ガンダムビルドブレイカーズ Snatchaway   作:ウルトラゼロNEO

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最終章 さあ、未来を組み立てようか
ガンダムブレイカー


 満天の夜空に輝く星々に想いを馳せる。

 それはまるで世界を照らさんとばかりに煌き、今なお輝き続けている。

 

 ──争いの連鎖を断ち切る英雄。

 

 ──輝ける未来をその手に掴む覇王。

 

 ──想いを継ぎ、輝きを放つ新星。

 

 ──希望の守り手。

 

 ──守護の花を抱きし気高き獅子。

 

 ──目醒めし最強の遺伝子。

 

 ガンダムブレイカー。

 その名を持つ者達は破壊と創造によって新たな可能性を示してきた。彼らは同じ名を持っていても夜空に輝く星々のようにその胸に抱く輝きはそれぞれ異なり、だからこそ多くの者に影響を与えてきたのだ。

 

 彼らの想いは魂の絆のように受け継がれていく。

 そしてそれは世界を越え、また新しいガンダムブレイカーへと……。

 

 ・・・

 

「──各クラスからの展示内容、全てチェック終わりました。飲食については関係各所への届出も手配済みです」

 

 サイド0がシイナ・ユウキ率いる生徒会を打ち倒してから数ヵ月後、アラタを生徒会長に誕生した新生・生徒会は今日も活動している。そんな生徒会執務室ではイオリが書類片手につらつらと滑らかに読み上げていた。内容は今度、開催される文化祭についてであり、言ってしまえば新生・生徒会が発足してから初めての行事だ。

 

「さすがイオリちゃん、仕事にソツがないわね。講堂のスケジュールはどうなっていたかしら」

「そちらも来賓の方々による講演についてはFIX済みだ。スペシャルLIVEについては……」

 

 イオリの手際の良さを称賛しつつ、ユイも次の話題に切り替えれば文化祭への手伝いとして会議に参加しているリョウコが答えながら室内にいるシオンに視線を投げかけると……。

 

「シオンのスペシャルLIVEは臣民達がバッチリ準備してくれてるよーっ! 音響も照明もぜーんぶ、ボランティアでやってくれるってー!」

 

 流石のシオン公国というべきか、声を弾ませるシオンに苦笑してしまう。しかしこれで予算も浮くというものだ。

 

「……っーつことはアレか。俺達生徒会の出しモンだけが決まってねえんだな」

「どうするの、アラタ。前に折角だからバトルイベントやりたいって言っていた気がするんだけど」

 

 書類と睨めっこしながら馴れない仕事にすっかり辟易しているリュウマは唸りながら口を開くと、その隣でイオリはこの生徒会の長であるアラタに声をかける。

 

「……あぁ? あー……そうだなぁ……」

「他にもちなちー発案のデコレーションコンテスト、シロイ先輩主導の来場者対象の塗装教室、何より……」

 

 どこかぼーっと頭が働いていない様子のアラタは覇気のない声を漏らしている。そんな彼にイオリは別の書類を手に取るとそこに記載されている内容に目を通しながらどこか複雑そうにソファーの方に目をやると……。

 

「なんだい? 僕はアラタ君と文化祭用のPGア・バオア・クーの作成と併せてザクとジムを量産していて非常に眠いのだけれど」

「……いや、何でシイナ先輩がまだここに寝泊まりしているんでしょうか」

「アラタ君に誘われて断る理由はないよ」

 

 そこには前生徒会長であるユウキの姿があるではないか。近くのテーブルには精巧に組み立てられたジムとザクⅡの姿があり、彼の言葉通りならば全てが完成された暁にはさぞや壮観なことであろう。とはいえそもそも何故、いまだユウキがこの場にいるのかが理解できないように話すイオリだが、寧ろユウキからはそんなことも分からないのかとばかりの態度に神経を逆撫でされてしまう。

 

「……巨大ジオラマとか作ってみたいって話から昔話に華が咲いて今に至るとしか」

「何でそう変な方向に対しては思い切りが良いのよ。ただでさえ生徒会長になってからやつれてるんだし、もう少し身体を大事にしてよ」

「分かってるって」

 

 どうなってるんだとばかりにイオリに睨まれたアラタはシートに身を預けたまま力なく答えている。生徒会長としての活動だけではなく、そんなことまでやっていれば疲労は当然というべきか。とはいえ妙な行動力にイオリも呆れてしまう。

 

「最初は馬鹿みてぇに次々に案を出してったとは思ったけど、気付けば殆どを実現させようとしてんだもんな」

「それに関しては学園の皆のお陰だよ。遊びに行く先々で話してたら食いついてくれて手伝ってくれたり、必要ならカンバしても良いって言ってくれたからな」

 

