IS/Drinker   作:rainバレルーk

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第10話

 

 

 

やはり、リアルでツンデレはしんどい事が解った翌日の放課後。

俺は第三アリーナのピットでラファールちゃんのメンテナンスと実技練習をしていた。

 

「う~む・・・こう手入れをしていると、貸し出されているとは言え・・・愛着が湧きますなぁ」

 

俺の戯言に付き合う気はないラファールちゃんは無言を貫く。・・・いや、これで喋りかけて来たら、きょてーけんな。

 

「じゃけど・・・凰さん、上手くやっとるかのぉ? 我ながら・・・思い付きとは言え、無責任なアドバイスをしてしもうたかのぉ。なんじゃ『素直に冷静に』って、シンプルすぎじゃろう」

 

まぁ・・・相手は織斑の野郎じゃけん、どーでもええがな。

逆にまた勘違いして、凰さんにボコボコにされりゃあええ。阿破破破ッ。

 

「・・・アンタ、なに一人で笑ってんの?」

 

「あ?」

 

俺のニヤケ声が聞こえたのか、振り返るとなんとそこには凰さんが。

・・・なして?

 

「なして、凰さんこねーな所におるんよ? 織斑の方には行かんかったんか?」

 

「え・・・えっとね・・・その・・・」

 

口籠もる凰さん。

・・・フッ、なるほど。いざ言わんと会いに行ってみたはいいものの、土壇場でツンデレのツンが反応してしもうて、会えずにおる・・・つーとこかのぉ。

 

「フッ・・・ゆーなゆーな、皆までゆーな」

 

「えッ・・・」

 

わかっとるけん、心配すな。

まー、俺のアドバイスが我らながら無茶というのはわかっとったけんな。やらん方がマシっちゅうもんじゃ。

 

「・・・わかった。じゃあ、アンタもここに居て。もうすぐ、一夏たちが来るから」

 

「・・・・・・・・はいッ?」

 

・・・ちょっと待て、かなり待って、今なに言うたんじゃ?

『もうすぐ、一夏たちが来るから』? 凰さんや、君はなにを言うとるんじゃ?

 

「結局、あれから一夏に自分から会えなかったのよ。それで放課後、アンタがここを使うから行こうって、一夏が言ってるのを小耳に挟んで・・・それで」

 

いや、『それで』と違うで凰さん!!

俺、あの野郎にアリーナで練習するなんて一言もッ・・・・・あッ・・・。

 

この時、俺の脳内に浮かんだのはある人物だった。金髪ドリルのあの人物。

 

「(あ~のォ~お貴族様ァアアッ! なんて事やってくれとるんじゃあァアア!!)」

 

セシリアさんッ、あの人ホントなんなんな!! なんか、あの人楽しんどるじゃあないか?!!

 

「ッ・・・来たわね!」

 

「え?」

 

扉の方を向きながら声を出す凰さん。

3秒後、その扉からISスーツ姿の織斑と篠ノ之さんがアリーナに入って来た。

え・・・凰さん、君ってエスパーか何か?

 

「待ってたわよ、一夏!」

 

「ッ!?」

 

五月蠅ッ!

そねーに声を張り上げんでもええんとちゃうか、凰さん。二人も吃驚しとるで。

 

「貴様、どうやってここに!? ここは関係者以外立ち入り禁止の筈だ!!」

 

「問題ないわよ。ちゃんと清瀬には許可取ってあるから」

 

「何ぃッ!?」

 

ジロリッと俺を睨む篠ノ之さん。

いや・・・俺、そねーな許可出した覚えないじゃけど・・・言える雰囲気でもないし。

つーか、篠ノ之さん。その反応は裏をかかれたヴィランみたいじゃで。

 

「それで一夏・・・…昨日はごめん。急に叩いたりして」

 

「お・・・おう」

 

間髪入れずに織斑へ声をかける凰さん。

まさか、彼女からそんなしおらしい言葉をかけられるとは思っていなかったのか、ちと呆気にとられとる織斑。

ここから一気に畳み込む気か?!

 

「そ・・・それで・・・約束を思い出してくれた?」

 

「え、なにが?』

 

あッ、おえんわ。まだコイツ思い出しとりゃせんわ。

だが凰さん、グッと堪える。右手がわなわな震えとるが、堪えとる。

 

「約束よッ、約束!」

 

「約束ってあれだろ? 『酢豚を奢ってくれる』っていう」

 

「こッ、このッ!! すぅぅ・・・ふぅぅぅ・・・。だから違うのよ。アタシが言ったのは別の意味なのよ」

 

そうじゃ、深呼吸じゃ。

馬鹿・・・馬夏との戦いは忍耐勝負じゃ、落ち着け凰さん!!

 

「じゃあ、一体どんな意味があるって言うんだよ」

 

「それは、その・・・って、言えるわけがないでしょうが!!」

 

あッ・・・凰さんキレた。もうダメじゃ。

つーか織斑よ、ホントに何も理解してないんじゃな。お前、こういうんは雰囲気とかで察せるじゃろうがな。

 

「アンタ、日本人でしょうが!! ちょっと考えれば分かるでしょ!?」

 

「考えるって何だよ! 教えてくれりゃ良いだけだろ!!」

 

「大体何よアンタ、こんな簡単なことすらわからないの?!」

 

「だから、奢るのどこか間違ってるって言うんだよ!」

 

「奢るから離れなさいよ、この朴念仁! 頭腐ってるでしょ!!」

 

あ~ぁ、もう売り言葉に買い言葉じゃ。痴話喧嘩も甚だしい口喧嘩になっちもうた。

・・・もう、こりゃ止めた方がええな。

 

「待て待てッ、もう其処までじゃ凰さん!!」

 

「なによ、清瀬?!!」

 

