大和撫子と復讐の徒   作:蛙先輩

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すっかり12月‥‥‥そういえばこの作品を書き始めて5ヶ月ちょっと経ったんですね。読んで下さってる方々のためにも完結まで突っ走っていくつもりです!!
それではどうぞ!!


33話

 トラックが緩やかな地面を踏んで、前進していく。荷台に覆いかぶさっている布の隙間から、目を覗かせると辺りは夕日は沈んであたりはすっかり暗黒が支配していた。

 すると突然、トラックが徐々に速度を落としてやがて徐行になる。運転手席側に耳を傾けると運転席と助手席にいる真鍋さんと海未以外に誰かの話し声のようなものがぼそぼそと聞こえる。どうやら門に近づいているようだ。

 トラックが止まり、先ほどの話し声が明確に聞こえるようになった。どうやらICカードを見せるように言っているようだ。

 数秒後、重い扉をこじ開けるような鈍い金属音が聞こえて、トラックが乾いたエンジン音を吹鳴して、前進する。

 荷台から後ろ側に目を外に向けると、フェンスがゆっくり閉じていき、その向こう側に先ほどまでいた森が見えた。森は既に暗闇に包まれて降り、上に伸びた木々が月の光に照らされて、森と認識できる程度であった。

 

 運転手席側に膝で向き直り、座席の方まで移動して布の隙間から目を向けると、視界に白いドーム状の建造物が目に入る。周囲は夜の闇に包まれているということもあり、その姿は異様な程、目立っていた。ドームの上部分に視線を向けると建物の外側に柵で囲まれた廊下があり、一人の黒い覆面の人物が廊下の柵に両腕を預けて左手で首にぶら下がっている双眼鏡を持ち、遠くの方を見ていた。

 

「悠人、見えますか」

 黒い覆面を被った海未が首を少し、僕の方に向けて口を開く。覆面越しではあるが彼女の様子から先ほどより緊張感が増してることが理解できた。

 

「ええ‥‥‥あれが『箱庭』」

 逢崎家が数年に造り、数多の少年少女を矯正という名目で収容し、具体的には分からないがあの施設に招いた結果、死へと導いた。真鍋さんのお兄さんの命を奪い、そして僕の両親を直接的ではなくとも間接的に殺害し造られた狂気の愚物。そして、それにより再び手に入れたかけがいのないものまで奪われようとしている。

 今、目に映っている巨大な建物のどこかにμ’sのみんながいる。今は放置されているのか、それとも‥‥‥。海未のみならず、僕までも不安感に駆られてしまう。不安感や負の感情は人に伝染しやすい。特に不安や緊張感漂うこういう空気では非常に危険だ。断ち切る方法は一つ、前向きに考えていくこと。これに尽きる。

 

 そんなことを考えてうちにトラックは白い建物内に引き込まれるように入っていく。中に入るとそこには自分たちが乗っているトラックと同じようなものが左右に複数、駐車されていて天井に等間隔で設置されている蛍光灯が、今にも切れてしまいそうな明かりで、薄暗く不気味な空間を照らす。トラックの進んでいる正面の奥に黒いマスクを被った人物が二人、見えた。僕は木刀入れから木刀を取り出して、臨戦態勢に備える。先ほど、侵入する前に奪った黒いマスクとマントは二つしかなく僕の分がない。まずどちらか一人のを奪い、もう片方は可哀想だが、口封じのために気絶してもらう。すると海未が正面を向きながら僕を呼ぶ。

「悠人、あなたの考えていることはわかりますが、さすがに至近距離で他のスクールアイドル達もいて動きにくい状況下です。私がドアを開けて左を相手します。あなたは右側の方をお願いします」

 

「分かりました」

 僕は彼女の提案を快諾すると、荷台の右側に膝を擦らせるように移動する。トラックが二人の前に停車すると、黒いマスクは左右二手に分かれて、近づいて来た。足音が近づいてくるとともに木刀の柄を握る力が強くなる。周囲を見回したところ幸い、この位置には監視カメラはなかった。

