グッドルーザーズ!! ~球磨川禊と鬼人正邪による反逆の学園生活!~ 作:ゼロん
球磨川ファンの皆さん、ごめんなさい。
『彼』の登場までもう少し待ってくださいね。
では本編どうぞ!
*7月26日 補足 球磨川君の短編小説を投稿いたしました! 作者ページからぜひご覧になってください!
「……じゃ!……せ……じゃ!……正邪! 起きて!」
「ぐっ……なじみは……!? ここはどこだ?」
「外の世界……みたいだね。幻想郷でも見たことがない景色だし……」
目覚めた正邪が周りを見渡すと、辺りには草木もない。目の前に正面の島に繋がる真っすぐな道が広がっていた。
よく見るとその道の先に大きな塔のそびえたつ人工島が見える。自分たちのいる道の端に行ってみるとその向こうには海が広がっている。
--どうやら私たちは大きな橋の上にいるようだな。
「そうみたいだな……ん? 頭の上に何か乗っかっているな……」
正邪は頭上に妙な感覚を覚え、手を伸ばし頭上にあった何かを掴む。
「これは……手帳?」
「生徒手帳だって。あ、私の分もある!」
開いた本の中にはそれぞれの手帳に正邪と針妙丸の写真がある。
「わぁ……きれいに映ってるね……」
--あの女、いつのまにこんなものを……!!
手に握っている生徒手帳をぐしゃぐしゃにしたくなる衝動に駆られる正邪だが、そこは手帳を持っているのとは別の腕を握りしめグッと堪える。
ここでこの手帳を無くしたらさすがに困ったことになるだろう。
中身をよく確認してみると一枚のメモがはさんであった。
『正邪ちゃん。針妙丸ちゃん。贈り物は気に入ってくれたかな? ちなみに二人の可愛い寝顔の写真もバッチリとっておいたぜ☆』
「うぜぇ……今時手紙に星マークなんて使うやつあんまりいないぞ……」
イライラしつつもメモの内容を読み進める。
『角明学園では制服は指定されてないからそのままの恰好で大丈夫だよ。あと一時間後に入学式が始まると思うから、教室棟のそばにある
--皇庭って……校庭じゃなくてか? 名付けた奴、ネーミングセンス皆無だな。
「あの……すみません……新入生の方ですよね?」
「あ?」
突然後ろから呼びかけられ、つい殺気を向けてしまう正邪。
先ほど呼びかけたであろう生徒が腰を抜かして怯えている。
「あ、あわわわ……ご、ごめんなさい! 待って、殺さないで! ただ道が正しいかを聞きたかっただけなんですゥ!!」
「知るか、道端の草にでも勝手に聞いてろ、そんなもん」
「こら正邪! ごめんなさい……うちの正邪が迷惑かけちゃって……」
針妙丸が対応の悪い正邪を押しのけ、腰を抜かした女子生徒に手を伸ばす。
「い、いいえ、あたしの方も……知らない人なのに馴れ馴れしかったですよね……」
針妙丸の手を取り名無しの女子生徒は立ち上がる。肩にかかった茶髪の三つ編みが立ち上がる際に大きく揺れる。
--よかった。この人、いい人みたいだ。
針妙丸は外の世界で初めて出会う人間が善良であったことを神に感謝する。
彼女は生まれも育ちも幻想郷育ちなのだ。旅立った先が悪人だらけの
……まぁ、友達を利用した挙句見捨てるような悪人がすぐ自分の隣にいるのだが。
「ううん、全然気にしてないよ。私は針妙丸。あなたは?」
「あ、あたしは……けがの、
三つ編みに赤枠の太い丸眼鏡をした黒セーラー服の少女は名乗り、針妙丸に対しおじぎをする。
礼儀正しい人でもあるようだ。
「功名さん、こっちが私の友達の鬼人正邪。正邪って呼んであげて?」
「はぁあああ!? 友達ぃ!? どこどこ? お前なんかにそんなのいたっけ?」
わざとらしくそこら辺をきょろきょろと見まわす正邪。
彼女の反応に功名は苦笑している。「はぁ……」と針妙丸はとぼけている正邪の様子にため息をつく。
「ごめん、いつもこんな風だから気にしないでね」
「あ……はい。正邪さん、面白い人ですね……えっと、ちなみにその角って……コスプレか何かですか? 服も……二人ともすごい特徴的だし……」
功名はおそるおそると正邪の頭の角に指をさす。
げっ、やっぱり聞いてくるよな、と針妙丸は困った顔になる。
--一体どう説明したらいいものか……
これから登校するというのに正邪が着ているのはリボン付きの矢印模様のワンピース。針妙丸は赤い着物に大きなお椀。どう見ても怪しすぎる。
いくら制服が無指定の学校とはいえ、格好が奇抜すぎだ。どこかのパーティー会場に行くのわけではないのだから……
「う、うん! そうなの! 変わってるでしょ~ははは……気にしないで! 角を付けてるのも……そう! 彼女のファッションなの!」
「ファッションですか……なんかすごいユニークなファッションですね……」
--笑ってるけど
なんとか正邪が妖怪であることと自分たちの服装をごまかすことにし、同じように苦笑いを浮かべる針妙丸。
ーー私たちは変人コンビということで彼女には納得させよう。
そんな浅はかな考えだった。
腹のすかせた狼でさえも逃げ出しそうな鋭い目つきで針妙丸をにらむ正邪。
ーー天邪鬼であるこの私をただの変人扱いだとッ……!!
「おまえ……あとで覚えてろよ……!」
「あ、それよりも功名さん! 角明学園の皇庭ってどこだかわかる? あの島のどこかに学校があると思うんだけど……正確な場所が私たちにも分からないの」
「え? あの島全部が角明学園ですよ?」
「え……」
「え?」
あまりにも非現実的すぎて二人は自分の耳を疑った。天邪鬼に小人と、存在していること事態、非現実的な自分たちが思うのもどうかと思うが……
学生寮以外にも島のあちらこちらに校舎やスーパーマーケットとおぼわしき巨大な建物が立っている。島の下側には居住区もあるようだ。
よく見るとケーブルカーやバスなども走っている。
--嘘だろ。あれ全部がか……!? 学校ってよりも学園都市じゃねぇか……
正邪はあり得ないものを見たような目つきで針妙丸の方を振り返る。針妙丸も正邪と同じ目つきで振り返り、二人の目が合う。
「えっと……功名さん、冗談は良くないですよ?」
「えぇっ! 冗談なんて言ってないですよ!?」
「……生徒手帳にも『校内の施設を生徒は自由に使用してよい』って書かれてあるな。それに地図を見てみろ……針妙丸、どうやらこいつの言うことは嘘じゃないみたいだぞ?」
針妙丸も同じく生徒手帳を開くとそこには学校の地図が書かれており、地図には眼前の島が書かれてあった。島の中心にある塔の側に皇庭がある。
「うそ……!?」
「やっぱり……あの安心院のことだ。まともな学校に私らを送るとは思ってなかったが……ここまでとはな」
「あの……二人とも……そろそろ行きませんか?」
話し込んでいる二人にしびれを切らしたのか慶賀野が声をかける。
二人はそれに気づき、彼女の方を振り返る。
確か入学式の集合時間は生徒手帳によると……十時半。
二人に示すように慶賀野が持ち上げた携帯電話には、はっきりとこう書かれていた。
ーー10:20