アラフォー艦隊のやべー奴ら   作:オパール

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タイトルでオチてると思うんですけど(挨拶)
綾波が改になったので初投稿です

プレイしてても意外とわかってないところとかを感想でたびたびいただいております。至らない点などのご指摘、ありがとうございます

あっ、そうだ(唐突)
いつも通りのやつあるのであかん方はすぐにバックして夢見る島DXノーコンティニューでクリアしてきて、どうぞ



「 お ま た せ 」

・Z1「Z23が息してない」

 

 近代化改修というシステムがある。

 一部の艦艇が、各々の持つ特性や兵装、技能等を飛躍的に向上させる、というもの。

 

 この鎮守府において、その近代化改修第一号が、今工廠から姿を現した。

 

 それまでの衣装をベースに、上腕から手首までをすっぽり覆った青く縁取られた白い振袖。頭頂部のユニットも形を変え、特に眼を惹く両手に持った大型ブレード。

 かつての少女の面影を残しつつも、幾年ばかり成長を果たしたようにも思える、その容姿。

 

 重桜陣営の特型駆逐艦、綾波―――彼女が改修を果たした、綾波改。

 

 様変わりした自分を不安げに見回す彼女を見て、同伴していたロイヤル陣営のジャベリンとユニオン陣営のラフィー、鉄血陣営のフィーゼは静かに息を漏らしていた。

 

「はぇー……すっごいねぇ」

「ん……綾波、だいぶ印象変わった……」

「これが近代化改修……なるほど、確かに『改』とつくだけはある」

 

 それぞれが改修を果たした綾波の姿を見て、それぞれの所見を述べる。

 そんな中で、綾波の表情はやや暗く沈んでいた。

 

「……綾波ちゃん、どうしたの?」

「ん……強くなった、というのは自分でもよくわかるです。けど、その……なんだか、変わりすぎてしまったような……そんな気がして」

「綾波ちゃん……」

 

 今までよりも強くなり、これでみんなを守ることが出来て、何より指揮官の役に立てる。それは良い。

 だが、改修を終えた今、綾波の中にふつふつと沸き上がる熱と滾り。

 

 自分の中で眠っていた『鬼神』の衝動が、目覚め始めているのを綾波は感じていて。

 それが、何よりも不安で。

 

「……指揮官」

「えっ?」

 

 眠たげに眼を擦るラフィーがぽつりと呟く。

 眠気を隠そうともしていない彼女だが、その視線はしっかりと、綾波の瞳に向いていた。

 

「指揮官に、逢いに行けばいい。いつも通り、誉めてくれる……」

「そう、そうだよ! 指揮官、綾波ちゃんの改修楽しみにしてたんだし!」

「その不安を汲み取り、また受け入れるには彼以上の適役もいないだろう。行ってこい、綾波」

「みんな……はい。行ってきます、です」

 

 ぺこりと頭を下げた綾波。

 そのまま踵を返すと、一目散に指揮官が待っているであろう執務室へと駆け出していった。

 

「……ふふっ」

「フィーゼちゃん?」

「いや、何でもない」

「ふわぁ、ぁ~……じゃ、ラフィーねんねしてくる……」

「ダメだよ!? これからジャベリン達、委託任務に行かなきゃいけないんだから! フィーゼちゃん、そっち持って!」

「わかった」

「ねーむーいー……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・赤城「邪魔をするな貴様らァ!?」

 

「指揮官様! 指揮官様ァ!! 赤城はここにおります指揮官様!! 貴方が求めてやまなかった赤城は今ここに罷り越しました指揮官様!! あー! あー! 指揮官様ァァァァッ!!!!」

「ええいあれだけ叩きのめして尚これか!? イラストリアス、ツェッペリン、もう一度だ!」

戦争(ハカイ)を望むか……それも良いだろう」

「Kick your ass」

「どうしたイラストリアス、言葉使いが変だぞ!?」

 

 

 

 執務室は地獄絵図だった。

 

 まず室内のほとんどが叩き壊されており、見るも無惨な有り様。

 床に仰向けに転がっている指揮官は服を破かれたかのように半裸。

 指揮官を庇うように立つ三隻の空母。

 冷や汗を流すエンタープライズ、気怠げに鼻を鳴らすグラーフ・ツェッペリン。

 そして何故か能面の如き表情で罵声を漏らすイラストリアス。そんな彼女の淑女らしからぬ有り様に指揮官から悲鳴があがっている。

 

 そんな彼女らの前に立つのは一航戦の赤黒い方、もとい重桜の正規空母、赤城だった。

 

