グッドルーザーズ!! ~球磨川禊と鬼人正邪による反逆の学園生活!~   作:ゼロん

30 / 47
ちびキャラが作れるサイトがあったので、この作品のオリキャラを作ってみました!
第一弾は慶賀野、桜街、百々の三人です!

慶賀野ちゃんのキャラ絵は第4話にて公開!
桜街や百々君は次話が出たあたりで、公開します!
少しイメージがしやすくなるかも!

こんなん俺のイメージちゃうわい! って方ごめんな……!





第26話 正邪ボックス

 百々(どうどう)桜街(さくらこうじ)が退院した翌日。正邪(せいじゃ)は桜街、球磨川(くまがわ)針妙丸(しんみょうまる)。そして慶賀野(けがの)を引き連れ、空き教室の掃除をさせていた。

 

『で、正邪ちゃん。僕たちは何のために掃除をしているんだい? まさかただのボランティア活動?』

 

「球磨川じゃないが……さすがにこの広い教室をたった四人で掃除するとか……なにか理由があるんだろ、正邪の姉御」

 

「もちろんだ、この私がタダでこんなしんどいことをやるはずがないだろ。ただでやるのは自分の部屋の掃除ぐらいだ」

 

 正邪を含めた五人は各自ちりとりと雑巾を手に持ち、置いてあった机と床をきれいにしていく。

 

「うわっ! む、虫ぃ!」

 

「だ、大丈夫だよ、慶賀野さん! ただの蜘蛛だから! こほっ、こほっ……ここホコリっぽいなぁ。って、うわっゴキブリ!!」

 

 が、現在慶賀野と針妙丸の二人はゴキブリ退治に専心してしまっている。しまいには両手に殺虫スプレーを装備し、奇声をあげ一緒になって暴れ回る始末だ。

 

「おい、針妙丸! あんまり殺虫剤をばらまくな! ごほっごほっ! クソ、くっさぁっ!」

 

 殺虫剤の鼻を突くような匂いに、正邪はたまらず鼻をつまむ。一時掃除を中断し、全員空き教室の外へ。

 

「ったく……しばらく入れなくなっちまったじゃねぇか……。で、掃除の理由か?」

 

『あー肩が痛い』と正邪は腕をぐるぐると回した後、一枚の書類を取り出す。針妙丸は正邪から一枚の紙を受け取る。

 

「私たちがこれから使う教室を綺麗にするのは当然だろう?」

「え~と……なになに……これ、全土のお父さんからの手紙?」

 

 全土の父であり傀儡となってしまっている角明学校長の手紙。

 

 球磨川と正邪を除く全員が一驚し、針妙丸の方を向いている。

 球磨川の反応はというと……心底どうでも良さそうだ。教室の臭いがまだ残っているかを確認するため、扉の開け閉めを意味なく繰り返している。

 

『現生徒会の横暴が過ぎるというD組ほぼ全員の総意、確かに受領しました。鬼人正邪殿、あなたの提案である「新しき生徒会の設立」。一考の余地があると存じます』と、針妙丸は徐々に顔を青くして紙を読み上げる。

 

「こ、これって……」

 

 顔色が青を通り越して真っ白に近くなった針妙丸はゆっくりと正邪の方を振り返る。

 正邪は小悪魔のようにニタニタと笑って彼女を見つめている。

 

「姫様、続き続き」

「すごくいやな予感しかしないんだけど……」

 

『しかしながら急な体制の移行は混乱が生じるため、一ヶ月後の「生徒会選挙」において、全校生徒の投票で詳細を決定するというのはいかがでしょうか。それまでは新生徒会の設立及び活動に従事を。新生徒会の部屋は空き教室を自由に使ってください』

 

「これって……」

「……生徒会と全面戦争決定だな」

「ふ、ふわぁぁっ!? 正邪、正邪せいじゃぁ!?!?」

 

 針妙丸は正邪の両肩を掴み前後に揺らす。正邪の首が動きに合わせてガクガクと揺れる。

 

「何やってんの!? あんた絶対に何かしたでしょ!!」

 

「『全土ちゃんへ、屋上で待ってます』って手紙出しただけだけど? おかしいなぁ~、まさか挑戦と受け取られるとはね。ラブレターのつもりだったんだが、手が古かったか」

 

