ガンダムビルドブレイカーズ Snatchaway   作:ウルトラゼロNEO

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ブレイカーの声

「離せよ!」

 

 奏に腕を引かれていたアラタは第08部室まで連れて来られるとここで漸く腕を振り払う。

 部室内は文化祭ということもあり、アラタと奏の二人だけであり、殊更、張り上げたアラタの声が静寂に響き渡る。

 

「早くあの人を……ッ」

「あのやり取りを見た後では平行線のままだと思うがな」

 

 すぐさまシエナの後を追おうと踵を返して部室を飛び出そうとするアラタだが、近くの机に腰かけた奏の一言に足を止めてしまう。

 

「単純な話だ。お前は彼女の心を動かせるほどの距離にいない。だからお互いに寄り添うどころか意見を押し付けあうような形になってしまう」

「でも、今のままじゃあ……!」

「ああ。良くなるどころか変にこじれたままだろうな」

 

 動きを止めたアラタに先ほどのやり取りを見ていたのだろう。第08部の部室に飾られているガンプラの数々を眺めながら話す奏に居ても立っても居られないとばかりにアラタは焦燥感を見せる。とはいえ今のままでは何の解決にもならないであろうことを奏はすでに見抜いていた。

 

「正論をただ言ったところで解決するほど人の心というのは簡単なものじゃないんだよ。ましてやそんなこと自分が一番分かっている場合だってある……。そんな人にどうすればいいのか、どう接すればいいのか……。その答えを知っている者がいるのであれば私だって今からでも教えてもらいたいくらいだ」

「……アンタにも似たようなことがあったのか?」

「似ているかどうかは分からないがな」

 

 奏にも何か思い当たる人物でもいたのだろうか、どこか懐かしむように話す姿にアラタも少しは落ち着きを取り戻しつつあったのだろう。急ごうとする足を止めて奏を見る。

 

「ただ彼女はきっと自分自身でもどうしていいのかが分からないのは事実だろう」

「……どうすれば良いんだ」

 

 奏の言葉に対して果たしてどうすればシエナの心を救うことが出来るのか。どうすれば彼女はもう一度、レイナと笑いあうことが出来るのか。その答えを模索してはアラタは頭を悩ませる。

 

「そう頭を悩ませる必要はないさ」

 

 思い悩むアラタに救いの手を差し伸べるかのような奏の優しい声が届いた。

 

「もう少しだけ付き合ってくれ」

 

 そう言って奏はアラタの手を取ると戸惑う彼を他所に第08部を駆け出して行くのであった。

 

 ・・・

 

「ここ、は……」

 

 奏に連れられたアラタが訪れたのはグランドであった。

 ここではこの文化祭のバトルイベントとして用意されたバトルロワイヤル特設会場となっており、多くの人々で賑わっていた。

 

「まさか……」

「うむ、そのまさかだ」

 

 奏がわざわざ自分をここに連れ出した理由……。

 それを考えれば真っ先に浮かぶのは一つ、バトルだ。そんなアラタの予想に対して奏はしっかりと頷きながら自身が手掛けたガンプラを取り出す。

 

「……今はそんな気分じゃない」

「だからこそだ。行くぞっ!」

 

 シエナの一件もあってか、バトルをしようという気にはならない。

 折角の提案だが乗り気のなれないアラタは奏から顏を逸らして断ろうとするのだが問答無用とばかりに腕を絡められて無理やりバトルロワイヤルへと参加させられるのであった。

 

 ・・・

 

「まったく……どういうつもりだ」

 

 バトルフィールドとなる宇宙空間にその姿を現したν-ブレイカーは軽やかに機体を飛行させるも、それを操るアラタの表情は重いものであった。

 

「──まあ、そうぼやくな」

 

 そんなアラタに対して通信を入れてきたのは奏であった。センサーには奏が操るガンプラの反応があり、釣られるようにアラタがその方向を見やると……。

 

「あっ……」

 

 思わず感嘆の声が漏れてしまった。

 宇宙空間の中で鮮やかに輝く翠色のGN粒子は恵みを与えてくれる雨のように優しく流れている。その光を放つ主へと目を向ければ、白と蒼の装甲を身に纏った一機のガンダムの姿があるではないか。

 ガンプラの出来栄えはそのままイコールとしてフィールドに投影される。それはこれからバトルを行うとは思えないほどであり、精巧に作られたそのガンプラは神々しささえも醸し出していた。

 

「ガンダムブレイカークロスゼロ……」

 

 それがあのガンダムの名だ。

 

『うん。ここにいる如月奏(おねーちゃん)もまたガンダムブレイカーだからね』

 

