大和撫子と復讐の徒   作:蛙先輩

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海未ちゃんvs悠人のパート2です。 前半は穂乃果ちゃんの目線で
後半は海未ちゃん目線となります。
それでは!


18話

「海未ちゃん〜!」

海未ちゃんがいきなり、準備室を飛び出して私達の呼ぶ声を置いていくように走っていた。

 

「海未ちゃんどうしちゃったのかな? あんなに慌てて」

 

「何か急用・・・ってわけでもなさそうね」

 

ことりちゃんと真姫ちゃんが少し不安そうな表情を浮かべながら言う。

 

他のみんなの顔を見ると同じ表情をしていた。

 

「行ってみよう! 海未ちゃんに何かあったかもしれない!」

私がそう言うとみんなも強い決心を含んだ目で頷いた。

 

建物の出入り口のドアを開けて、外に出ると雪が足元まで積もっていた。そこから真っ直ぐにローファーの足跡があったので、海未ちゃんの足跡だと分かった。

 

 

私達は雪で歩きにくい足をなんとか動かして 、寒空の下で海未ちゃんの足跡を辿る。

 

進んでいくとその足跡は海未ちゃんの家の方に向かっている事に気が付いて、そのまま走っていく。

 

海未ちゃんのお家が見えて来たときに再び胸騒ぎがして来たが、足を止めず家の門まで走る。

 

私達はようやく門の前に着いた時、言葉が出なかった。

 

いつもは綺麗な門が見るも無惨に破壊されて、敷地内も所々破壊されていたからである。

 

「酷い・・・」

 

「誰がこんな事を・・・」

 

 

「穂乃果ちゃん・・・」

今にも消えそうなか細い声で私を呼ぶ声が聞こえるとそこには海未ちゃんのお母さんが息を切らしながら横たわっていた。

 

私は海未ちゃんのお母さんを見つけた時にみんなとすぐに駆け寄った。

 

 

「海未ちゃんのお母さん! どうしたの! 何があったの!」

 

私はここで何があったか聞き出そうとする。

 

「酷い、救急車を呼ぶわ!」

海未ちゃんのお母さんの姿を見た真姫ちゃんが携帯を取り出し、救急車を呼ぶ。

 

 

「私よりあそこに主人が・・・」

海未ちゃんのお母さんが指差すを方を見ると

海未ちゃんのお父さんが地面に横たわっていた。遠くから見ても海未ちゃんのお母さんより酷い怪我だと分かった。

 

駆け寄ろうとした時に、物凄い衝撃音と共に海未ちゃんの叫び声が聞こえた。

 

声の方向を見ると、ボロボロの姿の海未ちゃんが地面に倒れていた。

 

みんなは名前を呼ぼうとした時に、次の出来事で言葉は喉につっかえた。

 

そこには数ヶ月前まで私達と一緒にいた青年が立っていたからだ。

 

「悠人君・・・」

私は思わず呟く。

 

他のみんなも思わず、彼の出現に驚いていた。

 

何でこんな事を・・・こんな酷い事を!

 

私は悠人君に対する怒りが湧き上がってくると海未ちゃんが口を開く。

 

「一つ聞いてもいいですか? 貴方がμ'sに・・・協力した・・・理由はなんですか?」

 

 

「それは貴女の情報を知るためでですよ。

合宿、ラブライブ 1次予選、貴女の家に行った時、それらで貴方に関する情報を得ることが出来た。あとはタイミングでした、そして

ラブライブ 最終予選でそっちに周囲が目を向けている隙に奇襲しました」

 

「では・・・初めから私達を・・・」

 

「そうです。貴女達を仲間だなんて思った事は一度もないですよ」

 

それじゃあ、今まで協力してくれていた理由の海未ちゃんに関する情報を得るためで、私達は彼に利用されていただけ・・・

私達は少しショックを受け、俯いていると

 

「・・・そうですか・・・嘘ですね」

 

「はっ?」

彼が驚いた事でそう言うと共に私達も顔を上げて、海未ちゃんの言葉に驚く。

 

「私を手にかけるタイミングなど作れたし、あったはず・・・そうしなかったのは私の事をー」

「黙れ!機会を狙っていただけだ」

 

「貴方は裏で私達の事をしっかり支えて見てくれていた・・・A-RISEとの合同ライブだって貴方の声と穂乃果の声があったから・・・

元気が出た・・・」

そうかこんな事をするのはいつだって、出来たはずそれでもしなかったのはきっと・・・

 

海未ちゃんは刀を使ってボロボロの体を起こした。

 

「まだ立つんですか? 大人しく寝ていれば苦しまずに死ねたものを・・・」

 

「・・・まだ死ぬわけにはいきません・・・

μ'sのみんなとラブライブ に・・・みんなとステージに立ちたいから・・・ここで倒れるわけにはいきません!」

 

「想いの力とかそういう類ですか? 冗談ですよね? そんなものがなんの役に立つっていうんですか! 大切にしているものなんていつかはー」

 

なくならない!!!!

 

私は咄嗟に彼の言おうとしてたであろうと言葉を否定する。

 

私の声に反応して、2人はこっちを向いて驚いた表情をして、続けて二言目を口にした。

「海未ちゃんとμ'sの絆はなくならないよ!」

 

頑張って海未ちゃん!!!!

海未ちゃん!!

 

海未ちゃん!!

海未ちゃん! 頑張るにゃー!

