ロックマンZAX3 亡国機業より愛をこめて   作:Easatoshi

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第11話

 アメリカから高飛びして数週間。 キンコーソーダーにとって、ミナミの蟹銀行への強盗はリベンジマッチだった。

 つい数日前に自身のひったくった獲物を横取りしていったISの女。 裏事情にある程度通じているチンピラ連中を()()()()()()話を聞いて回った所、そいつは『亡国機業』なる組織の実働隊が一人、オータムとか言うコードネームを持つ女らしい。

 尤も『亡国機業』とやらも内情は空中分解寸前の落ちぶれた組織らしく、オータムとやらもハイエナ行為によって生計を立てているその日暮らしと言う有様で、しかもクラブロス金融の運営するこのミナミの蟹銀行に融資を受けているらしい。

 この銀行は中々にアコギな一面があるらしく、自分達みたいな裏社会の人間にも積極的に金をばら撒いていると言う。 そこでキンコーソーダーはこの銀行を襲撃し、忌々しいあの女の数少ない資金源を断ってやると意気込んで、店内にいるほぼ全ての人間を恫喝して回っている。

 

 銃をちらつかせる度に、怯える子犬のような目を向ける人質に嗜虐的な笑みを浮かべていた時、事件は起きた。

 ガラス越しに聞こえてくる外の悲鳴。 出入り口であるガラス戸に背を向けていたキンコーソーダーは、一瞬自分に対して恐れの声を上げているのかと思ったが、どうもそうではないようだ。

 外にいる通行人はしきりに公園に対して異変が起きたと騒いでおり、キンコーソーダーは何事かと振り返る。 

 

 するとどうだろうか。 店内の正面にある公園の茂みから突如白いガスが噴出し、園内が狂乱の沙汰となっていたのだ。

 

「な、何だありゃあ!?」

 

 ガラス越しに見える逃げ惑う民衆に、キンコーソーダーは驚きの声を上げる。

 ガスの中から飛び出してきた人間を見るに、皆して顔を赤く腫れあがらせて涙と鼻水を垂れ流しながら、酷くせき込んでいるようだった。

 これは犯罪者(イレギュラー)として、過去にイレギュラーハンターの突入作戦の際に食らった事がある……催涙ガスだ。

 しかも敷地の外にも漏れ出す程の量となれば、正規の治安部隊でもなければ用意するのも難しいはずだが、なぜのどかだった公園内で唐突に? 既に銀行強盗と言う騒動を起こしている自身であっても、いきなり真昼間にばらまかれたガスの存在には呆気にとられるしかない。

 

 それだけに、キンコーソーダーは反応が遅れた。

 

「――――はっ!?

 

 外の様子に気を取られていたキンコーソーダーは、はっとした様子で振り返った。 よそ見していて人質に注意を向けていなかったが、それこそが一瞬の油断に繋がった。

 

「てめぇ!! 何してやがんだ!!」

 

 気付かれた事の驚きで目を見開いた、カウンター越しにいる銀行員の一人である若い女に対し、キンコーソーダーは怒鳴り声をあげる。

 他の銀行員が両手を上げているのに対し、キンコーソーダーの睨みつけた女の銀行員は、少し身を屈め両手をカウンターの下に回していた。

 銀行におけるカウンターと言えば、その裏側には()()()が付いている。

 

 これはまずい!! 一瞬の隙からくる人質の反抗にキンコーソーダーがとっさにショットガンの銃口を向けようとしたが、既に遅かった。

 

<警告!! 敵性勢力ニ告グ!! 直チニ武装解除シテ投降シナサイ!! 指示ニ従ワナイ場合ハ排除シマス!!>

 

 フロア中の壁から飛び出した赤い警告ランプが周囲照らし、キンコーソーダーに投降を呼びかけるメッセージが鳴り響く!