 部屋で何があったのかを物語るかのようにズタボロになっている赤城。だがそのギラついた空母の視線と獰猛な笑みは消えていない。

 むしろやべー奴揃いの重桜でもとりわけやべー獣欲に火でも点いたのか、瞳孔ガン開きなままの眼で指揮官の外気に晒された胸板を凝視している。

 ちなみに一航戦の青白い方もとい加賀は床に転がされていた。

 

「フフハハハハッ! 愛には障害がつきもの……この邪魔でしかない異邦空母共が。私と指揮官様の前に立ちはだかるなら、私は何度でも立ち上がるッ!!」

「と、言っておるが、指揮官よどうする?」

「とりあえずさっさと制圧してくれ。着替えて綾波出迎えてやらにゃいかんのだから」

「はいっ、お任せください指揮官様」

「嗚呼、嗚呼、指揮官様……赤城が目の前にいるというのに他の女を気にかけるだなんて……!」

「赤城、貴様はここでは新参だろう! 確かに指揮官はお前と加賀の戦力を求めて何度も海域を回った! だがはっきり言おう、指揮官に貴様への愛は欠片も無い!」

 

「ぼさいたな負け確グレインゴーストォ!!」

「ミッドウェーに再び沈めてやる貴様ァ!!」

 

「あーもうメチャクチャだよ」

 

 沸点が限りなく低くなったエンタープライズとそこに畳み掛けるように煽りまくる赤城という最悪循環。

 もう面倒くさいから、多少拗れることになっても愛宕とベルファストでも呼ぶか、と指揮官が考えを過らせた瞬間だった。

 

 

 

 扉が勢いよく開かれる

 

 死角からの音に、その場の全員が一斉に振り返る

 

 ただでさえ広くはなく、また複数人がいるためになお狭く感じる室内を、猫のような身軽さで駆け抜ける影

 

 飛び上がり、その手に携えたブレードで狙うは

 

 

 

「えっ」

 

 

 

 赤城が紡げた言葉はそれだけ。

 木目張りの床が軽く凹むほどの重い一撃を喰らい、赤城の意識はブラックアウト。

 

 下手人がゆっくりと身体を起こし、そのままゆるりと背後の面々へと顔を向ける。

 

 

 

「―――止まれグラーフ」

 

 

 

 ツェッペリンが艤装を構え

 エンタープライズが動くよりも速く

 イラストリアスが動くよりも速く

 何よりも速く、指揮官の鋭い声がツェッペリンを制していた。

 

 止めていなければ、或いはほんの数瞬遅ければ、ツェッペリンは即座に、眼前の『鬼神』へと攻撃を仕掛けていただろう。

 

 

 

「……指揮官。どうして服が破れてるですか?」

「あー、まぁなんだ。後で話すよ。……綾波」

「はいです」

 

「―――立派になったな」

 

 

 

 くしゃり、と綾波の表情が歪む。

 喜びなのか、もしくは別の何かなのか、指揮官には判別はつかない。

 だから、いつものようにその髪を撫でる。

 

 労るように、労うように、優しく、静かに

 

 綾波は抵抗もすることなく、穏やかに、嬉しそうに微笑みを浮かべながら受け入れていた。

 

 

 

 

 

 

 

「……格好で台無しだな」

「黙っていろツェッペリン」

「私はベルと一緒にこの二人を工廠に運んでおきますね」

「いえ、私一人で事足ります」

「いつの間に!?」

 

 

 

・クリーブランド「危機」

 

 軽巡洋艦、クリーブランドは自分の手の中にある物を見て一人震えていた。

 顔色は青褪め、かと思えば耳まで真っ赤に染まり、視線はあちらこちらにさまよっている。

 

「だめ……だめだぞ、こんなの……」

 

 今は指揮官も席を外しており、クリーブランド一人だけの執務室。

 出撃からの帰投報告のために執務室へと赴いた彼女、誰もいないのか、としばらく待っていようと執務机に向かった彼女が目にしたもの、それがクリーブランドを困惑と葛藤の坩堝へと叩きこんでいた。

 

 

 

「し、指揮官の制服……!」

 

 

 

 椅子に掛けられていた制服、その上着。

 それが纏う仄かな熱は、まさに今しがたまで指揮官が着ていたという事実を示す温度。

 

