グッドルーザーズ!! ~球磨川禊と鬼人正邪による反逆の学園生活!~ 作:ゼロん
う、うわああああああぁあ。・゜・(ノД`)・゜・。
読者の皆様本当にありがとうございます!
ようし、頑張ろう!
朝日が照らす教室。
窓や黒板付近の机に何人かの男子と女子が雑談をして、共に笑い合っている日常の光景。
「呑気なもんだな。入学式のことをもう忘れたのか」
そんなクラスメイトの様子を気だるげに見つめる天邪鬼、
「しょうがないよ……怪我をしたクラスメイトには申し訳ないけど、あんな凄惨な光景を見せられたらすぐにでも忘れたくなるよ」
苦笑し、
「はっ、幻想郷も外の世界も人間にはヌルい世界であることは変わりないってことか」
ため息を吐き、窓の外を忌々しげに見つめる。
「おはよーっす! 姉御。調子はどうっすか?」
元気よく声を上げて、フランスパン並みに長いリーゼントが教室に入ってくる。
「よう、かませ犬。慶賀野のやつはどうした? いつも二人でイチャついて登校してるんじゃないのか?」
「変な言いがかりはやめてくださいよ! ……
バッグを持った桜街が残念そうな顔をする。
それを見る正邪は興味なさげだったが針妙丸は心配そうな顔をしていた。
「功名さん大丈夫かな……?」
「ほっとけ、あとでお見舞いにでも行ってやれ」
「冷たいんだか優しいんだかわかんないっすね姉御」
正邪は教室を見渡し、窓際の端にある席に目をやる。
「……
「あぁ、姉御がのしたって聞いたんすけど。……何かあったんですかい?」
「……聞くな。それ以上口を開くと球磨川と同じ所に行くことになるぞ?」
「あ……はい。自重します……」
ーー干した自分のパンツを球磨川に見られた、なんて本当に口が裂けても言えない。
目つきを鋭くした正邪に向かい、桜街は素直に頭を下げる。入学前に暴走族を潰した不良は一体どこに行ったのだろう。
「テメェ! どこを見てやがる!?」
教室の外から男の怒声が響く。
扉が震えているところを見ると、かなりの声量で怒鳴っているのがわかる。
====================
「アニキ、こいつジャンプ持ってますぜ!」
「漫画読んでて俺にぶつかっただぁ!? 舐め腐ってんのかぁ? あぁ!?」
正邪が教室を出て廊下の方を見ると、二人の生徒がD組の生徒に暴行を加えているのがわかった。
出っ歯と巨漢の男が一人の男の胸ぐらを掴んで殴り飛ばしている。
「いいかぁ? D組の屑。俺たちはⅭ組。テメェらクズどもと違って、俺らのバックには生徒会がいる。どういうことかわかるか?」
「D組は俺たちの奴隷ってこった。『密告』されたくなきゃ、絶対に無礼は働かないこったな」
二人の男はD組の一人の男をさらに理不尽に痛めつけながら、嘲笑う。
絡まれている相手が普通のD組の生徒ならば、まだ戦力が揃ってない今、面倒ごとを避けるために無視するところなのだが……
『……僕は悪くない』
……虐められている相手が球磨川なら話は別だ。
正邪は男二人に向かって早歩きで駆け出す。
「おい、あんたら。悪いことは言わないから……そいつに手を出すのだけはやめておけ」
「あぁ!? 女ぁ、なんだテメェは?」
「俺たちに楯突こうっていうのか?」
正邪にため息をつかれながらストレス発散の邪魔をされた二人は苛立ちの声を上げる。自分たちが手を出している相手がどれだけ危険な地雷なのか、全く分かっていないようだ。
『……正邪ちゃん?』
「よう、いい朝だな球磨川。調子はどうだ?」
『……普通だよ。いつもと変わらない朝さ』
「そうか。これがお前の普通か。随分とスリリングな毎日だな。……私も経験者として同情するぜ」
暴力を振るった相手が目の前にいるというのに平然と会話をする正邪と球磨川。
その様子に二人は余計に怒りを蓄積させ、正邪に詰め寄る。
「お前……俺たちの前で楽しくおしゃべりとかふざけてんのか」
「ん? あぁ、悪いな。今お取り込み中でさ、後でもいいか? 女の子は約束事には厳しいんだぜ?」
「ーーぶっ殺す!」
正邪のふざけた態度が気に障ったのか、でかい方の男が拳を正邪に向かって振り下ろす。
