ガンダムビルドブレイカーズ Snatchaway   作:ウルトラゼロNEO

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ファイナル・ベストマッチ

 センスオブエクスパンション……。ガンプラによる人の革新を成したと語るユウキのガンプラであるアルプトラオムは禍々しい輝きをその身に纏い、その歪みを広げるかのように三体に分身したではないか。

 

「あれは……!?」

 

 否、分身といえどそれは確かに実体を持っていたのだ。

 三機のアルプトラオムと交戦するν-ブレイカーとレイジングボルケーノの姿をモニター越しに見つめながら、想わぬ事態にレイナも含めて多くの者が絶句してしまう。

 

「あれも覚醒……なの?」

「……であろうな」

 

 三機のアルプトラオムに対して生徒達と共に生配信されているバトルを観戦していたアイダは誰に問うわけでもなく呟くとその言葉に答えたのはアールシュであった。

 

「しかしあれはあまりに歪み過ぎている……。それは恐らくビルダーの本質が覚醒すら歪めてしまったのだろう」

「歪められた覚醒……」

 

 その言葉に覚醒の使い手であるアールシュに自然と視線が集まるなか、アルプトラオムが放つ輝きから視線を外すことなく見つめ、どこか物悲しそうに呟くとチナツをはじめ多くの生徒がその輝きを見やる。

 

(……哀れなものだな。貴様のその覚醒は自分一人が強者であると固執するあまり無意識に他人を求めているからこそのものにも見えるぞ)

 

 アールシュは三機のアルプトラオムの姿にどこか哀れみを抱いてしまう。

 全てを蹂躙するだけの圧倒的な力を見せつける一方で誰をも寄せ付けぬその孤独感にアールシュでさえ憐憫を感じずにはいられなかった。

 

 ・・・

 

「ぐぅっ!?」

 

 結晶体が砕け散る甲高い轟音と共にフィールド上に叩きつけられたのはレイジングボルケーノであった。

 周囲に先程まで結晶体であった煌く破片が飛び散るなか、すぐさま四肢を利用して四足の獣のように受身をとるとけたましく敵機の襲来を知らせるセンサーに反応して険しく視線を鋭く細めて前方を見やる。

 

「そんなものなのかい、君の実力は?」

 

 そこには悠然とこちらに迫るアルプトラオムの姿が。

 その挑発的な物言いに歯を食い縛ったリュウマはレイジングボルケーノを爆発するかのような勢いをもってアルプトラオムへ殴りかかる。

 

「そんなもので……アラタ君の傍にいて良いとでもッ!?」

 

 だがその拳は軽々と受け止められてしまった。

 それだけではなく背後からもう一機のアルプトラオムが迫っており、咄嗟にレイジングボルケーノは唸るようにテイルブレードを放つのだが、これも避けられただけではなく、テイルブレードのワイヤーを掴まれ、投げ飛ばされてしまう。

 

 吹き飛ぶレイジングボルケーノに追い打ちをかけるように二機のアルプトラオムはビームマグナムの銃口を向けようとするのだが、それを遮るように連射されたビームが襲い掛かる。

 

 すぐに避けたアルプトラオム達が目を向けてみれば、そこには最後の一機であるアルプトラオムを抑えながら、こちらに牽制をかけてきたν-ブレイカーであった。

 

「これでオオトリさんの言葉の意味が分かっただろう? これが僕の本気だ」

 

 ν-ブレイカーを三機のアルプトラオムが囲むなか、ユウキはアラタに通信越しに声をかける。

 センスオブエクスパンション……。彼は確かにこの現象をそう口にしていたが、三機のアルプトラオムから発せられる威圧感はかなりのもので常人ならばこれだけで萎縮してジョイスティックを握ることさえ叶わないだろう。

 

「さあ、“あの頃”のように君の全てで僕を満たしてくれッ!」

 

 ユウキの脳裏からいつだって離れなかったのは幼き頃のアラタとの思い出。それがこれほどまでにアラタへ固執する理由にへと繋がった。そして今、彼は自分の中にある渇きを癒そうとアラタへ襲い掛かる。

 

「……お前こそまだ分からないのか? 俺が幾ら傍にいようと、俺が幾ら全てをぶつけようとしたところでお前は満たされやしない」

「そんなことはない、僕はアラタ君さえいれば──」

 

 三機のアルプトラオムの猛攻を傷つきながらも何とか掻い潜るν-ブレイカーだが、アラタの声色はこのバトルの状況に反して物静かだ。だがアラタに執着するユウキにはその言葉は受け入れられないのか、否定しようとするのだが……。

 

「たった一人の存在で満たされるほど人間ってのはちっぽけな存在じゃないッ!」

 

 バックパックから放たれた無数のフォトントルピードが宙を舞う。

 ν-ブレイカーの周囲にバリアのように放たれた煌く粒子に三機のアルプトラオムは咄嗟に距離をとる。

 