 バトルイベント、コンテスト、塗装教室に巨大ジオラマ。気付けば色んな案が出てきたものだ。しかしそれら全てが実現への目処が立っているという。呆れを見せながらもアラタの手腕には純粋に感心しているリュウマにアラタは生徒会室から見える学園生活の様子を横目にしながらどこか嬉しそうに話す。

 

「でもこれ以上はないわよね。コンテストに塗装教室、巨大ジオラマはもう良いとしても流石にそろそろ生徒会としての出し物を──」

「入るぞ」

 

 あくまでその三件は正式な生徒会の出し物というわけではない。バトルイベントならばそれはそれで話を進めていかねばならない。そう言って進行役としてイオリが話している最中に遮るようにして生徒会室の扉が開いた。

 

「聞いたぞ。生徒会の出し物はまだ決まっていないそうだな」

 

 そこにはアールシュを筆頭にレイナとアヤ、そしてアカリの姿があった。

 突然の訪問に驚くなか、アールシュはペースを掴むかのように口を開く。

 

「安心せよ。この俺が貴様らに代わって考えてきてやったのだからな」

「アールシュさんが生徒会の出し物を……?」

 

 フンッ、と自信ありげに鼻を鳴らすアールシュではあるが、どうしても嫌な予感しかしない。誰もがアールシュに対して疑心の目をむけるなか、彼はお構いなしに話し始める。

 

「現生徒会長ソウマ・アラタのガンブレ学園での活躍を描いたドキュメンタリー映画であるッ!」

 

 甲高くバーンッと聞こえてきそうなほど自信満々に言い切ったアールシュ。その隣で呆れているアヤとアカリを他所に拍手をしているレイナだが、対して生徒会の面々は誰もが呆気に取られていた。……一人を除いて。

 

「……なんだよ、結構面白そうじゃないか。勿論、主演はこの天才だろ」

「なに言ってんだよ、会長ッ」

 

 先程まで口数も少なく、疲労感を見せていた人間とは思えないほど乗り気である。すぐさまリュウマのツッコミが響いた。

 

「なんて声出してるんだリュウマァッ。俺はガンブレ学園生徒会長ソウマ・アラタだぞ……! 主演を張るくらいなんて事はない……!」

「いやお前、馬鹿だろ。コウラもなんか言ってやr──」

 

 疲労感を堪えてでも主演に臨もうとするアラタに呆れるなか、リュウマはこの手のツッコミはお手の物であるイオリに話を振るのだが……。

 

「……ヒロインは主人公の隣の席のクラスメイトで委員長をやっているというのはどうでしょうか」

「それはただのお前じゃねえかッ!」

 

 神妙な面持ちで提案をするイオリだが、まさかイオリがこのような行動を起こすとは思っておらず、たちまちリュウマのツッコミが再び響き渡る。

 

「うーん、だったらそこは幼馴染みのお姉さんがヒロインっていうのはどうかな。サブタイが希望の未来へのミッションスタートで」

「……その、後輩もアリかと。終わらないガンプラライフへというタイトルで」

 

 イオリが言えば、他も黙っているわけがない。そこからユイやマリカ、果てはリョウコやシオン達など次々に自分の案を口にしては乗り気ではない面々の頭を悩ませる。やがて収拾がつかなくなると判断したレイナを手をポンと叩くと……。

 

「具体的に誰かにすると角が立つわ。ここはアラタ君とリュウマ君をメインにしましょう」

「……いや、俺はそこまで乗り気じゃねえって」

「ストーリーは学園中から追われる身になったアラタ君が生徒会に操られているリュウマ君を取り戻して、最後は奇跡のR-ブレイカーで出撃よ。映画タイトルはBe The OneでAre you ready?」

「ダメです!」

 

 助け舟を出すかのように話しているがその実、ただただ混乱を助長させているだけである。というよりここまで行くとドキュメンタリーではない。

 

「えぇい、喧しいぞ貴様等。脚本・総監督はこの俺が行う! まずはダンススケジュールから──」

「インド人は座ってろッ!」

 

 次々に案が出てくることは意欲的ではあるが、纏まりがなくなって場はただただ喧騒としてきた。

 やがて耐え切れなくなったアールシュがホワイトボードを叩きながら指揮をとろうとするがすかさずリュウマに止められる。

 

「大丈夫ですか?」

「……お、おう」

 

