ガンダムビルドブレイカーズ Snatchaway   作:ウルトラゼロNEO

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天才と矛盾と

「ソウマ。あのバトル凄かったよっ!」

「ただの変人だと思ってごめんなさい! アナタは凄い変人だったのね!」

 

 遂に生徒会の打倒を果たしたサイド0。そのニュースは瞬く間に学園中を駆け巡り、サイド0のメンバー、そして絶対君主であったユウキを撃破したアラタは生徒会に苦しめれてきた弱者側である生徒達から一躍、ヒーローのような扱いを受けていた。

 

「さっすが、ガンダムブレイカーだよなっ」

「ガンダムブレイカーぁ?」

 

 放課後、サイド0の部室に向かう道中、どーもどーもと声をかけてくる生徒達に適当な相槌を打っていたアラタだが、ふと流石と言われても聞いたことのない名前を出されて怪訝そうに足を止めた。

 

「なんか、学園中でお前のことをそう呼んでるぜ。生徒会を倒したしほら、G-ブレイカーだのν-ブレイカーだの、そういうところからも来てんじゃね?」

「分かるような分からないような……。っていうか散々、俺は天才だと「っていうかこの後、サイド0のところ行くんだろ? 足止めてて良いのか?」……一般生徒にすらキャンセルされるとは」

 

 ユウキ率いる生徒会を打ち倒したサイド0のリーダーであるアラタはその愛用するガンプラから学園の生徒達に新しい称号のような名で呼ばれているようだ。

 とはいえ、いくら自身のガンプラの名から取ったとは言われてもあまり馴染みのない名前で呼ばれるのは違和感があるようでそれよりも散々、口にしていた天才で呼ばれないのかと口にしようとした瞬間、それ以上の言葉を遮るような言葉に度し難いような表情を見せたアラタはそのままトボトボと第08ガンプラ部へと向かっていく。

 

「ガンダムブレイカー……ね」

 

 しかし偶発的にかけられたガンダムブレイカーという名前だが、何故だかアラタには胸の中に強い引っかかりを覚えるのであった。

 

 ・・・

 

「ついに生徒会を撃破……。正直、自分でもここまで出来ると思ってなかったよ。みんなのお陰だね」

 

 第08部室ではサイド0とそれに連なる者達が集まっていた。

 そんな中、生徒会を打ち破ったことがまだ現実味でないのか、それでもユイはこの場にいる全員に感謝の言葉を口にする。

 

『生徒会は現時点をもって解散する』

 

 それがあの時、ユウキが口にした言葉であった。

 絶対的な存在であったユウキ達生徒会の解散……。元々、生徒会長という立場に固執していなかったユウキはアラタ達に敗北したのを切っ掛けにその立場を手放したのだ。生徒会の敗北だけに留まらず、そのニュースは瞬く間に学園中に駆け巡った。

 

「この部室にも感謝が必要ですね。メンバーが集まる切っ掛けにもなりましたし、ここでみんなでガンプラを作るのはとても楽しかった……」

「そうだね、それにここのオンラインバトルシステムが使えたから色々と練習できたわけだし」

「はい、学園全体のオンラインバトルシステムが生徒会の管理下に置かれていたのに、なぜかここと第10ガンプラ部だけは私達が自由に使えた、というのは大きかったと思います」

 

 改めてサイド0のメンバーが集まるきっかけとなった第08ガンプラ部部室を見渡すイオリ。

 感慨深そうに話す彼女に同意しながらユウイはこの部室のガンプラバトルシミュレーターを見ると、その点については感謝と同時に疑問があるのか、イオリは僅かに首を傾げる。

 

「あの、それなんですけど……」

 

 何でなんだろうね、と何気なく話していたユイ達だがそこに口を挟んだのはレイナの隣にいたマリカであった。

 

「元々遮断されていたここと第10部室のシステムを外部サーバと繋げた痕跡が見つかりました」

「それも巧妙に隠されていて、私達が使用していることを外部に漏れないように工作していた跡すらあったわ」

 

 今までなに不自由なく自由に使えていたバトルシステムだが、どうやらそれは外部サーバと繋げられていたから出来たことのようだ。マリカの言葉を引き継ぐように第10ガンプラ部の部長であるレイナは神妙な面持ちで話す。

