グッドルーザーズ!! ~球磨川禊と鬼人正邪による反逆の学園生活!~   作:ゼロん

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今回はすごい短めですっ。
次回の話の構成上、次がその分長くなります!

前回見直すと、誤字脱字が多かったぜ!
てかタイトルがバグったぜ! ごめんな!




第38話 過負荷vs過負荷 その2 悪魔の化学実験

 球磨川が足元に刺した螺子。

 そのいくつもの切っ先が床を通り、床から生えたいくつもの螺子が掘削機のように手子生の身体を穿つ。

 

『それで——————————さっきの分はチャラだ。友達同士、許しあわなきゃね』

 

 そう彼は先ほどと変わらぬにこやかな表情で告げる。

 

『ほら! 殴り合うことで生まれる友情ってね!』

 

 ……やはり球磨川も危険だ。

 針妙丸の警戒は手子生と共に球磨川にも向く。

 

「……けど助かっ」

 

「──────なぁぁぁあぁに、勘違いしてんの針妙丸ちゃん。それに禊サァマァッ」

 

『!!』

 

 が──────

 

「あちきのバトルフェイズはまだ終了してないゼェ!!」

 

 螺子は手子生の身体を貫いてなどいなかった。

 螺子は地面から出た瞬間、粘土のように形が歪み、原型が残らぬくらいドロドロに溶けたのだ。

 

「さっきの台詞。同感だね。友達はゆるしあわなきゃあだね。あちきへの報復も————————————これでチャラだ」

 

 そして、球磨川はがっしりと握られた自分の手へと目をやる。

 

『っっっ!? ──────ぁぁぁーーーーーっ!!!』

 

「『悪魔の化学実験(デビルズケメストリー)』」

 

 球磨川の右手が一瞬でドロドロに溶け、かつて()()()()()()()()()が床に異臭をばら撒きながら溶け落ちる。

 

「それがあちきの持つ学園最悪の過負荷(マイナス)。よーーーくその手に刻みやがれよ、このダボがぁ〜!」

 

 溶け落ちた腕を、無事な方の手でおさえ球磨川は悲鳴をあげる。

 

『う、裏切ったな……ひどいよ手子生(てごまる)ちゃん! 僕は信じていたのに!』

 

「──────おぉ聖書は言っている。騙される方が悪い。騙す方はもっと悪いってさ……きひひっ!」

 

 ……言ってないだろう。脈絡なしになぜ聖書出てきた。

 針妙丸は半分くらい呆れる。

 

「……あと裏切り者って球磨川くんが言えるセリフだっけ?」

 

「くくっ……同感。友情を反故するような奴にロクなのはいないねぇ」

 

「だまし打ちしたあなたがそれを言う!?」

 

「きははっ!」

 

 もうこの頭のおかしな連中といると思考が一周回って冷静になるらしい。

 球磨川くんの場合、不意を突かれても何も言えない。自業自得とも言える。

 

「…………しかし全身をドロッドロに溶かすつもりだったんだが…………この野郎、手を引いて被害を最小限にしやがった……」

 

 手子生は針妙丸にしか聞こえないくらい小さく……しかし恐ろしい内容を呟く。

 

『……手子生ちゃん。君の持つそのスキルについても、詳しく教えてくれるかな? ……僕、正邪ちゃんに協力するのもあるけど、君たち能力持ち(スキルホルダー)の能力についても興味があるからね』

 

 それにしても球磨川禊。

 

『……そう。安心院さんを殺せる能力なのかは……まぁ、期待はしないけど』

 

 右手が溶けたというのに何という精神力か。普通ならもっとパニックになってもおかしくないのに。

 

「いいよ。ただし──────テメェが死んだらだけどなぁ!!」

 

 手子生はエアコンのリモコンを持ち、スイッチを入れる。

 理科室の全方向からエアコンが一斉作動。

 

 エアコンから出る風は集中的に球磨川の方へ向かっていっている。

 

「流石にコレはあちきも危ないな」

 

 防毒マスクを装着し、手子生はエアコンから吹かれた風に手をかざす。

 

「『悪魔の化学実験(デビルズケメストリー)』——————三フッ化塩素」

 

 球磨川へ向かう風の色が一変。

 風の色が……徐々に淡い黄色になり、ツンとくるような臭いが辺りに広がる。

 

『──────ぐ、……ぁぁぁぁっぁっ!?!?』

 

「きはっ! どう? 禊サマ! 三フッ化塩素の心地はぁ! ……『チオアセトン』なんかよりもはるかに危険な化学物質だよぉ!?」

 

 三フッ化塩素。簡単に言えば、毒ガス。

 少し吸い込むだけでも息苦しさや喉の腫れに苦しみ、触れるだけでも重度の火傷を負ってしまう。

 

「っ!? ぁぁぁ……!! 痛い……いだっ……あぁぁっ……!!」

 

「きはははっ! 同感っ! 同感だよ、少名ちゃん! けどさぁ……調節した量とはいえ、集中的にそれを浴びてる禊サマはもっと辛いだろうなぁっ……っあ!? ……ぐっ!?」

 

 そして、うずくまっているのは球磨川や針妙丸だけではない。

 

「……あぁぁちきしょう。痛い……痛い……! クソが……! 禊サマ、まだイカねぇのかよ、こんだけやってるっていうのにしぶてぇな……!!」

 

 よく見ると、手子生の手がボロボロだ。

 手の皮膚が酷く焼けただれ、大きな火傷を負ってしまっている。マスク越しに崩した彼女の息遣いの荒さがわかる。

 

 ────────これは演技じゃない。

 本当に痛がっている。

 

 球磨川を集中的に包む黄色の煙が自然消滅する。

 

『……なるほどね。さっきの化学薬品の説明……それにその防護マスク。なるほど、君のデビルズなんちゃら……たしかに恐ろしいスキルだ』

 

「きはっ! おいおい、あちきのスキルの名前くらい覚えてから死んでけよ!? ほら、デビルズケメストリーだ! ほら! あちきのスキル名を言ってみろ!」

 

『……ごめんね。記憶力は良くない方だからさ』

 

 息苦しそうにゴホゴホと咳き込みながら球磨川は笑みを絶やさない。

 

『「酸素を操るスキル」……たしか、水槽学園でもそんなスキルを持つ人がいたっけ……けど、手子生ちゃんのはもっと厄介かも』

 

 仮にも……世界中の酸素を無かったことにすれば、酸素は操れなくなり、その能力持ちは無力化されるだろう。

 

「酸素を、ねぇ……なるほどねぇ。勉強になるよ。きひひひっ」

 

『エアコンの風……学生が絶対に気軽には持てない危険化学物質……』

 

 だが、彼女のは『違う』。

 一つのものを無かったことにすれば、それこそ取り返しのつかない、それぐらい身近にあるものを操る能力。

 

『──────触れたものを好きな化学物質に変えられるスキル』

 

 そう言われ、『悪魔』はにぃっと嗤った。

 

 






タロットカード『悪魔』

正位置:裏切り、拘束、破滅、暴力。(なかには嗜虐心を示すものも)
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