ロックマンZAX3 亡国機業より愛をこめて   作:Easatoshi

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 天 災 こ わ れ る 。



 記念すべき30話……投稿です!(白目)


第30話

「吸い込まれて、行ったね……」

「鼻血どころじゃ済まなくなっちまったな……」

 

 成すがままに吸い込まれてエンジンをぶっ壊した一夏に、放心するエックスとゼロのやり取りは脱力感漂うものであった。

 機体は大きく揺れ、操縦室に警告音を鳴り響かせながら、既に辛うじて保っていた高度を下げ始めており、機内全体に火葬場を思わせるような焦げ臭い死臭が漂う。

 極めつけには扉の向こうの更に向こう側……客室の方では両側のエンジンが燃え盛る様子を見せつけられ、これには流石にCAの指示をしても冷静さを保つのは無理だったようで、悲鳴と怒号が飛び交う大惨事となっている事が音だけでも伝わってきた。

 

 そして、胸を丸出しにしたまま固まる束は、心中において自問自答を繰り返していた。

 

「(何で……何でこうなるの?)」

 

 ほんのちょっと、この2人をダシにして安全に東京まで送ってもらおうと思った。 そんな少し狡賢い事を考えただけだったのに、予想以上に酷い結果を招いた銀行強盗に始まり、セクハラの数々。

 無理から鞄に詰め込まれ、口から出まかせを言っただけの存在である『亡国機業』が、本当にハイジャックを仕掛けて拉致されかけた事、そして今……友人の弟を死に追いやった。

 これまでそんな理不尽に怒りをぶつけて気丈に耐えてきた束だったが、最後のソレを目の当たりにした事で一線を越えてしまった。

 

「(こんなバカ2人を利用しようとしたから? 束さんが嘘つきだったからいけないの?)」

 

 巻き込まれた悲惨なシチュエーションは、大半が2人のイレギュラーハンターが引き起こした珍騒動だったが、そんな彼らと関わってしまったのも、自分が彼らに尤もらしい嘘をついたから。

 嘘つきの悪い子だから、それ以上に嘘ついたり無茶苦茶する()()()()を引き当てたのではないか。

 

 ……思えば、自分の人生は嘘に塗れていた。 自分にとって始まりだった『白騎士事件』にしかり、あれだって意固地にならずうっかりミスを認めていれば、笑い話にはなったろうがお尋ね者として追われる人生にもならなかった。

 日の当たる所を歩けたのならば、わざわざ日陰者の連中に追い回されて、エックスやゼロみたいな破天荒な連中と関わらずに済んだのではないか?

 今まで必死に言い聞かせて嘘をついても守り通してきた事が、あっさりと崩れていく……いや、その考え方こそが、他ならぬ尤も嘘をついてはいけない自分自身を欺いていたのではないか。

 そしてそれこそが、とうとうこうして自分を致命的なトラブルに巻き込まれる事態を招いてしまった。 遂にその事実に気づいた束は、これから起こりうる死の恐怖に身を震わせるしかなかった。

 

「(いや……いや……死にたくない……死にたくないッ!!)」

 

 束は切に願った。 もう人を見下して嘘ついたり利用したりなんかしない。 だから助けて欲しいと。 しかし聡明な彼女の頭は最早打つ手が無いと言う事にも気づいており、願うだけで状況が好転する事などありえないという事実を否応無しに認識させられ、現実逃避を決して許さない。

 

「くそったれ!! 何でパイオツ程度で鼻血噴いてやがるんだ!!」

「ゼロがあんな乱暴な手つきで束の胸元破るからだろ!! ――――まずい!! 機首が下を向き過ぎてる!! このままじゃ海面に突っ込んでしまう!!」

「ああクソ! とにかく今は喧嘩してる暇はねぇ!! せめて海の上に不時着するぞ!!」

 

 絶望感を漂わせる束をよそに、エックスは操縦席に、ゼロは隣の副操縦席に座って機体をコントロールする。

 操縦桿を操り、何とか徐々に下を向きつつあった機体の向きを上に向けようとする――――が!! 機首を水平に近い位置に向けると、目前には既に海上のIS学園と陸地の東京湾をつなぐモノレールが見えていた!