「嘘つけ!! 絶対に送ったのラブレターじゃないでしょ! どうせ生徒会のクレームでも書いたんでしょ!!」

 

「わかっているじゃないか。他のD組の生徒の苦情申し立てもついでにな」

 

『またか』と慶賀野と桜街は苦笑する。

 

「ってことはなにか、俺達はその『新生徒会』のメンバーってことで呼ばれたわけか」

「あぁ、その通りだ。咬ませ犬コウジ。お前たちはめでたく私の目に適ったってことだ」

「え、えぇっ!? こ、困りますよ。正邪ちゃん……」

 

 当然、正邪の作る『新生徒会』は現生徒会、全土一派が全力で潰しに来るだろう。球磨川と正邪達はともかく、慶賀野はただの一般人。とばっちりを喰らってひどい目にあってはたまらない。

 

 慌てて断ろうとする慶賀野に対し、桜街はむしろ気合が入ったようだ。拳を片手にあてやる気Maxだ。

 

「コウジ君、あたしはやめておいた方がいいと思うんだけど……あなたもそう思うよね? ね?」

 

「慶賀野、悪いが俺は賛成だ。もうこっちから狙いの『重力使い』を探す必要がなくなるからな。あっちの方から来てくれるんだったら好都合だぜ」

 

「う……」

 

 慶賀野は同じ反対者を探そうとキョロキョロと辺りを見回し、球磨川の方を向く。

 

 ――そ、そうだ! 面倒くさがり屋な球磨川さんなら……。

 

「く、球磨川さんも困りますよねぇ~……?」

 

 ははは、と引きつり笑いを浮かべて慶賀野は球磨川に助けを求める。

 

『ん? 僕はもちろん、喜んで参加させてもらうよ。その「新生徒会」』

「……え」

『正邪ちゃんがわざわざ声をかけてくれたんだ。仲間として断るわけにもいかないよぉ』

 

 球磨川はわざとらしい口調で、慶賀野が求めた助け舟が出向する前に沈める。

 あまりの驚きで慶賀野の眼鏡がズレてしまっている。

 

『それにしてもコウジちゃん、「重力使い」って聞いたけど……』

 

「ん? あぁ、『重力を操る』スキルの持ち主だ。この学園にいるのは間違いないんだがよぉ……」

 

『……ふぅん。興味深いね。一体そのスキルでどういったことができるんだい?』

 

「あ~……俺も全部はわかってはいねぇんだ。入学式の時含め二回喰らったことがあるってだけでよぉ。わかってるのは、一定の場所の重力を強くできるってことぐらいだな」

 

 身体が重くなって気がついたらペシャンコになっていた、と桜街は語る。

 球磨川はなるほどね、とあごに手を添える。

 

『要するに、周りの重力を重くしたり軽くしたりするってところかな。ドラゴンボールで孫悟空がやってた修行に使えそうな能力だね。地球の重力の百倍とかできたりするのかなぁ』

 

「……言っとくが、そいつは俺の獲物だ。誤って倒すなよ」

 

『やだなぁ、僕が勝てる前提で言ってもらっちゃ困るよ。会ってみなきゃどうにも言えないけれど……どちらにしろ、僕の勝てる相手じゃないよ』

 

『もちろん、その子の相手は君に任せるさ』と球磨川はコウジの右肩に手を置く。

 

『頑張って。勝てるといいね。コウジ君の勝利を、七夕に短冊でも書いて応援してるよ』

「このっ……!! 本当にムカつく野郎だな」

 

 震える手を抑え、桜街は球磨川をにらむ。球磨川は物怖じせずニヤニヤしている。

 

「おい、そろそろ臭いがおさまってきたぞ。掃除の続きだ」

 

 正邪の掛け声とともに針妙丸たちは『新生徒会』の教室掃除を再開した。

 

 

 ========================

 

 

「掃除も終わったことだし、役職決めをしようと思うんだが……」

「あ、あたしは入りませんよ、正邪ちゃん! もう帰りますから!」

「じゃあ慶賀野は会計係ってことで。イメージ的にそれっぽいし」

「勝手に決められた!? しかもイメージ!?」

 