 かつてルティナうちにしていた言葉を思い出す。

 確かに自分のガンプラはν-ブレイカーであり、最近ではそこに因んで最近ではガンダムブレイカーと呼ばれているのは知っていたが、ルティナが口にするガンダムブレイカーと生徒達が自分に対して口にするガンダムブレイカーとでは大きな開きがあるように感じられた。

 

「とはいえ、いつまでもボーッとするな。自分のガンプラが無闇に傷つけられたくなかったらな」

 

 アラタがブレイカークロスゼロに見惚れているのを知ってか知らずか、奏はアラタにバトルに集中するように促す。それとほぼ同じくしてν-ブレイカーとブレイカークロスゼロのセンサーがけたましく反応を示す。

 

 次の瞬間、高出力を誇るビームがν-ブレイカーとブレイカークロスゼロ目掛けて放たれる。

 

「──そのガンプラ……。確かここの生徒会長のものだったよなッ」

 

 こちらを……いや、ν-ブレイカー目掛けて向かってくるそのガンプラはバルバトスをカスタマイズした機体であった。しかし1/144……所謂、HGのガンプラを使用したそのガンプラが持つ武装はあまりに不釣り合いなほど巨大であった。

 

「あの武装……MGの武装を使用しているのか」

 

 アラタが武装についての違和感に気づく。そう、あのHGクラスのガンプラは1/100スケールのシグマシスライフルとガトリングシールドを装備しているのだ。

 

「キバ・アツヤッ! ガンダム・バルバトスオーガ……出るぞ!!」

 

 それがあのガンプラとビルダーの名だ。

 高らかに名乗り上げるとバルバトスオーガはその銃火器を惜しみなく放ちながらν-ブレイカーとブレイカークロスゼロへ向けて猛スピードで突き進んでくる。

 

「また来るか」

 

 すると再びセンサーが反応する。奏が確認してみれば、接近してくるバルバトスオーガとは別にこちらに近づく機影があるではないか。

 

「ガンダム・ルミナス、輝いていくわ!」

 

 それはトリコロールカラーのガンプラであった。ガンダムXをベースにカスタマイズしつつV2ガンダムのバックパックを採用したガンダム・ルミナスの名を持つそのガンプラは装備しているレールガンで牽制しつつビルダーであるカゼハヤ・ヒカリはその金髪を揺らしながら距離を縮めてくる。

 

 流石に接敵しているこの状況で乗り気ではなかったアラタも気を抜くような真似はしない。すぐさまその目を鋭く細めると同時にν-ブレイカーのツインアイと輝き、すぐさまビームライフルを連結させると共にアサルトモードを起動させて迫りくる二機のガンダムを迎撃する。

 

 しかしアツヤもヒカリもお互いに腕が立つのだろう。ν-ブレイカーからのビームをギリギリのところで回避して距離を縮めてくる。

 

「……そうこなくっちゃ」

 

 そんな二機の動きを見て、アラタの口元にも自然と笑みが漏れる。強いビルダーと出会えるのは同じビルダーとして喜びでしかないだろう。すぐさまν-ブレイカーもアサルトモードを解除して飛び立っていく。

 

「両腕にMGの……しかもそれぞれが巨躯を誇る武装を持ってもバトル中にそのバランスは崩れていない……ッ」

 

 バルバトスオーガと距離を縮めながら、改めてその機体について注目する。一見すればHGクラスの両腕にMGクラスのシグマシスライフルとガトリングシールドなどアンバランスもいいところであろう。しかし現にバルバトスオーガは一切、その機体バランスを崩すことなくν-ブレイカーと戦闘を繰り広げているのだ。

 

「相当、ピーキーなガンプラの筈なのにそれを仕上げ、バトルに活かすのは相当の腕がなければ出来ないことだッ!」

「生徒会長さんにそう言ってもらえるのは光栄だな。けど戦う以上負ける気はねぇ、何時だって全力だ!」

「上等ッ」

 

 純粋にバルバトスオーガとそれを操るアツヤに感心していた。通信越しに聞こえてきたアラタの言葉に口角を上げながらバルバトスオーガは攻勢を強め、負けじとν-ブレイカーも反撃する。

 

「まさにその発想はなかったって奴か。ビルダーとの出会いはいつだって最っっ高だッ! もっとそのガンプラを知りたくなるッ!!」

 

 MGの武装を使用すること自体、アラタもアイデアの中にはあった。しかし現実にさせたわけではなく、所謂ペーパープランのまま終わってしまったものは数多くある。だが目の前のバルバトスオーガは自身のアイデアをさらに発展させ、昇華させた素晴らしい出来栄えなのである。

 