 

「!! 何てこった!! もうIS学園が見えている!!」

「おいやべぇぞ!! このままじゃ学園の敷地に突っ込むぞ!!」

「だめだ!! 敷地への突入は避けられない!! 仕方がない!! 使える分だけブレーキかけながら海面を擦って減速だ!! ゼロ!! 乗客にアナウンスを頼む!!」

「任せろ!! ――――乗客に告ぐ!! 俺達はイレギュラーハンターだ!! 今から当機を海面に擦って減速しながら胴体着陸する!! 全員衝撃に備えろッ!!

 

 ゼロの機内への警告から僅かな間をおいて、エックスはわざと海面に機体の底を突っ込ませる! 機体は海面の反発力で大きく揺れるが、吹っ飛んで機体が横転しないように操縦桿を支える。

 

「(死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬッ!!)」

 

 その一歩間違えたら機体そのものが崩壊しかねない紙一重の緊張感に、既に限界に近づいていた束の心が遂にへし折れた。

 

「よし!! これなら建物への突入は避けられる――――」

「いっぎゃあああああああああああああッ!!!! 死にたくないいいいいいいいいいいいいいッ!!!!」

 

 ――――篠ノ之束は発狂した。 頭を抱え、涙目で金切り声を上げて錯乱する彼女は、揺れ動く操縦桿を必死で押さえ込むエックスの両肩を掴み、座席ごと彼の体を大きく揺さぶった。

 

「何するんだ束!! 今操作を誤ったら――――」 

「死ぬのは嫌ああああああああああああッ!!!!」

「なんてこった!! 束が狂っちまったぞ!! おいやめろ!!」

 

 ゼロが副操縦席から飛び上がり、暴れる束を押さえつけようとするが、発狂から脳のリミッターが外れたからか、エックスを揺する束の動きを止めることはできない!

 真っ直ぐに動きを保たなくてはならない状況で、上下に機体を動かしてしまうエックス。 エンジンが破損している為、改めて空を舞うことはないものの、海面に押さえつけて減速しようとした機体が、水切りをする石のごとく海上を跳ねてしまう。 何度も水面をバウンドし、エックス達一同は首を上下に激しく振られ、視線を保つことさえままならない。

 減速もできず機体が浮かんだ状態のまま、コンクリートの岸壁を抉り、猛烈な速度で地面を引きずりながら、IS学園の敷地に突入してしまうのは必然であった。

 

 目前に迫るはIS学園が正門。 閉じられた柵状の門の向こう側には、サミットの取材のため早目に現地に待機していたマスコミ達が、突っ込んで来る飛行機に逃げ惑う姿が目に入る。

 

「だ、だめだ!! 減速が間に合わない!! 校舎に突入するッ!!

「畜生!! ここまで来てこれかよ!!」

「もう悪い事しないから許してええええええええええッ!!!! 飛行機こわれちゃあああああうッ!!!!」

 

 避けようのない大惨事の瞬間に、恐れおののく3人。 その時であった! 何者かが閉じられた正門を開け、こちらにめがけて一直線に走ってくるのが見えた!

 黒いアーマーに尖ったオレンジの後ろ髪、そして眉間に×の字に傷跡が残る少年型レプリロイドの姿――――刹那の瞬間で、記憶の中にもあるその姿を見たエックスとゼロは、異口同音に彼の名を叫んだ!

