グッドルーザーズ!! ~球磨川禊と鬼人正邪による反逆の学園生活!~   作:ゼロん

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『戦車』……正位置 勝利、積極性、負けず嫌い、制服、突進を表す。





第17話 生徒会を……私刑執行するであります。

 

『……あれ、正邪(せいじゃ)ちゃん。君まで行くことはないんだよ? 彼らがお呼びなのは僕なんだし』

「うっせぇ。気分だ気分」

 

 球磨川と正邪は寮を抜け、皇庭に向かっている。

 

『それと……針ちゃん。そんなに嫌なら、君だけ寮に戻っていてもいいんだぜ?』

 

 正邪のワンピースのポケットから小さくなった針妙丸(しんみょうまる)が顔を出す。たいそう機嫌が悪そうだ。

 

「……。正邪があなたに会うって聞かなかったのよ。正邪がいなければ誰がアンタなんかと……」

『おやおや、随分と嫌われたもんだ。僕は悲しいよ!』

「白々しい……ほんと、声を聞くのも嫌になるってくらい不快」

 

 笑う球磨川と心底嫌そうな顔をする針妙丸。二人の口喧嘩を尻目に正邪は足を止める。

 

「二人とも。どうやら向こうがこっちに来るって事はもうなさそうだ」

 

 皇庭の中心近く。目の前には生徒会庶務、百々 千太郎(どうどう せんたろう)が目つきを鋭くして笑っていた。

 

「自分の方からやってくるとは……いい心がけでありますな。球磨川 禊、それと……鬼人 正邪」

『違うよ? 僕は彼の弟の球磨川 雪(くまがわ そそぎ)だ。兄はまだ寮にーー」

「嘘は嫌いでありますなぁ!!」

 

 百々は一瞬で和服の袖に隠した木の棒を間もなく取り出す。

 

「……!! 危ねぇ球磨川!!」

『!?』

 

 正邪は球磨川を横に無理やり横に突き飛ばす。

 

 百々が棒を振るうと、大気が揺れ一直線上に衝撃が走る。進行方向にあった岩が真っ二つに切り裂かれる。

 

『正邪ちゃん……!?』

「……勘違いするな。お前にここでくたばってもらっちゃあ困るんだよ」

 

「はぁ……やっぱりお前、邪魔でありますなぁ」

 

 百々は正邪の方をギロリと睨む。正邪はとてつもない量の殺気に当てられ、一瞬怯む。

 

「どういうつもりだ? 生徒会っていうのは辻斬り集団かなにかなのか?」

 

「それはそこの男に聞くでありますよ。球磨川 禊! お前は角明学園のC組生徒()()に暴行を加えたであります。……よって! 自分が学園の秩序を乱す貴様をここで私刑に処するでありまーー」

 

 球磨川は百々が言い終える前に背後から奇襲。両手に持った二つの螺子が百々を貫

 

「なるほど、気配を察知させずに不意打ちとは大したものであります」

『!!』

 

 かなかった。百々は球磨川の一撃を隠していた箸で容易く受け止める。

 

「だが……それだけであります。最後まで言わせて欲しかったでありますがなぁ」

『決め台詞中に攻撃しないなんて誰が言ったの?』『僕が君の長話に』『最後まで付き合うと思ったのかい?』

 

「なるほど……肝に命じておくでありますよ」

 

 球磨川は後ろに後退し、百々も球磨川から距離を取る。ついでに百々は地面の砂を正邪の方へ巻き上げる。

 

「正邪!! 危ない!! 避けて!」

「何を……ッッ!?」

 

 百々が飛ばした砂利が勢いを増し、正邪に襲いかかった。紙一重に避けるも顔に擦り傷を負う。

 

 彼女が後ろを振り向くと、正邪の真後ろにあった木が……ハチの巣のように穴だらけになっていた。

 

「気をつけて正邪! あいつ……すごく危ない……!」

 

「今のはただの砂利じゃねぇな……まるで散弾銃だ。おい百々! どういうつもりだ!? 私はまだ問題行動を起こしていないぞ」

 

 正邪は百々の不可解な行動に荒々しい口調で抗議する。

 

「理由が必要でありますか? なら簡単に! 二つあるであります。貴様は先ほど自分の仕事を妨害したであります。もう一つは……貴様が全土様にとって邪魔と自分が判断したからであります」

 

 ーーなるほどね。おとなしくしていたのもあんまり意味はなかったってわけか。外の世界(ここ)でも幻想郷(なか)でも……私に安寧の居場所なんてないんだな。

 

「なるほど……私はここでも邪魔者ってわけか」

「……正邪?」

 

