IS/Drinker   作:rainバレルーk

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第129話

 

 

 

―――非常灯の薄明かりが灯る薄暗いIS学園校舎内。

其の通路の真ん中で佇む者が一人。

 

「・・・破阿―――――ッ・・・・・・」

 

鉛色の強化外骨格を纏いし”夜叉”の身体は、非常灯の光と其の身からポタリポタリと滴り落ちる血によって赤く濡れている。

其の滴る血は鎧の下から流れる彼自身の血でもあったが、其の殆どが周囲へ骸の様に転がる兵士共の返り血であった。

 

「あッ・・・ぁあ・・・!」

 

そんな骸の山の中から浅い息を吐きつつも這いつくばり、すぐ傍に転がる九㎜拳銃へ手を伸ばす。

だが―――

 

「・・・おりゃ」

「ッ、ぐぁアアッ・・・ッ!!」

 

其の手の上に夜叉は自分の足底を置き、其のままゆっくりと踏み抜いた。

メキメキィッ・・・と、実に生々しい音と共に苦し気な断末魔が木霊する。

しかして夜叉の鞭打つ行為は此れに留まらない。

 

「よい、しょっと・・・」

「ッ―――――!!」

 

彼はしゃがみ込んで兵士の髪をむしり取る勢いで掴み上げると、其の頭部を有らん限りの力を使って床へ叩き付けた。何度も、何度もだ。

 

「あ・・・あがが・・・ッ」

 

「・・・ふ~ッ」

 

グシャグシャに兵士の頭蓋骨へ茹で卵の殻の様にヒビを入れた夜叉は、鼻で一息吐きつつ兵士が手にしようとしていた九㎜拳銃を拾い上げるや否や、ズダンッ!と彼の手足に向けて発砲。骨の悉くを撃ち砕いた。

 

「ふーッ、ふーッ・・・!!」

 

そんな死人へ鞭打つ様な凄惨行為をする夜叉を前に楯無は息を荒らげる。

猿轡を噛まされている為、声を出す事は出来ないが、口の中に溜まった唾液が顎を伝って落ちた。

 

「・・・阿”?」

 

「ッ!?」

 

其れに気付いたかどうかは解らぬが、夜叉は壁側で縮こまる楯無へギョロリと血に濡れた独眼を差し向けて歩み寄って行く。

 

「破―――・・・よっとッ」

「うッあ!?」

 

夜叉は縮こまる彼女に顔を近づけると、溜息を吐く声と共に未だ脇腹から血が流れる楯無を米俵でも持つ様に担ぎ上げた。

余りの突然の事に彼女は最後の力を振り絞り、身を捩って暴れるが夜叉はガッチリと拘束を解く事はない。

 

「うぅッ!!」

 

そして、彼は少し離れた場所まで楯無を運んでゆっくりと床へ腰を据えるや否や、彼女の着ている上半身の制服を酷く乱暴にビリリッと引き剥がす。

遂に最早これまでかと覚悟する楯無を余所に夜叉は血を拭った自身の鉄の指先を彼女の傷穴へ突っ込んだ。

 

「ッ、あ”ッ、あぁ!!?」

 

無論、グチャリグチャリと傷口を引っ掻き回されている為に激痛が身体を奔る。

 

「よし。弾は抜けとるし、内臓にもダメージはいってねぇ。出血も言うほど大した事ぁねーな。手の方も軽い方・・・か? まぁ、一応は止血じゃ。ちぃとばっかしみるぞ」

 

そんな激痛に身悶える楯無の二つの傷口へ、夜叉は何処からか取り出した青白い弾頭を押し込むと一気に其れを破裂させた。

 

「ッ、あ”ぁ”!!?」

 

するとまたしても鋭い痛みが傷口に響き渡る。

唯、先程と違って痛みと共に刺す様な冷たさが同時に襲い掛かったのだった。

 

「あ、そうじゃそうじゃ。そう言やぁ、口に噛まされとったなぁ。外しちゃらぁ」

 