 クリーブランド型軽巡洋艦、そのネームシップ。つまりは長女。

 彼女の妹達は多い。なんと総計27隻。厳密に言うならば、建造されてから後々に別の艦級へと名前と姿を変えた艦もいたため、それを含めれば52隻にもなる。

 そんな大姉妹の長女であるからして、クリーブランドは結構面倒見が良い。

 加えて、戦場で見せる凛とした姿、圧倒的な火力とバランスの良さで並み居る敵を片っ端からスクラップに変えるその戦闘力。かと思えば、ちょっと金銭にがめつい所や、純情可憐な乙女な仕草も見せたりと。

 

 立てば勇士座れば乙女、歩く姿は才色兼備、なんて言葉を指揮官が思わず呟いてたまたま近くにいた鉄血空母に怪訝な目で見られる程度には、クリーブランドという艦艇―――否、少女は様々な魅力に満ちていた。

 

 まぁ指揮官を含めた周囲の大多数からは戦場での姿やサバサバした気性故に『兄貴』呼ばわりされることが多いのだが。

 

 そして当然、本人はそう呼ばれることを嫌がっている。それくらいには彼女は乙女だ。

 

 

 

 さて

 

 

 

 そんな乙女なクリーブランド、この鎮守府では割と古参に位置しており、それは即ち指揮官と過ごした時間も長いという事実を示している。

 艦隊運用にまだ不慣れな頃、持ち前の気安さと面倒見の良さで指揮官とその初期艦である綾波を色々と導いてきた。

 頼りにされるのが嬉しく、それに応えることが誇らしく、勝利の味を噛み締め、指揮官からの感謝を述べられて胸がすくような気持ちになることが喜ばしくて。

 

 頼り頼られ、感謝し、感謝され、語りあって笑いあえる

 

 そんな相手を好きになるな、などとまず無理な話であって

 

 

 

 そして今、そんな相手のほぼ脱ぎたての衣服がクリーブランドの手の中に存在している。

 彼女の目には見えないはずのフローラルな光が映り、鼻から距離が離れているのに、その服に染み付いている匂いが感じられる。

 一部の艦艇が口にしていた、『指揮官いい匂い(意訳)』という言葉を何度か聞いたことがあった。その時は少し気になりはしたが、さして気に留めることはなかった。

 

 だが、今彼女は一つの後悔を抱いている。

 

 

 

「こんな気持ちになる前にやっとけばよかった―――!」

 

 

 

 匂いを嗅ぐの前提なのか、というツッコミは野暮というものだろう。

 繰り返すようで恐縮だが、クリーブランドは根っからの乙女である。大きな好意を寄せる相手の知らぬ間に、その衣服に染み付いた香りを嗅ぐ、などと明らかな変態の所業だという自覚はある。だがそこから生じる背徳感や乙女、もっと言えば生娘の情動は倫理観程度で押し止めるにはあまりにも強烈が過ぎる。

 

 結果

 

「…………………ち、ちょっと、だけ」

 

 クリーブランドは負けた。己の欲求に逆らえなかった。

 

「う、うぅ……」

 

 全身がガタガタ震え、誰も来ないよな、と心配しながら五感をフル活動させながら索敵。

 

 腹を決め、ゆっくりゆっくりとその服の襟元へ、顔を近付けていく。

 

 息を吐ききり、鼻を押し当て

 

 そして―――吸った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「スゥーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」

 

 

 

 

 

 

 

 長かった。クリーブランドを知る者からすればドン引き必至なくらいにガチの嗅ぎ方だった。

 

(あっ。あっ、ゃばい、なんだこれ。なんだこれ!?)

 

 鼻から入り、気管を通り、肺に溜まって、鼻からではなく口から息を吐き出せば、より強烈に匂いを感じて脳が灼き切れそうになる。

 人間としてはそこそこの高齢だという指揮官。なるほど確かに、服に染み付いた体臭はややキツめ、加えて最近は暑かったから汗だって結構かいただろう。

 

 だがそんなことは気にならない程度には、クリーブランドは指揮官にゾッコン(死語)だった。

 

(ダメなのに、こんなの変態なのに、こんなこと知られたら、指揮官に絶対引かれるのに……!)