 二人の黒いマスクの足音が止まり、定位置に着いた事を確認して構えをとる。荷台の布を掴んで、綺麗に張った状態にして下に向かって勢いよく引っ張っていく。運転席付近から徐々に荷台の中身が公になり、不気味な明かりを放つ蛍光灯が徐々に差し込んでいき、他のスクールアイドル達の姿をより鮮明に映し出していった。布が荷台をするすると音を立てながら滑って徐々に僕の近くまで迫る。

 そして、僕の左肩に蛍光灯の明かりが刺して、左頬に明かりが刺した瞬間、勢いよく木刀を斜めに勢いよく振り上げて首元に弾くように当てた。刃先を当てる際に黒いマスクを一瞬、目が合ったが数秒後、膝から崩れ落ちた。

 

「おい! どうした!」

 僕とは逆方向、即ち、今僕の後ろ側にいる黒いマスクが僕の側まで駆け寄ろうとした時、車の助手席のドアが勢いよく開いて

海未が疾風の如く、現れる。黒いマスクは海未の行動に理解が追いついていない様子だったが時、既に遅し。腹部に迫り、強烈な発勁を打ち込むと黒いマスクは数秒、仁王立ちの状態で固まった後、ゆっくりと背中から地面に崩れていった。

 

 黒いマスクの一人からマスクとマントとICカードを奪い、二人を先ほどの黒いマント同様に手足を縛って近くにあったトラックの隅に隠すように横に寝かせる。瞬時にマスクとマントを纏って、木刀をマントの中に隠して荷台から降りる。三人とも車外に出て、近くにあった白いペンキで塗られた非常階段の扉があって開ける。案の定、非常階段があり、先ほど僕達がいた場所と同じように蛍光灯が出入り口と階段の方をぼんやりとした明かりで照らす。一段ずつ足を進めていくごとに、鈍い音が周囲に響く。何段か進んで扉を見つけてドアノブをひねる。視界には純白の廊下があり、その先に右と左で曲がり角が見えた。僕達はゆっくりと非常階段の扉を閉めて、堂々と歩く。ここでこそこそ歩くと却って目立つ。現にこの廊下の曲がり角のの天井に視線を向けると、左右に監視カメラが設置されている。どちらの角を曲がろうか考えながら、進んでいると左の角から黒いマスクの二人がやってくる。二人が歩きながら会話をしており、こちらを通りすぎたその時。

「おい」

 僕達の背中に先ほどの一人であろう者の声がかかる。恐る恐る振り返ると先ほどの一人がこちらを向いていた。

「お前ら、下に行った連中知らないか? 小娘を乗せたトラックが戻って来たから向かったきり戻ってこないんだ」

 恐らく、僕と海未が制圧した二人のことでしょう。ここは上手く切り抜けなければ。

 

「いや、見ていない‥‥‥」

「そうか、分かった」

 

 黒いマントはそういうと、もう一人を連れて非常階段の扉を開けて,今にも切れてしまいそうな蛍光灯が照らす階段に消えていった。

 

あの二人が下に向かうという事は拘束した二人が見つかる可能性がある。そうなると僕達の存在が見つかる恐れがある。とにかくμ'sのみんなを見つけなければ‥‥‥!!

僕達は左の方を曲がり,進んでいくと奥に扉が見えた。

 

扉の前まで進んでドアノブを回すと先ほどの廊下とは違い、薄暗く,天井に設置された蛍光灯は青色の光を放っている。周囲を不気味に照らし、廊下の右側には長方形に伸びた長いガラスが貼られていた。ガラスの方に目を向けると僕はその光景に愕然とした。

 

ガラスの向こうには大きな空間があり、下を見下ろすと複数の少年少女が椅子に拘束されて、その周りに先ほどの黒いマスク達が取り囲むように立っている。

空間の左側には頑丈そうな大きな扉があり、少年少女達の前には二本の脚で頑丈に固定された大きな液晶画面があり、映像を見させられていた。

そこの映像に映っていたのは人を拷問する映像だった。ガラスが防音性のため、音声は聞こえないが、映像から余りの痛みに悲痛の叫び声をあげる男の顔がその凄惨を物語っていた。

 

すると、一人の少女らしき人物が下を向き始めて肩を震わせる。恐らく映像の恐ろしさに吐瀉物を吐いたのでしょう。

一人の黒いマスクが少女らしき人物の前髪を掴んで、無理やり画面に目を突きつける。前髪を掴まれながらも少女は必死に抵抗するも、それも虚しく押さえつけられて悍ましい映像を見させられていた。