と、此処で夜叉は漸く楯無が噛まされていた猿轡をブチリと切ってやる。

猿轡から解き放たれた事で「はぁッ、ハァッ!」と彼女は荒らげた呼吸で酸素を肺に入れた。

其の様が過呼吸気味に見えた為に夜叉は「焦るな。ゆっくり息せぇ」と楯無の背中を擦りながら手足へ嵌められていた拘束具を引き千切る。

 

「ハァッ・・・ハァ・・・あ、あなた・・・ッ、一体・・・?!」

 

「阿? あぁ、こねーな兜被っとたら解りゃあせんか。ほれ」

 

「な・・・・・ッ!!」

 

そう言って独眼の兜を脱いだ夜叉に彼女は目を丸くする。

何故ならば其の無骨で恐ろし気な面当ての下にあったのは、自分の良く知るあの小生意気な後輩の顔があったからだ。

 

「き、清瀬くんッ? あ・・・あなた・・?!」

 

「遅れてすまんかったな。後、詳しい話は後にしようやぁ、会長。今は傷に障るけん、大人しくしょーれや」

 

夜叉・・・春樹は金の焔を両目から零しながら氷結弾によって凍結した楯無の銃傷へ簡易的な手当てを施すと、何処からともなく今度は注射器を取り出す。

勿論、其の何処からともなく取り出した注射器に彼女はギョッとしてしまうが、春樹は「心配せんでええ、アイツ等からかっぱらったモルヒネじゃ」と随分軽い口振りで其れを何の躊躇も容赦もなく楯無の柔肌に突き刺した。

けれども・・・

 

「あッ・・・あれ?」

 

其のモルヒネが身体に回った途端、彼女の意識は急に昏迷へ陥ってしまう。

「しもうた、分量間違うた」と春樹が気付いた頃には既に時遅し、フッと楯無は意識を手放してフラッと頭を彼へ預ける。

 

「・・・まぁ、ええか。此れで酷いものを見せんで済まぁ」

 

春樹は自分の胸中でくぅくぅ寝息を点てる楯無を寝かせると、彼はすくり立ち上がるや否や、あの血に濡れた独眼の一本角兜を被った。

そして、再び屍骸の様に転がる兵士たちの前へと立つと語り掛ける。

 

「さて・・・米国人(アメリカーナ)、まだ息があるだろう?」

 

春樹そう冷淡な口遊みと共にアンネイムドの班長の腹目掛けてドガッ!と蹴りを放つ。

其の蹴りによって此の場を死んだふりで乗り過ごそうとした連中の背筋が凍り、班長は血の混じった胃液を「うげぇッ!」と床へぶちまけた。

 

「お前らアメリカーナが此処に来たって事は、大体の理由の察しが付く。・・・が、一応は理由を聞こうか。此処へ何しに来たよ、アメリカーナ?」

 

「き・・・貴様、一体・・・何―――――」

 

「―――者だ?」と班長が口を開く前に春樹は彼の肋骨を踏み折る。

ボキメキィッ!と嫌な音と一緒に再び血の混じった胃液を吐き散らす班長。

そんな躊躇も容赦もない春樹の行いに兵士達は再び背筋を凍らせる。

 

「質問を質問で返すんじゃあない。・・・まぁ、良い。お前らが此処に来た理由は大方の予想は着く。しかしだ・・・此処まで入って来れたと云う事は、お前らを導いて来たIS乗りが居る筈だろう? 何処に居る?」

 

「言うと・・・・・思うか・・・ッ?」

 

春樹の言葉に班長は口から血を垂らしながらニヤリと微笑む。

 

「・・・そうかい、流石はアメリカーナの精鋭兵だ。其の忠義に免じて見逃してやろう・・・・・と思ったが、ダメだな」

 

「だ、ダメ・・・?」

 

「応・・・あんなのでも一応は私達の代表だからな。其の代表を慰み者にしようとしやがった。さて、此の責任・・・・・どう取らせてやろうか?」

 

「ま、待ってく―――――」

 

最後まで言葉を紡ぐ前に彼は班長の額へ兵士共から奪ったナイフを差し向ける。

其の様に背筋の凍る兵士共の額へ今度は脂汗がガマの油の様にたらーりたらりと流れ出た。

 

「大丈夫だ、殺しはしないさ。しかし・・・貴様達は”殺して欲しい”と”私”に懇願するだろうがな」

 

「あ・・・アぁッ!!」

 

「さて・・・”剥ぐ”か」

ガリィッ・・・!!

