アラフォー艦隊のやべー奴ら   作:オパール

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割りと酷いキャラ崩壊がありますのでダメな方は回れ右して、どうぞ

今回は多機能フォームの練習を兼ねておりますので、そこもどうかご了承ください



ベルファスト「 ア イ ス テ ィ ーが入りましたご主人様」


明石「ケッコン指輪? いやいや結婚指輪にゃ」

・綾波「指揮官から指輪を贈られたのは、出逢ってから6日目のことでした」

 

 軍属を思わせる、というか軍属そのものと呼べる執務室。

 机に肘を着き、伏せた顔の前で両手を組み合わせる男と、机を挟んだ向かい側に立つ、クリーム色のポニーテールに小動物の耳を想起させるユニットを着けた赤い瞳の少女。

 少女の表情の動きは薄いが、どことなく困惑しているような、或いは拗ねているような雰囲気を醸し出している。

 

 そんな机の上に置かれている二つの手のひらサイズの小箱。片方は黒、もう片方は白色。だがその外装はさしたる問題は無い。

 問題はその中身と添えられた二枚のメモ用紙にある。

 

 一つ―――黒箱のメモには『ケッコン』の文字

 もう一つ、白箱のメモには―――『結婚』の二文字

 

 端から見る者には『?』と疑問符が浮かぶだろう。だがことここの責任者たる男と彼の部下達にしてみれば、それは最早

 

 争いの火種に他ならなかった。

 

「…………はぁぁぁぁぁ」

 

 大きなため息一つこぼして、男は机に備えられている電話に手をかける。

 内線で繋げるのは、これを用意した元凶の居場所。

 

 

 

「もしもし、明石か?」

『もしもし、指揮官かにゃ? わざわざ電話なんて珍しいにゃあ』

「ああ、いくつか訊きたいことがあってな」

『ふむ。キューブにするかにゃ? ドリルにするかにゃ? それとも、ダ・イ・ヤ?』

「俺、任務報酬で指輪もらったよな?」

『スルーつれぇにゃ。……貰って二秒で綾波に渡したあれかにゃ?』

「そうそれ。んで、お前にダイヤ渡してまた別の指輪一つだけ買ったよな」

『その節は良い買い物して頂いたと思ってるにゃ』

「なのに俺の目の前には何故か指輪が二つあるんだよ」

『……それはおかしな話にゃ』

「も一つ質問良いかな」

 

 

 

「俺が渡した600個のダイヤ―――どこにやった?」

 

 

 

『あんたみたいな勘の良い指揮官は嫌いだにゃ』

 

 

 

「ホシハクロ! 繰り返す、ホシハクロ! 制圧部隊、あの商魂以外は倫理観ガバガバ艦艇を確保されたし!!」

 

 

 

『(バァンッ)』

『制圧部隊、突入!!(SSRユニオン空母)』

『げぇっエンプラ!?』

『大人しくしろ! 膝をついて手を頭の後ろに!(兄貴姉貴)』

『お痛の過ぎるイケナイ子はどこかしらぁ?(ケモミミ激重重桜SSR重巡)』

『カーニバルダヨッ』

『誰よ今の(鉄血ログボSSR)』

 

 

 

 受話器の向こうから聞こえてくるドッタンバッタン大騒ぎ。

 未だ騒音鳴り止まないそれをそっと机に置き、向かい側に控えていた秘書艦へと視線を向けた。

 

「……騒がしちまったな、綾波」

「いえ……指揮官の意思じゃなかったとわかったので、大丈夫、です」

 

 何だかもやっとしている様子の秘書艦を傍に呼んで、くしゃくしゃと頭を撫でてやる。

 複雑そうながらもふわりと微笑んでくれた。

 

 

 

 

 

 

 

・明石(E:プラカード)『私は艦隊の秩序崩壊を招きかねない行いをしました』

 

『セイレーン』なる未知の存在に制海権を支配された水の惑星。

 それに対抗するために生まれた、『艦艇』と呼ばれるヒトの姿を取った艦船達。

 

 まぁ戦艦ナントカとかナントカこれくしょんみたいなものと似た感じをイメージしてもらえればだいたいそれであってる。

 

