ガンダムビルドブレイカーズ Snatchaway   作:ウルトラゼロNEO

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決戦開始

「……生徒会から通達があったわ。私達との対決に応じるって」

 

 放課後、第08ガンプラ部はいつにも増して重苦しい空気に支配されていた。それはやはりたった今、ユイから放たれた言葉が原因であろう。

 

「本当、ですか?」

「生徒会長直々のものだから間違いないと思う」

 

 肌に刺さるような緊張感が襲うなか、イオリが静かに尋ねる。

 別にユイを疑うわけではないがあれだけ強大な存在であった生徒会からの通達ということもあってイオリも緊張しているようだ。しかしユイが受けた通達は事実のようで彼女は渡された書面を見せながら答える。確かにそこにはユウキによるサイド0とのバトルに応じるという旨のものが記されていた。

 

「みんな、ここまで一緒に歩んでくれて本当にありがとう……。私一人だったらきっと無理だったと思う。ここまで来れたのは皆がいてくれたお陰だよ」

「センチになってるところ悪いけど、フラグっぽくなるしそういうのまだ早いんじゃない?」

 

 改めてこの場にいるサイド0のメンバーを一人一人見ながら目尻に涙を浮かべて感傷的に感謝の言葉を口にするユイだが微笑を受かべたアラタが待ったをかけた。

 

「ユイ姉ちゃんの言う通り、確かに一人じゃ無理だったかもしれない。でもそれはここにいる全員が同じなんだ。リュウマ、委員長、マリカちゃん……そして俺も。誰だって一人で何でも出来るわけじゃない。一人だからこそ立ち止まって俯いてしまう」

 

 皆、それぞれが抱えているものがあった。それをお互いに隠そうとして、知られるのが怖くて……。そうやっていつの間にか歩みが遅くなってしまった。

 

「だけど俺達は一人じゃねえからここまで歩んでこれた」

「きっかけはユイ先輩ですよ。ユイ先輩が諦めないで弱者の味方であろうとしたから立ち上がるきっかけが出来たんです」

「……だからこそ私達もユイ先輩に感謝してるんです」

 

 アラタの言葉に続くようにリュウマ、イオリ、マリカも口々にアラタが転入する以前からも嘲笑されながらも一人で頑張り続けたユイへ感謝の言葉を口にする。

 

「だからこそ“ここまで”じゃなく“これから”も一緒に歩んで行こう。こんなイケてるチームなんざ他にない、だろ?」

 

 こうやって集まったサイド0の存在は奇跡といっても良い。だからこそここで終わらせるつもりはない。誇りであるチームだからこそ自分達はこれからも歩んでいくのだ。そんなアラタの言葉にユイは感極まった様子でうん!と大きく頷きながらにっこりと笑みを浮かべる。

 

「じゃあ生徒会とのバトルに備えようか! マリカちゃん、早速で悪いんだけど私達のガンプラのチェック、お願いしていいかな?」

「はい! 精一杯やらせていただきますっ!」

 

 どこか湿っぽくなった空気を直すように手をポンと叩いたユイは生徒会に備えようと早速、マリカに声をかける。

 自分達のガンプラに自信はあるが、それでも万全の状態にしておきたい。その為にはモデラーとして類稀なる実力を持つマリカにチェックしてもらった方が良いだろう。

 

「ユイ先輩、生徒会とのバトルまでに調整等の予定を組んでおきたいのですが」

「そうだね。やれることは全部やろう」

 

 泣いても笑っても一度きりだ。ここで負けたら恐らくチャンスはもうないだろう。だからこそ万全の状態で臨みたい。イオリの言葉に頷くとユイはそのまま彼女とプランニングに入る。

 

「入るぞ」

 

 俺達はどうするかとリュウマと目配せをしていると唐突に08部の扉が開く。誰かと思えば、そこにいたのはアールシュとレイナの二人だった。

 

「聞いたぞ。生徒会と雌雄を決する日が決まったらしいな」

「えっ、何でアールシュ君達が……」

 

 アールシュから話された内容は事実ではあるのだが、だとしても何故、知っているのか。アールシュ達の入室に気づき、ユイはそんな疑問を口にする。

 

「生徒会が各部を通して大々的に発表していたわ。そうすることで関心を煽り、逃げ道を塞ごうとしているのね」

「副会長辺りが考えそうなことですね。きっと次で我々を完全に潰す腹積もりなのでしょう」

 

 その疑問に答えたのはレイナだった。どうやらサイド0以外の部活にも連絡が渡っていたようでその事実にイオリは言葉の中に不快感を滲ませながら話す。

 

「なに、端からそんな道なんていらないさ」

 

 ユイ達もあまり良い心境ではないようだがそこに飄々と声をあげたのはアラタだった。

 その態度には余裕がある。だがそれは以前のような取り繕ったような余裕などではない。抱える重荷がないからこその余裕だ。

 

「俺達が創造(ビルド)する道はただ一つ。その歩みを止めようとする奴がいるのなら──」

「止めれるもんなら止めてみな、ですねっ」

 

 かつての陰を感じず、いつものように三本指をくるりと回すアラタの言葉を引き継ぐようにマリカはにっこりと笑みを浮かべながら答えるとアラタはその通りと愛でるようにマリカの頭を優しく撫でてはイオリに耳たぶを引っ張られる。

 

「みんな、いるーっ!?」

 

 見慣れた景色に笑い声が響いていると慌しくアールシュとレイナの間を掻き分けて入室してきたのはチナツとシオン、アヤだった。シオンが入室するや否や遠巻きに聞こえてくる臣民達の足音をシャットアウトするかのようにアヤはすぐさま戸を閉める。

 

「私達もその為に来たわ。アナタ達が創造しようとする道への一歩に背中を押すために」

 