 

 

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

地下にある無人機ゴーレムⅡ並びにゴーレムⅢのISコアが所蔵されている保管室前。

非常灯しか明かりのない薄暗い通路の其処でガギィイッン!!・・・と、鋼を打ち付ける火花と瞬きが響き渡る。

 

「(何なんだッ・・・・・何なんだ、この”女”は!!?)」

 

アメリカが所有するステルス使用IS『ファング・クエイク』を駆る米国軍特殊部隊アンネイムドの”隊長”は困惑していた。

 

IS学園の地下区画にて行われている世界最強の兵器と”生身の人間”による戦闘。其の戦闘が開始してから一体幾何かの時間が経ったであろうか。

上記の此れだけ見てみれば、まず間違いなく兵器・・・の方が勝つに決まっている。

しかして―――――

 

「ふふッ・・・!」

「クッ・・・!!」

 

彼女が相手にしている生身の人間は、ISハイパーセンサーで捉えられぬ程の高速剣戟を放って来るではないか。

其の剣戟の威力並びに技量の高さに隊長である女は驚嘆した。此れが人の為せる技なのかと。

しかし、今回ばかりは相手が悪いと内心では思っていた。

何故ならば、此の斬り付けて来る相手・・・初めてこの世界で『最強』の称号を賜り、世界の頂点に立った女・・・ブリュンヒルデ、『織斑 千冬』であったからだ。

アンネイムドの隊長は彼女が現役を引退した後、ドイツ軍のIS部隊の教官をしていた事は知っていた。そして、任期満了に伴い、日本に戻ってIS学園の教師をしている事も知っていた。

しかも今やかつての相棒である専用機もない。

最早、唯の人に戻ったのだろうとばかり思っていた。・・・しかし、憶測はあくまでも憶測に過ぎない。

実際、目の前にいる女は生身でISと戦っている。其れも互角にだ。

 

「ッ!!(何故ハイパーセンサーで捉えきれんッ?!!)

 

捉えきれないというのは些か語弊がある。センサーに反応はするのだが、自分が感知した時には既にその場に居ないのだ。

 

「ハッ・・・ぐぅッ!!?」

 

其れでも何とかアンネイムドの隊長は千冬からの斬撃を受け止める。

IS絶対防御に守られている為、自分が傷を付く事は無い。しかし、衝撃を押し殺せないのだ。

だが・・・其れももう終わりである。

 

「ふむ・・・?」

 

千冬がチラリと自身の刀を見れば、其の刃は刃毀れを起こしているではないか。

其れも其の筈、絶対的な兵器であるISを幾度となく斬り付けているのである。刃はボロボロになって当然。もう既に四本の刀が刃毀れしており、其の両手に握った刀もボロボロである。

千冬は其の両刀を地面に突き刺すや否や、腰に携えた新たな刀を再び抜き放つ。

シャランッ・・・と鞘から刀身が抜き放たれる際に聞こえた音色と其の得物を持つ千冬の姿が見事なまでにマッチしている。

全身黒いボディースーツという異様な姿ではあるが、正に其の姿は『サムライ』であった。

 

「ッ、いい加減にしてもらおうか・・・!」

 

「ん・・・?」

 

「何だ、お前喋れたのか?」と千冬は言わんばかりに挑発的な笑みを浮かべる。

けれどもアンネイムドの隊長もそんな安い挑発には乗らない。否、乗らないように訓練を受けてきた。

 

「米軍の特殊部隊というのは、随分も暇を持て余しているようだな? 態々、こんな極東の島国の、こんな学園にまで派遣されて来るとはな・・・」

 

「・・・・・」

 