 セイレーンと戦うための『アズールレーン』という連合を結成して戦っていたら何か一部が連合から離反して『レッドアクシズ』なる別勢力を興して何やら内ゲバ染みた様相を呈しているがまぁそれはそれで戦線は維持できてたりする。

 

 で

 

 ここはそんなアズールレーン連合の前線基地の一つ(以下、わかりやすく鎮守府と表記)。

 窓から潮風の吹き込む執務室で書類にペンを走らせる男。鎮守府代表、この基地の指揮官。

 

 早い話、俺です。名前? 興味無いでしょ誰も

 

 目にする書類は装備の目録だったり艦艇たちからの苦情だったり要望だったり、まぁ色々と。

 何でまた人型の艦船なんてのが跋扈してるかは正直知らない。

 なに、雑だって?

 お国から脱サラすることを強いられた冴えないアラフォーなんてそんなもんである。

 

「……あー、やっぱこないだの一件響いてんなぁ」

 

 口に禁煙パイプを咥えながら、一人ごちる。

 こないだの一件、とは購買担当の明石が勝手に用意した結婚指輪(ガチ)のこと。

 事の顛末が鎮守府中に広まったようで、装備や寮舎に関する要望に混じって『指輪くれ(意訳)』みたいな意見がちらほら見られる。

 

 回数が特に多いのが

 

 空母:Eンタープライズ

 重巡:A宕

 軽巡:Oロラ

 

 以上の三隻(当人達の名誉のため、一部伏せ字)。

 指輪の装備、並びにそこから繋がる『ケッコン』なるシステムが艦隊強化に有用であることは我が初期艦サマが実証済み。

 確かにこの三隻はここの艦隊においては主力を担う重鎮。特にオーもといOロラに至っては、着任してからこっち最前線でずっと身体を張ってくれている。

 

「かといってなぁ」

 

 彼女達が求めているのが『ケッコン』なのか或いは『結婚』なのか正直計りかねてる俺がいて。

 いやまぁA宕辺りは後者だろうなとは思ってはいるがそれで外したらその場で自害を図らざるを得ないわけで。

 

「考えても形無し、だよなぁ現状」

 

 この件に関しては保留! はい次!

 

 

 

 

 

 

・飛龍「出会って二秒、零距離で魚雷一斉射を三連続。相手(私)は死ぬ」

 

「ただいまー指揮官ー!」

 

 勢い強めのノックの後、バーンと開かれたドアから現れたのは第一艦隊旗艦を務める、ユニオン陣営のカリフォルニア。

 金髪碧眼、やや浅く日に焼けた肌が眩しい、弊鎮守府の古参の一隻。

 

「お疲れさん。首尾は?」

「全然ダメ。いつも通りにアヤナミ達が敵主力艦隊に零距離雷撃三連続キメてきたけど、影も形も無かったわ」

「そっか。……んー、ならここらで一端仕切り直すしか無いかねぇ。委託任務で頑張ってくれてる奴らがいても、燃料は有限なんだし」

「そろそろ次の海域への進軍も考えていいんじゃない? 今の海域で苦労することなんて、燃料くらいしか無いんだし」

「管理能力ガバガバ指揮官ですいません」

 

 何の話をしてるかって?

 

 3-4。後は察して。

 

「それよりも」

「ん?」

「指輪、まだ持ってるの?」

「……あー、まぁ一応」

 

 あのなんちゃってネコ娘が勝手にやらかしたとは言っても、捨てるには忍びないので。

 ケッコン指輪も結婚指輪も両方厳重に保管してある。

 

「ケッコンと結婚の違いとかはよくわかんないけどさ。実は渡す相手とかいるんじゃないのー? このこのー」

「いねーよ、やめろや」

 

 カリフォルニアはどうにも距離感が近い。着任したばかりの頃はそうでもなかったけど、ある日を境に何か気安いというか、異性の友人みたいな感覚があったりする。

「遊びに行こう」なんて誘われることもザラにある。まぁ今の世の中と自分の立場的においそれとは行けんのだが。

 

「……ねぇ指揮官」

「今度はなにさ」

「誰にも渡す予定とかは無いんだよね?」

「まぁ、今のところは」

「……じゃ、さ」

 