 キンコーソーダーは混乱した。 今目の前にいた女が、恐らくはカウンター裏にある警察への通報スイッチを押したのだと思っていた。

 しかしそれらの防犯システムは犯人を刺激しないように、無音で当局に通報される仕組みになっている筈。 わざわざ露骨な警報が鳴ったりする仕組みではない筈。

 キンコーソーダーは銃を構えたまま、あちこちで鳴り響く警報に銃口を向けていた。

 

<繰リ返ス!! 武装解除シテ投降シナサイ!! 指示ニ従ワナイ場合ハ排除シマス――――>

「うるせぇッ!!」

 

 無機質に繰り返す警告メッセージに、緊張の余り逆上したキンコーソーダーは発砲! ランプの一つが破砕し、繰り返されていた警告メッセージが瞬時に停止する。 カウンターにいた職員が悲鳴を上げその場に伏せた。

 

「へッ! 少しは静かになった――――」

<当防衛システムヘノ攻撃ヲ感知! 当システムハ警告通リ排除モードヘ移行シマス!>

 

 防犯システムから告げられる無慈悲なアナウンスと共に、ATM機器の隣にあった空白のペースの壁が開き、中から大柄な人型の機械が出現する。

 

「んな!?」

 

 キンコーソーダーは驚愕した。 項垂れて立っているそれは、装甲で覆われた胴体に対しなお大柄な両手足に、背中に浮かぶブースターを備えていた。

 

「こ、ここでもISだとぉ!?」

 

 間違いない。 銀行強盗を決意させる遠因となった、あの忌々しい機械人形がそこに立っていた。

 そいつはキンコーソーダーと目が合ったと同時に一息つく間もなく間合いを詰め、キンコーソーダーの首根っこを掴んで反対側の壁に叩き付ける。

 

「ぐっはっ……!!」

 

 レプリロイドに肺機能があるかどうかも疑わしい。 しかし叩き付けられた衝撃にまるで体の中の空気を全て絞り出すような、か細い悲鳴を上げるキンコーソーダー。

 衝撃に電子頭脳が揺さぶられ下手をすれば意識が飛びかねないが、すんでの所で持ち堪えた。

 

「は、放し……やがれ……!!」

<貴方ハ当システムノ指示ヲ無視シ攻撃シマシタ! ヨッテイレギュラート認定シ、排除命令ニ従ッテ貴方ヲ処分シマス!>

「ぬぅおおおおおおおおおおっ……!!!!」

 

 首を締め付けるISに対しキンコーソーダーは、掴んでいる腕にこちらの両腕をかけて払おうとするが微塵も動く気配はない。 この力はパワー重視で設計されたレプリロイドにも匹敵するだろう。

 それにしても人間味の無い無機質なこのISの反応は、従来のロボットに近いとされるメカニロイドを思わせた。 おそらくこのISは防衛システムによって遠隔操作されている無人機だ。

 人間が操る前提のISに機械だけで完結している機種があるのは、ISに詳しくないキンコーソーダーにとっては意外な組み合わせだった。

 全く持って恐れ入った、こんな事ならもっと事前にISについて調べておけばと思った。

 

「ち、チクショウ……俺の体がコイツと同じ……だったらなぁ……!!」

 

 締め付ける力を強められる度、キンコーソーダーのシステムがエラーを引き起こし始めた。 視界に警告のインジケーターが表示され、徐々にシステムダウンに向かって行く事を否応無しに理解させられる。

 恐る恐るながらISの陰越しに様子を窺っていた人質達も、犯人確保の瞬間を見て次第に安堵と勝ち誇ったような色が表情の中に浮かび上がっていった。

 

「くそったれ……!!」

 

 悪態をつくキンコーソーダー せめてもの抵抗にISの腕を掴んでいた両手にも、力が入らなくなっていく。 視界にも砂嵐さえ現れブラックアウト寸前だった。

 

 最早打つ手無し。 観念したキンコーソーダーはついに意識を手放しかけたその瞬間、人質達が大きくどよめく姿がキンコーソーダーのアイセンサーに飛び込んだ!

