グッドルーザーズ!! ~球磨川禊と鬼人正邪による反逆の学園生活!~ 作:ゼロん
「うーむ……むむむむ……」
「
本日の授業は終わり放課後。ショートホームルームも終了しD組の生徒はカバンに荷物をまとめ始めている。
現在、正邪は机の上で額に手を当てウンウン唸っている。そんな彼女を怪訝そうに見つめる
「何かないか……」
「へ?」
机から立ち上がり、悔しそうな顔で正邪は自分の机を叩く。
「球磨川を何とかして利用する方法はないものか……!」
「えぇ〜……」
『またロクでもないことを……』と針妙丸は呆れられずにはいられなかった。
「正邪……悪いこと言わないからやめときな? 絶対にアイツに関わってもロクな目に遭わないから」
「何を言ってんだ針妙丸! あんなに優秀な
ーー『
針妙丸はハァ〜っと大きくため息を吐く。呆れる針妙丸の様子に関わらず、正邪は野望に目を光らせている。
「……それにしても正邪。学園支配なんて言ってたけど、それ本気?」
「とーうぜん! 私のスキルと球磨川の凶悪性! この二つが組み合わされば敵なしだ」
「もう完全にその気になってるよ……正邪、幻想郷に戻る気は無いの?」
「戻ろうにも
ーー球磨川にあった時点で既に依頼は達成したのだが……一向に安心院が迎えに来る気配がない。おそらく彼女は他にも私たちに何かをさせたがっている。
「なら、しばらくは外で遊ばせてもらうさ。そんなことよりも球磨川を利用し尽くす良いアイデアは無いか?」
正邪はケラケラと笑いながら針妙丸の方を向くが、針妙丸はあまり彼女の作戦に乗り気では無い。
「……あったとしても言わない。勝手にやれば?」
当然だ。彼女は球磨川に一生物のトラウマを植え付けられたのだから。できるなら今後も絶対にかかわりたくない。
「ちっ……まぁいい。じゃあ
「
『どうしても聞いて欲しいのね……』と観念して正邪の近くの空いた椅子に座る針妙丸。
聞く姿勢を見せた彼女に満足し、正邪は堂々と作戦内容を語り始める。
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プランA:消しゴム
「あっやべー。消しゴムがー」
明らかに棒読みの悲鳴。隣の席にいる球磨川がわざと落とした消しゴムを拾う。
『僕が取ってあげるよ正邪ちゃん』
「おお、助かるぜ」
正邪が落とした消しゴムを渡そうと球磨川が正邪の方に手を伸ばす。
「ありがとう球磨川!」
『あっ……』
伸ばした球磨川の手を正邪の手が優しく包む。可憐な少女の手の柔らかい感触が少年の大きい手に伝わる。
「あとで一緒に消しオトでもやろうぜ!」
『ア、ウン。……ヨロシクオネガイシマス』
緊張しきってガチガチになってしまう球磨川。
ーーよし。オチた!
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「どうだ? 女である私の魅力をアピールしつつ、距離を近づける完璧な作戦だ!」
「……」
あまりのアホらしさに聞いた針妙丸の方がゲンナリしてしまう。もう言葉も出てこない。
「えーと……どっから突っ込めば良い?」
「どこがだ? 完璧な作戦だろうが」
これで男子のハートはイチコロだとバンと指鉄砲を打つ仕草をする。
ーーこいつアホか。
「な、なんだその顔は! いいだろう。じゃあこの作戦はどうだ!」
ーーまだあるのかよ。
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プランB:告白
屋上に球磨川を誘い、正邪は頰を赤らめながら球磨川に手を伸ばす。
「球磨川君! 私と付き合ってください!」
『うーんと……まず友達からかなぁ?』
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『計画通り』とニヤリと笑う正邪。
「流石の球磨川も好意を持っている女性に危害を加えようとは思うまい? ここから奴との距離を近づけていくという……っておい! 帰るな針妙丸!」
騒ぐ正邪を放っておいて教室からスタスタと出ようとする針妙丸。逃がさぬ、と出て行こうとする針妙丸の赤い着物を引っ張る正邪。
「まず断られてるし……失敗前提じゃん」
「何を言っている! 私の戦いは失敗から始まるんだ! ほら! 『私の戦いはこれからだ』というやつだ!」
「友達どころか『ごめん無理』って言われた場合どうするのか考えた? それにそのフレーズからして打ち切り臭がすごいよ?」
「くっ……!!」
氷のように冷えた目で針妙丸は正邪を見つめる。完全に論破され正邪はぐぅの根もでない。
「それにどっちの作戦も球磨川君と友達になろうとしてるし」
「そう! だから問題なのだ。恋人関係だったら、男を切り捨てるという手段も取れるかと思ってのものだったんだがな……」
「最低だね」
「それはどうも。私には最高の褒め言葉だ」
『いいから帰るよ』と針妙丸は正邪に帰宅を促す。正邪はとっくに準備を終えていたのかカバンを持ってすぐに教室から出てきた。
「まぁ……ちょっとした冗談だよ。なに本気にしてんだお前?」
正邪はハッと針妙丸をバカにするような目で見てくる。
「……正邪。恥ずかしいからってごまかしちゃダメだよ?」
ーー長い付き合いだからわかる。今の彼女の顔は特別恥ずかしい事を隠したいときにする顔だ。
現に心中を見抜かれ、正邪は動揺している。動じるあまり、焦りの色が顔に出てしまっている。
「はは……はぁ? べ、別に? こんなアホらしい作戦を本気でこの私がやるとでも……」
「そのつもりだったね」
『ははは、んな訳ねーだろ』と正邪は顔を見られないように針妙丸の前を通り過ぎていく。
「はぁ……やっぱりやめといた方がいいよ。球磨川君と関わってもきっと良いことないからーー」
針妙丸が忠告を言い終える前に一人のD組の生徒がこちらに走ってくる。
「た、大変だ!! うちのクラスの生徒に密告システムが!!」
ーー!!
