ガンダムビルドブレイカーズ Snatchaway   作:ウルトラゼロNEO

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光る世界

 そこはこれまでのバトルとは異なるステージであった。

 周囲には幾多の巨大な結晶体がまるで木々のように無造作に生えており、幻想的な雰囲気を醸し出している。その中心となる六角形のパネルが犇めき合ったステージにはこの幻想の世界には不釣合いなほど不気味で歪な雰囲気を発するガンプラがいた。

 

「サイド0……。気取った名前だ。その名の通り、零に……──無に還してあげよう」

 

 それはまるで片翼の騎士と表現したら良いのだろうか。

 フィンファンネルを装備した滲んだ赤と黒の配色を持つ鋭角的なその機体の名はガンダムアルプトラオム。ビルダーはユウキだ。悠々とステージに佇むアルプトラオムはフィールドに現れ、こちらを目指す三機のガンダムを確認するといまだ余裕を崩さぬユウキは飄々と笑みを浮かべる。

 

「本当に一人だけ……? なにか罠があるとか?」

「──そんなものは必要ないさ」

 

 フィールドにはν-ブレイカー、レイジングボルケーノ、リリィ、そしてアルプトラオムの四機が確認できる。

 モニター上にアルプトラオムの姿を視認したユイは本当に一人だけで戦うつもりなのか、半信半疑のような状態でアルプトラオムの出方を伺っていると、不意にユウキがユイの疑問に答える。

 

「っ!?」

 

 ユウキの言葉を認識した瞬間、まだ距離があったにも関わらず、アルプトラオムは既にリリィの眼前にまで迫ってきていたではないか。そのあまりに一瞬の出来事に反応は出来ても、対応をすることは出来ず、表情を強張らせるユイだが眼前のアルプトラオムを操るユウキは口角を吊り上げ、一撃で粉砕するかのようにマニピュレーターを振り上げる。

 

 大きな衝撃音が響き渡る。

 穿つように放たれたマニピュレーターはリリィの前に躍り出たレイジングボルケーノによって受け止められる。しかしアルプトラオムの馬力は受け止めることが精一杯なのか、それを証明するようにリュウマが険しい顔を浮かべるなか、すぐさまビームライフルを連結させたν-ブレイカーが高出力のビームをアルプトラオム目掛けて放つ。

 

「そんな小賢しいことをするのは面倒だろう? 真正面から徹底的に叩き潰す……。実にシンプルじゃないか」

 

 しかしまるでダンスのように軽やかに避けるとその背後で相手を失ったビームが着弾した一柱の結晶体が粉々に砕けて四散し、キラキラと砂粒のように煌くなか余裕のつもりか、アルプトラオムは両腕を広げてフィンファンネルを解き放つ。

 

 まるで獲物を貪りつくさんばかりに駆け巡るフィンファンネルにν-ブレイカー達も咄嗟に回避行動に入るが、アルプトラオムのフィンファンネルはただ荒々しいだけではなく、その実、正確で確実に追い詰めにきていたのだ。

 

「これ以上は!」

 

 フィンファンネルが着実にこちらを追い詰めてくるなか、アラタはすぐさまν-ブレイカーをレイジングボルケーノとリリィをフィンファンネルから庇うよように動かす。ν-ブレイカーは機体色は青紫色に変化させるとバックパックのバインダーを水平になるように移動させて四方に半透明のバインダーが現し、リフレタクターモードを発動させた。

 

「ッ……!」

 

 ビームであればリフレクターモードはこれ以上なく有効だ。しかしただでさえ暴風雨の如きオールレンジ攻撃に加え、レイジングボルケーノとリリィの二機を庇いながらではν-ブレイカーといえど満足に動けず、まるで蜘蛛の巣に囚われてしまったかのようだ。

 

「ウオオラァアッッ!!」

 

 そこで行動を起こしたのはレイジングボルケーノであった。両腕を交差させ、飛び出したレイジングボルケーノは瞬く間にアルプトラオムに迫る。

 フィールド上の風を切って、放たれるレイジングボルケーノの一撃。目標を粉砕さんとばかりに轟々と放たれたその一撃だが、アルプトラオムは片手で幼子が投げる力ないボールを受けるかのように軽々と受け止めたのだ。