『まぁ……数字は苦手ではないですけど……』と諦め半分につぶやく慶賀野を放っておいて役職決めは進んでいく。

 

「むろん、私が生徒会長だろ。球磨川は……副会長のポストを与えてやろう」

 

『ぼ、僕が!? ……ッッ、うぅ……なんて嬉しいんだ……!! そんな重要な地位につかせてくれるなんて……光栄だよ!』

 

 ハンカチを取り出し、涙を拭く仕草を見せる球磨川だが針妙丸は訝しげに彼を凝視する。

 

「本音は?」

『めんどくさい!』

「やっぱり……」

「ハイ、次! じゃあコウジ。貴様は……」

 

 正邪は指をピタリと止め、こめかみに拳をあてて考える。

 

「あ、姉御?」

「だめだ。お前に合いそうな仕事が思いつかん」

 

『明らかにお前、生徒会って見た目に見えねーもんな! 生徒会っていうのは僕みたいに品行公正でしっかりした人がやるべきだよ!』

 

「う、うるへぇ!! それにお前のどこが品行方正だよ! 出会い頭に螺子(ねじ)ぶっ刺してくるようなヤツのどこが!」

 

『ひどいなぁ、だれがそんなことを』と白々しくとぼける球磨川を無視し、桜街は『じゃあ』と言葉を続ける。

 

「俺は庶務職でいいよ。書記とか俺のガラじゃないし」

「そうか。じゃあ決まりだな」

 

 安心しきった様子を見せる桜街を逃さず、慶賀野はわざとらしく思い出したかのように言う。

 

「あ~! そういえばコウジ君って、昔習字教室やってたから字がすごく綺麗だよね~!!」

 

「け、慶賀野!! てめ、余計なこと言って……あ……ッ」

 

 ――さっき裏切ったお返しです。

 

 慶賀野は『ほら』と桜街のバッグから彼のノートを取り出し、広げて見せる。

 それを見た全員が驚愕の表情。

 桜街のノートは彼のイメージからは想像がつかないほどの達筆だったのだ。字だけでも美術作品にできるのではないか、というぐらいに字が綺麗だった。

 

「い、意外……!」

『ある意味見直したよ。コウジちゃんの字って、ミミズがのたくったような字のイメージだったんだけど。うわ、似合わね~……』

 

「うおあぁぁぁ! だからバレたくなかったのにぃぃ!! 絶対になんか言われるって思ってたからよぉ!!」

 

 桜街は慶賀野からノートを奪い返し、急いでカバンにしまう。恥ずかしくて涙目になっている桜街を正邪はバシバシと彼の背中を叩く。

 

「あ、姉御まで俺をバカにするのか!?」

 

「いや、お前がバカなのは元々だ。むしろ私は見直したぜ。さすが我が同士。周囲が貼るレッテルに反してそんな才能を隠し持ってるとはな。感心したぞ、コウジ」

 

「姉御ぉぉぉぉっ! 一生ついてきますぅ!」

「じゃ、お前書記に決定な。書記は字がうまい方が助かるからな」

「あっ、やっぱそうなるのね……」

 

 とほほ、と肩を落とす桜街。残るのは針妙丸の役職。

 

「あれ、ちょっと待って。残ってる仕事って庶務職しかない?」

「決まりだな。よろしく雑用係」

「ちょっと! なんで私は優先順位が低めなのよ!?」

 

 決める順番を最後にされ、不満な針妙丸。しかしそんな彼女に構わず正邪は話を先へ進める。

 

「で、票集めはどうするんですか? あたしたちのD組はまだいいとしても、全校生徒の4分の3は現生徒会に満足しちゃっている人たちなんですよ?」

 

「いや、満足しているのはせいぜいトップのA組ぐらいだ。少なくてもB組とC組は現体制のどこかしらに不満があるはずだ」

 

『中途半端なエリートに限って、自分より上がいるっていうのは気に食わないもんだからな』と言って正邪は一体どこから持ってきたのか、大きく立派な木箱を持ってくる。

 

『それは?』

「生徒の『新生徒会』への依頼を集めるための投書箱、つまり目安箱だ」

 

 正邪は目安箱をバンバンと叩くと自信満々の笑みを浮かべる。

 