 

 

「「アクセルッ!?」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 話は数分前に巻き戻る……IS学園がサミット会場近くの控え室。 開催1時間前のこの部屋は、絨毯引きでそこそこに広く壁際に革張りの椅子が並ぶ、迎賓館を思わせるような豪華な作り。 部屋の奥には大きな窓が設置され、サミットの開催を待ちわびている報道陣で賑わう校庭が、その更に奥には閉じられた正門が見えた。

  そんな室内にいるのはアクセルと、携帯電話を片手に話し合うケイン博士の2人。 他にサミットに参加する人達はまだこの部屋に見えていないようだった。

 

「ふむ……そうか。 クラブロスの奴が『亡国機業』の手合いをな? ……そうか分かった。 では引き続き調査を頼むぞ?」

 

 ケイン博士は通話を打ち切った。 エックス達の今回の件について調査をさせていた部下を相手に、進捗状況を確認していたようだ。

 

「やはりあの強盗事件が尾を引いとったようじゃな。 クラブロスが仕返しに雇った『亡国機業』とかいう連中が、ハイジャック事件を引き起こしたと見て間違いないじゃろう」

「うげぇ……やっぱり余計な事して騒ぎを大きくしちゃったんじゃない……」

 

 一夏が飛び立って以降、随時ケイン博士を通して入ってくる情報から、アクセルも薄々は気づいてはいた。 強盗事件とハイジャック、2つの事件は背後でつながっている事が確定し、出来れば外れていて欲しかった嫌な予感が当たってしまい、アクセルはただ額を押さえるしかなかった。

 

「全くバカタレめが……しかしクラブロスめ、躾のなっとらん奴を雇ってくれたものじゃな。 捕まえるどころか、その為にハイジャックまで引き起こすとはのう」

「僕達も人の事は言えない気もするけどね……」

 

 一緒にいたアクセルも、重くため息をつきながら投げやり気味に言った。 もしエックスが仮に、無事にこのIS学園まで篠ノ之博士を連れてきたところで、今回の起こした騒動の不始末をどう処理するつもりなのか。

 きっと又碌な事にならないのだろうと言う事は、これまでの経験から容易に想像ができてしまうアクセルは、早くも頭痛と目眩を覚えていた。

 

「話はお済みですかなケイン博士」

 

 両開きの扉の片側が開き、向こう側から髪の白い初老の男性が、温和な笑みを浮かべながら軽く会釈をして、こちらに歩み寄ってきた。 

 

「おや、貴方でしたか学園長殿」 

 

 表情を柔らかに崩し、アクセル共々やってきた彼に倣って会釈するケイン博士。 彼らの目の前に現れたこの男性は『轡木 十蔵(くつわぎ じゅうぞう)』。 このIS学園の学園長を務め、温厚で物腰丁寧な人柄から『学園の良心』と言われている。

 

「聞き耳を立てるつもりではなかったんですが、外から話し声が聞こえましてな……何かトラブルに巻き込まれましたかな?」

 

 質問に、ケイン博士は気恥ずかしそうに答えた。

 

「いやはやお恥ずかしい話ですがね。 うちのイレギュラーハンター2人が、よかれと思ってやったことで粗相をしましてな」

「ほう、ハンター2人と言いますと、ひょっとしてあの『ロックマン』ですかな?」

「ええそうです。 全くあの2人は……肝心な所が抜けていると言わざるを得ないというか――――」

 

 何食わぬ顔でやってきた学園長と会話を始めるケイン博士。 不穏な話を聞かれかけたにも関わらず、さりげなく世間話を装って見せる姿に、アクセルはケイン博士の強かさを垣間見た。

 

「(あんな話聞かれたりしたらまずいのに、よく平然を装えるよね……あのエックスの育ての親にしてなんとやらって――――うん?)」

 

 ふと窓から空を眺めていたアクセル。 海の上に作られたこの学園は、南に向けば大海原の広がる見晴らしの良い学園だ。 そんなくもの広がる晴れやかな青い空と海の境目のあたり、何やら見慣れぬ物体がこちらに近づいてきているのが見えた。

 あれは何だろうか? アクセルは窓を開けて枠に手をかけ、身を乗り出し()()に目を凝らしてみた。 じっくりと眺めてみたそれは羽を開いて滑空する鳥のようにも見える。 しかし羽の下に火の玉をぶら下げ、海面を擦りながらこちらに向かっているような――――

 

 否、それは鳥などではなかった! レプリロイドの優れた視力は、早くもはっきりとその実像を捉えていた!