「ガルルルルッ!」と言いそうなほどの形相を向けて来る凰さん。

いや、乙女がしてええ顔じゃないで。

 

「どーどー・・・落ち着け、落ち着け」

 

「アタシは馬か!!」

 

「織斑もじゃ、ムキになんなや」

 

「うッ・・・」

 

・・・つーか、なんで俺二人の喧嘩の仲裁をせにゃあおえんのじゃ。

『あんまり怒らないで、素直に』とアドバイスしたとは言え、ちぃーとばっかイラッとしたぞ。

 

「すぅぅ・・・ふぅぅぅ・・・分かったわ・・・ならこうしましょ? 今度のクラス対抗戦で勝った方が相手に何でも言う事を聞かせられるの! どうする?」

 

「おう、良いぜ。俺が勝ったら、約束の説明をしてもらうからな」

 

「せ、説明は・・・ちょっと・・・」

 

いや、急に乙女に戻るなや。テンションの上下が激しいな、凰さん。

 

「なんだ、嫌ならやめてもいいんだぜ?」

 

この阿呆ッ!!

オメェにそんな気は無いかもしれんが、言葉が挑発めいとるんじゃ!!

 

「誰がやめるのよ! アンタこそ、謝罪の練習しておきなさいよ!!」

 

「なんでだよ、馬鹿」

 

「馬鹿とは何よ!? この朴念仁! 超鈍感!! 耳腐ってんでしょ!!!」

 

ほれ見ぃ、怒ったみーの!

ホントにオメェは、碌な事言わんな!!

 

「なんでそこまで言われなきゃなんないんだよ!? この貧乳!!」

 

あッ、このおわんご―――――

 

ドグガァアアアアアンッ!!

 

ひィッ・・・!

凰さんの腕にはISが部分展開され、そのままアリーナの壁を粉砕してしもうた。

壁が、壁が抉れたでよ・・・! お、オッソロシイのぉ!!

 

「アンタ・・・覚悟してなさいよ・・・ッ!!」

 

「いや、今のは悪かった」

 

「『は』じゃないでしょ『は』じゃ! ずっとアンタが悪いんじゃないッ!!」

 

「あッ、ちょっ凰さん!?」

 

そのまんまアリーナから走って出て行く凰さん。彼女の目からは、頬をつたう光る何かが見えた。

なんか・・・アリーナの空気が重とぉなったで・・・。

 

「・・・俺、オメェの事やっぱし嫌いじゃで織斑」

 

「一夏、さっきのは言い過ぎだろう」

 

「な、何でだよ、俺だって非道い事言われたんだぜ?」

 

『だぜ?』と違うわ、この屑野郎。

ホントにオメェは一度、その顔面をマスクみたいに剥がされてみんと解らんようじゃのぉ。

 

「それより、清瀬。一緒に練習しないか?」

 

「・・・あ”ッ?」

「い、一夏ッ!?」

 

・・・確か、ラファールちゃんに近接戦闘用のナイフあったな。ホントにその顔面、剥いじゃろうかなぁ。

 

いや・・・なにを言うとるんじゃ、コイツマジで。

凰さん泣かせた次に言う台詞がコレって・・・コイツ、ホントに人間か? ターミネーターみてぇに生皮剥いだら、中身機械とかじゃねぇよな。

 

「オメェ実は中身、機械人間じゃなかろうな」

 

「は? 何言ってんだよ、清瀬」

 

いんや、それ俺のセリフー!

 

「清瀬、お前いつもセシリアか、のほほんさんとしか練習してないじゃないか。たまには俺とも関わろうぜ。学園に二人しかいない男同士なんだしさぁ」

 

「いやじゃー。誰がオメェみてぇな中身サイコパス野郎と練習せにゃあおえんのじゃ。俺の精神衛生上、悪影響しかないけんホントにヤメて、マジやめて」

 

こんな輩と関わっちゃあおえん。

完全なサイコパスじゃ、関わっちゃダメなヤツじゃッ!

あッ、でも立ち去る前に一言。

 

「篠ノ之さん、ホントにやめといた方がええでコイツ。絶対に君、苦労するで」

 

「えッ」

 

「? どういう意味だよ、清瀬? なんで箒が苦労するんだ?」

 

・・・もうホントに嫌じゃ、この阿呆。これじゃけん鈍感屑は嫌いなんじゃ。

早う部屋に帰ろう。あぁ、でもその前に凰さんを労わなくちゃあな。セシリアさんも呼んで、介抱してやろう。褒めてやろう。慰めてやろう。

 

「あぁ・・・俺、もう帰らァ。ものすんごく萎えた、萎えまくりじゃ」

 

「あッ。待てよ、きよ―――ジャキッ―――ッ!!?」

 

もうなんの躊躇いもなく、近づこうとする野郎へ撃鉄を起こしたライフルを向ける俺。

いくらISスーツが防弾素材だろうと、この距離からじゃったら確実に骨の一本か二本は砕けれるじゃろう。

 

「一夏ッ! 清瀬、貴様!!」

 

「そう殺気立つなや、篠ノ之さん。ただのジョークじゃ、ジョーク。・・・じゃが、それ以上近づいて来るなら、ジョークじゃすまさんがのぉ」

 

「ッ! わ、わかった清瀬・・・」

 

「・・・ッケ」

 

俺は身を引くダメバナ野郎を背にアリーナを出ていく。

アイツのせいで、ちょびっとしか練習できんかった。新しく装備した武器とかスラスターとか使って見たかったのにィイッ!!

 

・・・取りあえず、このあと俺は泣いている凰さんを電話で呼び出したセシリアさんと共に慰めた。

 

 

 

 

 

 

 

 





・・・・・・・・・・はい。という訳でリハビリ投稿でした。
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