 

 もしかしたら嫌われてしまうだろう

 

 指揮官だけでなく、多くの仲間達から後ろ指を刺されるだろう

 

 なのに

 

 

 

(なんで、こんなに熱いんだ……♡)

 

 

 

 止められなかった。やめなければいけないのに、へそ下辺りから全身に回った熱がそれを許さなかった。

 未知の感覚に戸惑い、思考が乱れ、膝はずっと笑ってる。

 ぼやけてふやけて湯だった頭にあったのは、もうたった一つのことだけだった。

 

(好き♡ 好きだ指揮官♡ 本当はもっと撫でてほしい、もっと触れてほしい、ずっと女の子だって、そう言って扱ってほしいんだ指揮官♡)

 

 もうどうにもならない。

 呼吸は乱れ、犬のそれのように小刻みなリズムを刻むだけ。

 半開きなままの口からは涎が溢れ、もう胸に掻き抱いている服の襟元をベットリと濡らしている。

 それでももう、止められなくて、この熱をどうにか冷ましたくて。

 クリーブランドはそっと机に近付

 

 

 

「クリーブランド様?」

「ンゴォッホエ!!?」

 

 

 

 まさかの闖入者、吸気が気管支から別の場所に入りこんだことでむせる。咳き込みながら、背後から声をかけてきた人物へ向き直る。

 

 

 

「べ、ベルファスト……ッ!?」

 

 

 

 最悪だった。ロイヤルのメイド長にして指揮官直属のトラブルシューター兼トラブル予備軍。

 彼女はここで起きる問題の殆どを単艦で処理できるほどのパーフェクトメイド。よりにもよって、そんな相手に痴態を晒してしまった。

 ああ、私これ終わったな、と一人胸中で呟くクリーブランド。

 

 さよなら指揮官。散る前にこの気持ちだけでも知ってほしかったよ。

 綾波。海の底から応援してるから、指揮官と末永く幸せにな。

 妹たち、先立つ姉さんをどうか許してくれ。

 

 走馬灯のように様々な思い出が浮かんでは消えていく。

 ベルファストは忠実だ。加えて職務に妥協はしない。即ち、自分の不祥事はすべて指揮官に知らされることになる。そうなったらもう……

 

「クリーブランド様」

「……なんだ?」

「本日はかなりの夏日。ご主人様より、艦隊が帰投したら、報告は後でも良いから先に汗を流してきて構わない、と仰せつかっております」

「へぇ、そうか……」

「はい。私はこれからご主人様のお召し物の洗濯に参りますので、今お持ちのそちらを渡していただけると助かります」

「うん、いいぞ……はい」

「ありがとうございます」

 

 淡々と、何も見ていないかのように振る舞うベルファストの姿に、逆にいたたまれない気持ちになるクリーブランド。

 正直、罵倒なりなんなりしてくれた方が気休めにはなるというもの。冷静になって、自分がどれだけ頭のイカれたことをしていたのかが鮮明に感じられて死にたくなっていた。

 

 クリーブランドの手から指揮官の服を受け取ったベルファスト。涎にまみれているそれを平然と畳んで抱える。

 

 そして、優しくクリーブランドの手を取った。

 

「ベルファスト……?」

「クリーブランド様、私はこのあと洗濯に参ります」

「う、うん……?」

「ご主人様は負担だけでなく衣類まで溜め込むお方、この時期は特に多いのです」

「うん……」

「そして私は今、メイドにあるまじき失態を犯してしまっています」

「……」

 

 ベルファストが何を言いたいのかまるっきり理解できない。

 彼女はまるで、目の前のクリーブランドに語ると同時に―――ベルファスト自身にも言い聞かせているかのようで。

 

「失、態?」

「はい。クリーブランド様、質問をよろしいでしょうか」

「う、うん」

 

 

 

「洗濯機の場所―――ご存知でしょうか?」

 

 

 

「――――!!」

 

 そしてクリーブランドに電流走る―――!

 

 このパーフェクトロイヤルメイドが、自分の職務に関わる事柄を忘れるなんてそれこそポートランドが妹への愛を捨てるくらい、いや赤城が指揮官にハーレム勧めるくらいにありえないことだ。

 

 意味深な、或いは意地悪そうにも見える微笑を浮かべるベルファストを見て、クリーブランドは確信した

 

 

 

 ―――ああ。魅入られていたのは自分だけじゃなかったんだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……なーベルファスト」

「はい。如何されましたかご主人様?」

「いや、いつもいつも洗濯してくれてるのは助かってるよ」

「恐縮です」

「でもなんか……なんだ? キレイになりすぎてる感がしなくもないというか」

「……連日猛暑が続いておりますので、衣類に染み付いた汗や汚れに対して必要以上に手をかけてしまっていたやもしれません。ご不満でしたでしょうか?」

「いや。ちょいと気になっただけさね。ベルファストの仕事に不満とかはないよ」

「左様ですか」




綾波とジャベリンとラフィーって完全に武装的に三騎士だよねっていう(型月厨)
赤加賀を求めて3-4周回した回数=赤城の初期好感度の高さと考えていいのでは
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