グッドルーザーズ!! ~球磨川禊と鬼人正邪による反逆の学園生活!~ 作:ゼロん
革命学園の実質的支配者、全土の直属の組織『生徒会私刑執行部』
その一人であり彼の右腕である寒井美紀は、球磨川と正邪主催の組織『新生徒会』のメンバーの一人、慶賀野を連れ去ってしまう。
果たし状の通り多目的棟に到達し、以前同じ建物に関する依頼をした女子生徒、手子生丸々と男子生徒の次木要二と出会う。
早速、美紀に不意打ちを仕掛けた球磨川はやられてしまい……針妙丸は絶体絶命のピンチ。そこに現れたのは『新生徒会』会長……
鬼人正邪だった……と。
「へぇ……あんたが鬼人正邪。
「ここであったが百年目! さぁ、私様のところまで登って来なさい!!」
「さ、帰るぞ」
「……え?」
正邪は挑戦に応じず回れ右。針妙丸と一緒に寮の方へ戻っていってしまう。
「ちょ、ちょっと!? まだこっちには人質がいるのよ!?」
「悪いが、ドラマの再放送があってな。あんたの挑戦はまた今度な」
「ど、ドラマって……あんた……本当にそれで」
「うっせーなぁ。オメーの家がどうか知らねーが、ウチのテレビには録画機能ついてねーの。生で見るしかねーんだよ」
狼狽する美紀を相手にせず、正邪は平然と敵前逃亡。
「お前も来い球磨川……って、うわぁ……スプラッタじゃねぇか。一応身体だけ……針妙丸。おまえ運べ」
「えぇ!? ヤダ!」
「お前なぁ……こんな時だぞ?」
「あぁ、もう! わかったよぉ!! 球磨川くんには絶対後で文句言ってやる……」
『うぇ』と嫌がるつつ頭の無くなった球磨川の腕を掴んで引きずる針妙丸。
そして全速力で走る正邪のあとを追う。
「な、なんてやつなの……人質を置いて逃げるなんて……」
「あ、あの〜……」
油断をさせる為の作戦かと思い、警戒を緩めず様子を見る美紀の足に誰かの足が当たる。
そのことに少しイラッときた美紀。
「なによ! 今ちょっとお取り込み中なんだけど!?」
「そろそろ、あちしを解放してもらえませんでしょうか……」
「……はっ!? 」
先ほどまで
「あ、あぁっ!!」
いつのまに!? た、確か……
『あいつのスキル「
──これが千太郎っちが言っていた、鬼人正邪のスキル……!!
二つの物の位置や場所のひっくり返し。
……そんなことまで可能なのか。
「
もたついている間にも正邪と美紀のいる多目的棟との距離はどんどん離れていく。
「ぐぐぐ……こうなったら、備えあれば嬉しいプランBに変更よ!!」
寒井はパチンと指を鳴らし合図を出す。
「バレたか! だがもう遅い! こんなもうこんなに距離が離れてお前になにができるっていうんだ!?」
正邪は得意の逃げ足ですぐさま多目的棟から離れていく。針妙丸も彼女に続いて走る。
「悔しければここまで来てみやがれ、バーカ!!」
「……残念でしたね。コスプレ新会長」
正邪の目の前にタレ目の少年が迫る。
「次木くん!?」
「いいっ!? はやっ──」
「──じゃあね」
何を思ったのか、正邪と針妙丸に向かって次木は手を伸ばす。
そんな中……正邪は、
「くっ、どけっ!!」
──隣に居た針妙丸を横へ突き飛ばした。
「……ちぇ」
「残念……だったな。お前が捉えたのは私だけだ」
だが次木の左手は……確実に正邪の足を掴んでいた。
「ま……いいよ。ボクの、目的は……きみだし」
次木がそう言った瞬間、彼の触れた正邪の足が石化する。
「なーーか、体がーー」
「せい──!!」
「まずひとぉり……」
触れられたところから徐々に石に変わっていく。彼の能力の影響は肩にまで及び、首から下は石になりかけている。
「なんでだろーなぁ……こいつやお前を囮にすりゃ逃げ切れたってのに」
まだ動く首で正邪は石と化した自分の腕の中で眠る慶賀野を見る。
「……ぁ」
そうしてため息をついて……
「ほんと……邪魔だよなぁ。おまえ」
次木の能力が首にまで侵食しやがて正邪は完全に石になる。
「……やっぱ石化シーンってそそるなぁ……。この状態で持つとずいぶん軽くなるし……。くく、くくくく……っ」
「次木……くん……!?」
「あぁ……そうだ。言ってなかったね、す、少名さん。ボクは……革命学園の誇る? 一番の嫌われ者の
「し、『死神』……アルカナ
「さ、
「ひっ──」
信じられない豹変っぷりだ。黒髪で隠れている目が爛々と光っている。
「じゃあね。また今度会った時には握手できるといいなぁ……」
二人とも次木にズルズルと引っ張られて行ってしまう。
「功名さん!! 正邪ぁ!!」
「ナイスよ、次木。……あとでたっぷり褒めてあげるからねー!!」
針妙丸は彼を追いかけようとするも、思ったより次木の足が早くて追いつけない。
「しししっ。人質が二人に増えて倍々ボーナスってとこかしら? じゃ、私様は最上階でお茶でも飲んで待ってるから」
「ま、待って!」
「言われなくてもちゃんと待つって。……『最上階』で、ね♪」
『ばいならー』と言葉を残し、寒井は屋上の扉の向こうへ消えて行ってしまった。
一カ月も間が空いてしまいました。
ようやく重かった筆が動きました……。お待たせです。