 

「あ、あれは!?」

 

 アクセルが大声で飛来してくる何かを指さす。 世間話をしていたケイン博士と学園長も、声を上げるアクセルの異変に気づいてこちらにやってくる。

 揃って窓からアクセルの指さす方向を見る頃には、相当な速度が出ているのか、飛来する『それ』の形がはっきりと判別できるようになっていた。

 

「「「飛行機!?」」」

 

 何と『それ』は旅客機だった。 それも国内線として使われているような中型程度の物である。 主翼両側にぶら下がるエンジンが壊れ、減速もままならずに海面を擦りながら、水平にこちらにめがけて飛んで来るではないか!

 しかも今現在、エンジンが破損して墜落の危機にある旅客機と言えば、アクセルの記憶には『DB893便』の存在があった。 まさか、あれは……。

 

 正体に気づいた時、アクセルは一目散に部屋の外に駆け出した!

 

「どこへ行くアクセル!!」

「2人は避難して!! あの飛行機突っ込んでくるよ!!

 

 問いかけには答えず、とにかく逃げるようにだけ言い残して部屋を飛び出すアクセル。 廊下を駆け、階段を降り、目指す場所は正門だ!

 

「あら、アクセル? 貴方仕事はどうしたのかしら?」

 

 道中、生徒会長の楯無と鉢合わせになった。 いつもの広げた扇子には『何事?』と書かれていたが、しかしアクセルは構わずに彼女の横を通り過ぎた。

 

「ちょ、ちょっとどこ行くの――――」

「全生徒に連絡して!! 飛行機が校舎に突っ込んでくるッ!!」

「えっ!?」

 

 アクセルの言葉に楯無は面食らったような声を上げていたが、どんな顔でリアクションをしたかまでは、いちいち振り返って確認する時間もない。 文字通り今は一刻を争うのだ! 玄関口に駆け下りるまでに顔見知りの女生徒、セシリアやシャルと鈴にラウラ、簪にアイリスと謹慎を解かれた箒にマドカ。 ほぼ全ての面々とすれ違うもスルーし、ただならぬ様子のアクセルが気になって、一部はアクセルへの声かけに返事をしなかったことを抗議して追いかけてくるが、構わずにアクセルは彼女達を引き連れながら校庭へと飛び出した。

 既に外では、正門の向こうからやってくる旅客機に気づいたマスコミ達が、慌てふためいて逃げ惑う状態であった。

 

「な、なんなのじゃこれは!? 校庭がパニックになっておるでないか!?」

「!! 皆!! あれを見ろッ!!」

 

 アクセルを追って後からついてきた少女達も異変に気がついた。 混乱する校庭にアイリスが驚きを隠せない中、箒が正門の向こうを指さした!

 

「航空機が突っ込んでくるぞッ!?」

「「「「「「「はあああああああああああああ!?」」」」」」」

 

 予想だにしない事態に少女達は一斉に絶叫した! そしてアクセルは迫り来る航空機に対し……逃げ惑う報道陣の間を突き抜けるように、一直線に正面切って駆け寄った!

 

「おい!! 一体何をしているんだアクセル!! 轢かれるぞ!?」

 

 箒がアクセルを制止しようとするが、猛然とダッシュ能力を使って迫り来る旅客機に、真っ向から飛び込むアクセルを呼び止めることはできない!

 アクセルは閉じられた正門を力任せに開け、地面を引きずって突っ込んでくる旅客機の機首に対し、両の腕を大きく開いて対抗する!

 

そして激突!!

 

「やめろぉ!! アクセルゥゥゥゥゥゥゥッ!!!!」

 

 

 箒達が悲鳴交じりにアクセルの名を叫ぶ――――しかし!

 

 

「ぬぅおおおおおおおおおおおおおおおッ!!!!」

 

 

 アクセルは潰されず、衝突した旅客機に両足を開き力強く踏ん張った! その様子を見て、シャルとラウラ、鈴がアクセルの意図を察する。

 

「ま、まさか力尽くで止めようっていうの!?」

「無茶だ!! そんな事をしてみろ!!」

「力負けして押しつぶされちゃうわよ!?」

 

 止まる訳がない!! 駆け抜けていった開けっぱなしの正門に、迫り来る旅客機もろとも体を押し戻されるアクセル!!