 どうやらレイナを筆頭にここに集まった面々は皆、サイド0の支援をしようとしてくれているようだ。

 自分達は一人ではなくサイド0という仲間がいるのと同じようにサイド0もまた孤立無援というわけではないのだ。

 

「俺が用があるのはそこの男二人だ。ついて来い」

 

 チナツ達がそれぞれの得意分野で手助けしようとするなか、アールシュが声をかけたのはアラタとリュウマだった。彼は言葉短くそう言い残すとさっさと第08部の部室を後にし、レイナがクスリと笑ってその後を追うなかアラタとリュウマは顔を見合わせ、首を傾げつつも追いかける。

 

 ・・・

 

「貴様らは覚醒を物にした。だがその力の全てを使いこなせなければ意味がない」

 

 四人が移動したのは第10ガンプラ部の部室だった。アールシュが軽快にコンソールでガンプラバトルシミュレーターの設定を行うと背後で待たせているアラタとリュウマに向き直る。

 

「今から貴様等と一人ずつバトルをしていく。覚醒は切り札ともいえる力だ。だからこそただ勢いに任せるだけではなく、その能力を正確に把握する必要がある。特にお前だ、赤トカゲ」

「あぁ? 上等だ。やってやろうじゃねえか!」

 

 覚醒を我が物とする先達としてその力を手にしたばかりの彼らを鍛えようというのだろう。

 特に勢い任せに突っ走るリュウマに視線を向けると彼は挑発と受け取ったのか、勇んだ様子で腕をグルグル回しながら一足先にバトルシミュレーターに乗り込んで行く。

 

「……正しい道なぞ俺とて分からん。だが今、俺が進む道はこれで良いと信じている」

 

 リュウマにため息をつきつつシヴァキラナを取り出しながらアラタを真っ直ぐ見つめてそう言い残して彼もバトルシミュレーターへ向かっていく。

 傍若無人な振る舞いをしていてもその実、誰かを気にしていることが多かったアールシュ。今もまた彼は彼なりに自分達に寄り添おうとしているのだろう。

 

「……あんな言葉、少し前なら信じられなかったぐらいだわ」

 

 モニターではレイジングボルケーノとシヴァキラナのバトルが映し出されるなか、先程のアールシュが残した言葉についてレイナがポツリと触れる。

 

「彼はあくまで自分の為にこの学園に入学したというのは聞いたことがあるかしら。この学園に思うところはあっても自分の未来には関係ないものとして不可侵を貫いていた。だけど今ではあんな風に動いてくれる……。彼を変えたのはやはりアナタの影響なのね」

「俺は大層な人間じゃない」

 

 以前なら考えられなかったアールシュの行動の変化にそれがアラタの影響力の凄さなのだと語るレイナに本来の自分に仮面をしてひた隠しにしていたこともあり、アラタは自嘲的な笑みを浮かべる。

 

「……そうね。でも人が誰かに寄り添うのは内面の強さではないわ。そんなアナタの姿を見て、支えようと思った人間達がいるのは事実よ」

 

 かつてレイナがアラタに送った言葉を彷彿とさせる旨の内容を口にしながら彼女はそっと手を握る。

 手と手を繋ぐ……。たったそれだけの筈なのにどうしてこんなにも温かいのだろうか。

 

『折角、会えたんだ。そんなつまらない話をしないで、僕だけを見てくれ』

 

 このかけがえのない温もりを味わっていると不意に脳裏にかつてのユウキの姿が過ぎる。

 あの時はただただ反発してしまったが、記憶に残る彼の姿は今にも消え去りそうなほど儚げで哀しげだったのを覚えている。

 

「……寄り添う、か。きっとそれが本当にしなくちゃいけないことなんだろうな」

 

 何より自分自身が誰かに寄り添ってもらえる大切さを知ったからこそ今、これからすべきことも分かった気がする。その為には今よりきっと強くならなくてはいけないということも……。

 

「負けた気しかしねえ……」

「気ではなく事実、負けたのだ」

 

 そうこうしているとシミュレーターからリュウマとアールシュが現れた。がっくりと項垂れているリュウマの姿を見る限り、アールシュに徹底的なまでに打ちのめされてしまったようだ。

 

「さて、前座は終わりですかね」

 

 いって来るとレイナに告げて項垂れているリュウマの肩を労うようにポンと叩くと静かに燃える戦意を秘めた瞳でアールシュを見やる。

 

「倒すのではなく救う、か……。今ならあの時のアンタの言葉も分かる気がするよ」

 

 今のアラタには陰は感じない。ただ真っ直ぐに自分が成すべきと思ったことを行おうとしているのだ。そんなアラタの瞳に満足そうにアールシュは鼻を鳴らすと二人はシミュレーターへ乗り込んでいく。

 残された時間は少ない。だが、だからこそ彼らはその時の一分一秒すら惜しむかのように今、自分達が出来る最大限の事を行うのであった。

 

 ──そして遂に生徒会との決戦の日に臨むのであった。

 




アラタとレイナのキャラ絵を新規に描き直して差し替えました。

【挿絵表示】

【挿絵表示】


ガンプラ名 ガンダムシヴァキラナ
元にしたガンプラ ガンダムバエル

WEAPON GNソードライフルソードモード
WEAPON GNソードライフル
HEAD ガンダムバエル
BODY ガンダムバルバトスルプスレクス
ARMS ガンダムAGEⅡマグナム
LEGS ガンダムキマリスヴィダール
BACKPACK ストライクフリーダムガンダム
SHIELD シグルシールド
拡張装備 大型アンテナ(額)
     強化センサーユニット(額)
     スラスターユニット×2(脚部)
     ニークラッシャー×2(両膝)
     Cファンネルロング×2(両肩)

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