もう一人の魔竜   作:神信陸

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 更新が遅れてすいません。神信陸です。
 受験真っ只中にかけられる親からのプレッシャーで中々執筆出来ずにいましたが何とか投稿できました(まあ今度は教科書等のいらない物片付けろというプレッシャーがありますけど)
 本来の予定ではゼレフと別れてからのメイビスたちとの共闘を書こうと思ってたのですが原作との相違点があまりなく終わったので今回の序盤に纏めただけで終わりました。楽しみにしてた方いらっしゃいましたらすいません!


3話 魔竜と遭難少女

 メイビスたちと別れ、今日までに凡そ百年に航る時が流れた。

 その間私はアクノロギアと再開すべく世界の各地を回っていた。別れの時の誓いを果たすために時には暴風吹き荒れる峡谷や全身の水分を奪おうとする日の下の砂漠などを踏破した。

 

 そして今日は白く染め上げられた身も凍るような極寒の中を歩いた。

 

 幸い竜化解除の副作用によって生じた欲望の欠落や、一部の感覚の麻痺などの影響によって多少の寒さは感じるものの身を震わすようなことにはなっていない。

 

 この症状が発覚した当初はメイビスたちの戦いの影響で壊れた街の復興作業に協力していた時だ。肉体能力が飛び抜けて高かったことに加えて疲労への耐性が上がったことで私一人で全体の四割近くをこなしたが、相応の報酬は貰えた上に、建築の造詣が深められたことは利点だった。

 人間の姿に執着があまりなかったので様々な分野の本を読んでいたが、実践ができなかったので、あくまでも知識のみだったのだから。

 

 しかし私は医学に関しての知識は一般常識の範囲内でしか得ていない。

 だから私の目の前にいる少女──体を震わして眠る少女にどういった処置をとるべきかが分からない。

 寒さが原因ということくらいは分かるので火を熾し、羽織っていた上着を被せてやるなどしてみたもののあまり変化が見られない。

 一番の適切な処置が医者に診せるということくらいは分かるもののその医者が何処にいるのかが分からない。

 少なくとも今私の居る場所の近くに人がいないことは確かだ。鼻にも耳にも何も反応がない。

 当てもなく回るのは見当違いのところを回る結果になった場合時間が掛かってこの少女の容体をより悪くさせるだろう。

 

 仕方がない。あまり取りたくない手段だがこのまま放置するのは忍びない。

 

 私は百年ぶりに竜化し、辺りを飛び回った。

 

 

 

 

 

 

 

「特に悪いところがあるわけではないようなので命に別状はないでしょう」

 

 少女を診た医者は診断結果を私に告げてくる。

 彼の言葉に偽りや誤りがなければ大丈夫だろう。

 私は診察料に夜分遅くに訪ねた迷惑料を合わせて渡した。ここ百年通貨が変わっていないこと、あまり使っていなかったので持ち合わせがあったのは幸運だった。

 どの道世が変わって使えなくなるか永い年月を掛けて劣化していくかを待つだけだったのだ。使える機会に使っておいて世の経済に戻すのが得策であろう。

 とはいえ請求額の十倍も渡したのは間違いだったか。医者の口が開いて塞がらなくなっている。

 

 まあ、どうでもよいことか。

 

 そんなことより、もしこの娘が私と似た存在──親のいぬ者だった時のことを考えよう。

 

 私は少女の眠るベッドの傍らに座り、思考の海に身を落とした。

 

 

 

              ◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 暖かい

 

 久しぶりの感覚だ

 

 長いことなかった心地好い目覚め

 

 身を包む布が冷気を遮っているお陰で寒さは感じないし、何よりさっきから頭を撫でる手が安らぎを与えてくれる。

 

 大きく、少し硬い手だから違う。けど、似た安らぎを感じる。安心できる。この人は誰?

 

 目を開いて私は相手の姿を捉える。

 

 肌と首の後ろ辺りで纏められた長い髪は病的で、それでいて綺麗な白。私に優しげに向ける目は灰色。

 

 特徴といえる特徴は全く違う。白い肌ではあるがここまで白くなかったし、髪色に至っては真反対の黒だ。

 

 けど、何故か重なって見える···

 

「お母さん···」

 

 咄嗟に呟いた私の言葉に、彼は微笑み、返してくれる

 

「大丈夫、直ぐに会えるよ。だから今はお休み。身体をゆっくり休めなさい」

 

 声も対照的に低い声。

 

 けど、やっぱりお母さんに似た安心感を与えてくれる。

 あの痛い思いも怖い思いも溶けて消えていく氷のようになくなっていく。

 

 もう暫く、このままでいたい。

 

 そう願う私は次第に睡魔に教われる。けど、眠ることすら怖いと感じるいつもとは違って安らかな気持ちでいられる。

 私は抗うことなく睡魔に身を委ね、再び夢の中に戻った。

 

 

 

 

        ◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

 少女、ウルティアの容態がよくなってから数日、私たちは彼女の母がいるらしい街へと共に向かっている。

 最初の頃はよく知らない私と共にということで不安がられると思っていたのだが予想とは裏腹に懐いてくれている。

 食料の確保や休憩を要したりと一人では到底ないことの連続で戸惑うことは多々あったものの順調に打ち解けていったお陰で仲が険悪になることもなく送迎を終えられそうだ。前の街で聞いた話では明日の晩には着くだろう。そうなれば私はまた一人に戻る。

 寂しさは感じるがそれでいいのだろう。

 子は親と共にあるのが幸せだろう。それを私の我が儘で邪魔をするのは酷く自分勝手で傲慢

 だから残り少ない時間を楽しもう。

 

 これから起こる悲劇にも似た事件を予期すらせず、今日も私は傍らに少女を置き歩く。

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