海未!!

 

海未!!

頑張れ! 海未ちゃん!!!

海未〜!!

 

私が激励を送った後にμ'sのみんなが続けて海未の名前を叫ぶ。

 

 

遠くの方で何と無くしか確認できなかったけど確かにμ'sの声援を聞いた海未の顔に先程とは違った心に余裕の笑みが浮かべた。

 

「悠人さん・・・私は負けません。みんなの声がある限り!」

 

海未ちゃんは刀を構えて、悠人君の元に走っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私はμ'sのみんなの声援で不思議と体が気力を取り戻した。

 

声が聞こえた時は驚きました。 いるはずのないか穂乃果達がいて、そしてこの惨状を見ても強い目をしていたからです。

 

 

「はぁ!」

悠人と私の刀が勢いよくぶつかり、火花を散らした。

 

私達は刀をぶつけ合い、先ほどより激しいしい攻防戦を繰り広げる。

「こんなものですか? まだまだ脆弱ですね!!」

「ぐっ!」

 

海未ちゃん!!!!

 

海未!!!!

 

 

悠人の猛攻に押されそうになった時にμ'sのみんなの声が耳に入ると再び、力を取り戻す。

 

「はぁぁぁぁ!!」

 

私は渾身の力を振り絞り、彼の刀を跳ね除けて、反動でよろめいた彼の懐に空かさず狙いを定めて持ち手を変えて、刃と峰の向きを逆した状態で刀を横に振った。

 

 

彼の肋部分に綺麗に峰打ちが入り、痛みのせいか歯を食いしばっていた。後ろに刀の当たった箇所を抑えながら、後ずさりする。

 

「何故ですか・・・何故、斬らない?」

 

「私は貴方を斬りたくありません・・・貴方はやはり私の大切な仲間ー」

 

「哀れみのつもりですか!?」

 

私の言葉を彼は遮り、怒気を含んだ声で反論した。

 

「ふざけるな・・・僕があんな思いをしたのにも関わらず、何故貴女だけ・・・お前だけ仲間や家族に囲まれのうのうと生きているんだ! 」

 

彼の心の叫びが屋敷全体に木霊するように響いた後、彼は私の元に全速力で走ってきた。

 

私も持ち手を変えて、刃同士が火花を散らして重なり合う。

 

「お前の持っているもの全部壊してやる! 僕が味わった同じ苦しみをお前にも与えてやる! 園田家も! μ'sも! お前の大切なものを全部壊してやる!」

刃先から怒り、悲しみ、憎悪が伝わってくる。刀を重ねた時に彼の顔をよく目を凝らして見ると片方の目から雫が頬を伝っていた。

 

私はその時、彼の心情が分かったような気がした。

きっと彼はご両親を失ってから時が止まっていて虚無感、悲壮感、私に対する復讐心が雲のように彼を覆っている。

 

最初は私達を利用するつもりでいたのが、関わっていくごとに雲に日が差して行き、それに動揺してしまった。

 

長年募らせた復讐心と負の感情がたった数ヶ月で無くなるのが恐ろしくたまらない。

 

ですが、私は彼の優しさを知っている。

例え,利用されたとしてもそれでも私は彼を助けます! 彼の心の雲を晴らしてみせる!

 

「 僕の前から消えろ! 園田海未!!!」

 

彼は電光石火の速さで刀を振り続けて先ほどよりも力も更に増していて、ひとつひとつ耐えるのにも注意しなければいけない。

 

だが今の彼には大きな弱点があった彼は感情的になり過ぎていて、刀の扱いも乱雑になって隙が先ほどより多くなった。

 

彼が疲弊して再度、刀を振るいあげる前を狙って、正拳突きを溝に撃ち込む。

 

「ゔっ!」

彼は腹部を抑えて後ずさりするも、すぐに手を離した。

 

私も再び、刀を構える。

 

「ふひひひひひひ」

彼は奇妙な笑い声を上げながら、体を揺ら揺らと横に小さく揺らしていた。

彼の様子は明らかにおかしくなっていた。

 

μ'sのみんなの方も見ると、いつもと違う彼の様子の変化に動揺していた。

 

「貴方を・・・助けます。貴方を一人にしません。もう一人は終わりです」

 

私は目に涙を浮かべて彼に言うと、揺ら揺らと揺れていた彼がピタリと止まり私を見る。

 

「なんですか・・・その目は・・・イミワカンナイ・・・そうか僕を劣等だと思っているんですね? 宗家が分家を見下すのは当然ですもんね? 」

彼は片目を大きく見開いて下卑た笑い声を上げた後、刀を構える。

 

私も彼から殺気を感じて再び構えを取り、同時に一歩を踏み出して刀を重ね合う。

 

火花が散るとともに何度も何度も重ねては離れる刃と想い、刃先から伝わる彼の絶望感、

断ち切れ!!

 

私は彼を跳ね除けて、刃先を後ろにして腰を低くして構える。

 

悠人も体勢を立て直して私を見た後、同じく腰を低くして刃先を後ろに構える。

 

 

 

私達、いやこの屋敷内が静寂に包まれる。

屋根に積もっていた雪の塊が地面に落ちた瞬間、私達はその音と共に走り出した。

 

 

「園田海未ぃぃぃぃぃぃ!!!」

 

「悠人!!!!」

 

二人の叫び声が冬空の下に響き渡った。

 




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