 

「それって……どういうこと?」

「私、一応……元08ガンプラ部の人達にも聞いてみたんです……。でも誰もサーバの存在すら知りませんでした。つまり……私たちすら知らない協力者がいた、ということではないかと」

 

 何気なく会話をしていたユイやイオリも眉を顰めるなか、マリカなりに調べていたのか、その過程をたどり着いた結論を口にする。

 

「……一人だけ、思い当たる人がいます」

 

 サイド0の協力者は今、この場に集まっている者だけのはずだ。

 一体、誰がそのようなことをしていたのか、頭を悩ませるなか、不意にイオリが口を開いた。

 

「最初に私達がシステムにユーザー登録した後でフレンド申請してきた人達がいましたよね」

「えっと……RECOCOさん……だっけ?」

 

 視線がイオリに集まるなか、彼女が口にした言葉に当時のことを覚えているのか、ユイはその名を挙げる。

 

「ええ、たまにアラタが遊んでいる人ですね」

「……あれ、なんで知ってるの? 俺、そんなこと一言も言った覚えが──」

「問題は隔離されたこのシステムにどうやってアクセスしたのか、です」

「いや、問題は何でそんなことまで委員長が知ってるのかって「ア・ラ・タ?」 アッハイ」

 

 最早、本能的に刻まれた恐怖がアラタにそれ以上の追及をさせなかった。

 

「まあでも、やけに学園や生徒会について詳しかったような……」

「そして更にシステムの情報を書き換えられるほどの技術を持った存在……」

「あっ、でも妙にオバサンっぽいノリだった」

「……大分、絞れそうね」

 

 話を戻し、アラタはこれまでRECOCOと接してきたなかで感じた印象を口にすると、その傍らでどこか引き攣った様子ながらレイナは思案するように視線を伏せる。

 一体、RECOCOとは何者なのか? この場にいる全員の疑問がシンクロするなか、唐突にアラタが所持しているGBが鳴り響く。

 

【やっほー、アラタ君! 遂に生徒会を倒したんだね!! お祝いしたいからチャットルームにきてねっ!】

 

 送り主は噂のRECOCOであった。

 まさかのタイミングに流石のアラタもいつも以上に驚くなか、その様子に気付いたのか、ユイが声をかける。

 

「もしかして今のメール、RECOCOさんから?」

「噂をすれば何とやら、ですね」

「なら丁度、いいじゃない。RECOCOさんに直接、聞いてみようよ」

 

 ユイの問いかけにコクリと頷けば、グットタイミングだとばかりにイオリとユイは食いつく。

 

「そのチャットルーム、私達は入れないの?」

「この人数で? それはキツイなー。悪いけど一人で行かさせてもらえないかな」

 

 RECOCOに強い興味を抱いたのか、そのままRECOCOとのチャットルームに入り込もうとするユイ。いや、ユイだけではなく、他の者達も多かれ少なかれ興味はあるようだ。しかし流石に大人数で、というのもRECOCOも困惑するだろう。ならばまだいつもの自然体で接してくるであろう一人の方が良いのではないだろうか。

 

「……うーん……まあ、アラタ君はRECOCOさんとよく遊んでたんだもんね。彼女については私達で訊くのは止めてとくわ」

 

 そんなアラタの意図を察したのだろう。

 口惜しそうに唸るユイだが、やがて納得したのか、アラタに任せると他の面子も同じように頷いていた。

 

「では、後はお若いお二人に任せますかな。フェフェフェ」

「……ユイ先輩、変な小芝居やめてください」

 

 口髭を撫でるように老人の真似をするユイに呆れ混じりのツッコミをいれながらイオリはアラタを見やる。

 

「真実を確かめたら報告をお願いするわ。それから……もしRECOCOさんが私達の協力者だったとしたら、私達は本当に感謝していると伝えておいて」

 

 その言葉を皮切りにマリカやレイナなどRECOCOに感謝の気持ちを伝えようと私も私もとアラタに言伝を頼むのであった。

 

 ・・・

 