「自分では上手くやってるって思ってても実際はそうじゃないんだ! 俺達は不完全で未完成で……ッ……でもだからこそ多くの人間がいるんだッ!」

 

 そこへν-ブレイカーが飛び出して、ビームサーベルを素早く引き抜くと同時に前方のアルプトラオムへ切りかかる。咄嗟にアルプトラオムもビームサーベルを引き抜くことによって鍔迫り合いの形となるが、そのまま押し進められてしまう。

 

「ぶつかりあって、その想いを送って刻んで……ッ! 一人から二人、二人から三人へとその輪を広げて俺達は明日を創っていくんだッ!」

「弱者のことを知る必要なんてないのさ! 僕は君だけで良いッ! ただ無闇やたらと群れる弱者とは違うんだッ!」

「なにも違わないッ! 人を見下すことで自分を強者だって思い込んでるお前も弱いんだッ!」

 

 ガンブレ学園でもトップの実力を持つ者達によるバトルは熾烈を極めた。

 互いの意思を主張するなかでその熱をそのままバトルに変換していくかのようにバトルは苛烈を増していく。

 

「僕は弱くなんかないッ!!」

 

 だがユウキにとって自分を弱いと断じられたことは到底、受け入れ難いことなのだろう。

 ν-ブレイカーとの激戦を行うなかで、その背後から二機のアルプトラオムが襲いかかろうとする。

 

「──ウオォオラァアッッ!!!」

 

 そこへ紅き閃光が一機のアルプトラオムを蹴り飛ばし、遅れて反応したν-ブレイカーもアサルトモードでもう一機のアルプトラオムを牽制する。

 

「いつまでも駄々こねやがって……ッ!」

 

 アラタとユウキが乱入者を確認してみれば、それは覚醒を発現させているレイジングボルケーノであった。

 蹴り飛ばされたアルプトラオムがビームマグナムをの引き金を引いたと同時に刀を投げ飛ばし、銃口に突き刺すことで暴発させる。

 

「強ぇだの弱ぇだのそんなの決めるのは自分じゃねえんだよッ! 俺達はいつだって多くの誰かがいるから成り立ってんだッ!」

 

 ここでビームマグナムを破壊されたアルプトラオムに動揺が生まれる。

 そこに畳み掛けるようにその右手をより輝かせたレイジングボルケーノは全てを照らさんばかりにアルプトラオムを掴み上げ、そのまま握り潰すことで撃破する。

 

「うるさいうるさいうるさいィッ! 耳障りなことばかりをォッ!」

「それは俺達がそれぞれ別の存在で自分という個を持っているからだッ!」

「そうやって人間ってのはぶつかり合うんだよ! それを越えて、やっと人ってのは創られていくんだッ!」

 

 二機のアルプトラオムとν-ブレイカーとレイジングボルケーノの戦闘が始まった。

 先程までセンスオブエクスパンションの力によって余裕を見せていたユウキではあるが、アラタとリュウマの意志に触れて段々と焦りを見せてきた。

 

「黙れェェェェエエエエエッッッッ!!!!!」

 

 だがそれが更なる暴走を引き起こしたのだろう。

 アールシュが歪んだ覚醒と形容したようにアルプトラオムが纏う歪な輝きはより肥大化していき、禍々しさを増していく。

 このフィールドの全てを飲み込まんばかりに広げていく歪な光を纏う二機のアルプトラオムから放たれたフィンファンネルがν-ブレイカー達を襲いかかる。

 

「っ!?」

「ぐっ!?」

 

 アルプトラオムによるオールレンジ攻撃は先程のものとは比較にもならなかった。

 最早、その攻撃はアラタとリュウマをもってしても目で追うことは難しく、どんどんν-ブレイカーとレイジングボルケーノはその身を傷つけていく。

 

「もう良い……。僕を満たしてくれないのなら……もうアラタ君は必要ないッ!」

 

 アラタとリュウマの言葉を受けいられないどころか、それが更なる怒りに繋がったのだろう。

 その憎しみさえ感じさせる目をν-ブレイカーに向けたユウキは攻撃の矛先を定める。

 

「グゥッ!?」

 

 それはまさに感情のままに任せた蹂躙と言って良いだろう。

 執着していた裏返しからか、レイジングボルケーノに目をくれることなくν-ブレイカーに標的を定めた二機のアルプトラオムは嵐のように襲い掛かる。

 

(負けられない……ッ! こんなコイツだからこそ今、負けるわけには行かないんだッ!)