 

「おっりゃああああああああああああああああッ!!!!」

 

 しかし腹の底からの雄叫びを上げ、迫り来る旅客機に対抗する! 正門を通り抜け、飛行機の通過など当然想定もしていない門は、大柄な機首に対する幅など当然足りず無残にも破壊される!

 

「た、助けて――――ぎゃあああああああああああああッ!!

「グワーーーーーーッ!!」

「あばばばばばばばばばばばばばばばばッ!!!!」

 

 逃げ遅れ、飛行機に薙ぎ倒されたり跳ね飛ばされる数多の報道陣。 文字通り蜘蛛の子を散らす勢いで吹っ飛ばしながらも、それでも機体は減速しない!

 目の前の光景に圧倒されて動けなかった箒達だが、人の山をかき分けて突入する飛行機を見て、固まる体を奮い立たせて自身もISを展開した!

 

「形振り構っていられない!! アクセルに協力して機体を止めるぞ!!」

「勿論ですわッ!!」

 

未だ勢いを緩めぬ飛行機めがけて飛んでいき、本体や主翼に分散してアクセルに倣い機体を押し返す箒達。

 

おおおおおおおおおおおおおおッ!!!! こ、これを一人で押し返すつもりだったのか!?」

 

 重たい旅客機など簡単に押し返せないとは分かっていたが、想像以上の勢いに圧倒される箒。 歯を食いしばり出力を全開にして機体の減速を試みるも、逆に自分達が明後日の方向へ弾き飛ばされそうな勢いであった。

 グラウンドを抉り、土埃を上げて校舎に接近する飛行機。 レプリロイド1人に複数のISの全力の抵抗によって、わずかだが速度が落ち始めている。 しかし猛烈な勢いのままなのは依然として、このまま校舎に衝突すれば大部分が崩壊するのは必然だった。

皆が母校の破壊を食い止めようと、ISの腕を軋ませながら必死に抵抗する。 それは絶望の中での悪あがきにも等しい行為であった。

 

「ダメ……!! これは……止め切れない!!」

「しっかりして簪!! 私達が防がなきゃ、校舎が――――ああああああああああああああッ!!

「り、鈴!!」

  

 勢いを殺しきれぬまま、ついに最初の脱落者として、力負けした鈴のISが弾き飛ばされた!

 

「だめですわ!! わたくしも――――きゃあああああッ!!!!

「ぼ、僕の機体ももたなっうわああああああああああ!!!!

 

 鈴に続き、セシリアやシャルロットも弾かれる! アクセルの援護に止めに入ったISパイロット達が、次々と旅客機に押し返されて宙を舞ったり、或いは地面に転ばされたりする。

 

「す、すまないアクセル!! あああああああッ!!

 

 そして、最初に援護を呼びかけた箒までもがとうとう脱落する! 皮肉にも最後まで残ったのは、最初に飛行機に挑んでいったアクセル一人だけとなった。

 

「止まれって言ってるんだよチクショオオオオオオオッ!!!!」

 

 敗者が如く地を這いつくばる箒達は、勢いを殺せぬ憤りに叫ぶアクセルを、校舎目掛けて無慈悲に押し込んでいく航空機の胴体を、死屍累々とした校庭で満身創痍の中、身を起こしながらただ見送るしかなかった。 校舎に迫る航空機。 建物の中では、窓越しに逃げ惑う生徒や避難誘導する教職員、サミット関係者らの慌てふためく姿が見えた。

 そして遂に、アクセルの体を巻き込みながら、飛行機の機首が校舎の中に突入した!

 爆音と共にコンクリート片とガラスをぶちまけながら、巻き上がる土煙の中へ潜り込む飛行機に、箒は腹の底から絶叫した。

 

「アクセルウウウウウウウウウウウウウウッ!!!!」

  

 




学園の敷地の広さは考えてはいけない(戒め)


 なお、来週もまた2本立てとしますので、土曜日と日曜日の12:17同時刻に投稿します!
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