「何も喋らなくていいぞ。お前たちの目的は大体想像がつく・・・クラス代表戦にキャノンボール・ファスト、それにタッグマッチ戦へ乱入して来た無人機のコア・・・・・我々は破壊、処分したと言ったのだがな・・・早々に信じる馬鹿どもはいないと思っていたよ。しかし・・・それだけではないのだろう? それよりも重要なのは一夏と清瀬の専用機・・・・・と、言った所か?」

 

「・・・ッ・・・」

 

千冬の言葉に、隊長は何も言い返さない。

此処まであからさまな動きをしておいて今更だとは思うが、流石はブリュンヒルデだと改めてアンネイムドの隊長は思い知った。

 

「いや、今や最も重要なのは清瀬・・・ヤツの専用機に身体だろうな。アイツの専用機、琥珀とアイツ自身には毎回驚かされる。ヤツは今までの常識を遥かに覆す現象を起こして来た。悔しいが、私の弟よりも・・・いや、今やこの学園に居る誰よりも強いな。そんな男のデータだ。お前達、米国だけではなく世界中があの男のデータや専用機を欲しているだろうからなぁ?」

 

「そこまでわかっていながら・・・何故ッ!」

 

「生身ではISに敵わない・・・か?」

 

不敵な笑みを浮かべた千冬。

右手に持っていた刀をクルクルと回しながら構えを取ると、其れをしっかりと握り緊めた。

 

「並の人間なら・・・なッ―――――!!」

「!!?」

 

突如として千冬の姿が消える。

あまりの突然の出来事に一瞬だけ狼狽する隊長。しかし、視覚的に消えただけであって、千冬の姿はISのハイパーセンサーが捉えている。

されども更なる驚きが彼女を襲った。

 

「―――――おい、どうした? 胴がガラ空きじゃないか」

「なッ!!?」

 

アンネイムドの隊長が纏っているIS、ファング・クエイクのセンサーが千冬の居場所を捉える。

だが、其の場所が問題であった。

 

「ハァアアアアアッ!!」

「(いつ懐に入ったッ!?)」

 

振り返れば、既に目と鼻の先には刀を構えた千冬が居るではないか。 

彼女の頭は防御をしようと判断している。けれども、其の思考に体の反射が追い付いてゆかぬ。

両手で防御に回ろうとしたが、其れよりも速く千冬の刀が閃く。

 

「グッ、ゥう!!?」

「どうした・・・まだ終わりではないぞッ!」

 

「あッ?!」

 

またしてもアンネイムドの隊長の視界から千冬の姿消える。そして、またしても懐に入られている。

 

「くぅッ!!」

「・・・ほう?」

 

しかし、今度ばかりはナイフ型ブレードを展開して千冬の放つ剣撃を受け止めた。

 

「一度見ただけで反応したか? だが、そんな付け焼き刃のような防御・・・いつまで保つかな?」

「くッ・・・!」

 

ニヤリと笑う千冬の表情に隊長は苦虫を噛んだような表情を取る。

恐るべき身体能力を持っていようと生身の人間が兵器であるISと対等に渡り合える筈はない。其れが世界の常識・・・”だった”。

されども目の前の女はあらゆる常識を超えてくるのだ。最早、彼女には千冬が自身と同じ人間だとは到底思えなかった。

先程から一瞬だけ姿が消えるのも何らかの技術によるものなのだろう。

何故なら彼女の体からはISの装備などは検出されていない。なれば、あれは間違いなく千冬本人の技量から来るものだ。

 

「私を一瞬だけでも見逃すのがそんなに不思議か?」

 

「・・・ッ・・・」

 

アンネイムドの隊長は心の声を聞かれたような気がした。

千冬はそんな彼女の顔を見て嬉しそうに語る。

 

「貴様にはわからんだろうが、これは古来の歩法だ。名を『抜き足』という」

 

「ヌキ、アシ・・・・・?」

 

「人間の脳というのは、目の前にあるもの全てを知覚しているわけではない。必要な情報とそうでない情報とを区別し、必要ないものは認識していない。でなければ、脳がキャパを越えてしまうからな。だからこれは・・・人間が自動的に作り上げる無意識の領域に入り込む歩法技、とでも言えばいいのか?