 直後、何かが突き刺さる音と共にISが身を仰け反らせて痙攣する。

 

「ぐほっ――――!?」

 

 同時にキンコーソーダーを拘束していたISの手が彼の首を放した。 解放され背をこするようにして地面に倒れ込み、間一髪システムダウンは回避された。

 一体何が起きた? 苦し紛れながら何とかエラーから立ち直って様子を窺った。 そこには突如として錯乱し、明後日の方を向きながら両手足を乱雑に振り回すISと、一転して余計事態を混乱させられISから逃げ惑う人質の姿。

 

「いいのか? 何か暴れ始めたぞアレ!」

「人質が巻き添え食ったらどうするんだ!? 大丈夫か!?」

「ま、多少はね! ISをあんなつまらないオモチャにしてくれたお礼をしただけだよ! どうせ殺傷武器持ってないし近づかなきゃヘーキヘーキ!」

 

 そして暴れ始めたISの背後からキンコーソーダーの前に突如として現れた、謎の3人組。

 真ん中にいる女らしき人物に、その背後の赤と青の2人の男が慌てたように話しているが、内容からしてISが突如暴走したのは彼らの仕業らしく、キンコーソーダーは訳も分からぬ内に助けられた形となったが、その出で立ちを見た瞬間今一度の驚愕を禁じ得なかった。

 

「な、何だお前ら……その恰好は……!?」

 

 震える指先を向けながら問いかけるキンコーソーダー。 彼が疑問を抱くのは尤もで、何故なら現れた3人は派手な和服のような物に身を包み、白く塗りつぶされた顔の上から赤と黒の線を引く化粧をしていたのだから。 これではまるでこの日本の伝統芸能の歌舞伎みたいだ。

 キンコーソーダーの声に対し、真ん中の女が得意げに笑って胸を張った。 服の上からでもわかる大きな胸と、長い髪の頭の上に被ったウサギを思わせるような、和服には似合わない付け耳が揺れる。 はて、どこかであの耳を見た事があるような――――

 

「ま、アンタの味方って言った所かな? この『亡国機業』は、悪事とあらばいかなる時でも助太刀致すってね――――」

「『亡国機業』だぁッ!?」

 

 その名を耳にした途端、逆上するあまり一気に立ち上がるキンコーソーダー。

 

「てめえらあのハイエナ女の仲間かぁ!? 俺の獲物横取りしといて、どういう風の吹き回しだぁッ!?」

「んな!?」

 

 激高し詰め寄るキンコーソーダーにたじろく歌舞伎女。 自身にしてみればわざわざリスクの高い強盗を決意させるに至った胸糞の悪い連中がわざわざ助けに来るなどと、彼にしてみれば疑わしいことこの上なかった。

 肩を震わせるキンコーソーダーを前に、3人は何やら身を寄せ合って小声で話し始めた。

 

「アイツ俺達が獲物横取りしたって言ってやがるぜ!? だったら束の鞄『亡国機業』って連中に渡ってるって事になるぞ!」

「何それ!? 取るだけ取っておいて横取りされるとかドンくさいなぁ!?」

「それよりどうする!? 俺達正にキンコーソーダーの恨み買ってる組織のフリしてしまったぞ!?」

「シラを切るしかないよもう! 組織だからって一枚岩とは限らないよ! 嘘をつき通そう!」

 

 銀行内の慌ただしい様子の中、今の彼らの会話から断片的にしか聞き取れなかったが、なんとなしにこちらが『亡国機業』の一味から鞄を盗られた事を、彼ら自身は極めて不都合に感じているようだった。

 しばし言葉を交わしていたようだが、やがて3人揃ってこちらに向き合うと、謝罪の弁を述べた。

 

「……どうやら俺達とこの構成員がアンタに迷惑をかけてしまったみたいだ。 悪かった」

「だが我々とて元々は世界を跨ぐ組織だったが、今は散り散りになってしまってな。 済まないが君に手を出した手合いの事はよく分からない」

「とにかくこれから強盗やらかそうってなら、せめてもの罪滅ぼしって事でお手伝いさせてもらうな! ここの銀行の会長にはちょっと恨みあるからね!」

  