ーー鈍い。
「レディーに暴力とか最低だな」
「!?」
巨漢の拳が正邪の顔に触れる直前、正邪は最小限の動きで拳を避ける。
手馴れた正邪の動きに巨漢の男は動揺する。
ーー幻想郷での不可能弾幕よりも遥かに鈍い。
easy以下のクソ難易度だ。
男は正邪に向かって追撃の蹴りを喰らわそうとするが、正邪に軽々と避けられる。
「へぇ……ならこれはどうだ!!」
男は正邪から距離をとり、大きく息を吸い込む。
「で、出た! アニキの声帯砲! 異常な肺活量を利用して出せる大技! 大咆哮から繰り出される広範囲の衝撃波は避けようがない! 終わったな、女ぁ!!」
「……」
巨漢が口を開き、出っ歯の男が言った大技を繰り出そうとする……が。
「ーー!! ……!……ぁ……が」
「ア、アニキ!? どうしたんですか!?」
大男は喉を抑え、必死に声を出そうとするが全く言葉が口から出てこない。出っ歯の男は恐る恐ると、口笛を呑気に吹いている正邪の方を見る。
「お前!! アニキに何かしたな!」
「なんの話だ? それよりどうしたどうした? ご自慢の喉は使い物のならんのでちゅか?」
正邪は憎たらしい笑顔を浮かべながら喉を抑えている大男を嘲笑う。
「……! ーーーが!!」
「あ? 聞こえねェよ。もっと大きな声でせーの! さんっはいっ!」
指揮者のように手を振り上げながら、正邪は大男への挑発を続ける。
よほど頭にきたのか、大男は再び息を吸い込みできる限りの大声を出そうとする。そして……
ーーブチッ
「*%*%!\/)((($\>%……」
「うわぁあああああ!! アニキィイイ!!」
無理に大声を出そうとした結果、大男は言葉にならない声を上げてその場に倒れてしまった。どうやらご自慢の声帯が完全にいかれてしまったようだ。
「元々『
ーーこれが私の
この男の横にいた馬鹿がベラベラと説明してくれて助かったぜ……おかげで勝手に自滅してくれたよ。
出っ歯の男は再起不能になった大男を肩で担ぎ、『覚えてろ~!』と三流の悪役がよく言う捨て台詞を残してその場から去っていった。
====================
「おい、大丈夫か?」
正邪はボロ雑巾のようにボロボロになった球磨川に手を伸ばす。
ーーぶわっ!
「!?」
すると急に球磨川が号泣し始めた。目元から血の滝があふれ廊下に落ちる。
『ありがとう、正邪ちゃん。僕、こんなよくあるいじめの場面から助けてもらったのは初めてで……』
「あ、あぁ。嬉しくて感極まったのな。急に泣きだすからビックリしたぜ」
ーー本当は目から血の涙とかビックリじゃ済まなかったんだが……
『……誤解しないでね正邪ちゃん。僕は別に痛くて泣いてるんじゃないんだ。僕は嬉しくて泣いているんだ』
球磨川が学ランについた汚れを手で払うと、ボロボロになっていた制服が一瞬で新品同然になる。……だが傷はそのままだ。
『僕はこんな風に命がけで自分を救ってくれる人をずっと待っていたんだ』
球磨川はゆっくりとその場から立ち上がり、頬についた血を拭う。
『本当になんて嬉しいんだろう』
パァッと太陽のような笑みを浮かべ、顔を上げる。
『おかげで目が覚めた!』
『人を傷つけるなんて間違っているんだ!』
『傷つけられる立場になってやっとわかった。これで改心したぞ。ありがとう! 正邪ちゃんには本当に感謝するよ』
ーー? 何かおかしいな。球磨川の周りの空気が急に
普通の人間であれば、
『だからこの痛みの恨みは』
この痛みの恨みをすぐに忘れて、
『君に迷惑をかけないように』
歓喜の涙を流し、助けてくれた相手に友情を感じて、めでたしめでたしなのだろう。
しかしーー
『彼らとは
ーー球磨川は最低である。
近々、球磨川君が『武装少女マキャヴェリズム』の学園で大暴れする短編を書こうと思ってます。よかったらそっちの方も読んでみてください。
……ちなみに球磨川君(改心後)でございます。お楽しみに!
*7月26日 補足 球磨川君の短編小説を投稿いたしました! ぜひご覧になってください!