グッドルーザーズ!! ~球磨川禊と鬼人正邪による反逆の学園生活!~   作:ゼロん

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ダンガンロンパ書いてたら遅れました。すみません。
あ、これでもちょこちょこ書いてたんですよ(汗)?



第31話 自分のため、仲間のため

 アパートの階段を下り、針妙丸と球磨川は多目的棟へ向かう。

 

「……っていうか、なんでアンタまで来るの? 正邪以外とは慣れ合う気はなかったんじゃないの?」

 

『ひどいなぁ。僕だって一応「新生徒会」のメンバーなんだぜ? 仲間を心配するのは当然のことさ』

 

「……どうだか」

 

 白々しい球磨川の言動に針妙丸は眉をひそめる。

 

 ――ただでさえ慶賀野さんがいなくなっちゃって不安なのに。球磨川くんと一緒とか最悪以外の何物でもないよ。

 

「……それにしても、どういう風の吹きまわし? 『慶賀野さんが仲間だからだ』なんて。アンタみたいな人でなしに」

 

『おいおい、僕だからって何でも言っていいわけじゃないんだぜ、針ちゃん。――それに僕なんかを人でなしだなんて、人外の方に失礼だよ」

 

 ははっと笑って球磨川は針妙丸の前へ進む。

 

『僕は弱い者と愚か者の味方だ。見捨てるような真似はできないなぁ』

 

「……どうだか」

 

 そもそもこの男自体も、発言も全てにおいて胡散臭い。全てを嘘と冗談で塗り固めたような男だ。

 

 次に球磨川は真剣な顔をして針妙丸に言った。

 

『それに……慶賀野さんは、間違いなく過負荷側の人間だしね』

 

「慶賀野さんが……過負荷……? 冗談もほどほどにしてよ!」

 

 ――何を馬鹿なことを。慶賀野さんが球磨川と同類? バカも休み休み言え。

 

『あっそ、まぁ針妙丸ちゃんがそう思いたいなら、そう思うといいよ』

 

 球磨川は意地悪な笑みを浮かべて、針妙丸に横顔を向ける。

 

『けど……あんまり彼女を信用しない方がいいと思うよ? 過負荷なんて信じても、痛い目見るだけだから』

 

 クスッと微笑み、球磨川は口元を三日月のように尖らせる。

 

 ――瞬間、針妙丸の背中に怖気が走る。

 

「……そうね、あなたに関しては全く信用しないでおく」

 

『……あれ? そういう風にとる?』

 

 針妙丸は馬鹿げていると球磨川の忠告を一蹴する。

 

『……。ま、別に気にしなくてもいいよ。これはあくまで、「学生生活の先輩」としてのアドバイスだから。「効くも効かない(聞くも聞かない)」も、キミの勝手だ』

 

「ごちゅーこく、どーもありがとうございました、()()()()先輩」

 

『……下着泥棒』

 

 以降、 がっくしと肩を落とした球磨川と針妙丸は道中黙りながら、目的の多目的棟に向かったという。

 

 

 ▲▲▲

 

 

「お~い! 慶賀野、学校行くぞって……あれ? どうして姉御が……」

「……コウジか」

 

 正邪は慶賀野の身に何が起こったかを簡単に説明する。

 

「……マジか。だったら早く行かねぇと……姉御は行かないんですかい?」

 

「私がぁ? やだやだ。どうせ敵の罠なんだろ? だったら飛び込んでいくこたぁねぇよ。人質なんて気にしてられるかってーの」

 

 ――ま、どうせこいつも、私に行け、とせがむんだろーがな。

 

「わかったっす。俺は行くんで、姉御はゆっくり部屋で休んでいてください」

 

 桜街が口にした予想外の答えに正邪はポカンとなってしまう。

 

「お前は行けとは言わないんだな。私に」

 

「はい。最近俺らは姉御を頼りすぎてますから。たまには休みたいときもありますよね?」

 

 ははは、と桜街は苦笑し玄関の方へ歩いていく。

 

「姉御は……いつもそうでしたよね。何もできなかった俺達をいつも『お前ならできる』って、『一緒にやろう』って引っ張ってくれて。俺も……いつも頑張ってる姉御にたまにはいい所見せたいんすよ」

 

「……」

 

「姉御、ここで大人しく待っててください。今回は俺達三人がビシッと決めますんで」

 

『けど、今回もどうせ球磨川の手柄かな。トホホ』と少し残念そうにうつむく桜街は、扉をくぐり、球磨川達の後を追いかけて行った。

 

 ――『行こっか。針妙丸ちゃん』『今回は大人しく待っていてください』

 

 つい先ほど言われた言葉が正邪の頭の中を駆け巡る。

 

「ちっ、なんだって言うんだよ。全く……」

 

 どうしてお前らは、そんなに他人の心配をするんだ。

 

 ――仲間など、利用しない限り足かせになるだけじゃないか。

 

「あ〜……邪魔くさい邪魔くさい。ほんと、世の中上手くいかない事ばっかだよなぁ……」

 

 頭の中で毎朝の光景が浮かぶ。嫌々なったとはいえ、仮にも生徒故に学校に向かう日々。

 

『正邪ちゃん! 今日も学校行きましょう!』

 

 ――そいつは大体はコウジと一緒に、ある日は一人でも部屋にやって来やがった。

 

「ほんと、マジでクソだ」

 

 針妙丸を置いて行くときは、正邪と彼女二人で登校する日もあった。

 

 針妙丸目当てではないというのか。

 

『えっ? 一人で行けって? 嫌ですよ。アタシは、正邪ちゃんとも行きたいんです』

 

 ある日、どうしてかも聞いた。

 

『何でって……。うーむ、答えるのは難しいですね。友達……だからですかね? 強いて言うなら、なんとなくです。なんとなく、一緒にいて欲しいんです。一緒にいて楽しいんです。正邪ちゃんも、針妙丸さんも」

 

 もし自分たちと会えなくなったらの話もした。

 寿命も、帰る場所も妖怪である自分たちとは違う。

 

『正邪ちゃんが天邪鬼? 知ってますよ、もう』

 

 ――多分、絶対にわかってない。完全に性格の意味でしか見ていないだろ。

 

 彼女らは人間である。死であろうと帰郷であろうと……避けられない別れは、いずれやってくる。

 

『……ちょっと寂しい、かな。――ですけど、一瞬一秒でも、一緒にいたい。共に時間を過ごせる今が、一番大切だと思うんです』

 

「……」

 

『ですから、アタシ毎日迎えに行きますよ! ……もっともっと、針妙丸さんや正邪ちゃんと一緒にいたいです』

 

「……ったく」

 

 ――変わり者だな。天邪鬼の私と一緒にいたいだとか、一緒にいて楽しい、だとか。

 どんなドMだよ。悪口で頭叩かれたいのか?

 

『コウジくんも……多分アタシと同じ気持ちだと思います』

 

「天邪鬼なら、ここで敵に裏切ったり、一人で助けに突っ走ったりするんだろーがな……」

 

 ――本当に変わり者だよ。お前らは。

 

「……まったく丸くなったもんだ。――私も」

 

 そして正邪は一旦自分の部屋に戻り、布団を干してから、

 

 

「――さて、これで()()()()()は済んだな」

 

 

 また外に出たのであった。

 

 

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