「そもそも私たちはこの学校に来たばかりだ。まだここの生徒が何を望んでいるかなんて雀の涙ほどもわからねぇ。なら、ここにいる生徒の方から答えてもらえばいい」

 

「出す奴なんているのか? 誰が出したとか突き止められるのが嫌で使う奴なんていないんじゃないか?」

 

「むろん、匿名で出してもらう。どの道、出された手紙が書いた本人かどうかもわからねぇし、出した奴の秘密保持のためにもな」

 

「なるほど、私達『新生徒会』にやってほしいことを書いてもらって……それを解決し支持を得る……。正邪にしては考えたね」

 

「おい、針妙丸。私にしてはってなんだ? 私にしてはって。場合によっちゃあ、今日の夕飯抜くぞ」

 

『そ、それよりも!』と針妙丸は誤魔化す。

 

「もうそこまで決まってるってことはさ、なにか目安箱について相談したいことがあるんだよね?」

 

「そうだ。すごく大事なことだ。この場で話し合わなければ。この目安箱自体が無価値になるほどの重要度だ」

 

 教室にいる全員が正邪の出す議題に対し、息を呑む。正邪はすこし溜めて言葉を続ける。

 

 

「この目安箱の、『名前』だ」

 

 

 正邪以外の全員が問題の小ささに顔を下におろす。そんなみんなを気にせず、正邪はぴらりと紙きれを取り出す。

 

「いくつか候補を絞ったんだが……」

 

 ――め、めっちゃ真剣に考えてるー!!

 

「『正邪ボックス』とかどうだ!」

 

 意気揚々と練りに練ったであろうアイデアを暴露する正邪だが、みんなの反応は彼女が思っていたものよりもかなり辛辣だった。

 

「せ、正邪ボックスかぁ……」

『……』

「わ、悪くないと思うんですけど……も、もっと……こう……」

「姉御、何にも言えねぇわ」

 

 そろって『ネーミングセンスがない』という意見だった。正邪は焦って第一候補から第二候補へ切り替える。

 

「や、やっぱり『レジスタンスボックス』で……」

『……』

「……うそん」

 

 正邪は衝動に任せアイデアをまとめた紙をクシャクシャに丸め、放り投げる。体育座りの姿勢になり、本格的にいじけ始める。

 

「……いいよ。おまえらで勝手に決めてくれ」

「せ、正邪ちゃん!? ごめんなさい! そんなつもりじゃなくて……」

「そうだ! 球磨川! お前は何がいいと思う?」

 

 慶賀野はなんとか元気になってもらおうと謝罪し、話をつなげようと必死になる桜街。落ち込む正邪になんと優しい世界だろうか。

 

『「箱」でよくね?』

「雑っつッッ! 却下だ!!」

「正邪ちゃん、復活はやっ」

 

 もう適当でいいよ、という態度が露わに出た球磨川。正邪はその場から立ち上がり、球磨川に意見する。

 

「大体なんだよ、目安箱の名前が『箱』って。せめて『目安箱』そのままとかの方がまだマシだ」

 

『ほら、今時の漫画の必殺技って案外シンプルな名前の方がウケがいいでしょ? 「ひゅっ」とか「斬」だけで表現するやつ。技名なしってやつだよ』

 

「おい、慶賀野。なにかいい名前はないか?」

『……』

 

 球磨川は正邪に相手にされず若干落ち込み気味。

 いきなりの指名にうろたえる慶賀野だが、なにか思いついた様子。『あっ!』と人差し指をあげて一つ思い浮かんだと見せる。

 

「正邪さんは反逆とか、何かをひっくり返すのが好きなんですよね?」

 

「ふん……性根もひっくり返っているのが私でね」

 

「じゃあ、この学園の名前とさっきのレジスタンスって言うのを利用して……」

 

 慶賀野は自分のアイデアを紙にペンで書き、穏やかな笑みと共に教室にいる全員に見せる。

 

「『革命ボックス』というのはどうですか?」

 

 ほぼ満場一致で正邪が設立した『新生徒会』目安箱の名前は、『革命ボックス』に決まった瞬間であった。

 




おまけ

「ほぼ……?」
『……』
「お前、本気でただの『箱』がいいって思ってたのかよ……」
『またはボックスで……』

――変わんねぇよ。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。