 だからこそ心が揺れ動く。

 そして内なる声がもっとあのガンプラを知りたいと熱をもって叫ぶのだ。

 

「こっちも構ってくれないと拗ねちゃうよっ!」

 

 ν-ブレイカーとバルバトスオーガが激しくぶつかり合うなか、ヒカリのルミナスはν-ブレイカーに狙いを定め、レールガンの引き金を引く。圧倒的弾速で突き進む光弾はν-ブレイカーへ突き進んでいく。

 

「ッ!?」

 

 避けるには間に合わない。

 咄嗟にν-ブレイカーを構えて防御姿勢を取ろうとするがその直前でレールガンの弾丸は打ち消された。アラタが状況を確認してみれば、ν-ブレイカーを守るようにCファンネルが陣を取っているではないか。

 

「なにかに嵌ると周りが見えなくなる質か? 微笑ましいな」

 

 ν-ブレイカーを守っていたCファンネルは主の元に戻っていく。そこには腕部の操作でCファンネルを操っていたブレイカークロスゼロの姿があった。

 ν-ブレイカーのバトルを静観していた奏はクスリと微笑むとCファンネルが各部に装着されたのと同時に強く鮮やかなGN粒子を放出させながら弧を描いてルミナスへと向かっていく。

 

「あっ、ダブルオーライザーをベースにしてるんだねっ! 私も00大好きなんだっ!」

「それは気が合うなっ! とはいえ、手を抜くつもりはないぞっ」

「勿論っ! このまま狙い撃つわッ!」

 

 接近してくるブレイカークロスゼロのカスタマイズ元を見抜き、好きなガンダム作品に登場するということもあって高揚感を示すヒカリに奏も嬉しそうに声を弾ませながらGNソードⅢをライフルモードで展開し、牽制を仕掛ける。恐らくその機体特性から接近戦を仕掛けるつもりであると考えたヒカリもすぐさまGNファングを展開しつつレールガンで攻撃を仕掛ける。

 

 バトルは時間を重ねる度に一層の激しさを見せていく。

 ぶつかり合いは焚火を広げる薪のように、それは轟々と燃え盛る炎の如き苛烈さを見せる。

 

「ルティナの言葉を借りるわけではないが、心が弾むなっ!」

 

 一切手を抜かず、それでいて相手を尊重するような真摯かつ心温まるようなバトルが繰り広げられるなか、奏は高ぶった情熱を吐き出すようにアラタへ通信を入れる。

 

「……ああ。バトルをする度にどんどん相手のことを、そのガンプラを知りたくなる!」

 

 それはアラタも同じだったようで、奏と同じ熱量をもって声高らかに答える。

 

「理屈じゃないんだッ! だって楽しいから、こんなにも心が揺れ動くからっ!」

「その通りだ」

 

 アラタの言葉に先程の熱を控えながら奏は優しく答える。その奏の態度に一瞬の戸惑いを見せるとν-ブレイカーとブレイカークロスゼロは背中合わせになる。

 

「理屈じゃない……。シエナも同じなんだよ。彼女を何とかしたいと思うのなら言葉よりも彼女の心を動かすことをしなくちゃいけない」

「……でも、それなら余計にどうすれば良いんだよ」

 

 確かにアラタも当初こそこのバトルに乗り気ではなかったが、今ではもっともっとバトルをしたいと思える。

 しかしそれをシエナに当て嵌めたところで一体、どうすれば良いのだろうか。先程のバトルの熱も冷や水を浴びたように静まっていく。

 

「簡単だ。彼女もファイター……いや、この世界ではビルダーだったか。彼女にその心がある限り、この場所は彼女の心を動かすにはうってつけだろう」

「……けどこの場所は」

 

 シエナの心情を考えれば、この学園は思い出したくもない悪夢の場所であろう。

 だからこそうってつけという奏の言葉には首を横に振ってしまう。

 

「大丈夫だ」

 

 アラタの中の暗雲を払うような奏の強い言葉が耳に届く。

 何故だろう。如月奏との出会いから今日まで共にいた時間は短く、彼女自身の印象も滅茶苦茶な人物であるというものだが、今の彼女はまるで名刀のように強く美しく、そして何より肩越しに振り返るブレイカークロスゼロの背中は越えられないほどの大きな壁に見えたのだ。

 

「彼女はまだ前に進める」

 

 そして奏も無責任に言ったわけではない。

 奏の脳裏にはシエナと初めて出会った時の巨大ジオラマを見て瞳を輝かせる彼女の姿が過っているのだ。

 

「ならば我々は我々なりのやり方で心を動かそう。彼女だけではない、このバトルを見ている全ての人々の心をッ!」

 