 彼ら3人の言葉から、どうやら少なくともここにいる手合いは敵意はないと言う事らしい。 自身を襲った女と同じ『亡国機業』とはいえ、組織が分かたれて互いに連携が取れていないとの事だ。

 

「……本当か? イマイチ信用できねぇな」

 

 言葉だけで信用しろと言うのも難しい話だが。 只の与太話ではないかとキンコーソーダーは疑惑の目線を向ける。

 すると歌舞伎女は口元に指をあてて目線を転がし、思考を巡らせるような仕草をした後に質問した。

 

「そもそもこの銀行狙った理由は?」

「ああ? さっきの鞄の件だよ! 俺から獲物横取りしたお前んとこの構成員が、ここの銀行で金借りてやがるらしいんだってな!」

 

 苛立ち紛れに返答するキンコーソーダー。 すると歌舞伎女は得意げに笑った。

 

「だったら猶更協力しなきゃね! ちょっとまってて、あのIS操ってくるから!

 

 歌舞伎女は踵を返し、カウンターになだれ込んで大暴れするISへと走っていった。 仲間が融資を受けていると知って嬉々として協力すると言ってのけた女に対し、内輪もめでも起こしているのかとキンコーソーダーは訝しんだ。

 

「その鞄取った奴、心当たりあるかもしれないしな」

「ああ。 俺たちにとっても厄介事を押し付けてくれた相手だ。 少し痛い目を見ればいいさ」

 

 そう言って腰に手を当てる青の歌舞伎役者と、おかめさながらに麿眉毛とに赤い口紅をつけた赤の男が腕を組んでいる。

 キンコーソーダーにとって2人の声は何だか聞き覚えがあるが、よく見れば彼らの頭部だが忌々しい記憶の中にあるヘルメットに、無理からちょんまげをあしらったかつらを被せているように見える。

 現にかつらの隙間から、それぞれ赤と青のクリスタルのようなものが垣間見える。

 

「(いや、まさかな)」

 

 キンコーソーダーは彼らの正体を勘繰るが、頭の中に浮かび上がったその人物を振り払う。

 ()()は犯人逮捕の為なら手段こそ問わないし、過去に変装して犯罪組織に接近した事はあったものの、流石に白昼堂々と銀行に乗り込んで強盗の手助けはしないだろうと、キンコーソーダーは思った。

 

 思考を巡らせている間に、歌舞伎女が壊れたカウンターから無事なラップトップとケーブルを回収し、暴れるISの背後に立ち人間で言う延髄の辺りにすかさず手を伸ばす。

 何かを掴んで引き抜くと離れた所の地面に捨てると、大暴れしていたISが一瞬痙攣し動きを止めた。 そして代わりにラップトップと繋がれたケーブルの反対側を突き刺すと、女はラップトップのキーボードを目にも留まらぬ速さでタイピングし、その度にISが火花を散らしながら身を震わせた。

 女が捨てた物にキンコーソーダーが駆け寄るが、ISの延髄に突き刺さっていたのは何の変哲もない木の枝だった。

 

「(こ、こんなもんでISを狂わせやがったのか!?)」

「暴れんなよ……暴れんなよ……」

 

 キンコーソーダーは戦慄する。 少々の事じゃ傷もつかないISに直接物理攻撃を加えて的確に機能障害を誘発させた。 それだけでも驚く事だが、女の方を見ると同じ個所に突き刺したケーブルを通し、ISに何かを入力している。

 

「これでよし!」

 

 最後にEnterキーを叩くと、ISが出現した時のように項垂れていたのが、息を吹き返したように姿勢を正し、なんと鎮圧用の武器を出現させそれを壁の隅に非難していた銀行員達に向けた。

 

「(まさかハッキングしやがったってか!?)」

「私にかかれば朝飯前だよ☆ ……さてそこのアンタ、私もう一人を金庫室に案内するんだよ!」

 

 いたずらを成功させた悪ガキのように口元を釣り上げ、恐れ慄く銀行員の中から適当に一人を指さし選ぶ女。

 指を差された銀行員の一人の若い男性は身を震わせて奥歯もかみ合わない。 足がすくんで身動きをとれないのだが、女はお構いなしにキーボードを叩く。

 

