グッドルーザーズ!! ~球磨川禊と鬼人正邪による反逆の学園生活!~ 作:ゼロん
おひさです。ゼロんでございます。新年あけましておめでとうございます。
もう2月ですがな。
忘れているといけないので、ちょい筆慣らしに。
時間軸的には2章と3章の間ぐらいです。
下もあるので気になる方は。
グッドルーザーズ 短編日常集
『いつもの登校風景』
普段の登校時、
生徒会の一味を退けた正邪は校内では有名人だ。
「見ろよ……鬼人正邪だ……」
「
正邪は満足げに群衆の合間を抜け、堂々と胸を張って教室へ向かう。
「ふっふっふ……どうやら、この私の悪名もこの世界に広まりつつあるようだな……」
「いやまぁ、ここの生徒の中でだけどね」
正邪が鼻を高くしている間に周りの空気も一変していく。
「けど、百々さんを倒したのは、同じD組の
「まじで? じゃあ正邪はいいとこどり?」
だんだん雲行きが怪しくなってきたので、慰めるべく針妙丸は正邪の方を向く。
「……」
「正邪。気にすることないよ? 正邪だって頑張ってたもん。ね?」
よく見ると、正邪は涙目になっていた。
「べ、べつに……別に悔しくなんかねーし!
手柄独り占めできなかったことなんて、そ、そんなの、ぜんっぜん気にしてねーし!」
「そっ。(あぁ……正邪が泣きそうだ)」
そんな正邪も可愛いと針妙丸は目を細めた。
一方木の陰から様子を見ていた球磨川は、今日は正邪に『ネガ蔵くん』のコミックスを貸してあげよう、と密かに想いを馳せるのだった。
「……僕は悪くない(……正邪ちゃん。がんば)」
***
『教室風景』
──ガラッ。
入ってきたのは学校カバンを持った鬼人正邪。
全員から視線を釘付けにし、あたりには緊張の渦が巻き起こる。
──ガラッ。
「おはようございまーす!」
入ってきたのは少名針妙丸。クラス全体に朗らかな雰囲気が漂い、男子だけでなく女子も彼女に暖かい眼差しを向ける。
それはまるで成長が楽しみなひな鳥を見るような心境で──
──ガラッ。
その雰囲気を断ち切るように入ってきたのは、
クラスのみんなからは、なに雰囲気ぶち壊してんだ、ゴラァ、と冷たい視線を注がれる。
「なにガンつけてんだ。オレのヘアスタイルは見せもんじゃねぇぞ」
そっちじゃねぇ、と全員心の中で思いつつ、舌打ちをする。奇跡的に全員同時の舌打ちだ。
「……んだよ、この敵意丸出しの雰囲気。オレ何もしてねーっつうのに」
「おぉ、コウジ。おそよう」
「アネゴ! おはようっす! なんスカ、おそようって」
「ふふん。世間ではお早いお着きでという由来から、朝にはおはようと言う。
──だが! この私が世間に反逆するべく考えた挨拶! 遅いお着きで、おそよう、だ!」
「わけわかんないっすけど、イカすっす!!」
「だろう?」
朝から訳の分からない会話が展開され、針妙丸以外のD組生徒は愕然とする。
「そ、そうなんだ……そんな挨拶があるんだ……知らなかった。私もまだまだ世間知らずだなぁ……」
まただ。混ぜちゃダメあの二人。
少名さんも鬼人さんの言葉に納得しちゃダメだよ!?