 そこで言葉を切るカリフォルニア。

 何事かと見れば、見たこともない無い表情の彼女がそこにいた。

 

 

 

「私にも……チャンスはあるって思っても、いいよね?」

 

 

 

「……お前さん、それは」

「なーんてね! じゃ、私寮舎に戻るから!」

 

 そう言ってそそくさと執務室を後にするカリフォルニアの背中を見送る。

 予想だにしなかった一面に、絞り出せた言葉は一つ。

 

「……アラフォーをからかわんでくれ」

 

 

 

 

 

 

 

・A宕「好き!!(挨拶)」

 

「なんだ急にお前。俺、委託部隊の報告待ちついでに仮眠してたんだけど」

「指揮官……指輪のこと、考えてくれたかしら?」

「全然」

「なんでよ!?」

「なんでも何もそんな気ねーもの。おやすみ」

「夜這いされかけてるのにその反応、お姉さん流石に自信無くすんだけど……」

 

 深夜、何やら身体が重くなったから眼を覚ましたところ、見るからに発情期な重巡がそこにいた。

 

 高雄型重巡洋艦の二番艦、愛宕。

 白い軍服にピンと立ったケモミミを戴く黒いロングヘアーな重桜陣営所属の彼女。ある日の建造でフラッと現れて以来その圧倒的なバ火力で往く海の敵性艦を悉く藻屑にしてきた主力の一隻。

 

 なお指輪要求組筆頭のやべー奴である。

 施錠はしっかりしてあったハズなのに何故かいた。

 訊いたら返ってきた答えは「愛」。愛怖いなぁ

 

「いいか愛宕。人間の男は三十路を境に性欲が薄くなっていくんだ。個人差もあるが、俺はその薄まり具合が一般よりやや強い」

「私じゃ不満なの!? 購買部の裏商品の薄い本では引っ張りだこなのよ私!! 男受けする船体(カラダ)してるでしょう私!!」

「話聞いて」

 

 ていうか聞き捨てならない情報あったぞ今

 

「操たててる人でもいるの!?」

「いや別にいないよ」

「なら良いじゃないのぉ!!」

 

 何かもう感情持て余しすぎてついに泣いちゃったよこのお姉さん。

 どことなく情緒不安定な面あるなーとは思ってたけどこんな形で噴出してほしくなかった。

 

「ロリコン! ペドフィリア! 性癖倒錯者!」

「仮にも上官に対して好き放題言うなぁ年端もいかない少年食い散らかしてそうなビジュアルしやがって」

「そんな事実無いわよッ!!」

「俺にだってねーよ!!」

「綾波ちゃんに真っ先に指輪渡してるくせに!!」

「あん時は強化装備くらいの意味合いにしか思ってなかったんだよ!」

「なら良いじゃない! もっと強くなって指揮官の役に立てるのよ私!?」

「や、悪いけど綾波の手前、他の奴においそれとは」

「ロリコンじゃないのォ! もういい犯す!!

「どうしてそうなった!?」

 

 引き千切らんばかりの勢いで服を脱ぎ捨てようとする愛宕の腕を掴んで止める。

 いよいよもって収集つかなくなってきてるぞこれ。

 

「離して指揮官! こうなったら一緒にしましょう腹上死!!」

「ふざけんな!? 死に方としては下の下だよ!!」

「死ぬか指輪か二つに一つ選びなさい!」

「大人しく帰りなさいお前はァ!!」

 

 艤装無しでは極々フツーの婦女子と大差無い腕力とはいえ、マウント取られてるこっちが明らかに不利なわけで。

 ていうかもう暴れすぎて服とかブラとかずれてちょっと見えちゃってるし。

 とりあえずこのままでは喰われて朝に死体で発見されるのは確定的に明らかで。

 

 

 

 

 

 

 

 バァンッ

 

「指揮官! 委託部隊、ただいま帰還した!」

「ナイスタイミングゥ! 抱いてくれエンプラさん!!」

「だ、抱いてなどと……って、指揮官に覆い被さって何をしている愛宕!?」

「邪魔しないで! 指輪をくれない指揮官が悪いんだから!!」

「ええい、またタチの悪い発作を! クリーブランド、ベルファスト、連行するぞ!」

「直ちに」

「ほら愛宕、もう寝てしばらくゆっくりしよう! 明日からの出撃とか私が代わってやるから、な!?」

 