 

 

「酷い‥‥‥‥」

海未が蚊の鳴くような声で呟く。真鍋さんの方は表情こそ分からなかったものの彼の身の回りから怒りを感じ取った。恐らくこれは僕の推測にしか過ぎないが、あのような残酷な映像や精神的な恐怖を与えることにより強制的に性格を捻じ曲げているのだろう。

 

「あのような方法で‥‥‥」

真鍋さんは静かに、だが怒気を孕んだ声で呟いたあと、懐から携帯のカメラでガラスの向こうを撮影する。

 

「行きましょう‥‥‥」

僕は胸に抱いた確かな怒りを押し殺しながら再び、歩いていく。続いて見つけた部屋の名札には『監視室』と書いてあった。つまり、ここからμ'sやほかのアイドル達の場所を特定することが出来る。

 

僕と海未、真鍋さんは扉の前で顔を合わせて、静かに扉を開けた。中には三人の黒いマスクがいて、一人目は椅子に座り監視カメラの映像を見ており、二人目はは携帯に釘付けになっており、三人目は肩にかけたアサルトライフルを愛おしそうに眺めていた。

 

僕達が彼らの元に近づいて、真鍋さんが交代の時間と彼らに告げる。緊張しているせいか、彼の声は少し震えていた。

「ッチ! マジかよー、ここが一番楽なのによー 行こうぜ」

監視カメラを見ていた一人目が文句を垂れながら、残りの二人を連れて監視室を去る。気配がなくなったのを確認したあと、真鍋さんが椅子に座り、僕達も監視カメラの映像に目を向けた瞬間、その光景に言葉が詰まる。

監視カメラの映像が大きな画面に小さく張り巡らされているが、それのほとんどが僕達が先程見た、少女らしい人物と同じ事をされていました。一人は強姦、その右通りの映像の少年には男が生きたまま犬に喰われている映像や、徐々に指を切り落とされていく少女の映像など見るに耐えない映像ばかりだった。

「ゔっ」

海未が声にならない声を出して、その場にしゃがみこむ。僕は瞬時に彼女の背中を支える。

 

「大丈夫ですか?」

 

「ええ‥‥‥少し気分を害しただけです。問題ありません」

一度、彼女のマスクを取り、姿を確認する。少し顔色は悪かったが

その目からいつもの綺麗な光は消えていなかった。

 

真鍋さんがタイピングで監視カメラの画面を切り替えながらμ'sを含んだ関東のアイドル達の居場所を探す。

 

海未が僕の横で微かに震えていた。先ほどの光景を見た以上、不安感も大きくなっているはず。もし、μ'sのみんなもあんな目に遭っていたらなんて考えたら、僕も恐ろしい‥‥‥

 

「いました‥‥‥」

真鍋さんの一言で僕と海未はすぐに彼の元に駆け寄り、監視カメラの映像を釘付けになる。そこには手足を黒い結束バンドのようなもので拘束されて、目隠しをされてのたうち回る穂乃果の姿が映っていました。他には目隠しの隙間から涙をながす花陽とことりの姿、壁にもたれて怯える凛と真姫など、最悪の結末にこそなっていなかったものの、画面から伝わってくる阿鼻叫喚に思わず、目眩が感じる。

 

「二階のフロアの一室です。ここからはそう遠くありません。その他にA-RISEや他のアイドルも収監されています。一度に助けるのは無理があります」

真鍋さんが冷静な口調で僕達に語りかける。たしかに監視カメラの映像を見るに敵の数も多い。スクールアイドル達の

 

「いえ、全員助けましょう」

 

「どうやって‥‥‥」

僕は暫く考えた後、自分の頭に浮かんだ策を真鍋さんと海未伝えた。

 

僕は作戦の詳細を伝えると、二人は海未の家で侵入の時の作戦を話した時と同様、呆気にとられていましたが、一刻を争うため、納得してくれました。

 

真鍋さんは部屋に鍵をかけて待機で、僕と海未はすぐに監視室を出て、μ'sや他のアイドル達のいるフロアに足を進める。 この作戦に全てを賭けて‥‥‥!!




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