 

 アラタが自分を受け入れないと思ったのだろう。

 気付かずしてユウキの頬には涙が伝いながらもその目は憎々しげにν-ブレイカーを見ている。しかしだからこそここでユウキに負けてしまっては今後の学園どころか、彼がどのような人生を歩むかも分からない。ユウキを想うからこそ負けられないのだ。

 

「なっ!?」

 

 だがその想いは虚しくν-ブレイカーは片腕を落とされ、更にはその胸に凶刃を受けてしまう。

 このままではマズイと何とか逃れようとするが、二機のアルプトラオムの前ではそれは難しく、誰もがν-ブレイカーの撃破を予感した時であった。

 

「ウオオオオオォォォォォォォォオーーーーーォオオオオッッッ!!!!!!!」

 

 気高き紅蓮龍の咆哮が轟いた。

 次の一手で決まると思われた矢先、二機のアルプトラオムに突進を仕掛けてきたのはレイジングボルケーノであった。そのままレイジングボルケーノは二機のアルプトラオムを相手取るように派手な動きで引きつけようとする。

 

 だが今のユウキが相手ではそれも難しいのだろう。

 最初こそ虚をつくことに成功したが、標的を変えられてしまった今、レイジングボルケーノはどんどん無残な姿へと変えられてしまう。

 

「アラタがお前に向けられてんのは拒絶じゃねえ! それにいい加減、気付けェッ!」

 

 しかしそれでもリュウマの戦意は衰えてはいなかった。

 それどころかアラタの意志を汲み取って、ユウキに何とか理解させようとしていたのだ。

 

「ッ!」

 

 だがそれも遂に限界が訪れた。

 一機のアルプトラオムがアラタの目の前でレイジングボルケーノを貫いたのだ。

 口では好き勝手言っていようと様々な出来事を乗り越えて、かけがえのない存在の一人となっていたリュウマのその姿はアラタにとって絶望以外の何物でもなかったのだ。

 

「ヘッ……丁度、良いぜ」

 

 だが逆にリュウマは動揺どころか、その口元には薄らと笑みを浮かべていたではないか。

 すると主の想いに応えるようにしてレイジングボルケーノはツインアイを輝かし、その姿に胸騒ぎを感じたアルプトラオムは咄嗟に離れようとするのだが、寧ろレイジングボルケーノはガッチリとアルプトラオムを掴み……。

 

「ボルケニックゥゥッッ……フィンガアアァァァァーーーーァアアッッッ!!!!!」

 

 最後の渾身の一撃を放ったのだ。

 その全てを注ぎこんだ一撃はアルプトラオムを貫き、機能を停止させてそのまま消滅させることに成功する。

 

「リュウマぁあっ!!」

 

 だが同時にレイジングボルケーノも限界に達したのだろう。

 あちこちにスパークが走るなか、悲鳴にも似たアラタの声がリュウマの名を呼ぶ。

 

「──アラタ」

 

 その刹那、レイジングボルケーノは確かにν-ブレイカーを見たのだ。

 するとゆっくりとν-ブレイカーに向けて、手を差し伸ばす。

 その姿に目を見開いたアラタだが、やがて意を決したようにレイジングボルケーノに手を伸ばし……。

 

 ・・・

 

「後は君一人だよ、アラタ君」

 

 レイジングボルケーノは爆発した。

 その跡地にいるν-ブレイカーに対して漸く落ち着いたのか、ユウキはせせら笑うように声をかける。

 センスオブエクスパンションによって三機になったとはいえ、予想外の奮闘を見せたアラタ達に二機を撃墜されてしまった。しかし今残っているのはボロボロのν-ブレイカーのみ。勝利は確実だとユウキはほくそ笑む。

 

「……一人? あぁ、お前にはそう見えるか」

 

 しかしアラタから聞こえてきたのは、絶望を感じさせないものであった。

 

「……俺は一人なんかじゃない」

 

 思わずアルプトラオムが足を止めるなか、ν-ブレイカーに変化が起きた。

 

「俺達は……いつだって一つだッ!」

 

 ν-ブレイカーに淡い光が包み、一部のパーツは変換され、新たな姿への創造を促す。

 

 ──リアルタイムカスタマイズバトル。

 

 光が消えた瞬間、ユウキは驚愕する。

 何とν-ブレイカーはその身に紅蓮の龍を纏ったのだ。

 

 

 

 ──Be the One

 

 

 

「……勝因となるパーツは全て揃った」

 

 

 

 ──強くなれるよ

 

 

 

「さあ、勝利を組み立てようか」

 

 

 

 ──愛は負けない

 




ガンプラ名 R(レイジング)-ブレイカー

HEAD ガンダム試作一号機 ゼフィランサス
BODY ダブルオークアンタ
ARMS シャイニングガンダム
LEGS インフィニットジャスティスガンダム
BACKPACK G-セルフ パーフェクトパック

ビルダーズパーツ ドラゴンヘッド×2(両腕)
         チークカード×2(両頬)
         発光装甲×2(両腰)
         片側アンテナ×2(頭部)
 
詳しい外観は活動報告にリンクがありますのでそちらを参照して下さい。
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