 

「・・・・・」

 

「さて、答え合わせをしてやったんだ・・・早々にくたばってくれるなよ?」

「ッ、チィイ!」

 

舌打ちも束の間、再び千冬が消える。

否、消えたように自分の脳が錯覚させているのだ。

『抜き足』は脳の無意識の領域に入り込む。其れ故に其の対処法としては、其の無意識の領域に意識を向けなければならない。

目の前で拳銃を突きつけられていても、其の銃を向けている相手の服装やアクセサリーの種類やメーカーなどに注目するような蛮行にも等しい行為をしなければ、『抜き足』は破れない。

人間は、必ず必要な情報だけを得ようとする。

マジシャンがマジックを披露する時にも注目されているのはマジックの”結果”だけ。

其の過程であるタネを仕掛ける作業に目が行っていない。

視線を誘導させる技術・・・俗に『ミスディレクション』と呼ばれる技術だ。

『ミスディレクション』が視線を誘導して自分以外を見ないように仕向けるのなら、『抜き足』は其の逆。

自分を見させておきながら、相手の視線の範囲外を掻い潜ってくるようなもの。

違う技術であるが、其の本質は人の本能を錯覚させる事にある。

 

「どうした、もっと攻めてきてもいいんだぞ? 米国人(ヤンキー)?」

 

「うるさいぞッ、日本人(モンキー)・・・!」

 

完全に千冬の挑発に乗せられた隊長。

彼女は千冬との戦闘に集中する為、神経を研ぎ澄ましながら他の場所で行動を起こしている部下達との通信を遮断しようとインカムに手を掛けた・・・・・・・・其の時だ。

 

ギャァアアアアアアアッ!!

「ッ!!?」

 

突如として通信インカムから聞こえて来たのは、渇き切って張り付いた喉を引っ掻くような酷く荒れた断末魔であった。

しかも一つではない。

 

やッ、やめ・・・ッ、うぎゃぁアアあああ!!?

         た、助けて・・・助けてくれぇえッ! ぎぇえええええ!!

   いやだ、やめッ―――ギぃヤァああああああ!!

          ぐぎゃぁアアあああああッ!!

                      あ”ギャぁいぇえええええッ!

     痛い痛い痛い痛い痛い、痛い”ィい”い”い”!!

 

幾つもの耳障りで聞くに堪えない断末魔の絶叫が否が応でも聞こえて来る。其れも”聞きなれた声”で。

・・・加えて、其の断末魔の隙間隙間にある”歌”と”音”が聞こえて来た。

 

≪破ー破破ー破ン♪ 破ァ破ーン♪≫

 

歌は鼻歌である。其れも何処か上機嫌な鼻歌だ。

其の鼻歌に合わてガリガリッザリッザリシャリッシャリッ・・・と小気味の良い音が刻まれる。何かを削り削ぎ落す様な音が。

 

「・・・ん? おいッ、どうかしたのか?」

 

インカムから聞こえて来る断末魔に聴き入るアンネイムドの隊長に千冬は疑問符を投げ掛けるが、彼女としては其れ処ではない。

どうしようもない部下達の悲痛な絶叫に揺るがない筈の心がハンマーで砕かれたように崩れ去った。

 

≪た”じけ”て”ッ・・・だずげでぐだざい”、だいぢょぉお”お”!!≫

「ッ・・・く!!」

 

「むッ!? おッ、おい?!!」

 

引き留める千冬の声も振り払い、アンネイムドの隊長は断末魔を絶叫する部下達の元へとISブースターを吹かす。

其の折、通信インカムから断末魔とは違う・・・酷く冷淡で異質な声が聞こえて来た。

 

≪チク、タク、チク、タク・・・さぁ、急がないと。取り返しの着かない事になるぞ≫

 

 

 

 

 

 

 

 





次回も挑戦です。
・・・・・はい。という訳で今回は此処まで◆◆◆◆◆
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