「そう言えばさあ、ゴム弾と言っても当たり所悪かったら、痛いじゃすまない事もあるんだってね☆」

「ヒィッ! わ、わかりましたぁ!!」

 

 銀行員は腰砕けながら、何とか女の仲間二人の元へ行き、彼らを引き連れて女の前へ引き返してきた。

 

「あまり、やり過ぎるなよ?」

 

 青の男が女に一言釘を刺す。 悪びれる様子の無い女にその言葉が届いたかどうかはわからないが、三人は銀行員と共にカウンター奥の廊下へと向かった。

 すると女だけは廊下の入り口に立ち止まり、振り返ってキンコーソーダーに告げる。

 

「後で迎えに来るからこのISはアンタに預けるよ! だから人質を殺傷したりするような真似はしないでね! 約束破ったら……けしかけるから」

「わ、わかった!」

 

 最後の方だけ声のトーンを下げる女に、ISの性能を身をもって知るキンコーソーダーは若干身震いするが、了承だけすると満足したように先に行った者達の後を追った。

 して、残ったのは女の命令に従うISと形勢を逆転したキンコーソーダー、そして彼らに武器を突き付けらて見張られる人質達。

 キンコーソーダーは先程まで自分の首を絞めていたISを流し見ながら思う。 最新の技術がこれでもかと詰められてるらしいISを、この土壇場であっさりとハッキングしてしまえるあの女の技術や才能は侮れない。

 何者かは知らないが、これほどの人材を抱えている『亡国機業』は中々に無視できない存在のようだ。

 

「(要注意だな)」 

 

 幸いやってきた三人は今の所味方ではあるが、ISで襲ってきたハイエナのように足並みが揃って無いのを見るに、組織として恐ろしいというよりはいつ爆発するかわからない不安材料と言う見方であるが。

 ほんのわずかな人質の身震いにも恫喝し、逆らえないように厳しく見張るキンコーソーダーだがそれとは別にもう一つ懸念があった。

 

 防犯機能としてISが出現したが、ひょっとしたら同時に警察への通報も行われているかもしれない。

 だとするとこうして待っている内に、銀行の周りをやってきた警察達がすぐ包囲するだろう。 それだけにふと外の様子が気になり、再び銀行の外の様子を窺おうと背後を振り返った時であった。

 

 

 突如玄関のガラス扉を黒塗りの高級車が、破片をぶちまけながら突き破ってきたのだ!

 

 

 キンコーソーダーが一息をつく間もなく、飛び込んできた車は彼のすぐ隣のISを轢きながら、カウンターの瓦礫をも巻き込みつつ壁に突き刺さった!

 壁際にいた人質は巻き添えを恐れ、横っ飛びからの側転で間一髪難を逃れた!

 

「こ、今度は誰だッ!!」

 

 身じろぎしながら飛び込んできた黒塗りの高級車に銃を向けるキンコーソーダー。

 車は恐ろしく頑丈らしく、ISごと壁に突き刺さったフロント周りは、バンパーやフェンダーこそは流石にひしゃげたがフレームはあまり歪んでおらず、フロントガラスにも軽いヒビが入っただけであった。

 轢かれた側のISは、胴体部分にダメージが通ったらしく火花を上げながらもがいているようであった。 記憶が正しければ、ISはシールドエナジーなる不可視のバリアで見た目以上の防御力を誇っていたはずだが。

 

「このポンコツ!! 万能兵器が聞いて呆れるわ!!」

 

 男の怒号と共に、車の後部座席の扉が内側から蹴り破られた。 中から出てきたのはタブレット片手に怒りに震える蟹を模ったレプリロイドの姿。

 

「あっさり故障しおって!! おもっくそうちの従業員攻撃しとるやんけ!! ボケッ!!」

 

 バブリー・クラブロスその人だった。

 

 




 3人の謎の歌舞伎役者が銀行強盗に便乗、濡れ手に粟となるか!(すっとぼけ)
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