 あまりに呆気ないほどの出来事にレイジングボルケーノに対して誇りを抱いていたリュウマは目に見えて動揺してしまっている。しかしそんな僅かな時間さえ許さぬように蹴り飛ばされてしまう。

 

 攻撃を受けてしまったレイジングボルケーノが周囲の結晶体を突き破っていくなか、レイジングボルケーノに静かにビームマグナムの銃口を向けるアルプトラオム。咄嗟にリリィはバスターライフルを向けるが引き金を引き、今まさに放たれようとした瞬間、バスターライフルの直上から一筋のビームが突き抜け、バスターライフルは瞬時に爆発してしまう。

 

「っ!?」

 

 大爆発によってリリィは勢いに圧されて煽りを受けてしまうなか、爆炎を飛び出してきたのはアルプトラオムであった。咄嗟のことに表情が強張るユイだがアルプトラオムは容赦なくリリィの首部を掴むとそのまま近くの結晶体に叩きつける。

 

「……君がアラタ君を狂わせた。群れるだけしか能のない弱者がアラタ君を汚すなど……ッ!」

 

 まさにその行動は首を絞めると形容して良いだろう。あまりに生々しくギチギチと耳障りな音をたてながらリリィを締め上げようとするユウキの瞳はサイド0結成の切っ掛けになったであろうユイに対する憎悪に満ち溢れていた。

 

「……それでもアナタよりマシだよッ」

 

 瞬く間にリリィの耐久値が減少していくなか、アルプトラオムの腕を掴んだのは他ならぬリリィであった。

 その声にはこの苦境であろうとも決して衰えぬ、諦めないという強い意思が宿っており、その想いを顕現させるかのように展開された装甲から強い輝きを放つ。

 

「……ほぅ」

 

 アラートがリリィに掴まれた腕部の損傷を知らせる。

 見ればリリィはシャイニングフィンガーを発動させており、このまま腕部を破壊しようという魂胆なのだろう。

 

 だが当然、思い通りにさせるつもりはないとリリィに向けてフィンファンネルを放つ。咄嗟にアルプトラオムの腕を放して距離をとるリリィに追撃しようとするアルプトラオムだが、そうはいかなった。

 

「──ボルケニックゥウッフィンガアアァァァァァーーーーーーァアアッッッ!!!!!!」

 

 何故ならば荒れ狂う紅蓮龍が轟々と大気を震わせながら迫ってきているからだ。

 少なからずユイに意識を向けていたこともあって反応が遅れてしまったユウキに避けるだけの時間は残されておらず、防御の姿勢をとることが精一杯であった。

 次の瞬間、レイジングボルケーノの突撃をまともに受けることとなったアルプトラオムはその勢いを止めることも叶わず、背後の結晶体を突き破りながら吹き飛ばされていく。

 

「小賢しい真似を……ッ」

 

 轟音をあげ、結晶体を突き破りながら好き勝手にされていることが流石に煩わしくなったのだろう。そうやってレイジングボルケーノを振り払おうとした瞬間だった。

 

「っ……!?」

 

 その行動を阻むようにビームの直撃を受けたではないか。

 すると遅れてセンサーが反応し、確認してみれば二挺のビームライフルをこちらに向けて牽制するν-ブレイカーの姿があり、更に加速をつけてグングンとこちらに迫っていた。

 

「リュウマッ!」

「おぅッ」

 

 アラタはリュウマに声をかけると応えたと同時にレイジングボルケーノは一瞬の間を置き、そこにν-ブレイカーが飛び込んで並行する。すると二機は高トルクモードとボルケニックフィンガーによる拳を同時にアルプトラオムへ叩きつけたのだ。

 

「誰かの傍にいることで、その輪を広げていこうとする想いを弱いと否定するお前にはこの温もりが分からないだろうッ!」

「この温もりが弱ぇってんなら弱くたって構いやしねえッ! けどな、それが分かんねえお前にだけは絶対に負けねえェッ!」

 

 アルプトラオムごとどこまでも前に突き進んでいくなか、アラタとリュウマは己の想いを無我夢中に叫ぶ。

 そんな主達の想いに全力で応えるようにν-ブレイカーとレイジングボルケーノはそのツインアイを同時に輝かせ、覚醒を発現させたのだ。

 