 そしていつものRECOCOとの待ち合わせ時間となった。

 窓からは薄らと茜色の陽が差し込んでくるなか、部室に一人残り、時間を確認したアラタはバトルシミュレーターを起動させてRECOCOとのチャットに臨むのであった。

 

「おめでとう、アラタ君! 学園中、君達の話題で持ちきりだよ~♪」

 

 チャットルームに入れば、既にROCOCOはおり、こちらを確認できるや否やすぐさま声を弾ませながら絡んできた。

 

「これで、みんなが楽しくガンプラを作ってたあの頃に戻ってくる……。本当にありがとう」

「でも、それはRECOCOがいたからこそでもあることだ」

「え……? えぇっと、何のことかな? 私はこうして君とたまにミッションをしてただけで……」

 

 改めて感謝の言葉を口にするRECOCOにその一因は彼女にもあると称えると当人は全くその自覚はなかったのか、アバター越しでも分かるほど戸惑った様子を見せていた。

 

「そ、そうだ。今日もミッション、行こっ!」

 

 褒められると思っていなかったこともあってか、どこかむず痒そうにしたRECOCOは誤魔化すようにしてミッションへ促すとアラタは仕方ないとばかりにため息をつきつつRECOCOとミッションに臨むのであった。

 

 ・・・

 

「やっぱり、アラタ君のガンプラビルダーとしての腕はピカイチだねっ!」

 

 RECOCOとのミッションのステージに選ばれたのは切り立った岩場が点在する荒野地帯であった。

 ここまで幾多のバトルを潜り抜けたアラタと経験豊富なRECOCOの前ではどんなNPCも敵ではないのか、瞬く間にミッション終了へと近づいていた。

 

「生徒会を倒せたのも納得、かなっ!」

 

 最後のボスキャラであるプトレマイオスⅡが出現するなか、その攻撃を掻い潜りながらRECOCOはν-ブレイカーの性能、そして何よりアラタ自身の腕前を称える。

 

「じゃあ準備運動はここまで! 生徒会長を倒した最強のチームのリーダーが使うガンプラの本気、見せて──」

 

 RECOCO自身、ν-ブレイカーの性能がいかほどのものなのか、実際に目の当たりしたいのだろう。

 肩慣らしも程々にアラタの全力が見たいと促そうとした瞬間──。

 

 

 

 

 

 

「──うん、見せて欲しいなぁっ」

 

 

 

 

 

 それは突然の出来事であった。

 一筋の高出力ビームが唐突に放たれ、プトレマイオスⅡのブリッジを貫き、音を立てて轟沈させたのだ。

 

「これは外部から……?」

 

 撃破したのはν-ブレイカーでもグリーンドールでもない。

 新たな参戦者の存在をシミュレーターが知らせるなか、アラタが確認すればそれは学園ではなく外部サーバから乱入してきたようだ。

 

「あれ、は……」

 

 すると墜ちていく箱舟の上方から鮮血の如き赤い粒子が散っており、釣られるままに見上げればそこには赤き光の翼を広げたガンダムの姿があるではないか。それはデスティニーガンダムをベースにしつつカスタマイズを施したガンプラであった。

 

「この世界のガンダムブレイカーのチ・カ・ラを」

 

 その名はガンダムパラドックス。

 矛盾の名を持つガンダムを操るのは口元に強かに獲物を狙う猛獣のような笑みを浮かべる金色の瞳を持つ少女・ルティナであった。




おまけ
アラタ&リュウマ(ホワイトデー)

【挿絵表示】

アラタ「どーもどーも、アナタの天才ですよ」
リュウマ「……あれ、こういうのって女連中がやるんじゃねえのか?」
アラタ「筋肉馬鹿は黙ってポーズとってなさいよ。こういう時にしか出番は周ってこないんだよ」

・・・

ガンプラ名 ガンダムパラドックス
元にしたガンプラ デスティニーガンダム

WEAPON GNソードⅡブラスター(射撃と併用)
HEAD ガンダムデスサイズヘル
BODY デスティニーガンダム
ARMS デスティニーガンダム
LEGS Hi-νガンダム
BACKPACK スクランブルガンダム
SHIELD アンチビームシールド
拡張装備 レールキャノン×2(両腰部)
     レーザー対艦刀×2(背部)
内部フレーム補強

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