かなり思い入れのある作品だったので、買った最新巻を度々読み返したりしております。はい
前置きはこのくらいして本編をどうぞ!
19話
気がつけば私は辺り一面静寂の闇に包まれた空間に立っていた。
私以外のものは何一つ存在していなくて、暑くも寒くもなく物音一つない。
一歩足を踏み出すと、足音が反響して辺りに響いてどこまでも遠のいていった。
そのまま無限の闇を何かに手繰り寄せられるかのように真っ直ぐに歩いていく。
するとどこからか人の声が聞こえた。後ろを振り向くと、そこには誰もいなかった。
気のせいかと思い、前を向いて再び歩き出すとまた声が聞こえる。
今度は形があるようにはっきりと私の名前を呼ぶ声が聞こえた。
それから何度も何度も木霊するように・・・
呼ぶ声が回数を重ねる事に光が強くなっていく。
私の背後から光が差し込んできて、振り返って額に手をかざしながら目を細めて光を見る。
すると突然光は輝きを増して私を包み込んでいった。
気づけば私は別の場所に仰向けに寝ていて、
上には白い天井が見えた。
「海未ちゃん!!!!」
暗闇の中で聞こえた声が私を呼び、横を見ると椅子に座り、私の左手を握りながら目に涙を溜めていた穂乃果がいました。
「ほ、、のか」
周りを見るとμ'sのみんながいました。
海未ちゃん!!!!
海未!
私の顔を見た時、みんなが安心したような顔をして涙を流し始めました。
「パパに連絡してくるわ」
目元を微かに赤らめた真姫が足早にその場を立ち去った。
「何かあったんですか?」
未だに自分の状況を理解できてない私にことりが私のそばに来て話してくれました。
「海未ちゃんと悠人くんが戦って二人とも倒れたんだよ。そのあと真姫ちゃんが呼んでいた救急車が来て、海未ちゃんと海未ちゃんのお父さんとお母さん、そして悠人君が運ばれていったんだ。そして海未ちゃんは3日間寝たきりだったんだ」
「3日間も・・・そうだ!お父様とお母様は!」
私はことりに食い気味に問いかけた。
「海未ちゃん、落ち着いて二人とも無事だよ。多分もうすぐー」
ことりが最後まで言いかけた時、病室の扉が開いた。
そこを見るとお父様とお母様が立っていて、お母様は私の姿を見ると手に持っていた差し入れを床に落として片方の掌で口元を押さえて目に涙を浮かべる。
お父様も目に涙を浮かべて、私の方をじっと見ていた。
二人はゆっくりと駆け寄り、私を優しく抱きしめた。
「よく戻ってきました」
「よく帰ってきた。海未」
私は涙を流しながら抱きしめる二人の温もりを心の底から感じていた。
μ'sのみんなと両親が病院を出た後、私は診察室でこの病院の院長である真姫のお父様に診察を受けていた。
「この様子ならあと少しで退院できそうだね」
「そうですか、良かったです。 ところで院長」
「どうしたんだい?」
「あの・・・彼は・・・」
私が悠人の事について聞くと、院長は一度視線を下に逸らして、再び私の目を見て口を開く。
「彼はまだ眠っているよ。 君同様に腹部に傷を負っていたからね。ちょうどこの後彼の病室に行こうと思っていたんだ。良かったら君もどうだい?」
「・・・はい」
私は少し間を空けて答えると、院長は静かにうなづいた。
院長と共に彼の病室に向かっていると、廊下の奥の方で看護婦達が騒いでいました。
「院長!来てください!」
看護婦の一人が私たちの方に気づくと慌ただしく院長を呼ぶ。
「どうしたんだ?」
院長と私は足早に看護婦のところに向かう。
病室に前について、看板を見るとそこには村雨悠人の名前が書いてありました。
「村雨悠人さんの姿がどこにも見当たりません」
「何!」
院長は驚いて経緯を看護婦達に聞く。
「私達は交代で患者さんを見ていたのですが交代の途中でトイレに行きたくなり、戻った時には既に姿がありませんでした」
「という事はもう事前に起きていたという事ですか?」
「恐らくそうだな」
彼の寝ていたベットには彼の腕に打たれていたであろう注射針が乱雑に抜き取られた形で捨てられ、彼の血液らしきものがベットに少し染み付いていた。
そして、看護婦の一人が病室の窓を指すと院長が窓を開けて、外を確認する。
「まさかこの窓から・・・」
院長が驚嘆を含んだ声でそう呟くと私は居ても立っても居られなくなり、勢いよく病室を飛び出した。
後ろから私を呼ぶ声が聞こえたがその声を振り切って廊下に出て、階段を降りた。
そのまま、病院を飛び出して私は悠人を探し始めた。
走りながら私は彼が病院を抜けた理由を考えていた。
一つはμ'sへの復讐でしたが、今の彼の容体では恐らくそれを実行するのは不可能な状態のはず。
そしてもう一つは・・・出来れば考えたくありませんが,もしかしたら彼は・・・
起こりうる最悪の事を脳裏に浮かべて街中を走っていると背後から名前を呼ばれ、立ち止まって振り返る。
そこには絵里と希が驚いた表情で立っていました。
「絵里、希」
「海未ちゃんどうしたん?」
「海未!なんでここに! ダメでしょ寝てないと」
「絵里、希、悠人が病院を抜けました。」
「えっ!」
「すみません、急いでいるので失礼します!」
そう告げて、二人から立ち去ろうとした時に、絵里に手を掴まれる。
「待ちなさい。一人で探すよりみんなで探した方が効率いいでしょ?」
そう言い、ウィンクして絵里は携帯を取り出す。
「そうやで海未ちゃん。一人で抱えたってしょうがない。一人が困ったらみんなで助け合うのがμ'sやで」
「絵里、希・・・ありがとうございます!」
私は目に涙を浮かべて、二人に頭を下げる。
いつもそばにいる大切な仲間達、こういう時により彼女達の優しさ、ありがたみを感じる。そして一人じゃない事を気づかせてくれる。
彼にもそれを分かってほしい、もう一人じゃないと・・・
読んでいただきありがとうございます!!!!
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