 次々に案が飛び交うなか、ゼェゼェと息を切らしたリュウマは一人、近くのソファーで腰掛けると彼を気遣ってその隣をアカリが座る。

 

「お前こそ第10ガンプラ部に転部したって聞いたけどどうだ?」

「充実していますよ。こんな私を受け入れてくれた部長様には感謝し切れません」

 

 生徒会の解散もあり、第10ガンプラ部へと身を移したアカリ。その事について話している朗らかな表情を見ても嘘ではないのだろう。その表情を見て、リュウマも笑みを浮かべる。

 

「ところで映画の件ですが、オリジナルビデオ枠でブレイカーNEW WORLD 機動戦士ガンダムレイジングというのもアリかと」

「勘弁してくれ」

 

 すると唐突にアカリまで先程の話を掘り返してきた。どうやら乗り気ではなかったのはアラタがメインであったからのようだ。とはいえその気がないリュウマはソファーに身を預けたまま天を仰ぐのであった。

 

 ・・・

 

「──それで結局、映画化はなしになったんだ」

 

 放課後、夕焼けの下でボチボチと生徒達が下校するなか、今日も今日とてミッションを行っていたフレンドであるRECOCOは事の顛末を聞いて苦笑する。

 

「なんだ、それはそれで見たかったんだけどなー」

「元々バトルイベントをやるつもりだったしな。でなければ毎日のようにRECOCOに付き合ってもらってミッションの調整をする意味はなくなる」

「私は楽しいから良いんだけどね」

 

 彼らが作ると果たしてどのような作品となるのか、それはそれで興味があるのか、残念ぶった様子のRECOCOだが、アラタも実際のところ本気ではないようでウインドウを表示させながら答える。そこには文化祭のイベントに向けて事細かに調整されたバトルシステムがあり、その様子から連日、RECOCOと調整をしているようだ。

 

「じゃあ今日はもうお終いだけど、アラタ君もしっかり休まなきゃダメだよ? 文化祭当日はもっと大変なんだからっ」

 

 生徒会長の業務だけではなく、イベントに向けての活動で多忙な日々を送っているアラタを気遣いつつRECOCOはチャットルームを後にするのであった。

 

「……まあ、大きな初仕事だから気合が入っちゃうってのは自分でも分かってるんだけど」

 

 今日だけでもイオリとRECOCOに気遣われていることに嬉しく思いながらも苦笑してしまう。実際、アラタ自身も多忙である自覚はある。しかし自分は元ある生徒会が作っていた世界を破壊した責任がある。そこにいた生徒達が少しでも納得できる新世界を創造する為にも休んでいられないという想いもあるのだ。

 

「っ!?」

 

 シミュレーターから出て帰宅しようとしたその時、不意に先程まで自分が使用していたシミュレーターの内部が溢れんばかりの輝きを放ったのだ。初めての出来事に何事かと構えるアラタだが、やがて閃光に耐えられなくなり、光が収まるのをただ待つ。

 

「ッ」

 

 やがて少しずつ光が収まり、視界も回復した頃、アラタは慎重にシミュレーターの扉を開き、その先の光景に息を呑む。

 

「女の、子……?」

 

 そこにいたのは一人の少女であった。

 年は自分と近いぐらいか。ハーフアップに纏め、外はねになっている髪は何だか犬の耳のような愛くるしさがあるが少女は意識を失ったままだ。

 

「お、おい、大丈夫か!?」

 

 誰かは分からないが、一先ずこのままで良い訳ではないだろう。すぐに肩を揺さぶって少女を起こそうとすると、少女はやがてうぅっ……とうめき声をもらして、重い瞼を開く。

 

「ここ、は……?」

「ガンブレ学園だけど……。アンタは?」

 

 少女も自分が置かれた状況が分かっていないのだろう。まだクリアになっていないであろう頭のまま周囲を見渡して困惑している少女に少しでも話を聞こうと少女について尋ねる。

 

「……カナデ」

 

 やがて少女も少しずつ頭がクリアになってきたのだろう。ポツリと自分の名前であろう言葉を漏らす。

 

「如月 奏だ」

 

 ・・・

 

「ふーん、やっと来たんだ」

 

 一方でガンブレ学園から程近いファストフード店で所在無く時間を潰していたルティナはやがて何かを感じ取ったかのように意味深な笑みを浮かべる。

 

「あはっ、心が弾むなぁ」

 

 如月奏……。今も第08部でアラタとお互いに困惑したまま視線を交わす二人だが、その出会いはまさにお互いにとっての運命の邂逅となる。今はそれを祝福するかのようにルティナの笑みだけが漏れるのであった。

 

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