 いーやー……と、見た目は妙齢の絶世の美女が泣き叫びながら引き摺られていく光景というのは中々にショッキングな絵面だった。

 

「……寝るかぁ」

 

 

 

 

 

 

 

・エンタープライズ「愛宕は置いてきた。修理はしたが、正直ついてこられそうにない」

 

 翌朝、流れてしまった委託任務の報告を朝イチに受け取り、そのまま別に編成していた編隊で出撃した委託部隊と海域攻略部隊を見送る。

 攻略部隊には綾波も参加させるつもりだったけど、どうにも暗いので急遽編成を変えることになった。

 

「……んで? どした」

「……指揮官」

「ん?」

「指輪……」

「指輪? ……あー、例のあれか。あれがどうかしたのか?」

 

 綾波から振られた話に彼女を見れば、沈んだような面持ちで自分の胸元を握り締めていた。

 

「……綾波?」

「……げて、いいです」

「ん?」

 

 

 

「あの指輪……ケッコンでも結婚でも、指揮官があげたいヒトに、あげていいです」

 

 

 

「……綾、波」

「欲しがってるヒト、たくさんいます。綾波がこんなこと言うの、おかしいと思うです。けど……なんでかわからないですけど、言っておかなきゃ、って」

 

 ……これは、どうだろう。

 嫉妬? いや、そんな言葉で片付けるには情報が少なすぎる。

 

「綾波は、この指輪をもらった時、すごく……すごく嬉しかったです。出逢ってからあんまり時間経ってなかったですけど、指揮官がどういうヒトなのかっていうのは、よくわかってて。指揮官のために戦いたいって、思うようになってて」

 

 ぽつぽつと、たどたどしくもしっかりと語り続ける綾波。

 今にも消えてしまいそうな儚さが、そこにはあって。

 

「だから、そういう風に思ってくれるヒトが増えるなら、綾波はきっと、嬉しくなると思うんです。だから―――」

 

 

 

「まだ誰にも渡すつもりは無いよ」

 

 

 

「―――しき、かん?」

 

 妙にむず痒くなった鼻を掻きながら、しゃがみこんで綾波と目線を合わせる。

 

「いつか誰かに渡すんだろけどさ。今はそんなつもりは全然無い」

「そう……なのです?」

「おう。第一―――」

 

 そう言って、いつものように綾波の頭をくしゃくしゃと撫でる。

 

 

 

「―――そんな泣きそうな顔してる綾波、放っとけねーし」

 

 

 

―――綾波の顔は、本当に泣きそうなそれだった

 

 

 

「指揮官……」

「まだまだやること山積みだし、見とかねーと何するかわかんねぇ奴らばっかりだし。指輪のことは追々考えることにした、今」

「……」

 

 

 

「だから、思い詰めんな。この件に関しては、お前さんを放置して進めるつもりはねーからさ」

 

 

 

 艦隊運営なんて素人で

 

 艦艇だとかについての知識もゼロ

 

 あげくには指輪の用途さえまともに考えずに、初期艦に贈るような馬鹿なオッサンだけれども

 

 

 

 責任からは逃げない。それだけは、しない

 

 

 

 ここの責任者は俺だ

 

 綾波を選んだのも、俺だ

 

 

 

「……さ、仕事の時間だ。手伝ってくれな、綾波」

 

 歳不相応に臭い言葉を吐いた自分が照れ臭くって、綾波に顔を見られないようにして立ち上がる。

 そのまま歩き出した自分の後ろから、少し遅れて駆け足の音。

 

 

 

「―――はいですっ」

 

 

 

 肩越しにちらりと見たその顔は、晴れやかだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「 指 揮 官 様 ? 」




赤城!(素振り)
加賀!(素振り)
赤城!(ポネキ)
加賀!(サッチャー)
赤城!(燃料)
加賀!(枯渇)


カリフォルニアとかレキシントンとかオーロラとかペン姉さんとか話題に上がらなさすぎて辛い
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