 着々とこのバトルに吸い寄せられるようにブレイカークロスゼロ達がいるこのフィールドにガンプラが集まって、更に戦いの規模を、バトルによって生まれる情熱を広げていく。その光景を目の前に奏は高らかに叫ぶと先陣を切るようにブレイカークロスゼロは飛翔した。

 

「ったく……あれがガンダムブレイカーって奴なのかね」

 

 奏の、ブレイカークロスゼロの姿はこのフィールドで誰よりも煌めくような活躍を見せる。

 その誰もが目を引かれるその姿にアラタは一人、独り言のようにポツリと漏らすとその口元に笑みを浮かべる。

 

「けど、置いていかれるわけにもいかねえなッ!」

 

 ジョイスティックを動かし、ブレイカークロスゼロを追うようにν-ブレイカーも飛び立つ。その姿はまるでブレイカークロスゼロと並び、そしてそれよりも前に行こうとするかのように。そうして二機のガンダムブレイカーを中心にバトルは広がっていくのであった。




ガンプラ名 ガンダムブレイカークロスゼロ
元にしたガンプラ ダブルオーライザー

WEAPON GNソードⅢ(射撃と併用)
HEAD ダブルオーガンダム
BODY ダブルオーガンダム
ARMS ガンダムAGE-FX
LEGS ガンダムAGE-FX
BACKPACK ダブルオーライザー
SHIELD GNシールド(ダブルオー)
拡張装備 サイドバインダー×2(オーライザーの機体部分をすっぽり挟むように)
     大型レールキャノン×2(背部)
     ニーアーマー×2(両脚部)
     内部フレーム補強
カラーリング どちらかと言うとダブルオークアンタより

例によって活動報告の機動戦士ガンダム Mirrorsの欄にリンクが貼ってあります。

<いただいたオリキャラ&俺ガンダム>

鴨武士さんから頂きました。

キバ・アツヤ
年齢 17歳
性別 男

容姿
黒髪を耳を覆う長さ、少しつり目。
身長も高校二年生基準。

設定
ガンダムをこよなく愛する高校二年生のビルダー。
おおらかで直球な性格だが、それ故に言動と行動が少し荒くなってしまう。
昔からベテランの大人達とガンプラを続けてきた為、腕はピカイチ。
文化祭に参加する理由は単純に興味があったからである。

………ちなみに、他の誰かとは一応別人である。

ガンダム・バルバトスオーガ

Weapon シグマシスライフル(1/100)

HEAD バルバトスルプスレクス
BODY ガンダムバエル
ARMS バルバトスルプスレクス
LEGS ゴールドフレーム天
BACKPACK スタークジェガン
SHIELD ガトリングシールド

ビルダーズパーツ
地上用スラスター×2
二ーアーマー×2
ブレードアンテナ
テイルブレード

設定
ガンダムバルバトスを改造したガンプラ。
アーマード・コア4のラスボス、アレサを模倣しMGサイズの武器を片手で振り回す程のパワーとスピードを出すようにフレームを改造し、他のパーツもそれに対応するためにカスタマイズを施した。
武装は限りなく少ないが、巨大火器の火力を惜しみなく発揮し高速で機動しながら敵に攻撃し、そのパワーで敵を砕く事も可能。
更には阿頼耶識システムも組み込んでおり、最後の手段として残されている。

弱点は耐久性が薄いことで、攻撃を喰らえばそのまま致命傷となりうる。


ファントムベースさんからいただきました。


カゼハヤ・ヒカリ
年齢 17歳
性別 女

容姿 金髪のロングヘア―、目の色は緑。
身長は158cm、スリーサイズは上から83/56/81。

設定
裏表がなく、天真爛漫な性格。基本的に戦いの勝ち負けには拘っておらず、バトルを楽しむことを第一にしている。また好きな作品であるガンダムOOに出てくるキャラのセリフをよく言ったりする。
新たに体制が変わったガンブレ学園に興味を持ち、此度の文化祭に参加した。

ガンプラ名 ガンダム・ルミナス
元にしたガンプラ ガンダムX

WEAPON レールガン
WEAPON ビームサーベル(ガンダムヴァサーゴ)
HEAD ガンダムX
BODY イージスガンダム
ARMS バスターガンダム
LEGS ガンダムAGE-3ノーマル
BACKPACK V2ガンダム
SHIELD シグルシールド(1/100)
拡張装備 チークガード×2(両頬)
     発光装甲×3(腹部中央、両膝)
     GNファングラック×2(両脹脛)
     スタビライザー(バックパック中央)
カラーリング 白、青、赤のトリコロール。メインカメラなどの発光部分は水色に変更されている。

素敵なキャラクターとガンプラを提供していただきありがとうございます!
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