D組教室、付近の廊下にいた生徒の表情が全員凍りつく。誰も時が止まったかのように動かない。
「……まーた生徒会のいぶりショーか。さてどこのバカがほかのクラスに喧嘩をふっかけやがったんだか」
「噂によると暴力沙汰を起こしたって。その上、密告されたのはあの転校生らしいぜ!!」
ーーマジかよ。
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『ふふふん、ふふん、ふんふーふん。ふふふん、ワンテュビウィナ〜♪』
その頃。球磨川は授業をサボり、寮の自室でジャンプを読んでいた。ちなみに今の彼は学ランは脱いで白シャツと水色の半ズボンというラフな格好だ。
一見、球磨川の部屋はどこも変哲も無い普通の部屋である。むしろ部屋の主の性格が出ているのか、どことなく清潔な感じがある。
『今週のネガ倉くんは面白かったな〜。後でコミックスも買っとかなきゃ』
「おい球磨川!!」
ドアが叩かれる轟音と共に甲高く荒々しい声が聞こえてくる。球磨川はジャンプを片手に居間から玄関に移動する。
『はいはーい! わぁお正邪ちゃん! 僕に何か用? 新聞ならお断りだよ?』
ドアを開けた先には仏頂面の正邪がいた。
「ちげぇよ。お前、自分が今どういう状況か、わかってねぇのか?」
『僕は今、友情と努力と勝利の尊さについて学んでる最中なんだけど』
「全くわかってねぇのな」
正邪は呑気すぎる球磨川にイラつき、自分の頭をかく。
「いいか、手短にいうぞ? お前は学園の秩序を乱す存在として生徒会にマーキングされちまってんだよ」
『ひどいなぁ、誰がそんなことを』
「他のクラスのやつだろうな。密告システムつってな、C組以上の生徒がもってる権利……事件を起こしたやつを片っ端から密告できるってやつだよ」
『いわゆるチクリシステムってわけかい? けど、僕は何も悪いことはしてないぜ?』
球磨川は心底興味なさそうにジャンプを開き始める。
「……言っとくがただの警戒態勢じゃねぇぞ? 無実だろうと何だろうと。チクられたからには生徒会のメンバーが黙っちゃいないからな」
『んー? 生徒会? それってすごいのかい?』
正邪はため息をつき、ジャンプを読み生返事をする球磨川の頭を無理やり彼女の方へ向かせる。左耳を思いっきり横にひっぱる形で。
「簡単に言えばアホみたいに強い
『いっってててたいたい!! わかったよ! まじめに聞くから!!』
「……密告された奴はそいつらからトラウマものの粛清を受ける、いわゆる異分子排除だよ」
球磨川の頭から手を離し、わかったか?と腰に両手を当てる。
『なるほど。要するに、この
「そういうこったな。で? お前はどうするつもりなんだ?」
球磨川は『うーん』と少しの間、顎に手を当てて考える。
『……。正邪ちゃん。襲いかかってくる生徒会っていうのは……みんな強力な
「ああそうだ。この学園の支配者、
『そっか』
球磨川は再び黒い学ランに身を包み、意を決した様子を見せる。乱れた髪を櫛で整え、決めポーズも忘れない。
『じゃあ、会いに行こっか! その生徒会って連中にさ』
急にやる気になった球磨川に戸惑い、正邪は目を見開く。
『もしかしたら……彼らの中に、僕の探している