IS/Drinker   作:rainバレルーk

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酔い覚まし:幕内・酔って狂乱、醒めて後悔
第119話


 

 

 

『化物語シリーズ』の〆場面に出て来る「後日談というか、今回のオチ」みたいな言葉を使わせてもらうと、今回の一件・・・巷じゃ、あの屑鉄スクラップから『ゴーレムⅢ事件』なんて云よーる襲撃事件は、無事に”後腐れもなく”「ゴーレム共を全滅に追い込んで終わり、チャンチャン♪」みてーな感じで終わった。・・・表面上はな。

 

物事にゃあ表もあれば、裏もある。勿論、此度の一件もじゃ。

今回の事で”裏”じゃと言われるんは・・・無論の事、糞忙しい乱戦の中でも元気に俺へ不意打ちを喰らわせて来やがった途方もないほど史上最低糞垂れおわんごのダメバナ野郎の事じゃろう。

普通じゃったら、事態が落ち着いた後にこねーなヤツの鼻と前歯と全身の骨と臓器を圧し折って潰してやる処じゃけども・・・俺は、”俺達”は此れを利用する事にしたんじゃ。

 

野郎の『故意』による不意打ちを『事故』による白式の暴走と云う形で有耶無耶にし、其の代わりとして倉持技研へ所属しとった簪さんを彼女の専用機である打鉄弐式ちゃん共々、俺らぁのIS統合対策部陣営へ引き込んだ。

今はまだ仮契約状態じゃけども、本契約になるのも時間の問題じゃ。

 

つーか元々、今回の襲撃事件があろうとなかろうと此方の口八丁手八丁に金と暴力で一人と一機をものにするつもりじゃった。じゃったんじゃけど・・・あのダメバナ野郎の御蔭で難なく簪さん達をスムースにハンティングする事が出来た。

阿破破破ッ。転んでもただは起きぬよ、俺は。

 

加えて・・・交渉役に立ってくれた金城さんが、思った以上に此れまたぼっこう優秀じゃった。

御蔭で、学園上層部との交渉によって世界初の男性IS適正者の不祥事を公表しない代わりに殆ど無傷の状態のゴーレムⅢを(解析と云う面目で)入手する事に成功したでよ。

其のせいでダメバナ野郎には何の処罰も与えられず、手に入れたゴーレムもたったの一体だけじゃったけども・・・其れを差し引いても値万金の大手柄!

此れでゴーレムⅢの中に入っとる”アレ”を大いなるガンダールヴで取り出した後、別のモンへ技術転用する事が出来るじゃあ!!

其れが出来れば・・・俺達は今一度、此の日ノ本を列強国へ成り上がらせる事が出来る。

阿比比、比破破破ッ! 楽しみで涎が出らぁ。

 

・・・じゃけど油断は禁物。『捕らぬ狸の皮算用』なっては適わん。

此の”計画”は慎重に慎重を重ねて、また”別の計画”で欺いた上で進めんとおえん。まだまだ我慢じゃ、我慢。

 

「清瀬くーん! ちょっとお願ーいッ!」

 

「へーい! 今行かぁ!」

 

・・・そねーな謀略(笑)を張り巡らせる俺は現在、作業服に身を包んで野良仕事に勤しみょーる。

 

 

 

 

 

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

 

IS学園にまたしても巻き起こったテロル『ゴーレムⅢ事件』が終息した二日後。

未だ生々しい傷跡が残る戦場となったアリーナ他各地では、事件に関わった面子による後片付け作業が行われていた。

 

「お、重い~!」

 

各々が体操服や作業服に身を包んだ状態で辺りに散らばった瓦礫や粉塵を運搬並びに清掃している。

特に瓦礫の運搬は骨のいる作業で、到底一人では運べない大きさのモノもチラホラ散らばっていた。

「ならISを使えばいいのでは?」と云った疑問符は勿論あるだろう。しかし、先の襲撃事件によって勝利を収めた学園防衛勢力だったが、戦闘に躍り出た大半の機体が多大で深刻なダメージを負っていた。

其の為、自己修復による完全回復が出来るまで学園では緊急時以外のIS禁止令が決行されたのである。

加えて機密情報漏れを防ぐ為、外部業者を呼べない事も相俟って片付け作業は意外にも難行していた。

 

「うわッ、うわわ!?」

 

「おっとッ。大丈夫か、布仏さん?」

 