と、様々な思惑が飛び交うが、こんなのは序の口。──むしろ本番はここから。
ヤツが、来る。
──ガラッ。
来た。正邪たち以外のD組の皆は例の人物の出現に身構える。教室の入り口から現れたのは、
「あ、皆さん。おはようございます」
全員の肩の力が一斉に抜けた。
なんだ、
「……え? みんな、どうしたんですか?」
D組生徒の一人が安心して慶賀野に近づく。
「いやぁ〜てっきり球磨川かと……」
『──ん? 僕がどうかしたかい?』
「(フェイントかよぉぉぉぉぉぃっっ!!)」
球磨川が来ると──教室は一気に静かになる。
『おはよう、正邪ちゃん! あとその他の人々!』
「あぁ、球磨川か。おそよう」
「誰がその他よ!」
ふつうに挨拶する正邪と球磨川。彼に向かって怒鳴る針妙丸。
『すっかり静かになっちゃったね?』
その三人以外は静まりかえり、視線すら球磨川に向けようとしない。
それらを眺めて慶賀野と桜街は思った。
──いかに球磨川が避けられてるかわかるなぁ、と。
……あと彼と普通に会話してる二人ってすごい。
***
『体育』
生徒会私刑執行委員メンバー……もとい敗残兵、百々千太郎は校庭、もとい皇庭に並んだD組生徒に告げる。
「ごほん。担任が本日休養のため、自分が代行を務めるであります」
「なるほど、嫌な役割を押しつけられたってところか。大変だねぇ(ニヤニヤ)」
『ほんと、窓際族って大変だよね』
「黙り腐れ、過負荷ども!! さっさと走れであります!!」
今回の体育はマラソン。全員が教育棟の周りを長時間走る。もちろん、正邪含め全員体操服に着替えている。
D組の全生徒が走り始めて一分も経たないうちに、正邪は百々の元へ。
「なんでありますか」
「怪我したから保健室」
百々は正邪の手足を見る。どこにもケガらしきケガは見当たらない。
「……怪我なんてしてないでありますが」
「一応確認はするのな」
「早く走れであります!!」
「あ、今ので精神的に怪我した。保健室に行くわ」
「お前、言い訳下手すぎであります」
──どんだけサボりたいんねん。
正邪が渋々列に戻った後、しばらくしないうちに球磨川が百々の元へ歩いてきた。
「球磨川禊。早く列に戻れであります」
『いや……ちょっと、さ』
またか。今度はどんな言い訳をするつもりだ。
『帰ってジャンプ読んでいい?』
「もう言い訳すらしないでありますか!!」
『いやぁ、僕って正直者だからさ』
「早く戻れ!! 戻って走れであります!」
『……走りながら読んでもいい?』
「器用だな……勝手にしろであります。
──ただし歩くな」
『わかってる、わかってるって、百々ちゃん。あ……』
「どうしたであります?」
『ジャンプ買い忘れちゃった。お、オラ、ジャンプが無くて力が出ないぞぉ……』
「──ドラゴンボールの孫○空かテメェは!!
……あぁ、もう! お前がもう一周走り終わる前に買ってくるから、さっさと走れであります!!」
『あ、百々くんもジャンプ系好き? 特にどこら辺が?』
「ちょうどフリーザ編あたりが……って、いいから走れ!!」
ちょうど球磨川が『ピッコロ大魔王編もいいよね!』と語り続けようとする前に、百々はコンビニへ向かって行った。
***
百々は走ってジャンプを買ってきた。球磨川も一周頑張って走った。
『サンキュー! 僕、もう一周くらいガンバちゃおうかなぁ!』
「……あれ……なんで自分、走っていたんでありましたっけ」
息切れしながら百々はふと疑問に思った。なぜ自分がこいつのジャンプなんぞを買いに行ってるんだ?
『……さぁ?』
「……。ええい、さっさと走れ!!」
『百々ちゃんって、もしかしてパシリ属性?』
数分後、戦闘以外のスタミナが皆無の球磨川はマジで貧血になり、保健室で週間少年ジャンプを読んでいたという。
あの……ええと、さくら……さくら……。
……劣等リーゼントでさえきちんと走っているというのに。
「調子狂うでありますな……あんなのをいつも相手している体育教師を褒めてやりたいでやります」
今度担任に何かおごってやろう、と百々が額に手を当てている間に、針妙丸がふらふらになって歩いてきた。
「……す、すみません。ちょっとクラクラしちゃって」
「ったく。水分不足であります。ほい、『いろはす』飲むであります(オレンジ味)」
百々に渡された水(ボトルに口つけてない)を飲んだ後、針妙丸はありがとう、とお礼を言って列に戻っていた。
すると今度は慶賀野が仰向けに勢いよく転んだ。
「ったぁ……い」
慶賀野の膝に大きなすり傷ができ、そこから血が足を伝って流れている。
「……」
百々はその場を立ち上がって慶賀野の元へ。
戸惑う慶賀野に肩を貸し、蛇口のある場所まで運ぶ。
「ほら、さっさと水で傷口を洗うであります。その次は応急処置でバンドエイドを……」
その横で呑気にお茶を飲む正邪。
「……お前、乱暴なくせに面倒見いいんだな」
「てめーはさっさと走りに戻れであります!!」
ちなみにこの後、保健室に行った慶賀野にジャンプを読んでいることをチクられた球磨川は、正邪と一緒にさらに走るハメになった。