない。大切な皆と創造(ビルド)していくよ」

 

 ユイから離れてくしゃっと砕けた笑みを見せるアラタ。それは向かい合うユイの目にはかつての幼い頃のアラタの笑顔が重なって見えた。

 

「……そこは嘘でも私だけとって言うのは我侭だよね」

「え?」

「……ううん。私もアラタ君の……いや、支えてくれる人達の力になるよ」

 

 どこか嬉しさと悶々とした想いが入り混じった複雑そうな表情でボソリと呟くユイに上手く聞き取れなかったアラタが首を傾げるが、彼女はにっこりと笑いながら心に宿った新たな決意を口にする。

 

「ねえ、久しぶりに二人だけでガンプラを組もうか」

「おっ、良いね。じゃあ早速、行きましょうか」

 

 若者は今を歩き始める。

 その過程でフラフラと揺らめくこともあるだろう。だがそれで良いのだ。どんな歩き方をしようと残せる道は一筋だけであり、揺らめいたからこそちゃんと持ち直すことも出来るのだから。

 

 ・・・

 

「……アラタ君、寝ちゃったの?」

 

 それからユイの家で無邪気にガンプラを組んでいた二人。気付けば時間も遅くなってしまい、熱中していた分、アラタは机に突っ伏して眠ってしまった。

 

「ホント、昔のままだなぁ」

 

 アラタが作成したのは所謂、初代ガンダムだ。

 ただ純粋にガンプラへの思いを込めて作られたガンダムはかつて感じたように温かかった。そんなガンダムを手に取りながら穏やかな様子で寝息を立てるアラタを見る。

 

「……今の君を見てるとどんなことも乗り越えられる。そんな気がするよ」

 

 穏やかに眠るアラタの頭を撫でながらユイは優しく微笑む。撫でられたアラタが気持ち良さそうに眠るなか、ブランケットをそっと包むようにかけるのであった。

 

 ・・・

 

 アラタは一人、真っ暗な空間にいた。

 これまでも何度か経験したことのある場所だ。そう感じるのは向かい合うようにして幼い頃の自分がいるからだろう。

 

「おかえり。もう大丈夫そうだね」

「……ああ。でも昔の俺にはもう戻れない。上っ面とはいえ、天才を名乗っていた俺も紛れもなくその場に存在したソウマ・アラタなんだ。……誰かの背中に隠れていた弱い自分も本当の自分を隠そうと仮面を被った弱い自分もそれを全部、受け入れて前に進むよ」

 

 かつての自分が穏やかな笑みを浮かべながらアラタを見つめるなか、彼はぎゅっと拳を握り締めて思いを馳せるように胸を叩く。

 

「行ってあげて。どうしようもない僕をよろしくね」

 

 そんなアラタにかつての自分は優しく微笑むと、幼い手の中にあった小さなガンダムに声をかける。

 それはこれまで何度も夢の中で見て来たG-ブレイカーによく似たガンダムだったのだ。

 幼いアラタの言葉に呼応するようにメインカメラを輝かせると光の球体に姿を変えて、アラタの胸の中に溶けるように入り込む。

 

「……っ」

 

 不思議と温かさを感じると共に真っ暗な空間は崩壊を始め、亀裂のようなものが入るとそこからは輝きが漏れ始める。

 

「今の君を呼んでいる。だからいってらっしゃい」

 

 やがてそれが頂点に達した時、真っ黒な空間は真っ白な空間になり、光のゲートのようなものが現れたではないか。幼いアラタはそのゲートを見つめながら激励を送るかのようにアラタの背中を押す。

 

「ああ、行くよ。これからも前を見て」

 

 幼き頃の自分に背中を押されたアラタは一度、振り返って優しく微笑むと光のゲートを真っ直ぐと見つめ、確かな一歩を踏み出して突き進み、この世界は視界すら遮るほどの圧倒的な輝きを放ち、崩壊するのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『……ですが、今の私はあの時とは違う。昨日より今へ、今より明日へ。短時間でも私には紡いだものがありますから』

 

 

『ああ。俺達はそこで自分の可能性を見付けた』

 

 

『限界なんてない。お互いを知れば、知るほどそう思えた』

 

 

『一人じゃきっと出会えなかった温かさを得た。その温もりが何度もぶつかろうとする力になったんだ』

 

 

『その温もりを、希望を……消させるわけにはいかない。それを消そうとする絶望もここで希望に変える』

 

 

『それを今からアナタは身を持って知ることになるでしょう。我々が紡いだ力を』

 

 

『真っ白なほど輝かしい未来を掴めるだけの可能性をな』

 

 

『さあ、勝利を組み立てようか』

 

 

 

 

 ──それはうたかたの夢。

 

 

 

 ・・・

 

「うっ……うぅ」

 

 三連休から一週間が過ぎた。生徒会との緊張が日に日に高まるなか、窓から差し込む朝日を受けてアラタは目を覚ます。

 

「……やっと形になったな」

 

 徹夜でガンプラを仕上げていたのだろうか。

 彼の前にはガンプラがあり、まだ頭は覚醒し切れていないとはいえ、それを見つめるアラタの顔は満足そうだ。

 

「これからはみんなと未来を組み立てていきたい。だから改めてよろしくな」

 

 それは彼の愛機たるG-ブレイカーだった。

 しかしこれまでのG-ブレイカーとはその姿に差異があったのだ。それは彼が全てを受け入れて前に進んだように、G-ブレイカーもまた変化したかのようだ。

 

「G-ブレイカー……。いや、ν-ブレイカー」

 

 それは夢で見たG-ブレイカー。

 あの時、手が届かなかった翼は今、確かに自分のものとして目の前に存在するのだ。




これが今年最後の更新であり、第四章の最終話です。
いよいよ大詰めとなってまいりましたが、来年以降、拙作共々よろしくお願いいたします。それでは皆様、お体をご自愛しながら良いお年をお迎えください。

ガンプラ名 ν-ブレイカー
元にしたガンプラ G-セルフ パーフェクトパック

WEAPON ビームライフル(ストライクフリーダムガンダム)
WEAPON ビームサーベル
HEAD ガンダム試作一号機 ゼフィランサス
BODY ガンダムX
ARMS G-セルフ パーフェクトパック
LEGS インフィニットジャスティスガンダム
BACKPACK G-セルフ パーフェクトパック
SHIELD フォトン装甲シールド
ビルダーズパーツ 発光装甲×4(両肩両腰)
         GN粒子コンデンサー×2(両肩)
         片側アンテナ×2(頭部)
 
詳しい外観は活動報告にリンクがありますのでそちらを参照して下さい。
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