けれどもそんな中にも使える人材はいるものである。

重い瓦礫の撤去作業に苦戦する本音に助太刀したのは、先の一件で知略と武功を立てた春樹だった。

彼は襲撃事件の際、乱心した一夏によって暴走状態へと陥れられ、皮肉にも自身の仲間達に鎮圧されて負傷したのであるが、其処は持ち前の異常回復力で前線へと復帰。率先して清掃撤去作業に従事していた。

 

・・・まぁ・・・本人としては、ゴーレムⅢ事件前に私設防衛隊ワルキューレを設立する為に生徒会権限を無断濫行使した事に対する贖罪であろうが。

因みに此の件は一夏の不意打ちの件と合わせて不問となった。

 

「ありがと~、きよせーん」

 

「構ん構ん。で、こりゃあ何処へ持ってたらエエんじゃ?」

 

「あっちだよ~、案内するねぇ~」

 

自身の専用機である琥珀が鼻風船を膨らませてはいるものの、持ち前のカラ元気でセカセカ動き回っては人手の足りていない所へ駆けずっては、春樹は手こずる生徒や教員達の助力に回る。

そんな彼を周囲の者、特に襲撃事件終息に関わった面々は好意的に感じているのであるが・・・・・

 

「あッ、清瀬くんだ!」

「ホントだ、清瀬くんだ。おーい!」

 

「あ~・・・どうも~」

 

其の中には、いつも彼に畏怖や軽蔑の目を向けている一般生徒も居た。

彼女達は作業を行う春樹に精一杯の笑みと共に手を振る。其れに彼は張り付けたような笑顔で手を振り返す。

しかして・・・何故にこの様な事が起こっているのか。其れは―――――

 

「ふっふっふっ。モテモテだね~、きよせん。まゆずみっち先輩の新聞もバカにならないね~」

 

―――ゴーレムⅢ事件終結後、号外として学園中へ張られた学園新聞が影響している。

勿論、作成並びに編集者はあの新聞部所属の黛 薫子だ。

彼女は「一体いつどこで撮ったんだ?!」と言わざるを得ないゴーレムⅢとの戦闘を切り取った写真と共に『来たぞ! 我らのヒーロー!!』と見出しで新聞を発行したのである。

 

「それに・・・見たよ~、今月号のインフィニット・ストライプス。なんだっけ~・・・ギデオンのゼロさんだったけ~? きよせん、かっくいー!」

 

加えて、時を同じ様に前回不覚にも受けてしまった雑誌の取材結果が発売されたインフィニット・ストライプスに掲載。見出しとしては、『二人目の男性IS適正者、其の仮面に隠された素顔は欧州の英雄だった!?』と云う夏のベルギーであったテロ事件を引き合いに出したものであった。

 

「やめれ、布仏さん。其の二つの御蔭で掌返し決め込んだミーちゃんハーちゃんから「連絡先交換しませーん?」って来るようになったんじゃけんな、勘弁してくれや。アイツらはいつも通り、織斑の野郎のケツでも追っかけときゃあエエんじゃ」

 

「・・・でも、本音は~?」

 

「満更でもない」

 

「うわ~、きよせんってば正直~。調子乗ってるから、ラウラウにチクってやる~!」

 

「えッ、なして!? 俺ぁ調子何ぞ乗っとりゃあせんでよ!!」

 

動揺する春樹に本音はしたり顔でケラケラ笑う。

其れに釣られて彼も奇天烈な笑い声を響かせていると、ポコリッと背後に衝撃が当たった。

なんだなんだと振り返ってみれば、其処にはプクリと頬を膨らませているラウラが居るではないか。

 

「お~、噂をすればなんとかだ~」

「おッ、ラウラちゃん」

 

「むーッ・・・二人で何をしているのだ?」

 

彼女は二人のやり取りに嫉妬しているかの様にムッとする。

 

「見ての通りの手伝いじゃ。、ラウラちゃんが勘繰る様な事ぁねぇーよ。其れよりも、そっちの方は終わったんか?」

 

「あぁ、あとはここだけだ。セシリア達はもう引き上げたぞ」

 

「ほうか。なら、もうちょっとやったら終わるのぉ」

 

そう答えながら、春樹は抱えた瓦礫を本音に指定された場所へと置く。そして、また撤去作業に戻ろうとしたのだが、此れにラウラが待ったをかけた。

何故ならば、彼女は彼がまだ休憩を取っていない事を見抜いたからである。

 