 更に勢いを増した二機による攻撃はやがて頂点になり、アルプトラオムを宙からそのままステージに向かって殴り飛ばし、姿勢制御も満足に出来ぬままアルプトラオムはステージに叩きつけられたのだ。

 

「倒した……?」

 

 覚醒を使用する二機のガンダムの渾身の攻撃にステージに横たわるアルプトラオムの各所では損傷によるスパークが走っている。アルプトラオムから距離をとって着地したν-ブレイカーとレイジングボルケーノの傍に遅れて追いかけてきたリリィが着地し、ユイは様子を伺っていると……。

 

「──楽しい、楽しいよ。この僕が墜とされるなんてね」

 

 何とアルプトラオムはあれほどの損傷を受けてなお、起き上がったではないか。

 

「でもね、本当に楽しいのは勝ちを確信している相手からあっさりと勝利を取り上げることさ」

 

 何よりはユウキの声からは一切の動揺がないことだ。

 その底知れぬ態度にアラタ達も困惑し、なにがあるのかと警戒する。

 

「まだまだいけるんだろう? 君たちの言葉を証明したいなら本当の僕を倒してみなよ!」

 

 今までのバトルはウォーミングアップのつもりだったのだろうか?

 そう感じてしまうほどの余裕を持つユウキだが、歪な笑みを見せるとアルプトラオムは力むように両腕を広げて、

 行動を起こした。

 

「さあ……さあ、さあッ! 楽しい……ッ……楽しいなァアッ!!」

 

 するとアルプトラオムもまた輝きを放ったではないか。

 それはまさに覚醒と同じ力であろう。だがそれはν-ブレイカーやレイジングボルケーノのそれに比べるとあまりにも歪で澱んでいるかのように対面する者に強烈なプレッシャーを与えて圧迫感を感じさせるほどのものであった。

 

「どこまでも踊れェッ! 僕を……夢の世界へ導いてくれッ!!」

 

 やがてその歪な輝きはこのフィールドの全てを飲み込んでいき、アラタ達も耐え切れずに目を逸らしてしまう。その耳に最後まで聞こえるのは狂ったように哄笑するユウキの笑い声だけだった。

 

 

 

 

 

 

「ッ!?」

 

 

 

 

 

 やがて視界が回復し、状況を確認した時、アラタ達は……いや、それだけではない。このバトルを見ている全ての者が驚愕した。

 

 何故ならばν-ブレイカー達の目の前にはアルプトラオムが三機、存在しているからだ。

 

「同じ機体が……三体!? もしかして、これを全部、シイナ君が!?」

「物理的にありえない……。可能だとしても相当なラグが発生して使い物には……っ」

 

 目の錯覚を疑うが、これはまさに現実であり、なおのことそれを目の前にしているユイやアラタ達は混乱してしまう。今まさにこのバトルを見ている学園中が騒然としていたのだ。

 

 だが次の瞬間、更に衝撃的な出来事が起きた。

 

「──えっ」

 

 ビームマグナムによる一撃がリリィを貫く。

 まるで血飛沫のようにパーツが飛び散るなか、続けざまに三機のアルプトラオムは同時に飛び上がり、踏み潰すかのようにリリィを無残にも蹴り砕いたのだ。

 

「ユイ姉ちゃんッ!」

「っんだよ、あれ……ッ! あれも覚醒なのか……!?」

 

 それは何よりアラタにとってどれ程の衝撃であったか。

 その一瞬の出来事によってもう既にリリィは物言わぬ傀儡と成り果てているではないか。一瞬とはいえ、そのあまりの出来事にリュウマはただただアルプトラオムに……いや、ユウキに戦慄してしまう。

 

「これが僕の力……センスオブエクスパンションッ! 僕はガンプラで人の革新を成したッ!」

 

 リリィの残骸を踏みつけ、そのまま残虐なまでに念入りなまでに砕きながらユウキは高らかに謳う。

 

「さあ、僕の渇きを満たしてくれッ!!」

 

 誰もが騒然とするなか、第二ラウンドを知らせるかのように三機のアルプトラオムは残されたν-ブレイカーとレイジングボルケーノに襲い掛かるのであった。




それではいよいよ本日からオリキャラ&俺ガンダムの募集を始めます。詳しくは活動報告まで!
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