 正邪は顔を伏せ、ニヤリと笑みを浮かべる。

 

「……それはいい! 厄介払いなんていつものことだからなぁ!!」

 

 正邪はいつでも攻撃を避けられるように身構える。球磨川もニヤニヤと笑いながら螺子を構え直す。

 

『……角明学園D組所属 、球磨川 禊』

「同じくD組所属。鬼人 正邪」

 

「生徒会庶務! 『戦車』百々 千太郎!!」

 

 百々は手に持っていた棒切れを左手から右手に持ち替え、獲物を見つけた虎のように彼の目がより鋭さを増す。

 

「……生徒会を!! 私刑執行するであります!!」

 

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「おい! おい慶賀野(けがの)! 大変だ! 起きてくれ!!」

 

 金色に染めたリーゼント、もとい桜街(さくらこうじ)がD組寮、慶賀野の部屋のドアを激しく叩く。

 

 流石に起きたのか慶賀野がゆっくりとドアを開けて出てきた。

 

「コウジ君……。ごめんなさい。待たせてしまって。どうかしましたか?」

「……!」

 

 出てきた彼女は……余程重い病気だったのか、ひどい有様だった。

 

 いつもかけているメガネは外れかかっていて、綺麗な三つ編みはボサボサ。あまりの高熱で寝れなかったのか目元に真っ黒な隈ができている。

 

 顔面蒼白で、また倒れてもおかしくないような状態だった。

 

「慶賀野……! すまねぇ……けど今は緊急事態なんだ! 球磨川と……正邪が生徒会に!!」

「……!! 早く、早く行かな、うっ……!」

「落ち着け無理すんな。あの姉御が簡単にやられるわけがねぇ。……ひとまず人首先生のところに。きっとすぐに良くなるさ。姉御たちの様子を見るのはその後だ」

 

 桜街は慶賀野に肩を貸し、保健棟まで向かう。

 

「正邪さん……針妙丸さん……! お願い、どうか無事でいて……!!」

 

 

 =========================

 

 

「どうしたでありますか!? 避けるばかりではつまらないでありますなぁ!?」

「このっ……!! 調子に乗りやがって……!」

 

 ーー先ほどから私が必死に避けつつ、球磨川が奴の不意を突いて攻撃してるっていうのに……!!

 

 百々は球磨川の螺子を木の棒でいなし、袖に隠したシャーペンが暗器のように正邪の方にすごい勢いで飛んでくる。先ほど飛ばした砂利と同じ、またはそれ以上の威力が襲ってくる。

 

 ーーひっくり返して攻撃を跳ね返そうにも上手くできない……! やはり強力な分、不安定な私の過負荷(スキル)は連続では使用できないようだな……!!

 

『……うん、少し安心したよ。見たところ……安心院さんを倒せるほどの能力持ち(スキルホルダー)ではなさそうだ。やっぱり期待外れの大したことがないスキルだね』

 

「安心院……!?」

 

「ほう……たった()()()()()自分のスキルを測れた気になっているでありますか?」

 

 球磨川は怪訝そうに顔をしかめる。普段の無表情な球磨川とはまとう雰囲気が一味違う。

 

『それにしても……()()、か』

「球磨川? 何を考えている? 今は目の前のこいつに集中しろよ」

 

「ごちゃごちゃ言わないでかかってーー」

『はい、また油断した』

 

 気がつくと、百々の正面にはおびただしい数の螺子(ねじ)が雨のように迫っていた。

 

「……!! これは」

『僕が話してるからって攻撃されないと思った?』『余裕ぶってれば安全だと思った?』『僕が一度失敗したからって』『また不意打ちを仕掛けないとでも思った?』

 

 百々の両足に螺子が直撃し、身動きが取れない状態になる。

 

「いつの間に……!?」

 

『甘ぇよ』

 

 駄目押しにより多くの螺子を飛ばす球磨川。いくら百々の放つ攻撃が強力であってもこの数を全て叩き落とすことは不可能だ。

 

「……!? バカ、球磨川!」

 

 しかし百々は……ひどく冷静だった。

 

「言ったでありますよ? 貴様は測れた気になっているだけだと」

 

 今まで一度も抜いたことのない背中の竹刀に手を伸ばし……百々はそれを()()()振るった。

 

 

 竹刀が振るわれるのを球磨川が直視した瞬間……投げられた螺子ごと、球磨川の身体は半分に裂けた。

 

 

 

 




モンハン小説を書いていたら遅くなりました。
ミラボレアスの伝説を自分なりにストーリーにしてみました。よかったらそっちの方も読んでみてください。
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