「春樹、もう今日はここまでにしろ。あとは皆や先生方に任せれば、もう終わるではないか。それにお前はまだ病み上がりだという事を忘れるな。今朝、デュノア社に呼ばれて行ったシャルロットも心配していたぞ」

 

「そうかぁ? 大丈夫じゃって、水分補給もちゃんとしょーるし」

 

「・・・飲酒は水分補給にはならんぞ」

 

ジト目で呟かれたラウラの言葉に春樹は「ギクぅッ」とショックを受けていると隣で本音が「不良だぁ~」と彼を指さす。

 

「まったく・・・ッ。そんなお前の為に私がとっておきの昼食を作ってやろうではないか! なにかリクエストはあるか?」

 

「おぉ、そいつはありがてぇや。そうじゃのぉ、何がエエかなぁ? ラウラちゃんの飯ゃ何でも美味いけんなぁ」

 

「そ、そうか」

 

照れるラウラと其れに朗らか微笑みで答える春樹に「あいかわらず、らぶらぶだね~」と本音は呆れ気味に首を振りながら溜息を吐いていると、唐突に電子音がズボンのポケットから鳴り響いた。

 

「おっと悪い、ラウラちゃん。ッ・・・はい、清瀬です」

 

《どうも、清瀬君》

 

春樹は一瞬だけ眉をひそめた後に通話ボタンをスライドさせる。すると・・・通話口から男の声が聞こえて来たではないか。

此の男の声を彼は知っている。此の学園を取り仕切っている轡木 十蔵だ。

 

「春樹?」

「シィーッ、静かに・・・どうかされましたか、轡木学園長閣下殿?」

 

《お忙しい所、申し訳ありません。今少し、問題が起きてしまいまして・・・》

 

「問題ですと・・・ッ?」

 

只者ではないと認める人間から電話がかかって来るだけでも緊張するというに、其の者が問題と云う事案が起こった事に春樹は戦慄した。

一体何が起こったと云うだろう。またしてもテロリズムによる襲撃か、其れとも此の前に追い返したIS委員会からの調査員が抜き打ちで再びやって来たのか。彼は様々な面倒事を想定し、グルグルと考えを張り巡らせる。

 

《君にしか対処する事が出来ません。お願いできますか?》

 

「ッ、勿論です! 其れで敵は何処に?!」

 

《いやッ、別に敵ではないんですが・・・そのッ・・・・・まぁ、行って見ればわかります。応接室にお通ししていますので》

 

「わっかりましたぁ! 今すぐ行きます、お任せ下さい!!」

 

電話をすぐさま切ったと同時に春樹は駆け出す。

「どうかしたのか?」と心配そうな顔をするラウラに「大丈夫じゃ。俺の部屋で芋の煮っ転がし作って待っとってや!」と言い放つや否や、彼は雄叫びを上げて応接間に待っているという問題へ奔って行った。

 

「きよせん、行っちゃったね~」

 

「まったく・・・・・ふふふッ、しょうがない。春樹の為に美味い芋煮を作ってやろうではないか!」

 

「うわ~、ラウラウはりきってるぅ~!」

 

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

「フゥーッ・・・此処か・・・!!」

 

轡木の連絡を受け、春樹は汚れた作業服からキッチリとした制服に着替えると『問題』が待つという応接室へと向かった。

 

「おおぉッ、武者震いじゃあ・・・やっぱし、こういうんはいつでも緊張するわぁ!」

 

緊張で奮えてるのか、酒切れのアル中禁断症状で震えているのか解らない手をスキットルの中身を飲み込む事で抑えると、呼吸を整えて応接室のドアをノックした。

 

「はーい、どうぞぉ」

 

「・・・・・・・・・・・・・・・んッ?」

 

・・・春樹は、自分のノックに応えた声へ素っ頓狂な疑問符を浮かばせる。

何故ならば、其の声の持ち主は此処に居る筈がないのだ。居てはいけない筈なのだから。

 

「・・・んン~??(破破破ッ、おかしいなぁ。まさか、まさかな。そねーな阿呆な事があって堪るもんかよ。疲れてんなぁ、俺。まだ屑鉄共との疲労が抜け取らんわぁ)」

 

・・・な~んて抜かしやがっているが・・・ドアを開けた瞬間、春樹の其の考えは的を射る事となった。

其の時、彼は膝から崩れ落ちて只一言。

 

「なしてぇ・・・ッ!!?」

 

今にも泣きだしそうな顔をしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 





・・・・・はい。という訳で今回は此処まで◆◆◆◆◆
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